「BMIにはどんな意味があるんだろう?」
「BMIはどうやったら計算できるのかな?」
このようにBMIについてなんとなく聞いたことはあっても、具体的なことは知らないという方は多いかもしれませんね。
BMIとは体格を知る目安となる数値で、肥満の判定基準としても用いられています。
この記事ではBMIの計算方法や肥満度の基準、健康的な体型を目指すためのポイントについてご紹介します。
1.BMIとは
BMIとは、国際的に用いられている体格を表す指標のことです。
Body Mass Index ( ボディ・マス指数 )の略で、肥満や低体重(痩せ)の判定などに使われています。
この章ではBMIの計算方法とBMIによる肥満度の判定基準について解説します。
【関連情報】 「体脂肪率とは?健康への影響やBMIとの違い、減量のポイントを解説」についての記事はこちら
1-1.BMIの計算方法
BMIは[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で求めることができます[1]。
例えば身長160cm、体重53kgの方の場合、[53(kg)]÷[1.6(m)×1.6(m)]という計算式からBMIは20.7(小数点第2位で四捨五入)ということになります。
[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「BMI」
1-2.BMIによる肥満度の判定基準
成人の場合、WHOの定義では25.0以上で過体重、30.0以上で肥満に当たります[2]。
しかし日本人の平均的なBMIは欧米人よりも低いため、日本肥満学会は25.0以上を肥満としています[2]。
さらに、肥満度を以下のように分類しています。
BMI | 判定 |
---|---|
18.5未満 | |
18.5以上25.0未満 | |
25.0以上30.0未満 | |
30.0以上35.0未満 | |
35.0以上40.0未満 | |
40.0以上 |
一般社団法人 日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン2022」をもとに執筆者作成
ただし、BMIは身長と体重から計算された値であるため、必ずしも体脂肪の蓄積度合いを表すものではありません。
したがって、身長と体重が同じであれば筋肉量が多い人も、脂肪組織が多い人も同じBMIになるということを留意しなければなりません。
このため肥満は脂肪が過剰に蓄積した状態かつBMIが25.0以上のものであるとされています[3]。
[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「BMI」
[3] 厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満と健康」
2.BMIと体脂肪率の違い
「BMIと体脂肪率の違いってなんだろう?」
体脂肪率も肥満と関係がありそうだけど、詳しいことはよく知らないという方は多いのではないでしょうか。
体脂肪率は体重に占める体脂肪の重量をパーセントで表したものです。
体脂肪率が成人男性で25%、成人女性で30%を超えると体脂肪が増加した状態だとされています[4]。
体脂肪は「生体インピーダンス法」という体に微弱な電気を流すことで計測する方法が一般的に用いられています。
これは水分をほとんど含まない脂肪組織には電流が流れにくく、筋肉組織には電流が流れやすいという特性を利用していますが、飲食や運動などの影響を受けやすいというデメリットがあります。
このため、体脂肪率は正確な測定が難しく、医学的な指標としては用いられていません。
[4] 厚生労働省 e-ヘルスネット「体脂肪計」
3.太り過ぎや痩せ過ぎによる健康上のリスク
「太り過ぎや痩せ過ぎにはどんなリスクがあるんだろう?」
太り過ぎや痩せ過ぎが健康に良くないということは知っていても、具体的にどんな影響があるのかを知らない方は多いかもしれませんね。
この章では太り過ぎている場合と痩せ過ぎている場合、それぞれの健康上のリスクを解説します。
3-1.太り過ぎている場合の健康上のリスク
体の脂肪は皮下脂肪と内臓脂肪に分けられ、内臓脂肪が多い人は健康上のリスクが高まります。
皮下脂肪は下腹部や腰周り、お尻などの皮下組織につく脂肪のことです。
皮下脂肪が蓄積したタイプの肥満を皮下脂肪型肥満といい、女性に多くみられます。
一方、内臓脂肪は胃や腸など内臓の周りにつく脂肪のことです。
内臓脂肪が蓄積したタイプの肥満を内臓脂肪型肥満といい、男性に多くみられます。
生活習慣病の発症と関連性が高いのは内臓脂肪型肥満の方です。
内臓脂肪は高血圧や高血糖、脂質異常症などを引き起こしやすくします。
高血圧、高血糖、脂質異常などが重なると動脈硬化の要因となります。
動脈硬化は心筋梗塞や脳梗塞などの深刻な病気を引き起こすため、健康のためには内臓脂肪を減らすよう気をつけなければなりません。
また皮下脂肪の増え過ぎにも注意が必要です。
皮下脂肪には外部からの衝撃を和らげる、寒さから身を守るといったはたらきがあります。
しかし皮下脂肪が過剰に蓄積すると、膝や腰を傷めたり、睡眠時無呼吸症候群になったりする可能性が高まります。
このような病気の予防のためにも太り過ぎには注意しましょう。
3-2.痩せ過ぎている場合の健康上のリスク
痩せ過ぎている場合も健康に悪影響を与えてしまいます。
痩せ過ぎは糖尿病を発症するリスクが高く、動脈硬化が進行しやすい状態です。
痩せ過ぎで糖尿病の予備軍に当たる女性は、糖を取り込む組織である筋肉が少なく、血糖値を下げる機能が低下しているなど、「メタボリックシンドローム」と同じような状態であることが分かっています。
さらに、痩せ過ぎていると骨粗しょう症などのリスクも高まり、将来的にはロコモティブシンドロームやフレイルのリスクも高まります。
また女性では痩せ過ぎると月経異常や不妊症、低体重児出産などの危険が生じます。
月経異常では月経が乱れたり、無月経になったりすることがあります。
若い女性で無月経になるということは卵巣が高齢化していることを意味し、将来妊娠できなくなる可能性が高まります。
いきいきと過ごすためにも健康的な体型を目指しましょう。
4.健康的な体型を目指すためのポイント
「健康的な体型を目指したいけど、気を付けることはあるのかな?」
太り過ぎていても痩せ過ぎていてもさまざまなリスクがあるため、健康的な体型を保つことが大切です。
健康的な体型になるには標準体重を意識して筋肉量を増やすことがポイントとなります。
この章ではこの健康的な体型になるための二つのポイントをそれぞれ解説します。
ポイント1 標準体重を意識しよう
健康的な体型の目安となるのが「標準体重」です。
標準体重とは、肥満との関連が強い病気に統計上最もかかりにくいとされている体重のことです。
日本ではBMI22.0の状態が標準体重とされています[5]。
ご自身の標準体重を知りたい場合、[身長(m)の2乗]×22で計算すると良いでしょう[5]。
標準体重を保つことで、太り過ぎや痩せ過ぎを防ぎ、健康上のリスクを減らすことができます。
標準体重を意識して、健康的な体型を目指してくださいね。
標準体重を目指すための摂取カロリーについては以下の記事をご覧ください。
[5] 厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満と健康」
[6] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
ポイント2 筋肉量を意識しよう
健康的な体型のために、筋肉量を意識することも大切です。
BMIが標準でも、筋肉量が少ない状態は健康上良くありません。
筋肉量が少ないと基礎代謝量が落ち、痩せにくく太りやすい体質になってしまいます。
また、血流が悪くなりむくみやすくなります。
さらに若いときには問題がなくても、将来的に病気になるリスクが上昇してしまいます。
このため、BMIを標準に保つだけでなく、筋肉量を維持することを意識すべきです。
近年では、BMIは標準でも筋肉量が少なく、体脂肪が多く蓄積している「隠れ肥満」が若い女性に多く見られています。
このため、BMIだけでなく体脂肪量も意識することが勧められます。
体脂肪の蓄積度合いは、体脂肪率でおおまかに知ることができますよ。
[7] 厚生労働省 e-ヘルスネット「身体活動とエネルギー代謝」
5.BMIについてのまとめ
BMIとは、国際的に用いられている体格を表す指標のことです。
BMIは[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で求めることができます[7]。
肥満の基準は脂肪が過剰に蓄積した状態であり、BMIが25.0以上であることとされています[8]。
BMIが身長と体重から体格を表すのに対し、体脂肪率は体重に占める体脂肪の重さをパーセントで表したものです。
脂肪が蓄積した状態といえる体脂肪率は、成人男性が25%以上、成人女性で30%以上です[9]。
太り過ぎていても痩せ過ぎていても健康上のリスクが高まります。
標準体重を目指し、筋肉量を増やすことで健康的な体型になることができるでしょう。
この記事を参考に、ご自身の体格を把握し健康的な体づくりに取り組んでくださいね。
[7] 厚生労働省 e-ヘルスネット「BMI」
[8] 厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満と健康」
[9] 厚生労働省 e-ヘルスネット「体脂肪計 」