「鮭にはどんな栄養素が含まれているんだろう?」
鮭は身近な魚の一つですが、含まれている栄養素については詳しく知らないという方が多くいらっしゃるかもしれませんね。
鮭にはたんぱく質やビタミンなどの栄養素が豊富に含まれています。
またアスタキサンチンやDHA、EPAといった成分も含んでいるのも鮭の特徴です。
この記事では鮭に含まれる栄養素とそのはたらきについて詳しく解説します。
またおいしい鮭の選び方や鮭の栄養素を効率良く摂取するコツもご紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね。
1.鮭の基礎知識
鮭は鮭科鮭属に属する魚です。
身が赤色に見えるため赤身の魚と思われがちですが、実は白身魚です。
「なぜ鮭の身は赤色に見えるんだろう?」
と気になる方もいらっしゃるかもしれません。
鮭の身が赤みを帯びているのは、「カロテノイド」の一種である「アスタキサンチン」が含まれているためです。
カロテノイドについて詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
カロテノイドとは?体内でのはたらきや摂取源、効率的な摂取法を紹介
鮭にはいくつかの種類があることをご存じでしょうか。
日本で一般的な鮭は「しろ鮭」というものです。
しろ鮭の身は淡いオレンジ色で、その味は他の種類より脂肪が少ないためにあっさりしています。
水揚げされる時期によって呼び名が変わり、秋に漁獲されたものを「秋鮭」、晩春から夏に獲られたものを「時鮭(とき鮭、とき鮭、ときしらず)」といいます。
また、他には「べに鮭」や「ぎん鮭」が挙げられます。
べに鮭は身が濃い紅色をしているもので、強いうま味があります。
ぎん鮭は身が濃いオレンジ色をしているもので、脂肪が多くふっくらしていて強いうま味があります。
鮭の100g当たりのカロリーは、しろ鮭の場合は124kcal、べに鮭の場合は127kcal、ぎん鮭の場合は188kcalです[1]。
ぎん鮭は他の二つの品種と比べて脂肪が多い分、カロリーが高いと考えられます。
[1] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
2.鮭に豊富に含まれる栄養素とそのはたらき
「鮭にはどんな栄養素が豊富に含まれているんだろう?」
鮭に豊富に含まれている栄養素は種類によって異なりますが、たんぱく質やいくつかのビタミンがあります。
この章では鮭に豊富に含まれる栄養素とそのはたらきについて解説します。
【鮭に豊富に含まれる栄養素と各種の鮭可食部100g当たりの含有量】
栄養素 | しろ鮭 | べに鮭 | ぎん鮭(養殖) |
---|---|---|---|
たんぱく質 | 22.3g | 22.5g | 19.6g |
ビタミンD | 32μg | 33μg | 15μg |
ナイアシン | 11mg | 10mg | 9.0mg |
ビタミンB6 | 0.64mg | 0.41mg | 0.32mg |
ビタミンB12 | 5.9μg | 9.4μg | 5.2μg |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
[2] 東京都保険医療局「栄養成分表示ハンドブック」
2-1.たんぱく質
3種の鮭には共通してたんぱく質が豊富に含まれています。
鮭100g当たりのたんぱく質含有量は以下のとおりです。
【しろ鮭・べに鮭・ぎん鮭100g当たりのたんぱく質含有量】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
しろ鮭 | 生 | 22.3g |
べに鮭 | 生 | 22.5g |
ぎん鮭(養殖) | 生 | 19.6g |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
たんぱく質は生命を維持したり運動したりする際に必要なエネルギーを生み出す「エネルギー産生栄養素」の一つです。
また、たんぱく質はヒトの体において筋肉や皮膚、臓器、髪の毛などの材料となります。
鮭に含まれるたんぱく質には体内での利用効率が高いという特徴があります。
たんぱく質は20種類の「アミノ酸」と呼ばれる物質で構成されており、このアミノ酸は食事からの摂取が必要な9種類の必須アミノ酸と、体内で合成可能な11種類の非必須アミノ酸に分けられます[3]。
必須アミノ酸をバランス良く含むたんぱく質は体内での利用効率が高いため、「良質なたんぱく質」と呼ばれます。
鮭のたんぱく質は良質なたんぱく質といわれています。
体に必要なアミノ酸を摂取できるのはうれしいポイントですね。
成人のたんぱく質推奨量は男性の場合、18〜64歳で65g、65歳以上で60gです[4]。
女性の場合、18歳以上で50gです[4]。
たんぱく質の食事摂取基準や摂取源となる食品などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
たんぱく質とは?体内でのはたらきや食事摂取基準、豊富な食品を紹介
[3] 厚生労働省 e-ヘルスネット「アミノ酸」
[4] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-2.ビタミンD
3種の鮭にはビタミンDも豊富に含まれています。
鮭100g当たりのビタミンD含有量は以下のとおりです。
【しろ鮭・べに鮭・ぎん鮭100g当たりのビタミンD含有量】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
しろ鮭 | 生 | 32μg |
べに鮭 | 生 | 33μg |
ぎん鮭(養殖) | 生 | 15μg |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
ビタミンDは油に溶けやすく水に溶けにくい脂溶性ビタミンの一種で、骨をつくるのに必要なカルシウムやリンの吸収を促します。
ビタミンDが不足すると、カルシウムやリンの吸収率が低下し「骨軟化症」のリスクが高くなります。
また軽度であってもビタミンD不足が長期化すると、骨がもろくなって骨折しやすくなる「骨粗しょう症」のリスクが高まるといわれています。
成人のビタミンD目安量は男女共に8.5μgです[5]。
丈夫な骨を維持するためには、鮭などの食品からビタミンDを十分に摂取したいですね。
ただしビタミンDを過剰に摂取すると、血液中のカルシウム濃度が高くなり過ぎることによりさまざまな症状が現れる「高カルシウム血症」や腎臓の機能が低下する「腎障害」などを引き起こす恐れがあるため注意が必要です。
習慣的に摂取しても健康障害を生じないと推定される1日当たりの「耐容上限量」は男女共に100μgです[5]。
ビタミンDの食事摂取基準や摂取源となる食品などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンDってどんな栄養素?効果と摂取方法について徹底解説!
[5] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-3.ナイアシン
3種の鮭にはナイアシンも豊富に含まれています。
鮭100g当たりのナイアシン含有量は「ナイアシン当量」として以下のとおりです。
【しろ鮭・べに鮭・ぎん鮭100g当たりのナイアシン含有量】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
しろ鮭 | 生 | 11.0mg |
べに鮭 | 生 | 10.0mg |
ぎん鮭(養殖) | 生 | 9.0mg |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
ナイアシンは水に溶けやすく油に溶けにくい水溶性ビタミンで、ビタミンB群の一種です。
ナイアシンはエネルギーの産生や脂質の構成成分「脂肪酸」の合成などに関わっています。
ナイアシンが不足すると皮膚炎や下痢などの症状がある「ペラグラ」という病気を引き起こす恐れがあります が、日本で発症することはほとんどないといわれています。
成人のナイアシン推奨量は男性の場合、18〜49歳で15mgNE、50〜74歳で14mgNE、75歳以上で13mgNEです[6]。
女性の場合、18〜29歳で11mgNE、30〜49歳で12mgNE、50〜74歳で11mgNE、75歳以上で10mgNEです[6]。
[6] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-4.ビタミンB6
しろ鮭とべに鮭にはビタミンB6が豊富に含まれています。
またぎん鮭もビタミンB6の摂取源として利用可能です。
鮭100g当たりのビタミンB6含有量は以下のとおりです。
【しろ鮭・べに鮭・ぎん鮭100g当たりのビタミンB6含有量】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
しろ鮭 | 生 | 0.64mg |
べに鮭 | 生 | 0.41mg |
ぎん鮭(養殖) | 生 | 0.32mg |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
ビタミンB6はビタミンB群の一種で、アミノ酸の代謝をサポートする栄養素です。
そのためたんぱく質の摂取量が多い人ほど、ビタミンB6の必要量が増えます。
筋トレなどでたんぱく質を多く摂取している人は意識して摂りたい栄養素といえますね。
また、ビタミンB6は免疫機能を維持するのに重要な役割を持っています。
ビタミンB6が不足すると湿疹などの皮膚炎、貧血、免疫機能の低下などが起こります。
成人のビタミンB6推奨量は男性で1.4mg、同じく女性で1.1mgです[7]。
ビタミンB6の食事摂取基準や摂取源となる食品などについては以下の記事で詳しく解説しています。
[7] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-5.ビタミンB12
3種の鮭にはビタミンB12も豊富に含まれています。
鮭100g当たりのビタミンB12含有量は以下のとおりです。
【しろ鮭・べに鮭・ぎん鮭100g当たりのビタミンB12含有量】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
しろ鮭 | 生 | 5.9μg |
べに鮭 | 生 | 9.4μg |
ぎん鮭(養殖) | 生 | 5.2μg |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
ビタミンB12はビタミンB群の一種で、アミノ酸や脂質などの代謝をサポートする栄養素です。
また赤血球をつくるのに必要な栄養素でもあり、不足すると「巨赤芽球性貧血」や末梢神経障害を引き起こすことがあります。
成人のビタミンB12推奨量は男女共に2.4μgです[8]。
不足しないように鮭などの食品から十分に摂取していきましょう。
ビタミンB12の食事摂取基準や摂取源となる食品などについては以下の記事で詳しく解説しています。
ビタミンB12を含む食べ物は?過不足の影響と食事摂取基準も解説
[8] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
3.鮭に含まれる栄養素とそのはたらき
鮭にはビタミンEやパントテン酸などのビタミンも含まれています。
この章では鮭に含まれる栄養素とそのはたらきについて解説します。
【鮭に含まれる栄養素と各種の鮭可食部100g当たりの含有量】
栄養素 | しろ鮭 | べに鮭 | ぎん鮭(養殖) |
---|---|---|---|
ビタミンE | 1.2mg | 1.3mg | 1.8mg |
ビタミンB1 | 0.15mg | 0.26mg | 0.15mg |
ビタミンB2 | 0.21mg | 0.15mg | 0.14mg |
パントテン酸 | 1.27mg | 1.23mg | 1.37mg |
ビオチン | 9.0μg | - | 4.5μg |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
[9] 東京都保険医療局「栄養成分表示ハンドブック」
3-1.ビタミンE
3種の鮭にはビタミンEも含まれています。
鮭100g当たりのビタミンE含有量は「α-トコフェロール」として以下のとおりです。
【しろ鮭・べに鮭・ぎん鮭100g当たりのビタミンE含有量】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
しろ鮭 | 生 | 1.2mg |
べに鮭 | 生 | 1.3mg |
ぎん鮭(養殖) | 生 | 1.8mg |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
ビタミンEは脂溶性ビタミンの一種で、活性酸素のはたらきを抑える「抗酸化作用」を持ちます。
ビタミンEは自らが酸化されることで体内の脂質の酸化を防ぎ、細胞の健康を維持してくれます。
通常の食生活を送っていれば、ビタミンEの不足や摂り過ぎによる健康被害を受けることはほとんどないとされています。
成人のビタミンE目安量は男性の場合、18〜49歳で6.0mg、50〜74歳で7.0mg、75歳以上で6.5mgです[10]。
女性の場合、18〜29歳で5.0mg、30〜49歳で5.5mg、50〜64歳で6.0mg、65歳以上で6.5mgです[10]。
ビタミンEの食事摂取基準や摂取源となる食品などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンEが多く含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説
[10] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
3-2.ビタミンB1
べに鮭はビタミンB1の摂取源になります。
鮭100g当たりのビタミンB1含有量は以下のとおりです。
【しろ鮭・べに鮭・ぎん鮭100g当たりのビタミンB1含有量】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
しろ鮭 | 生 | 0.15mg |
べに鮭 | 生 | 0.26mg |
ぎん鮭(養殖) | 生 | 0.15mg |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
ビタミンB1は水溶性ビタミンのうちビタミンB群の一種で、糖質からエネルギーをつくり出すはたらきをサポートしています。
ビタミンB1が不足すると糖質の代謝がうまくできなくなり、糖質をエネルギー源としている脳や神経に悪影響を及ぼす可能性があります。
成人のビタミンB1推奨量は男性の場合、18〜49歳で1.4mg、50〜74歳で1.3mg、75歳以上で1.2mgです[11]。
女性の場合、18〜74歳で1.1mg、75歳以上で0.9mgです[11]。
ビタミンB1の食事摂取基準や摂取源となる食品などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンB1が豊富に含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説
[11] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
3-3.ビタミンB2
しろ鮭はビタミンB2の摂取源になります。
鮭100g当たりのビタミンB1含有量は以下のとおりです。
【しろ鮭・べに鮭・ぎん鮭100g当たりのビタミンB2含有量】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
しろ鮭 | 生 | 0.21mg |
べに鮭 | 生 | 0.15mg |
ぎん鮭(養殖) | 生 | 0.14mg |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
ビタミンB2も水溶性ビタミンのうちビタミンB群の一種です。
ビタミンB2は脂質などの栄養素からエネルギーをつくり出すことに関わる他、成長を促進する、皮膚や粘膜の健康を維持するといったはたらきがあります。
不足すると成長に悪影響を及ぼしたり、口角炎や皮脂が過剰に分泌される脂漏性皮膚炎などを引き起こしたりします。
ただしビタミンB2の不足は単体では生じにくく、他のビタミン不足と同時に起こることが知られています。
他のビタミンとバランス良く摂取することが必要なのですね。
成人のビタミンB2推奨量は男性の場合、18〜49歳で1.6mg、50〜74歳で1.5mg、75歳以上で1.3mgです[12]。
女性の場合、18〜74歳で1.2mg、75歳以上で1.0mgです[12]。
ビタミンB2の食事摂取基準や摂取源となる食品などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンB2が手軽に摂れる食べ物は何?効果や食事摂取基準も紹介
[12] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
3-4.パントテン酸
3種の鮭にはパントテン酸も含まれています。
鮭100g当たりのパントテン酸含有量は以下のとおりです。
【しろ鮭・べに鮭・ぎん鮭100g当たりのパントテン酸含有量】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
しろ鮭 | 生 | 1.27mg |
べに鮭 | 生 | 1.23mg |
ぎん鮭(養殖) | 生 | 1.37mg |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
パントテン酸はビタミンB群の一種で、糖質や脂質の代謝に関わる栄養素です。
さまざまな食品に含まれるため、通常の食事をしていればパントテン酸の不足が生じることはありません。
ただし極端な食事制限をしたり偏った食事を摂っていたりするとパントテン酸が不足し、不眠、頭痛、食欲不振、手足のしびれなどの症状が現れることがあります。
一方で、パントテン酸の過剰摂取による健康被害は報告されていません。
成人のパントテン酸目安量は男性の場合、18〜49歳で5.0mg、50歳以上で6.0mgです[13]。
女性の場合、18歳以上で5.0mgです[13]。
[13] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
3-5.ビオチン
しろ鮭はビオチンの摂取源として利用可能です。
鮭100g当たりのビオチン含有量は以下のとおりです。
【しろ鮭・べに鮭・ぎん鮭100g当たりのビタミンB12含有量】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
しろ鮭 | 生 | 9.0μg |
べに鮭 | 生 | - |
ぎん鮭(養殖) | 生 | 4.5μg |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
ビオチンはビタミンB群の一種で、エネルギー代謝や脂肪酸合成などに関わる栄養素です。
また炎症を抑える物質をつくり出すことでアレルギー症状を緩和する役割を果たしています。
不足すると食欲不振、吐き気、抑うつなどの症状を引き起こしますが、さまざまな食品に含まれているため通常の食生活を送っていれば不足することはありません。
成人のビオチン目安量は男女共に50μgです[14]。
ビオチンの食事摂取基準や摂取源となる食品について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビオチンとは?はたらきや摂取の目安量、摂取源となる食品を解説
[14] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
4.鮭に含まれる成分とそのはたらき
鮭にはたんぱく質やビタミン以外にも「アスタキサンチン」や「DHA(ドコサヘキサエン酸)」、「EPA(エイコサペンタエン酸)」といった健康に役立つとされる成分が含まれています。
「どんな効果が期待できるのか気になる……」
このように思った方もいらっしゃるでしょう。
この章では鮭に含まれる成分について詳しく解説します。
4-1.アスタキサンチン
アスタキサンチンはカロテノイドという赤い色素の一種で、鮭やえびなどに含まれている成分です。
強い抗酸化作用を持ち、肌や目の健康を維持したり免疫機能の低下を抑えたりする効果が期待されています。
またアスタキサンチンは紫外線の影響によるシミやしわを防ぐ効果があるといわれています。
紫外線には活性酸素を発生させる作用があるため、肌が紫外線に長時間さらされると活性酸素が過剰に増加しシミやしわが生じてしまう恐れがあります。
アスタキサンチンには活性酸素を除去する作用があることから、紫外線による影響を抑えてシミやしわの少ないきれいな肌にする効果が期待されているのです。
またアスタキサンチンは免疫機能を維持することにも役立ちます。
活性酸素は強いストレスや過度な運動などによって過剰に生成されてしまうため、免疫機能の低下などを引き起こす場合があります。
アスタキサンチンは強い抗酸化作用を持つため、免疫機能の維持につながるといわれています。
4-2.DHA・EPA
DHAとEPAは脂質を構成する脂肪酸の一種で、鮭などの魚の脂に含まれています。
DHAとEPAはn-3系多価不飽和脂肪酸に該当します。
またn-3系脂肪酸およびn-6系脂肪酸は体内では合成できないため「必須脂肪酸」と呼ばれており食品から摂取が必要です。
DHAとEPAには血液中の中性脂肪やコレステロールを低下させる作用があり、高血圧や心臓病などの循環器疾患を予防する効果が期待されています。
DHAとEPAは認知機能の低下や認知症の予防にもつながると考えられています。
鮭から健康に役立つ脂肪酸を摂取できるのはうれしいポイントといえますね。
5.鮭の選び方と食べ方
「おいしい鮭を選ぶコツってあるのかな?」
「鮭のおすすめの食べ方を知りたい……」
このように気になっている方がいらっしゃるかもしれません。
この記事ではおいしい鮭を食べるための選び方と食べ方についてご紹介します。
5-1.鮭の選び方
鮭は身が色鮮やかで透明感があるもの、ハリと弾力があるものが良いとされています。
鮮度が落ちると鱗(うろこ)の輝きがなくなるため、皮の色がきれいなものがおすすめです。
また、身と皮がはがれておらずしっかりついているものを選ぶようにしましょう。
5-2.鮭のおすすめの食べ方
鮭は焼き物や煮物などさまざまな料理でおいしく食べられます。
和風、洋風、中華風それぞれの味付けにも合わせやすいことや、油との相性が良いことが鮭の特徴といえます。
また鮭に含まれる栄養素を効率良く摂取するためには、ホイル焼きにするのがおすすめです。
食品中に含まれるビタミンB6やナイアシンなどの水溶性ビタミンはゆでたり煮たりすることで一部が流れ出てしまいます。
またビタミンDなどの脂溶性ビタミンにおいては炒める、焼くといった調理法よりもゆでる、蒸すといった調理法の方が食品中の含有量が減りにくいといわれています。
ホイル焼きは蒸し焼きにする料理のため、汁も一緒に摂ることができ、鮭に含まれるビタミンを効率良く摂取するのに適していると考えられます。
さらに野菜やきのこなどと組み合わせて調理すると、鮭には含まれていないビタミンCや食物繊維などの栄養素が補給でき栄養バランスの良いメニューになるでしょう。
鮭の栄養素を十分に摂れるように調理を工夫してくださいね。
6.鮭に含まれる栄養素についてのまとめ
鮭は身の色が赤いですが、白身魚です。
一般的に食べられている鮭は「しろ鮭」と呼ばれるもので、その他には「べに鮭」や「ぎん鮭」などがあります。
これらの鮭にはそれぞれカロリーや栄養素の含有量に違いがあります。
しろ鮭、べに鮭、ぎん鮭に共通して豊富に含まれている栄養素は、たんぱく質、ビタミンD、ナイアシン、ビタミンB12です。
また、鮭はビタミンEやパントテン酸などの摂取源にもなります。
その他に生活習慣病予防などに役立つと考えられるアスタキサンチン、DHA、EPAといった成分も含まれています。
これらの栄養素や成分はヒトの健康において重要なはたらきをします。
鮭は身が赤く透明感があるもの、皮と身がしっかりついているものが良いとされます。
また鮭はいろいろな調理法でおいしく食べられますが、栄養素を効率良く摂るには特にホイル焼きがおすすめです。
今回の記事を参考に、鮭を食生活に取り入れてくださいね。