「生理痛がつらいときはどうしたら良いんだろう?」
このように、つらい生理痛にお困りの方も多いのではないでしょうか。
生理痛とひとくくりにいっても、腹痛や腰痛、頭痛など人によって症状や程度もさまざまで、多くの方が生理痛に悩んでいるといわれています。
この記事では生理痛が起こる原因や症状をはじめ、生活習慣のなかで取り組める生理痛軽減のためのポイントについても解説します。
生理痛をうまくコントロールして、生理の日も快適に過ごせるよう役立ててくださいね。
また、生理痛はどれくらいひどい場合に受診した方が良いのか、受診の目安についても解説します。
生理痛がひどい場合は無理をせずに、医療機関に相談することも検討してくださいね。
1.生理痛の基礎知識
「生理痛はどうして起こるんだろう?」
このように生理痛の原因について気になる方もいらっしゃいますよね。
正式な医学用語では生理のことを「月経」といいますが、この記事では一般的に使用されている「生理」として表記します。
生理痛の原因の前に、まずは生理が起こるメカニズムについてご説明します。
女性の卵巣には生まれたときから妊娠するために必要な「卵胞」のもとである「原子卵胞」があります。
原子卵胞はたくさんありますが、思春期になると女性ホルモンのはたらきにより一定の周期で卵胞が成熟します。
成熟した卵胞は一つずつ卵巣から排出されるようになり、これを「排卵」といいます。
排卵が起こると子宮の内側にある「子宮内膜」が厚くなり、受精卵を育む準備を始めますが、妊娠に至らなかった場合は、子宮内膜は剝がれ血液とともに排出されます。
排出された内膜の下には新しく組織をつくりだす層があり、次の月になると新たに内膜が厚くなり妊娠の準備が始まります。
この女性ホルモンのはたらきによって毎月繰り返されるのが生理なのです。
そして、その生理の際に感じる下腹部や腰などの痛みを「生理痛」と呼びます。
1-1.生理痛の原因
ここでは生理痛の主な原因について詳しく解説します。
生理痛はホルモンのはたらきや血行不良、ストレスなどさまざまな要因で引き起こされます。
そのなかでも生理痛の原因として考えられるのは「プロスタグランジン」という物質の生成量が増えることです。
プロスタグランジンの生成量が増加すると子宮の収縮が過剰になり、下腹部や腰の痛みを引き起こします。
さらにプロスタグランジンには頭痛を感じやすくする作用の他、痛みの元となる物質のはたらきを強める作用があるため、頭痛を起こす原因になることもあります。
冷えによる血行不良が生理痛の原因になることもあります。
体が冷えると血流も悪くなり、プロスタグランジンが骨盤に滞ってしまうため、痛みが増します。
生理前に比べて生理中は体温が下がるため、余計に体が冷え血行が悪化しやすくなります。
またストレスはホルモンや自律神経のバランスを崩し、血行を悪くしたり痛みを強めたりするため、生理痛の原因になる場合があります。
生理痛の主な原因は年齢やライフステージによっても異なります。
初潮を迎えてしばらくの間は子宮の発育が未熟で子宮の出口が狭く、血液がスムーズに排出されないために圧力がかかり痛みを感じることがあります。
20~30代になり子宮や卵巣が成熟した時期に入ると一般的に生理痛は軽くなるといわれていますが個人差があるため重くなるケースもあります。
社会的な責任が大きくなることでストレスを感じたり、偏った食事や不規則な生活が負担になったりして、生理痛が重くなってしまう方もいます。
また、この時期は子宮内膜症や子宮筋腫といった婦人科の疾患が増えてくる時期といわれています。
出産を経験した方は子宮口が広がるため、生理痛が軽くなることが多いといわれる一方、出産や育児、社会復帰といった大きな変化を経験することがストレスとなり生理痛が増す場合もあります。
40代になると徐々に更年期に入ってくるため、生理の周期が一定でなくなったり、期間が長くなったりするなど生理の状態が変わり痛みが強くなることも考えられます。
日常生活に支障を来すほどの生理痛がある場合は、必ず婦人科を受診しましょう。
1-2.生理中に起こりやすい症状
生理痛と一言でいってもその症状や程度は人によってさまざまで、生理中に起こりやすい主な症状は腹痛や腰痛、頭痛などです。
生理中に生成されるプロスタグランジンが過剰に生成され、子宮の中に停滞することで、子宮やその周りの血管が過剰に収縮し腹痛を引き起こします。
また子宮の周りの血流が悪くなり、骨盤周りを中心に腰痛が起こります。
プロスタグランジンの影響で、下痢を起こしたり吐き気を感じたりする方もいます。
その他には頭痛も症状として挙げられ、生理が始まる前後に女性ホルモンの影響で片頭痛が生じることがあります。
生理中の経血量が多いと貧血を起こし顔色が悪くなったり、目まいが起こったりします。
さらに、生理に伴うホルモンバランスの変化によって感情が不安定になり、イライラや憂鬱(ゆううつ)感が生じたり、怒りっぽくなったりします。
症状が生理前から続き生理が始まると落ち着く場合は、PMS(月経前症候群)の可能性もあります。
2.生理痛を軽減するためのポイント
「生理痛を軽くする方法はあるのかな?」
つらい生理痛を軽減するためのポイントを知りたいですよね。
この章では日常生活のなかで取り組める生理痛を軽減させるポイントについて解説します。
ポイント1 生活リズムを整える
生理痛を軽減するためには、規則正しい生活を送ることが大切です。
生理は女性ホルモンによって起こりますが、その女性ホルモンの分泌は生活リズムの影響を受けます。
ホルモンの分泌が乱れると、生理痛を引き起こすだけではなく、月経不順などの 他の生理トラブルにもなりかねません。
生活リズムを整えるには朝食をしっかり摂り、寝る直前の食事を避けつつ食事の時間をできるだけ一定にすると良いでしょう。
また、同じ時間に睡眠を取ることで睡眠のリズムも整いやすくなります。
生活リズムを整え規則正しい生活を送るようにしましょう。
ポイント2 冷やさず温める
生理痛を軽減するためには、下腹部や腰周りを温め、血行を良くすることが効果的です。
体が冷えると血行が悪くなり生理痛を悪化させてしまいます。
体を温めるためにはお風呂にゆっくりつかることが勧められます。
清潔なお湯につかるのであれば膣炎を起こす可能性はありませんし、水圧で経血も出にくい状態になっているため、バスタブにつかることは問題ありません。
ただバスタブから立ち上がる際に経血が出ることもあるため、経血量が多いときや生理中にバスタブに入ることに抵抗がある方は、入浴を避けたり足湯をしたりすると良いでしょう。
足湯でも体を温める効果は期待できます。
また、体を冷やさないように冷たい食べ物や飲み物の摂取や、素足にミニスカートといった体を冷やしてしまう服装は避けましょう。
ポイント3 軽い運動で血流を促す
運動も血行を改善するため、生理痛を軽減するのに有効です。
ストレッチやウォーキングなど無理のない範囲で続けるようにしましょう。
通勤の際に一駅手前で降りて歩くなど、生活のなかで活動量を増やすこともおすすめです。
体を動かすと血の巡りが良くなるだけではなく、ストレスの発散にも効果的とされています。
ただし、生理痛がひどいときには無理はせずに体を休めるようにしましょう。
ポイント4 締め付けない服を着る
生理痛を悪化させないために、体を締め付けるような服は避けましょう。
ジーンズやガードルなどの体を締め付けるような服を着ていると、血流が停滞し生理痛を悪化させる要因になります。
ボタンを緩めたり、ゆったりとした服を着たりするようにしましょう。
また、むくみなどでいつものサイズが合わなくなることがあります。
そのような場合に備えて、サイズの大きい服や下着を用意しておくのも良いでしょう。
ポイント5 痛み止めを内服する
生理痛がつらいときは我慢せずに、痛み止めを利用することも生理痛を軽減するポイントの一つです。
必要以上に痛みを我慢すると、生理のたびに憂鬱になり心身ともに負担になってしまいます。
また、そのストレスから生理痛を悪化させてしまいかねません。
ただし薬を利用する際は使用上の注意を確認し、用法用量を守って正しく使うことが大切です。
薬を飲んでも痛みが続く場合は、婦人科を受診するようにしましょう。
3.生理痛がひどい場合は受診する
「生理痛はどれくらいひどかったら受診した方が良いんだろう?」
生理痛の症状や程度は人によって異なるため、どれくらいひどかったら受診をしたら良いのか分からずにお困り方もいらっしゃいますよね。
日常生活に支障が出る程の痛みの場合や痛み止めを内服しても痛みが軽減しない場合は、婦人科を受診することが勧められます。
生理痛がひどい場合は、月経に伴って起こる病的症状である「月経困難症」の可能性があります。
月経困難症は、「器質性月経困難症」と「機能性月経困難症」に分けられます。
器質性困難症は「子宮筋腫」や「子宮内膜症」「子宮腺筋症」あるいは子宮の形の異常などが原因で起こります。
子宮筋腫があると生理痛がひどくなる、経血が増えるといった症状の他、不正出血や貧血、頻尿などの症状も起こり得るとされています。
また子宮内膜症は腰痛や性交痛、排便痛を伴う場合もあります。
子宮内膜以外の場所にできた組織は生理のたびに剝がれて出血し、それが繰り返されることで、周りの組織とくっつき剝がれる際に強い痛みを感じることがあります。
子宮内膜症は生理のたびに進行するため、生理痛がひどくなってきたと感じた場合は早めに受診しましょう。
一方、機能性困難症は原因とする病気がなく、子宮が収縮し過ぎることや、子宮の出口が狭いことなどが主な原因で起こります。
器質性、機能性困難症ともに痛みの原因にプロスタグランジンが影響しているため、その生成を抑える薬を使用したり、薬で痛みが引かない場合はホルモン剤で生理を調整したりします。
また、子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症などによる器質性月経困難症の場合は、それぞれの病気に対して適切な治療を行う必要があります。
日常生活に支障を来す程の痛みがある場合や、痛み止めを飲んでも痛みが軽減されない場合は婦人科を受診しましょう。
4.生理痛についてのまとめ
多くの女性が生理痛に悩んでいるといわれています。
生理痛の主な症状としては腹痛や腰痛、下痢、頭痛などが挙げられ、その症状や程度は人によってさまざまです。
生理痛の原因もさまざまで、プロスタグランジンの生成量が多いことによる子宮の収縮や、冷えによる血行不良、ストレスなどが挙げられます。
また、子宮の発育が未熟で子宮の出口が狭く、血液がスムーズに排出されないために痛みを感じる場合や、偏った食事や不規則な生活、ストレスによって生理痛が悪化する場合もあります。
生理痛を軽減するには、規則正しい生活を送る、入浴や運動などで血流を促す、ゆったりした服を着るなどがポイントです。
必要に応じて痛み止めの薬を利用することも有効です。
ただし、日常生活に支障を来す場合や痛み止めを内服しても痛みが軽減しない場合は、婦人科を受診しましょう。
生理痛がひどい場合は、月経に伴って起こる病的症状である「月経困難症」の可能性があります。
また、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が隠れている場合もあります。
生理痛を軽減させるポイントを取り入れながら、生理痛がひどい場合は我慢や無理をし過ぎずに受診することも検討してくださいね。