プリン体とは?健康への影響や摂取量の目安、含有量の多い食品を紹介

プリン体とは?健康への影響や摂取量の目安、含有量の多い食品を紹介

2024年05月02日

2024年04月18日

「プリン体は体に悪いのかな?」

このように疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

プリン体とは細胞の核にある核酸の主な構成要素で、あらゆる生物の細胞内に存在する成分です。

プリン体は食品から取り込まれるだけではなく体内でも生成されており、肝臓で「尿酸」という物質に変えられ体外に排泄されます。

しかし尿酸がつくられる量が多過ぎたり上手に排泄されなかったりなどの理由で体内に蓄積されると、さまざまな悪影響を及ぼします

プリン体は、尿酸と深い関わりのある成分といえますね。

この記事ではプリン体の健康への影響や摂取量の目安、プリン体を多く含む食品について解説します。

プリン体の悪影響を防ぐポイントもご紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね。

1.プリン体とは

しらこ

「プリン体ってそもそも何だろう?」

このように気になる方もいらっしゃいますよね。

プリン体とは、細胞の核にある核酸の主な構成要素である「アデニン」や「グアニン」などのことです。

核酸とは
細胞に存在し、体のもととなる新しい細胞をつくり出すために必要不可欠な成分です。核酸には細胞をつくり出す情報を持つDNAと、情報をもとに細胞の材料となるたんぱく質を合成するRNAがあります。

あらゆる生物の細胞内に存在しているためほとんどの食品に含まれており、「うまみ成分」ともいわれています。

またプリン体は食品から取り込まれるだけでなく、体内でも生成されます。

新陳代謝によって古い核酸が分解されたり、「グルタミン」や「グリシン」などから合成されたりしてつくられます。

メモ
グルタミンやグリシンは体内で合成できる非必須アミノ酸の一種です。

プリン体は最終的に尿酸に代謝され、主に尿として排泄されます。

体内で生成される尿酸の量は食事から摂るプリン体の2倍といわれています[1]。

体内で生成される尿酸の方が多いからといって、プリン体の摂取量を気にする必要がないわけではなく、適切な摂取量に抑えることが重要です。

[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「高尿酸血症の食事

2.プリン体の過剰摂取による健康への悪影響

ビール

「プリン体を摂り過ぎると健康にどんな影響があるんだろう?」

このように心配されている方もいらっしゃるかもしれませんね。

通常であればプリン体は肝臓で分解されて尿酸に変化し、体外に排泄されます。

しかし尿酸がつくられ過ぎたり上手に排泄されなかったりなどの理由で尿酸が体内にたまると、血液中の尿酸の濃度が高くなります

この状態が続くと健康にさまざまな悪影響を及ぼします。

ここでは、プリン体の過剰摂取による健康への影響について疾患別に解説します。

2-1.高尿酸血症

プリン体を摂り過ぎると「高尿酸血症」になる場合があります

血液中の尿酸値が高く、7.0mg/dlを超えると高尿酸血症と診断されます[2]。

高尿酸血症というだけでは自覚症状はありませんが、他の病気を引き起こす原因となります。

具体的にどんな病気の原因になるのかは、次でご説明しますね。

高尿酸血症は圧倒的に男性に多いとされています。

女性は女性ホルモンによって尿酸値がコントロールされており、男性に比べて罹者が少ないといわれています。

これは、女性ホルモンに腎臓からの尿酸の排泄を促すはたらきがあるためです。

しかし、女性ホルモンの分泌が低下する閉経後には高尿酸血症を発症する方もやや増加するため注意が必要です。

[2] 厚生労働省e-ヘルスネット「高尿酸血症

2-2.痛風

プリン体を過剰に摂取し尿酸値が高い状態が続くと「痛風」になるリスクが高まります

痛風とは体内に蓄積された尿酸が結晶になり、激しい関節炎を伴う疾患です。

尿酸値が高いというだけでは痛風の自覚症状はありません。

しかし高尿酸血症の状態が続き結晶となった尿酸が関節や足先、耳たぶなどにたまると炎症が起こり「痛風発作」を引き起こすのです。

メモ
痛風の痛みは発作的に起こるため「痛風発作」と呼ばれます。発作が起こると歩けないほどの痛みが続きますが、痛みは徐々に軽減します。しかし、正しい診断や治療を受けずに放置していると発作を繰り返して病態は悪化します。

痛風の発症には生活習慣が大きく関わっており、発症者の多くが肥満や高血圧、脂質異常症、高血糖を複合的に合併していることが多いとされています。

脂質異常症とは
血液中の脂質の値が基準から外れた状態のことをいいます。悪玉コレステロールであるLDLコレステロール(悪玉コレステロール)の値が高い「高LDLコレステロール血症」、HLDコレステロール(善玉コレステロール)の値が低い「低HDLコレステロール血症」、中性脂肪(トリグリセライド)の値が高い「高トリグリセライド血症」などがあります。

生活習慣の見直しは、生活習慣病のみならず痛風の予防にもつながるといえますね。

2-3.腎臓障害

プリン体を過剰に摂取し尿酸値が高い状態が続くと「腎臓障害」を起こす危険があります。

高尿酸血症で結晶化した尿酸が徐々に腎臓に蓄積すると「痛風腎」という状態になり、腎臓の機能が低下します

痛風腎とは
高尿酸血症が長時間持続することによって発症する腎障害のことを指します。

腎臓機能が低下すると、体の老廃物や水分、塩分、尿酸などが尿として排泄できなくなり、血中の尿酸値はさらに上昇します。

すると結晶化された尿酸はさらに蓄積され、腎臓機能はますます低下してしまうのです。

腎臓の機能が低下し、腎臓のはたらきが正常の30%以下に低下した状態を「腎不全」といいます [3]。

一度、慢性腎不全になると腎臓機能の回復させることはできず、人工透析が必要になります。

人工透析とは
機能低下した腎臓の代わりに食事や水分摂取などで体内に蓄積した余分な水分や塩分、老廃物を取り除き血液を浄化する治療法のことです。

腎臓の機能を低下させないためにも、高尿酸血症の原因となるプリン体の摂取には気を付けたいですね。

[3] 国立研究開発法人 国立循環器病センター「腎不全

2-4.尿路結石

尿酸値が高い状態が続くと「尿路結石」が発生するリスクが高まります

尿酸が高い状態が続くと尿が酸性に傾き、尿酸が固体として現れやすくなるためといわれています。

腎臓に結石ができると背中に痛みが発生し、尿管や膀胱(ぼうこう)に結石が移行するとその部分で炎症が起こり激痛が生じます。

炎症が尿管で起こった場合は尿管結石、膀胱で起こった場合は膀胱結石といわれており、両者を合わせて尿路結石と呼びます。

尿路結石ができると急激な腰痛や腹痛をはじめ吐き気や冷や汗、顔面蒼白(そうはく)などの症状が現れます。

なかには激しい痛みではなく、鈍痛や重苦しさだけを感じる方もいます。

結石が尿路粘膜とこすれると血尿が出る他、膀胱の方に下がると残尿感や頻尿などが出現するといわれています。

3.プリン体の摂取量の目安

えび

「プリン体はどれくらいなら摂っても大丈夫なのかな?」

悪影響を避けるために、プリン体の摂取量をどれくらいに抑えたら良いのか知りたい方もいらっしゃいますよね。

一般社団法人 日本痛風・尿酸核酸学会は、プリン体の1日の摂取量を400mg程度に抑えるよう勧めています [4]。

日々のプリン体の摂取を推奨量に抑えるためにも、どんな食品に多く含まれているのか気になりますよね。

プリン体を多く含む食品を摂り過ぎていないか次の章で確認しましょう。

[4] 一般社団法人 日本痛風・尿酸核酸学会「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版2022追補版

4.プリン体の含有量が多い食品

あんこう

ここでは、プリン体の含有量が多い食品をご紹介します。

プリン体はレバー類や白子、いわしやえびなどの魚介類に多く含まれています。

【プリン体含有量が多い食品(100g当たり)】
食品名 加工状態など 含有量
煮干し
-
746.1mg
かつお節
-
493.3mg
あんこう
酒蒸し
399.2mg
干ししいたけ
-
379.5mg
鶏レバー
-
312.2mg
マイワシ
干物
305.7mg
イサキ白子
-
305.5mg
豚レバー
-
284.8mg
大正エビ
-
273.2mg
マアジ
干物
245.8mg
オキアミ
-
225.7mg
マイワシ
-
210.4mg
サンマ
干物
208.8mg

一般社団法人 日本痛風・尿酸核酸学会「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版2022追補版」をもとに執筆者作成

メモ
高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインでは食品100g当たりのプリン体含有量に応じて、300mg以上含まれている場合を「極めて多い」、200~300mg含まれている場合を「多い」と分類しています[5]。

プリン体は核酸中に多く含まれているため、細胞数の多いものや細胞分裂の盛んな組織に豊富に含まれます。

また煮干しやかつお節、干ししいたけなどは水分量が少ないためプリン体の含有量が多くなります。

[5] 一般社団法人 日本痛風・尿酸核酸学会「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版2022追補版

5.プリン体の悪影響を防ぐポイント

「プリン体の悪影響はどうやったら防げるんだろう?」

プリン体の影響をできるだけ避けたいと思う方もいらっしゃいますよね。

この章では、生活習慣のなかで取り組める悪影響を防ぐポイントについて解説します。

プリン体の悪影響を防ぐポイント

ポイント1 プリン体を多く含む食品を食べ過ぎない

プリン体の悪影響を防ぐには、尿酸の原料となるプリン体の摂取を制限しましょう。

体内で生成される尿酸は、食品由来のプリン体による尿酸より多いとされています。

ただし食品からのプリン体をいくらでも摂取して良いわけではなく、プリン体が多く含まれる食品の食べ過ぎには気を付けましょう

特に動物の内臓や肉汁にはプリン体が多く含まれているので、摂取を控えたいですね。

ポイント2 アルコールを摂取し過ぎない

プリン体の悪影響を防ぐには、アルコールを摂取し過ぎないことが重要です。

飲酒の習慣がある方は、節酒または禁酒が必要です。

プリン体をあまり含んでいないアルコール飲料でも、アルコール自体に体内での尿酸量を増やしたり尿酸の排泄を抑制したりする作用があります

アルコールは、エネルギー源である物質の分解を進めてしまう作用があり、分解されることでプリン体が増え、尿酸として体内に蓄積されるためです。

また、おつまみとしてプリン体を多く含む食品を摂ってしまったり、アルコールにより食欲が増し肥満を招いてしまったりする場合もあります。

アルコールのなかでも特にビールを飲む習慣のある方の痛風の危険が高いとされています。

アルコール自体に尿酸値を上昇させるはたらきがあるため、どんな種類のアルコール飲料でも摂取量には気をつけましょう。

ポイント3 エネルギー摂取量を適正にする

プリン体の悪影響を防ぐには肥満のある方は肥満を解消し、肥満のない方は予防のためにもエネルギー摂取量を適正にする必要があります。

肥満は体内でのプリン体の合成を進め、さらに腎臓からの尿酸の排泄を低下させてしまいます

またほとんどの食品にプリン体は含まれており、食べ過ぎはプリン体も多く摂り過ぎてしまいます。

まずはご自身が肥満に該当していないか下記の方法で確認しましょう。

肥満を表す指標として国際的に用いられている体格指数に「BMI」があります。

メモ
BMIは、体重(kg)÷[身長(m)×身長(m)]で求められます。日本肥満学会はBMIが25以上の状態を肥満としています[6]。

肥満に該当する場合はエネルギー摂取量が適正より多いと考えられため、まずは食事量を見直すと良いでしょう。

BMIについて詳しいことを知りたい方は以下の記事をご覧ください。

BMIとは?定義や計算方法、基準値について分かりやすく解説!

[6] 厚生労働省e-ヘルスネット「BMI

ポイント4 栄養バランスが取れた食事をする

プリン体の悪影響を防ぐには、栄養バランスが取れた食事をすることが重要です。

バランスの取れた食事とは、ご飯やパンなどの主食や肉や魚、卵などの主菜、野菜や海藻類などの副菜がそろっていることを指します。

主食を減らしたり抜いたりして主菜を多く摂ると、プリン体も摂り過ぎてしまうことにつながります。

主食や主菜、副菜がそろった栄養バランスが取れた食事を意識しましょう。

ポイント5 水分を十分に摂る

プリン体の悪影響を防ぐには、水分を十分に摂ると良いでしょう。

ほとんどの尿酸は尿として排泄されるため、水分を多く摂ることで尿酸の排泄を促します。

ジュースやお酒ではなく、水や砂糖が入っていない飲料でこまめに水分を摂取することがポイントです。

6.プリン体についてのまとめ

プリン体とは細胞の核である核酸の主な構成要素で、あらゆる生物の細胞内に存在する成分です。

ほとんどの食品に含まれており、うまみ成分ともいわれています。

プリン体は食品から取り込まれるだけではなく体内でも生成されており、肝臓で「尿酸」という物質に変えられ体外に排泄されます。

尿酸がつくられる量が多過ぎたり上手に排泄されなかったりなどの理由で体内に蓄積されると、高尿酸血症や痛風、腎臓障害、尿路結石などの悪影響を及ぼすことがあります。

プリン体の1日の摂取量は約400mg程度になるよう勧められています [7]。

プリン体はレバー類や白子、イワシやエビなどの魚介類に多く含まれています。

プリン体の悪影響を防ぐには、プリン体を多く含む食品やアルコールを摂取し過ぎないこと、摂取エネルギーを適正にすることが重要です。

また、栄養バランスが取れた食事や水分を十分に摂ることも心掛けましょう。

[7] 一般社団法人 日本痛風・尿酸核酸学会「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版2022追補版

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