「低血糖ではどんな症状が出るのかな?」
「低血糖になったらどうしたら良いんだろう?」
と気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
低血糖とは、血糖値が低過ぎる状態のことです。
低血糖では発汗や手指の震えなどが生じ、最悪の場合は昏睡(こんすい)状態に至る恐れがあります。
そのため低血糖に伴う症状が現れたら、速やかに適切な対処をする必要があります。
この記事では血糖値や低血糖の定義、症状、原因、低血糖が起こった場合の対処法などを詳しく解説します。
また低血糖を予防するためのポイントもご紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね。
1.血糖値とは
「そもそも血糖値って何だろう?」
このように気になる方もいらっしゃいますよね。
血糖とは血液中のブドウ糖のことで、血糖値はその濃度を意味します。
私たちが食事をすると、炭水化物などの栄養素が消化・吸収されブドウ糖となり血液に入ります。
このため血糖値は空腹になるにつれて下がり、食事をすると一時的に高まります。
血糖値は低過ぎても高過ぎても健康に悪く、体内では「ホルモン」などによって調整されています。
血糖値が下がったときに膵臓から分泌されるホルモンは「グルカゴン」です。
グルカゴンは肝臓などに蓄えられた「グリコーゲン」をブドウ糖に分解させ、低下した血糖値を正常に戻します。
その他、成長ホルモンや副腎髄質ホルモン、甲状腺ホルモンなどにも血糖値を上げる作用があります。
一方血糖値が上がったときに膵臓から分泌されるホルモンは「インスリン」です。
インスリンは、食事で多くなったブドウ糖を細胞に取り込んでエネルギーとする他、余った分をグリコーゲンに変換して肝臓や筋肉などに蓄えるはたらきがあります。
インスリンのはたらきによって、食事などで高まった血糖値が正常に戻ります。
このように、体内では血糖値が一定に保たれるようさまざまなホルモンがはたらいているのですね。
血糖値を上げる作用を持つホルモンが複数あるのに対し、血糖値を下げる作用があると分かっているホルモンはインスリンだけです。
2.低血糖とは
「低血糖ってどんな状態なんだろう?」
このように気になる方もいらっしゃいますよね。
低血糖とは血糖値が必要以上に低くなる状態のことです。
低血糖になると、エネルギー不足や血糖値を上げようとする体のはたらきによって、さまざまな症状が現れます。
この章では低血糖の定義や症状、原因について詳しく解説します。
2-1.低血糖の定義
低血糖とは、血糖値が低くなった状態のことです。
通常、食前の血糖値は約70~100mg/dLで保たれています[1]。
健康な方であれば空腹であっても、70mg/dLより低くなることはほとんどないといわれています[2]。
しかし糖質の不足や糖尿病の治療薬の量が多いことなどが原因で低血糖が起こると、冷や汗や動悸(どうき)などといった「低血糖症状」が起こります。
低血糖は血糖値が70mg/dL未満の場合や、70mg/dLを超えても低血糖症状がある場合に診断されます[3]。
低血糖症状や原因については以降の章で詳しくご説明しますね。
[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「血糖値」
[2] 厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 低血糖」
[3] 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター「低血糖」
2-2.低血糖の症状
血糖値が70mg/dL程度より下がると「交感神経症状」、50mg/dL程度になると「中枢神経症状」が現れるといわれています[4]。
交感神経は自律神経の一つで、交感神経症状としては発汗、脈の早まり、手指の震えなどが現れます。
その他、気持ちが悪くなる、急に強い空腹感を覚える、寒気がする、目がちらつく、体がふらつくなどの症状も出現します。
血糖値が低下すると交感神経が刺激され、膵臓からはグルカゴンが、副腎からは「アドレナリン」が分泌されます。
このように、交感神経症状は低くなった血糖値を上げようとするさまざまなホルモンの作用で生じるのです。
また中枢神経症状はブドウ糖の不足により脳細胞が正常に活動しなくなることで生じます。
ブドウ糖は脳がエネルギーとして利用できる唯一の物質であるため、不足すると頭痛や集中力の低下、生あくびなどの中枢神経症状が現れます。
さらに血糖値が低下し50mg/dL以下になると、昏睡など意識のない危険な状態を招くといわれています[4]。
ただしこれらの症状が出現する順番には個人差があります。
特に低血糖を繰り返している方や高齢者、乳幼児では自覚症状が出ないまま、意識がなくなるなどの重い症状が現れることがあるため注意が必要です。
[4] 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター「低血糖」
2-3.低血糖の原因
低血糖は、糖質の不足や運動のし過ぎなどが原因で起こります。
ブドウ糖は食事によって取り込まれた炭水化物(糖質)が消化・吸収されて生じ、エネルギーとして利用されます。
そのため糖質を極端に制限している場合や、食事時間が遅れた場合にエネルギーが不足し、低血糖を引き起こすといわれています。
また、運動量が多過ぎる場合も注意が必要です。
私たちが運動をすると、筋肉を動かすエネルギーとして血糖などが消費されます。
そのため運動が長時間に及んだり、激しかったりすると低血糖が起こりやすくなります。
その他にも、糖尿病などの治療のために使用される「インスリン注射」の影響で低血糖が起こることがあります。
特に糖尿病がある高齢者では薬の効き目が強く出る傾向があり、低血糖になるリスクが高いとされているため注意が必要です。
3.低血糖が起こった場合の対処法
「低血糖が起こった場合どうしたら良いんだろう?」
低血糖は進行すると危険な状態になる恐れがあるため、対処法を覚えておきたいですよね。
低血糖の症状が現れたら、すぐに糖質を摂取することが重要です。
吸収が速い糖質としてはブドウ糖がありますが、手元にない場合には砂糖や砂糖を多く含むジュースなどを摂取するようにしましょう。
そうすると、低血糖の症状は通常5分以内に改善するといわれています[5]。
ただし一度低血糖症状が改善しても、しばらくすると再度現れる危険性があるため注意が必要です。
[5] 厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 低血糖」
4.低血糖を予防するポイント
「低血糖を起こさないための生活のポイントを知りたい」
このように気になる方もいらっしゃるでしょう。
低血糖を予防するためには、食生活や運動習慣で気を付けるポイントがあります。
ダイエットなどで極端な糖質制限を行っている方もいらっしゃるかもしれませんね。
低血糖を予防するための食生活としては、極端な糖質制限を行わず、日頃から適量の糖質を摂る必要があります。
また運動をする場合には長時間連続して行わないよう心掛けましょう。
特に空腹時の運動は低血糖を起こしやすいため、避けるようにしてくださいね。
運動をする前や運動中にはできるだけ糖質を補給することも重要です。
糖質を運動前に摂っておくと体力を維持しやすく、運動中に摂ると運動能力を保つのに有効だといわれています。
その他にも糖尿病の薬を飲んでいる方は、自己判断で食事制限や運動などを行わず必ず主治医に相談してください。
5.低血糖についてのまとめ
血糖値とは血液中のブドウ糖の濃度のことで、食前と食後で変動します。
空腹になるにつれて下がり、食事をすると一時的に高まります。
血糖値は低過ぎても高過ぎても健康に悪い影響を与えます。
体内ではさまざまなホルモンによって正常に保たれています。
血糖値が低くなるとグルカゴンが、高まるとインスリンが膵臓から分泌されます。
その他にも血糖値を上げる作用があるホルモンには、成長ホルモンや副腎髄質ホルモン、甲状腺ホルモンなどがあります。
血糖値が70mg/dL未満の場合や、70mg/dLを超えても低血糖症状がある場合に、低血糖と診断されます[6]。
血糖値が70mg/dL程度より下がると発汗や手指の震えなどの交感神経症状、50mg/dL程度になると頭痛や生あくびなどの中枢神経症状が現れるといわれています[6]。
さらに血糖値が低下し50mg/dL以下になると、昏睡など意識のない危険な状態を招くといわれています[6]。
ただしこれらの症状が出現する順番には個人差があるため注意が必要です。
特に低血糖を繰り返している方や高齢者、乳幼児では自覚症状が出ないまま、意識がなくなるなどの重い症状が現れることがあるため注意しましょう。
低血糖は糖質の不足や運動のし過ぎなどが原因で起こります。
その他、糖尿病などの治療などで使用されるインスリン注射の影響などで起こることもあります。
低血糖の症状が現れたら、すぐに吸収の速い糖質を摂取することが重要です。
砂糖や砂糖を多く含むジュースなどを摂るようにしてくださいね。
日頃から極端な糖質制限を避け、運動時のこまめな糖質補給を心掛けるようにしましょう。
[6] 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター「低血糖」