「豆腐にはどんな栄養素が含まれているんだろう?」
「豆腐の栄養素にはどんな効果があるのかな?」
豆腐は身近な食品ですが、含まれている栄養素やその特徴を知らない方もいらっしゃるかもしれません。
豆腐は大きく絹ごし豆腐と木綿豆腐に分けられ、どちらにもたんぱく質やビタミンB1が豊富に含まれています。
また、豆腐に含まれる大豆イソフラボンという成分には、骨粗しょう症や更年期障害の予防効果が期待されています。
この記事では豆腐に含まれる栄養素とそのはたらきを解説します。
豆腐を摂取するときのポイントについてもご紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね。
1.豆腐とは
豆腐は大豆が原料の食品です。
豆腐を作る際には、まず不純物を取り除いた大豆を水洗いした後、水につけてしばらく置きます。
その大豆を砕いて煮ると豆乳とおからに分かれます。
豆乳の方ににがりなどの凝固剤を加えて固めれば豆腐の完成です。
さらに豆腐は製造方法の違いから、大きく木綿豆腐と絹ごし豆腐に分けられます。
木綿豆腐は凝固剤で固めたものを一度崩してから箱に入れ、圧力をかけて再び固めたものです。
水分を搾るため適度な硬さがあり、崩れにくいので煮物や炒め物に適しています。
一方の絹ごし豆腐は木綿豆腐よりも濃い豆乳に凝固剤を加え、そのまま固めたものです。
滑らかな食感に仕上がることから、冷ややっこやサラダ、汁物の具などに向いています。
豆腐を凍らせて乾燥させた「凍り豆腐」や木綿豆腐に焼き目を入れた「焼き豆腐」などは、出来上がった豆腐をさらに加工した食品です。
油揚げ、厚揚げ、がんもどきなど、豆腐を油で揚げた食品もあります。
さらに卵を原料とする「卵豆腐」や、ごまをすって作った「ごま豆腐」などは原料が大豆ではないものの、豆腐に似ているため、このように呼ばれます。
私たちの身近には、豆腐という名前がつく食品がたくさんあるのですね。
また、肉や魚と比べてカロリーが低いことも豆腐の魅力の一つです。
豆腐はたんぱく質を豊富に含む食品の一つであり、そのなかでも比較的カロリーが低いことが分かっています。
以下はたんぱく質を豊富に含む主要な食品のカロリーとたんぱく質含有量を比較したものです。
【主な食品100g当たりのたんぱく質含有量とカロリー】
食品名 | たんぱく質含有量 | カロリー |
---|---|---|
絹ごし豆腐 | 5.3g | 56kcal |
木綿豆腐 | 7.0g | 73kcal |
鶏ささみ(生) | 23.9g | 98kcal |
鶏卵(生) | 12.2g | 142kcal |
納豆 | 16.5g | 184kcal |
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成
たんぱく質のはたらきについては次の章で解説します。
同じようにたんぱく質を含んでいながら、かつカロリーが低めなのはうれしいことですよね。
2.絹ごし豆腐・木綿豆腐に豊富に含まれる栄養素
豆腐にはたんぱく質やビタミン、ミネラルなどが豊富に含まれます。
また絹ごし豆腐と木綿豆腐に含まれる栄養素の量には若干の差があるため、それぞれの含有量をご紹介しています。
早速、豆腐に含まれる栄養素とそのはたらきをみていきましょう。
【絹ごし豆腐・木綿豆腐に豊富に含まれる栄養素(100g当たり)】
栄養素 | 絹ごし豆腐 | 木綿豆腐 |
---|---|---|
たんぱく質 | 5.3g | 7.0g |
ビタミンB1 | 0.11mg | 0.09mg |
ナイアシン | 1.6mgNE | 1.9meNE |
ビオチン | 3.5μg | 4.1μg |
カルシウム | 75mg | 93mg |
マグネシウム | 1.2mg | 1.5mg |
鉄 | 1.2mg | 1.5mg |
銅 | 0.16mg | 0.16mg |
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成
2-1.たんぱく質
豆腐にはたんぱく質が豊富に含まれています。
たんぱく質は筋肉や臓器、皮膚、髪の毛など、ヒトの体を構成する重要な栄養素です。
さらに体の機能を調整するはたらきを持つ酵素やホルモンといった物質にもなります。
そのため、たんぱく質の不足は体力や免疫機能の低下につながります。
先に示したように絹ごし豆腐には100g当たり5.3g、木綿豆腐には100g当たり7.0gのたんぱく質が含まれます。
木綿豆腐のたんぱく質が多いのは製造過程で水分を搾った結果、大豆の成分が凝縮されるためです。
また、豆腐は「良質なたんぱく質」を多く含む食品です。
たんぱく質はアミノ酸と呼ばれる物質で構成されており、「アミノ酸スコア」の高い食品ほど良質なたんぱく質を含む食品といわれます。
アミノ酸は食事から摂取する必要のある「必須アミノ酸」と、体内でつくることができる「非必須アミノ酸」に分けられます。
食品のなかに含まれる必須アミノ酸が、ヒトの体にとって望ましい量に対しどの程度の割合で含まれているかを示す指標を「アミノ酸スコア」といいます。
アミノ酸スコアの最高値は100であり、絹ごし豆腐と木綿豆腐のアミノ酸スコアは共に100です[2][3]。
このことから、豆腐は良質なたんぱく質を含む食品といえるわけですね。
たんぱく質についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
たんぱく質とは?体内でのはたらきや食事摂取基準、豊富な食品を紹介
2-2.ビタミンB1
豆腐にはビタミンB1も豊富に含まれています。
100g当たりの絹ごし豆腐と木綿豆腐のビタミンB1の含有量は以下のとおりです。
【絹ごし豆腐と木綿豆腐100g当たりのビタミンB1含有量】
食品名 | ビタミンB1含有量 |
---|---|
絹ごし豆腐 | 0.11mg |
木綿豆腐 | 0.09mg |
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成
ビタミンB1は食品中の糖質をエネルギーに変えるのに必要な栄養素です。
皮膚や粘膜を健康に保つ役割も果たしています。
ビタミンB1は糖質の代謝に関わるため、糖質やアルコールの摂り過ぎによって不足することがあります。
ビタミンB1が不足すると食欲不振や倦怠(けんたい)感などの症状が現れるとともに、糖質をエネルギー源としている脳にも影響を及ぼすことがあるため注意が必要です。
ビタミンB1についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンB1が豊富に含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説
2-3.ナイアシン
ナイアシンも豆腐に豊富に含まれる栄養素です。
100g当たりの絹ごし豆腐と木綿豆腐にはナイアシンの含有量は以下のとおりです。
【絹ごし豆腐と木綿豆腐100g当たりのナイアシン当量】
食品名 | ナイアシン含有量 |
---|---|
絹ごし豆腐 | 1.6mgNE |
木綿豆腐 | 1.9mgNE |
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成
ナイアシンは食事から摂取する他に、必須アミノ酸の一つであるトリプトファンからも合成されます。
そのため、食事摂取基準ではナイアシンにトリプトファンから合成されるナイアシンを足した「ナイアシン当量」(mgNE)という単位が使われます。
ナイアシンは皮膚や粘膜を健康に保ちます。
ナイアシンには脂肪の構成要素でありエネルギー源でもある脂肪酸や「ステロイドホルモン」の産生を助けるはたらきもあります。
ナイアシンが不足するとペラグラと呼ばれる病気にかかることがあります。
日本人が発症することはまれといわれていますが、発症すると皮膚炎や下痢、精神神経障害などの症状が現れます。
ナイアシンについては国立研究開発法人 医療基盤・健康・栄養研究所が「『健康食品』の安全性・有効性情報」というサイトで情報を公開しているので、こちらをご覧ください。
国立研究開発法人 医療基盤・健康・栄養研究所「『健康食品』の安全性・有効性情報」
2-4.ビオチン
豆腐にはビオチンも豊富に含まれます。
100g当たりの絹ごし豆腐と木綿豆腐のビオチンの含有量は以下のとおりです。
【絹ごし豆腐と木綿豆腐100g当たりのビオチン含有量】
食品名 | ビオチン含有量 |
---|---|
絹ごし豆腐 | 3.5μg |
木綿豆腐 | 4.1μg |
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成
ビオチンは体内でつくることができない成分のため、食品から摂取する必要があります。
ビオチンは糖の代謝、アミノ酸や脂肪酸の合成、エネルギー代謝に関わっています。
さまざまな食品に含まれているため、通常の食生活を送っている限り不足することはありません。
ビオチンについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビオチンとは?はたらきや摂取の目安量、摂取源となる食品を解説
2-5.カルシウム
豆腐にはカルシウムが豊富に含まれています。
100g当たりの絹ごし豆腐と木綿豆腐のカルシウムの含有量は以下のとおりです。
【絹ごし豆腐と木綿豆腐100g当たりのカルシウム含有量】
食品名 | カルシウム含有量 |
---|---|
絹ごし豆腐 | 75mg |
木綿豆腐 | 93mg |
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成
カルシウムは「ミネラル」の一種で、骨と歯をつくる材料になる他、細胞の分裂、筋肉の収縮、神経興奮の抑制、血液の凝固作用促進などに関わる栄養素です。
カルシウムが不足すると骨や歯が弱くなります。
不足状態が続くと幼児では骨の発達障害が起こり、閉経後の女性や高齢者は「骨粗しょう症」にかかりやすくなります。
また、カルシウムの不足は筋肉や全身のけいれんを引き起こすこともあるので注意が必要です。
カルシウムについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
カルシウムを多く含む食品と効果的な摂り方は?骨の健康を守ろう!
2-6.マグネシウム
豆腐にはマグネシウムが豊富に含まれています。
100g当たりの絹ごし豆腐と木綿豆腐のマグネシウムの含有量は以下のとおりです。
【絹ごし豆腐と木綿豆腐100g当たりのマグネシウム含有量】
食品名 | マグネシウム含有量 |
---|---|
絹ごし豆腐 | 50mg |
木綿豆腐 | 57mg |
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成
マグネシウムはミネラルの一種で、体内には約20〜30g存在し、そのうち約60%は骨や歯に含まれ、残りは筋肉や脳、神経に存在しています[4]。
また、300種類以上の酵素を活性化するはたらきがあり、筋肉の収縮や体温・血圧の調整、神経情報の伝達などの役割を担っています[4]。
通常の食事をしている健康な方の場合、不足することはほとんどありません。
マグネシウムについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
マグネシウムとは?はたらきや食事摂取基準、摂取源となる食品を解説
2-7.鉄
豆腐には鉄も豊富に含まれています。
100g当たりの絹ごし豆腐と木綿豆腐の鉄の含有量は以下のとおりです。
【絹ごし豆腐と木綿豆腐100g当たりの鉄含有量】
食品名 | 鉄含有量 |
---|---|
絹ごし豆腐 | 1.2mg |
木綿豆腐 | 1.5mg |
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成
鉄はミネラルの一種でそのうち約70%は赤血球の「ヘモグロビン」や筋肉中の「ミオグロビン」に存在し、残りは肝臓や骨髄、筋肉などに貯蔵されています[5]。
ヘモグロビンは全身に酸素を運ぶ役割を担っています。
しかし、鉄が不足するとヘモグロビンの数が減り、全身に十分な量の酸素を運ぶことができなくなります。
その結果、貧血が起こり、頭痛やめまいが生じる他、運動機能や免疫機能が低下することがあります。
特に幼児や乳児、月経がある女性、妊娠中の方などは鉄不足に陥りがちなので注意しましょう。
鉄についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
鉄分が多く含まれる食べ物と効果的な摂り方は?貧血気味の方必見!
[5] 厚生労働省e-ヘルスネット「鉄」
2-8.銅
豆腐には銅も豊富に含まれます。
100g当たりの絹ごし豆腐と木綿豆腐の銅の含有量は以下のとおりです。
【絹ごし豆腐と木綿豆腐100g当たりの銅含有量】
食品名 | 銅含有量 |
---|---|
絹ごし豆腐 | 0.16mg |
木綿豆腐 | 0.16mg |
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成
銅はミネラルの一種で、酵素の活性、エネルギーの生成、鉄の代謝などに関わっています。
普通の食生活を送っていて銅が不足することはほとんどありません。
銅については国立研究開発法人 医療基盤・健康・栄養研究所が「『健康食品』の安全性・有効性情報」というサイトで情報を公開しているので、こちらをご覧ください。
国立研究開発法人 医療基盤・健康・栄養研究所「『健康食品』の安全性・有効性情報」
3.絹ごし豆腐・木綿豆腐に含まれる栄養素
豆腐には食物繊維やビタミン、ミネラルなどが含まれます。
絹ごし豆腐と木綿豆腐に含まれる栄養素の量には若干の差があるため、ここではそれぞれの含有量をご紹介しています。
この章でご紹介している大豆イソフラボンは栄養素ではなく、食品表示の基準も設定されていません。
しかし、大豆製品に含まれる特徴的な成分のため、併せて解説します。
【絹ごし豆腐・木綿豆腐に含まれる栄養素(100g当たり)】
栄養素 | 絹ごし豆腐 | 木綿豆腐 |
---|---|---|
食物繊維 | 0.9g | 1.1g |
ビタミンB6 | 0.06mg | 0.05mg |
葉酸 | 12μg | 12μg |
ビタミンK | 9μg | 6μg |
カリウム | 150mg | 110mg |
亜鉛 | 0.5mg | 0.6mg |
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成
3-1.食物繊維
豆腐には食物繊維が含まれています。
100g当たりの絹ごし豆腐と木綿豆腐に含まれる食物繊維の量は以下のとおりです。
【絹ごし豆腐と木綿豆腐100g当たりの食物繊維含有量】
食品名 | 食物繊維含有量 |
---|---|
絹ごし豆腐 | 0.9g |
木綿豆腐 | 1.1g |
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成
食物繊維は食品中に含まれていながらヒトの消化酵素では消化できない栄養素です。
消化されずに大腸まで達し、おなかの調子を整え、便秘を予防します。
また、脂質、糖、ナトリウムなどを吸着して体外に排出するはたらきがあり、これらを摂り過ぎることによって起こる肥満や脂質異常症、糖尿病、高血圧などの「生活習慣病」の予防・改善が見込めます。
しかし穀類、いも類、豆類の摂取量が減ったことにより、日本人の食物繊維摂取量は減少傾向にあります。
食物繊維が不足すると腸内環境が悪化し、便秘になりやすくなります。
生活習慣病にかかるリスクが上がってしまうこともあるので注意が必要です。
日本人の多くが不足気味とされている栄養素なので、積極的な摂取を心掛けましょう。
食物繊維についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
3-2.ビタミンK
豆腐にはビタミンKが含まれています。
100g当たりの絹ごし豆腐と木綿豆腐のビタミンK含有量は以下のとおりです。
【絹ごし豆腐と木綿豆腐100g当たりのビタミンK含有量】
食品名 | ビタミンK含有量 |
---|---|
絹ごし豆腐 | 9μg |
木綿豆腐 | 6μg |
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成
食品表示基準にのっとれば、ビタミンKは絹ごし豆腐には「豊富に」含まれており、木綿豆腐にも「含まれている」ということができます。
ビタミンKは血液の凝固作用に関わる他、丈夫な骨をつくる際にも活用される栄養素です。
そのためビタミンKが不足すると出血した際に血が止まりにくくなり、慢性的な不足は骨粗しょう症や骨折につながります。
また、ビタミンKは動脈にカルシウムが沈着して血管が硬くなる「石灰化」を抑制するはたらきも持っています。
血管の石灰化が進むと血管が詰まりやすくなるため、心筋梗塞などを発症するリスクが高まります。
ビタミンKについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンKにはどんな効果がある?摂取目安量とおすすめの食材を紹介
3-3.ビタミンB6
豆腐にはビタミンB6も含まれています。
100g当たりの絹ごし豆腐と木綿豆腐のビタミンB6含有量は以下のとおりです。
【絹ごし豆腐と木綿豆腐100g当たりのビタミンB6含有量】
食品名 | ビタミンB6含有量 |
---|---|
絹ごし豆腐 | 0.06mg |
木綿豆腐 | 0.05mg |
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成
ビタミンB6は「補酵素」として多くのアミノ酸の代謝に関わっている他、免疫機能の維持、赤血球のヘモグロビンや神経伝達物質の合成などを担っています。
ビタミンB6の不足は皮膚炎、食欲不振などを引き起こす恐れがあります。
ビタミンB6についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
3-4.葉酸
豆腐には葉酸も含まれています。
100g当たりの絹ごし豆腐と木綿豆腐の葉酸の含有量は以下のとおりです。
【絹ごし豆腐と木綿豆腐100g当たりの葉酸含有量】
食品名 | 葉酸含有量 |
---|---|
絹ごし豆腐 | 12μg |
木綿豆腐 | 12μg |
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成
葉酸には細胞の増殖を助けるはたらきがあります。
そのため、胎児の細胞増殖が盛んである妊娠初期に葉酸が不足すると、胎児が「神経管閉鎖障害」にかかるリスクが高まります。
こういった事態を防ぐには、妊娠の1カ月以上前から妊娠3カ月までの間、葉酸をはじめとした栄養素をバランス良く摂取する必要があります[7]。
また、食品から摂取した葉酸の利用効率がよく分かっていないことから、神経管閉鎖障害のリスクを抑えるにはサプリメントなどの栄養補助食品から1日400μgの葉酸を摂取することが勧められています[7]。
葉酸についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
葉酸が多く含まれている食べ物とは?効果や摂取基準もあわせて解説
[7] 厚生労働省「神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について」
3-5.カリウム
豆腐にはカリウムも含まれています。
100g当たりの絹ごし豆腐と木綿豆腐のカリウムの含有量は以下のとおりです。
【絹ごし豆腐と木綿豆腐100g当たりのカリウム含有量】
食品名 | カリウム含有量 |
---|---|
絹ごし豆腐 | 150mg |
木綿豆腐 | 110mg |
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成
カリウムはミネラルの一種で、細胞内液の「浸透圧」を一定に保つはたらきをしています。
また、ナトリウムを体外に排出する作用があるため、塩分の摂り過ぎを調整するのに役立ちます。
カリウムが不足するとこれらのはたらきに影響する他、脱力感・食欲不振・不整脈などの症状が見られることがあります。
カリウムについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
カリウムとは?はたらきや摂取すべき量、摂取源となる食品を紹介
3-6.亜鉛
亜鉛も豆腐に含まれている栄養素の一つです。
100g当たりの絹ごし豆腐と木綿豆腐の亜鉛の含有量は以下のとおりです。
【絹ごし豆腐と木綿豆腐100g当たりの亜鉛含有量】
食品名 | 亜鉛含有量 |
---|---|
絹ごし豆腐 | 0.5mg |
木綿豆腐 | 0.6mg |
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成
食品表示基準によれば、亜鉛は絹ごし豆腐には「豊富に」含まれており、木綿豆腐にも「含まれている」といえる栄養素です。
亜鉛は多数の酵素を構成し、ホルモンの合成や分泌、免疫反応の調整などをつかさどります。
また、たんぱく質やDNAを合成することから、胎児や乳児の発育・生命維持に関わる重要な栄養素といえます。
亜鉛が不足すると味覚障害や皮膚炎、食欲不振などが起こる他、小児の場合は成長障害が懸念されます。
実は、日本人は高齢者を中心に亜鉛不足の状態にあるとされています。
実際に複数の疫学調査の論文において、日本人の 20-30%が亜鉛欠乏の状況にあると報告されています[8]。
亜鉛が含まれる食品を、意識して食事に取り入れることで、亜鉛不足にならないようにしましょう。
亜鉛についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
亜鉛のはたらきと1日の適切な摂取量とは?亜鉛を多く含む食品も紹介
[8] 神戸 大朋「亜鉛トランスポーターの解析から亜鉛の生理機能を探る」(日本栄養・食糧学会誌 第 76 巻 第 4 号 207‒216(2023))
3-7.大豆イソフラボン
豆腐には大豆イソフラボンも含まれています。
大豆イソフラボンは大豆に多く含まれる成分で、女性ホルモンの一種であるエストロゲンと構造が似ていることから、植物性エストロゲンとも呼ばれます。
そのためエストロゲンが不足したときには大豆イソフラボンがエストロゲンの代わりに作用するといわれています。
エストロゲンには骨のもとになるカルシウムの流出を防ぐはたらきがあるため、骨粗しょう症の予防効果が期待できます。
また、大豆イソフラボンには、エストロゲンの減少に起因する「更年期障害」を予防する効果もあるとされています。
通常、大豆イソフラボンは糖と結合した「大豆イソフラボン配糖体」と呼ばれる状態で存在しますが、腸内細菌のはたらきで糖が外れると「大豆イソフラボンアグリコン」という状態に変わります。
大豆イソフラボンは大豆イソフラボンアグリコンの状態において、エストロゲンと似た作用を起こすとされているのです。
そのため、今回は大豆食品100g当たりの大豆イソフラボンアグリコンの含有量および平均含有量をご紹介します。
【大豆食品100g当たりの大豆イソフラボンアグリコン含有量と平均含有量】
食品名(検体数) | 含有量 | 平均含有量 |
---|---|---|
大豆(11検体) | 88.3〜207.7mg | 140.4mg |
納豆(2検体) | 65.6〜81.3mg | 73.5mg |
みそ(8検体) | 12.8〜81.4mg | 49.7mg |
油揚げ類(3検体) | 28.8〜53.4mg | 39.2mg |
豆乳(3検体) | 7.6〜59.4mg | 24.8mg |
豆腐(4検体) | 17.1〜24.3mg | 20.3mg |
しょうゆ(8検体) | 0.7~1.2mg | 0.9mg |
食品安全委員会「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」をもとに執筆者作成
豆腐だけでなく、日本人になじみ深い食品の多くに大豆イソフラボンが含まれていることが分かりますね。
大豆イソフラボンについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
大豆イソフラボンとは?はたらきや過剰摂取の影響、摂取目安量を解説
4.絹ごし豆腐に含まれる栄養素「ビタミンB2」
ここからは絹ごし豆腐に含まれている栄養素であるビタミンB2について解説します。
【絹ごし豆腐100g当たりのビタミンB2含有量】
食品名 | ビタミンB2含有量 |
---|---|
絹ごし豆腐 | 0.04mg |
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成
ビタミンB2はエネルギー代謝の他、体の発育促進に関わる栄養素です。
そのため、ビタミンB2が不足すると成長期の子どもは成長障害を起こします。
また、ビタミンB2は皮膚や粘膜の機能維持にも携わっていることから、欠乏すると口内炎、口角炎、舌炎、脂漏性皮膚炎などの症状が出ます。
ビタミンB2についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンB2が手軽に摂れる食べ物は何?効果や食事摂取基準も紹介
[10] 東京都福祉局「栄養成分表示ハンドブック」
5.豆腐を摂取するときのポイント
豆腐に含まれる大豆イソフラボンには骨粗しょう症や更年期障害の予防効果が期待される一方、乳がんの発症・再発リスクを高める可能性があるとされています。
しかし、これはあくまで可能性でしかなく、現在までに大豆イソフラボンによる健康被害は確認されていません。
また大豆食品の摂取を避けることで、それらに含まれる数々の栄養素の摂取ができなくなり、かえって健康を損なうこともあります。
そのため、他の食品と共にバランス良く摂取することが重要です。
6.豆腐に含まれる栄養素のまとめ
豆腐は製法の違いによって絹ごし豆腐と木綿豆腐に分けられ、どちらにもたんぱく質やビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。
絹ごし豆腐・木綿豆腐にはたんぱく質の他、ビタミンB1、ナイアシン、ビオチンといったビタミンや、カルシウム、マグネシウム、鉄、銅などのミネラルが豊富に含まれます。
また、食物繊維の他、ビタミンK、ビタミンB6、葉酸などのビタミン、カリウムや亜鉛などのミネラルが含まれます。
また、同じようにたんぱく質を含む鶏肉や鶏卵、納豆などと比べてカロリーが低いことも豆腐の特徴です。
豆腐には大豆イソフラボンという成分が含まれており、骨粗しょう症や更年期障害の予防効果が期待されます。
その一方で乳がんの発症・再発リスクを上げる可能性が指摘されていますが、現在のところ大豆イソフラボンによる健康被害は確認されていません。
大豆に含まれる数々の栄養を摂取するためにも、他の食品と共にバランス良く食べるようにしましょう。