起立性低血圧とは?症状や原因、日常生活を送る上での注意点を解説

2024年08月19日

2024年08月23日

起立性低血圧は、寝ている状態や座っている状態から立ち上がった際に過度に血圧が低下する状態のことです。

目まいやふらつきなどの症状を伴います。

症状の程度によっては転倒する恐れがあり、日ごろから気を付けながら生活を送らなければいけません。

「立ちくらみがするんだけど、これって起立性低血圧なのかな?」

ご自身の症状が起立性低血圧によるものなのか、気になる方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、起立性低血圧の症状や原因について解説しています。

日常生活で気を付けるポイントもご紹介しているので、ぜひ参考にしてくださいね。

1.起立性低血圧とは

めまいを起こしているいる様子の中年女性

起立性低血圧とは「起立性調節障害」の一つで、寝たり座ったりしている状態から立ち上がった際の血圧低下のことです。

起立性調節障害とは
意思と関係なく呼吸や体温などの機能を調節する「自律神経」のバランスが取れず、立ちくらみのほか朝起きられない、疲れやすい、食欲がないといったさまざまな症状が出現する病気です。起立性低血圧は起立性調節障害の一つということになります。
自律神経とは
体を動かすときに活発になる交感神経と、休むときに優位になる副交感神経から構成されているものです。交感神経が優位になると血圧や心拍数が上昇し、副交感神経が優位になると血圧や心拍数が低下します。通常はこれらがバランスを取ることで体の状態が調整されています。

通常は自律神経がバランスを取ることで体の状態が調整されていますが、何らかの原因でバランスが崩れてしまうと、立ち上がった際の血圧が維持できなくなるのです。

起立性低血圧は、起立後3分以内の「収縮期血圧」が20mmHg以上、「拡張期血圧」が10mmHg以上の低下があった場合、または収縮期血圧が90mmHg未満になる状態と定義されています[1]。

収縮期血圧とは
血液が心臓の収縮により全身へ送り出される際に大動脈にかかる圧力のことで、一般的には上の血圧、最高血圧とも呼ばれます。
拡張期血圧とは
血液が全身から心臓へ戻り、次に血液を全身へ送り出すために心臓が膨らんでいるときに大動脈にかかっている圧力をいいます。一般的には下の血圧と呼ばれ、最低血圧ともいいます。

通常は立ち上がると体内のセンサーにより自律神経が作用して「静脈」が収縮し、下半身にたまっていた血液が心臓に戻ることで血液循環のバランスを保っています。

静脈とは
全身の臓器に運ばれた血液が心臓へ戻る際に通る血管のことです。

しかしこの仕組みがうまくはたらかないと脳への血液循環が滞り、立ちくらみや気分不良が起こるのです。

次に、起立性低血圧の主な症状について解説します。

[1] 河野律子 荻ノ沢泰司 渡部太一 安部治彦「「起立性低血圧」(『昭和医会』第71巻第6号,p523-529,2011)

【関連情報】 「血圧が低いとどんな症状が出る?低血圧の原因と自分でできる対処法」についての記事はこちら

1-1.起立性低血圧の症状

起立性低血圧の主な症状は以下のとおりです。

【起立性低血圧の症状】

  • 目まいやふらつきを感じる
  • 失神する
  • 吐き気を感じたり嘔吐(おうと)したりする
  • 冷や汗が出る
  • 疲労を感じる

起立後数秒から数分以内に症状が出現し横になると消失しますが、人によっては転倒したり痙攣(けいれん)を起こしたりする場合もあります

つぎに、起立性低血圧の原因について解説します。

1-2.起立性低血圧の原因

起立性低血圧の原因は、さまざまです。

病気や体の状態に関連せず単独で起こる「本態性起立性低血圧」と、病気や体の状態が原因で引き起こされる「症候性起立性低血圧」に分けられます

本態性起立性低血圧の主な原因は加齢です。

加齢に伴い血管の弾力性が低下し、立ち上がったときに心拍数を上げたり末梢血管を収縮させたりする反応が遅くなることから、起立性低血圧の症状が出現します。

症候性起立性低血圧の主な原因は以下のとおりです。

【症候性起立性低血圧の主な原因】

  • 脱水
  • 血液量の減少
  • 自律神経失調症
  • 心臓疾患
  • 神経疾患
  • 薬物

下痢や嘔吐、発熱などが原因で脱水状態になると体内の血液量が不足します。

これにより脳への血流も少なくなり、立ち上がったときに起立性低血圧の症状が出現するのです。

血液量の不足は脱水の他に、外傷による出血や疾患が原因で起こることもあります。

またストレスや生活習慣の乱れにより、自律神経がうまく機能しないことも原因の一つです。

他にも心臓疾患、パーキンソン病といった神経系の疾患、薬物の影響により起立性低血圧の症状が出ることもあります。

2.起立性低血圧が起こる際の日常生活上のポイント

ペットボトルから水を飲む女性

「起立性低血圧の症状を和らげるためには、普段どうすれば良いのだろう」

起立性低血圧の症状を感じたことがある方は、日常生活でのポイントが気になりますよね。

この章では、日ごろの生活で取り入れやすい起立性低血圧が起こる際のポイントについて解説します。

ポイント1 立ち上がるときはゆっくり動く

起立性低血圧の症状を軽減させるために、立ち上がるときはゆっくり動きましょう

起立性低血圧は、急激な体位の変化による血圧低下によって引き起こされます。

寝ている状態や座っている状態からいきなり起き上がると、急な循環の変化に対応できず脳への血流が保てなくなることがあります。

そのため、立ち上がるときはゆっくりと動くことがポイントです。

ポイント2 立ち上がる前に体を動かす

起立性低血圧の症状を和らげるために、立ち上がる前に体を動かすことも大切です。

寝たり座ったりしている状態が続くと血流が滞るため、その状態からいきなり立ち上がると脳への循環が維持されず、ふらついてしまうかもしれません。

立ち上がる前には体を動かし、血液の循環を促進させてから立ち上がるようにしてくださいね。

ポイント3 同じ姿勢のまま立ち続けない

起立性低血圧を防ぐためには、同じ姿勢のまま立ち続けないようにしましょう

血液は水分であるため、立ったままの姿勢が続くと下半身にたまります。

血液が下にたまり循環が滞ると脳への血流も悪くなり、目まいやふらつきを感じる場合があります。

立ったままの姿勢が続く場合には、足踏みや両足をクロスすることも効果的です。

ポイント4 水分を適度に摂取する

起立性低血圧の症状を防ぐためには、適度な水分摂取を心掛けましょう

水分摂取により体内を巡る血液量が増加し、立ち上がっても循環が維持され、目まいやふらつきなどの症状が出現しにくくなります。

なお、水分を摂取する際には水だけを飲むのではなく、糖分や塩分も適度に摂りましょう。

糖分と塩分を同時に摂取することで、効率的に水分が吸収されます。

なお、心不全や高血圧などの疾患がある場合は、塩分を摂り過ぎてしまうと疾患が悪化する恐れがあるため、主治医にご相談ください

ポイント5 ふらついたらすぐにしゃがむ

起立性低血圧により目まいやふらつきを感じたら、すぐにしゃがみましょう

立ち上がったときに脳への血流が低下すると、目まいやふらつきにより転倒してしまう可能性があります

打ちどころが悪ければ、大けがを負うかもしれません。

目まいふらつきを感じたら、すぐにしゃがんで転倒を防ぐことが大切です。

ポイント6 足腰を鍛える

起立性低血圧を防ぐためには、日ごろから足腰を鍛えることがポイントです。

下肢のなかでもふくらはぎの筋肉は「第二の心臓」と呼ばれ、血液の循環に大きな役割を果たしています。

ふくらはぎの筋肉が収縮してポンプのようにはたらくことで、血液が心臓まで押し上げられ血流が保たれます。

このためふくらはぎの筋力が低下していると血液の巡りが悪くなり、起立性低血圧の症状を引き起こす可能性があります。

しっかりと鍛えることで血流が安定し、起立性低血圧の予防が期待できます。

ふくらはぎに効く筋トレについては以下の記事で解説しています。

ふくらはぎに効く筋トレメニューは?鍛えるメリットやポイントを解説

ポイント7 規則正しい生活を送る

起立性低血圧を防ぐためには、規則正しい生活を送りましょう

栄養バランスの偏りや睡眠不足、運動不足などは自律神経の乱れにつながります。

自律神経は、心臓のはたらきや血圧などに大きく関与しています。

起立性低血圧にならないよう、食事や運動、睡眠などのリズムを整えるよう心掛けましょう。

ポイント8 暑い場所は避ける

目まいやふらつきといった起立性低血圧の症状を防ぐためには、暑い場所を避けましょう

暑い場所にいると体温調節のため発汗が促進され、水分量の減少により脱水になることがあります。

脱水になると血液量も減少し、血圧が低下します。

また、暑い場所にいることで副交感神経が作用し、血管が拡がることでも血圧が低下します。

その結果、立ち上がったときに目まいやふらつきなどの症状が出現するのです。

多量に汗をかきそうな暑い場所は、なるべく避けて行動しましょう。

3.起立性低血圧の診断と治療

血圧測定をする医師と患者

「起立性低血圧を調べる方法ってあるのかな?」

「起立性低血圧の治療方法には、どんなものがあるのだろう」

起立性低血圧の症状でお悩みの方は、調べる方法や治療が気になりますよね。

この章では起立性低血圧の診断と薬物治療について解説します。

起立性低血圧は立ち上がった直後の血圧を測り、数値によって診断が付きます。

起立後3分以内の収縮期血圧が20mmHg以上、拡張期血圧が10mmHg以上の低下があった場合、または収縮期血圧が90mmHg未満になった場合に起立性低血圧と診断されます[2]。

起立性低血圧の薬物治療では、血圧を上げる薬や血管を収縮させる薬などを使用します

薬物の使用により体内を循環している血液量を保持し、血圧低下による目まいやふらつきを防ぐ効果が期待できます。

なお薬物治療は立ち上がるときにゆっくりと動いたり、適度に水分を摂ったりするといった非薬物療法を補助するためのものです。

薬物療法を行う場合でも、これらの非薬物療法を意識して日々の生活を送りましょう。

起立性低血圧の方は臓器への血流が乏しくなることから、脳卒中や虚血性心疾患を発症することがあるとされています

起立性低血圧でお悩みの方は、医療機関を受診しましょう。

[2] 河野律子 荻ノ沢泰司 渡部太一 安部治彦「起立性低血圧」(『昭和医会』第71巻第6号,p523-529,2011)

4.起立性低血圧についてのまとめ

起立性低血圧は起立性調節障害の一つで、寝たり座ったりしている状態から立ち上がった際の血圧低下により、目まいやふらつきが出現することです。

これらの症状の他にも、吐き気を感じたり冷や汗が出たりすることもあります。

主な原因は脱水や血液量の減少、自律神経の乱れなどで、心臓の病気や神経系の病気が関係しているケースもあります。

起立性低血圧が起こる際の日常で気を付ける点は、急に立ち上がらずゆっくり動くことや同じ姿勢のまま立ち続けないこと、適度に水分を摂取することなどです。

それでも目まいやふらつきなどの症状を感じた場合は、すぐにしゃがみ込み転倒しないように注意しなければなりません。

起立性低血圧の症状は、しゃがんだり横になったりすることで消失します。

血圧を上げたり血管を収縮させたりして血流を維持する薬を使用することもありますが、あくまで薬物療法は補助的なものです。

起立性低血圧が起こる際は、日常生活のポイントを意識することが重要です。

この記事を参考にしていただき、日ごろから気を付けて生活を送りましょう。

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