「40代の女性がダイエットを成功させるにはどうしたら良いのかな」
体型を維持するためにダイエットを始めたいと思っている40代の女性の方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。
仕事や家庭のことで忙しい40代の方は、運動に割ける時間が少ない傾向にあります。
また女性の体は、更年期になるとホルモンバランスが崩れて脂肪を蓄えやすくなります。
このため、40代の女性は太りやすいといわれています。
しかし、できれば忙しいなかでも続けられるダイエットで理想の体形を目指したいものですよね。
この記事では40代の女性が太りやすい要因とダイエットのポイントをご紹介します。
ぜひこの記事をダイエットの達成にお役立てくださいね。
1.40代女性は太りやすい!その要因とは?
「40代になってから太りやすくなった気がする」
「若い頃はたくさん食べても太らなかったのにどうしてだろう」
このように感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そもそも「太る」ということはエネルギー摂取量(摂取カロリー)がエネルギー消費量(消費カロリー)を上回り続けることによって起こります。
ヒトは食べ物などから摂取したエネルギーを、生命を維持したり体を動かしたりするために使っていますが、使い切れなかった場合は脂肪として体に蓄えます。
これが続くと肥満を招いてしまうのです。
40代に差し掛かると太りやすくなるのも、エネルギー消費量の低下やエネルギー摂取量の増加によるものだといえます。
具体的には、基礎代謝の低下や運動不足、更年期のホルモンバランスの乱れが原因として挙げられます。
まずは太りやすい原因を理解し、その上で対策を練るようにしましょう。
1-1.加齢に伴う基礎代謝の低下
40代の女性が太りやすい要因の一つは加齢による基礎代謝の低下です。
例えば40代の女性の平均体重は55.6kgで、基礎代謝の量の推定値は1,218kcalです[2]。
しかし、同じ体重でも年代によって基礎代謝の量は異なるため、18〜29歳の場合は1,229kcalです[2]。
なお、上記の数値は小数点第一位を四捨五入しています。
基礎代謝について詳しく知りたい方は以下の記事もお読みください。
基礎代謝とは?計算方法と平均値、上げる方法を分かりやすく解説!
わずかな変化のように思われるかもしれませんが、加齢と共に基礎代謝の量は低下していくのですね。
まずは基礎代謝の量がどのくらいなのかを理解し、ご自身の目標に合わせて運動や食事などの生活習慣を見直しましょう。
1-2.運動不足
運動不足も40代の女性が太りやすい要因です。
1週間に1日も運動していない40代女性は62.7%に上ることが分かっています[3]。
1日のエネルギー消費量(消費カロリー)は身体活動量の影響を受けます。
自分の基礎代謝量を知ることは重要ですが、その量は体格に依存しており、急な変動が少ないためエネルギー消費量を増したい場合には身体活動を増やす必要があります。
1-3.更年期のホルモンバランスの乱れ
更年期に差し掛かるとホルモンバランスが乱れることも40代の女性の太りやすさの要因です。
更年期障害には女性ホルモンの「エストロゲン」が大きく揺らぎながら低下していきます。
このエストロゲンは脂質の代謝に深く関わっていることが分かっており、分泌が低下するとより太りやすくなってしまいます。
またホルモンバランスが崩れると、その影響で自律神経も乱れてしまいます。
自律神経が乱れると、食欲にむらが生じたり、甘いものが欲しくなったり、過食に走ったりしやすくなるといわれています。
エストロゲンの低下により体が脂肪を蓄えやすくなっているところに、甘いものの食べ過ぎや過食が合わさってより太りやすくなってしまうと考えられるのですね。
【関連情報】 「簡単ダイエット!日々の生活で実践できる8つの工夫」についての記事はこちら
2.ダイエットする際の運動のポイント
「40代でダイエットを始めるときにはどんな運動をしたら良いんだろう?」
40代を過ぎてから体質が変わり、ダイエットをしたいとは思っているもののやり方が分からないという方は多いのではないでしょうか。
減量できるかどうかは、エネルギー収支(エネルギー消費量とエネルギー摂取量の差)を運動や食事で生み出すことが必要です。
運動が苦手な方は食事だけで減量したいと思うかもしれませんが、それでは筋肉量が減少しリバウンドしやすい体になってしまいます。
それでは運動を行う場合、どのような方法で運動すれば効率良くエネルギーを消費できるのか気になりますよね。
ここではダイエットのために運動する際のポイントを三つご紹介します。
ポイント1 有酸素運動で脂肪を燃焼する
ダイエットを目的として運動を行う場合、有酸素運動がおすすめです。
有酸素運動には、ウォーキング、ジョギング、サイクリング、ハイキングといった野外スポーツに加え、アクアビクス、エアロビクスダンス、太極拳といった室内で行えるものがあります。
特定の種目を実施すれば脂肪が燃えやすいということはなく、脂肪の燃焼量は運動のきつさと行った時間によって決まります。
このため、有酸素運動を行う際にはある程度のきつさで継続できる運動を選ぶと良いでしょう。
習慣的に有酸素運動を続けられるよう、ご自分が行いやすい種目に取り組んでくださいね。
ただし強度が高いほど脂肪が燃えやすいというわけではなく、「比較的楽である〜ややきつい」と感じる程度の運動が脂肪燃焼には効果的です。
おすすめの有酸素運動については以下の記事でご紹介しています。
有酸素運動とは?効果や無酸素運動との違い、おすすめの運動を紹介
ポイント2 筋トレで基礎代謝を上げる
ダイエットのためには、筋トレを行うことも重要です。
筋トレによって筋肉量を増やすことで、基礎代謝を上げることができます。
基礎代謝量は筋肉量が多くなるほど大きくなるため、筋トレを行うことで脂肪を消費しやすい体をつくることができます。
筋肉量を効率良く増やすためには、筋肉を回復させるための休息日を設ける必要があります。
このため筋トレは毎日ではなく、週に2〜3回程度行うと良いといわれています[6]。
また筋トレを行うと成長ホルモンが分泌されます。
成長ホルモンは骨や筋肉の発育を促すものとして知られていますが、中性脂肪の分解を促す強い作用もあります。
有酸素運動と筋トレを同日に行う場合は、筋トレを有酸素運動より先に行うようにしましょう。
有酸素運動を先に行うと筋トレによる成長ホルモンの分泌が抑えられてしまうため注意してくださいね。
ダイエットにおすすめの筋トレは以下の記事でご紹介しています。
ダイエットにおすすめの筋トレは?健康かつ効率的に痩せる方法を伝授
ポイント3 できるだけ体を動かす
「痩せるために運動をすべきなのは分かっているけど、なかなか時間が取れない……」
このようにお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
お仕事やご家庭の事情でなかなか自分の時間を持てない場合もあるかもしれませんね。
運動に割く時間がない方はできるだけ日常生活を通じて体を動かすことを心掛けましょう。
家事や畑仕事などの日常生活における活動でカロリー消費量を増やすこともできます。
肥満の方とそうでない方を比較した場合、肥満の方では歩行なども含め立って過ごす時間が1日平均150分も少なかったという研究結果も発表されています[7]。
座ってじっとしている時間をなるべく減らすことが重要だといえるのですね。
階段を使う、通勤の際に1駅多く歩く、体を動かす家事を積極的に行うなど少しでも多く体を動かすよう心掛けましょう。
3.ダイエットする際の食事のポイント
「ダイエット中の食事のポイントはなんだろう」
ダイエットを行う際には、運動習慣だけでなく食生活の改善も行いましょう。
運動と食事の双方から改善を試みることで、どちらかで無理をし過ぎることなく継続しやすくなります。
短い時間では効果を得ることは難しいため、長く続けられる方法で取り組むことが重要です。
ここではダイエット中の食事のポイントを四つご紹介します。
安全で健康的なダイエットを行うためにも、お読みになってポイントを押さえてくださいね。
ポイント1 摂取カロリーを適切に制限する
ダイエットのためには、まずは摂取カロリー(エネルギー摂取量)を適切に制限することが重要です。
「1日にどれくらいのカロリーを摂れば良いんだろう?」
というのが気になるところですよね。
摂取カロリーは標準体重であったときの推定必要カロリー(推定エネルギー必要量)を目安にすると良いでしょう。
標準体重を計算したら、次は身体活動レベルを確認しましょう。
【身体活動レベルの基準】
身体活動レベル | 日常生活 |
---|---|
低い(Ⅰ) | 主に1日中座って過ごす生活を送っている。 |
普通(Ⅱ) | 座って過ごすことが中心ではあるが日常生活のなかで立った状態での作業や軽いスポーツをしている。 |
高い(Ⅲ) | 主に1日中立った状態で過ごす、もしくは日常的に運動をしている。 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
ご自身の身体活動レベルが分かったら、先に計算した標準体重と、以下の体重1kg当たりの推定必要カロリー(推定エネルギー必要量)を掛け合わせましょう。
【30〜49歳女性の体重1kg当たりの推定エネルギー必要量】
身体活動レベル | 低い(Ⅰ) | 普通(Ⅱ) | 高い(Ⅲ) |
---|---|---|---|
30~49歳 | 32.9 | 38.4 | 43.9 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
例えば身長155cmで身体活動レベルが「普通」の方の場合、標準体重は1.55m×1.55m×22=52.855kgです。
これに体重1kg当たりの推定必要カロリーを掛け合わせると1日の推定必要カロリーは2,030kcal(小数点第1位で四捨五入)となります。
現在の体重が上回っている場合、摂取カロリーを2,030kcalに制限すれば体重は減っていき、いずれ標準体重に近づくと考えられます。
つい間食を摂ってしまっている方もいらっしゃるかもしれませんが、1日を通じてカロリーを適切に制限するよう心掛けましょう。
ポイント2 エネルギー産生栄養素バランスを整える
単にカロリー制限を行うだけでなく、「エネルギー産生栄養素」のバランスを整えることも重要です。
エネルギー産生栄養素とは、ヒトの体のエネルギー源となる炭水化物(糖質)、たんぱく質、脂質の3種類の栄養素のことです。
炭水化物(糖質)は主にエネルギー源としての役割を果たします。
たんぱく質はエネルギー源となる他に筋肉や臓器、皮膚、髪の毛などを構成したり、ホルモンや抗体、酵素などの体の機能を調整する成分の材料となったりするはたらきをしています。
また脂質はエネルギー源の他、細胞膜の材料や、ホルモンなどの「生理活性物質」の材料にもなります。
このようにそれぞれ異なる役割を果たしているため、カロリー制限を行うにしてもエネルギー産生栄養素をバランス良く摂取することが重要だと考えられるのですね。
厚生労働省はそれぞれのエネルギー産生栄養素から摂取するカロリー(エネルギー)を、1日の総摂取カロリー(総エネルギー摂取量)に対しどれくらいの割合にすべきという目標量(単位:%エネルギー)を設定しています。
これがエネルギー産生栄養素バランスです。
炭水化物の目標量は50~65%エネルギー、脂質の目標量は20~30%エネルギー、たんぱく質の目標量は13~20%エネルギーです[10]。
「この数値だけだと、実際どれくらいそれぞれの栄養素を摂取したら良いのか分からない……」と思いますよね。
炭水化物(糖質)とたんぱく質は1g当たり4kcal、脂質は1g当たり9kcalのエネルギーを生み出します[10]。
つまり1日の推定必要カロリーが2,030kcalの場合、炭水化物からは1,015~1,320kcal、脂質からは406~609kcal、たんぱく質からは264~406kcalを摂るべきだということになります(小数点第1位で四捨五入)。
重量に換算すると炭水化物は254~330g、脂質は45~67g、たんぱく質は66~102gに相当します。
エネルギー産生栄養素のバランスを意識しつつ、甘いものや脂質を多く含む揚げ物、脂身の多い肉などは控え、たんぱく質の多い赤身肉や魚を摂取するよう心掛けると良いでしょう。
ポイント3 アルコールを控える
ダイエットのためにはお酒を控えることも重要だといえるでしょう。
アルコールは1g当たり7.1kcalとカロリーの高い物質です[11]。
アルコールの濃度にもよりますが、例えば350mLの缶ビールはアルコールだけで99kcal程度もあります[11]。
またビールには糖質やたんぱく質も少量含まれるため、350mLの缶ビール1本のカロリーは140〜180kcal程度になります[11]。
さらにアルコールには食欲増進作用があります。
お酒を飲んでいてつい食べ過ぎてしまった経験のある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
お酒のおつまみには脂質や糖質を多く含むものもあるので、その点においてもカロリーオーバーには注意が必要ですね。
ポイント4 食物繊維を摂る
ダイエットを行う際は、食物繊維を積極的に摂取しましょう。
食物繊維は消化されずに大腸まで達するため、便の材料となったり善玉菌の餌となって増殖を助けたりすることで便通を整え、便秘を防ぐ効果があることで知られています。
また脂質や糖質などを吸着して体外に排出するはたらきがあり、これらの摂り過ぎによって起こる肥満の予防・改善が期待できます。
40代の女性の摂取目標量は1日当たり18g以上です[12]。
食物繊維は動物性食品にはほとんど含まれておらず、野菜類や豆類、海藻類、いも類、きのこ類などの植物性食品に多く含まれます。
食物繊維は不足しがちな栄養素の一つなので、まずは1日当たりプラス3~4gを目標に積極的な摂取を心掛けましょう[13]。
特に納豆や切り干し大根、たけのこ、ごぼう、ブロッコリー、モロヘイヤ、さつまいも、ひじき、しらたき、しいたけなどは1食当たりの摂取量に2~3gの食物繊維が含まれるといわれています[13]。
これらの食品を積極的に取り入れると良いでしょう。
また主食をそばやライ麦パンにすることでも食物繊維の摂取量を増やすことができますよ。
食物繊維を含む食べ物は以下の記事でご紹介しています。
食物繊維を手軽に摂れる食べ物は?効果や食事摂取基準も徹底解説
4.40代女性がダイエットする際のその他のポイント
「ダイエットをする上で、他に気をつけるべきことはあるのかな?」
このように気になっている方もいらっしゃるかもしれませんね。
生活習慣を改善することで、痩せやすい体づくりをサポートできると考えられます。
ダイエットのためには、運動習慣や食生活に加え、生活習慣も意識するようにしましょう。
また更年期障害に悩まされている場合、適切な治療を行うことで太りやすくなってしまった体質を改善できる可能性があります。
ここでは40代女性がダイエットする際に注意しておきたい、食事と運動以外のポイントをお伝えしましょう。
ポイント1 睡眠を十分にとる
ダイエットの効果を高めるためには睡眠を十分にとることも重要です。
せっかくダイエットに取り組んでも、睡眠不足だとその効果が低減してしまうと考えられているのです。
睡眠不足がダイエットに悪影響を及ぼすのにはいくつかの理由があります。
まず、寝不足だと食欲を抑えるホルモン「レプチン」の分泌が減少し、反対に食欲を高めるホルモン「グレリン」の分泌が増えることが分かっています。
寝不足のとき、食欲が止まらなくなってしまったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また睡眠不足だと、成長ホルモンの分泌が低下することも問題だと考えられます。
成長ホルモンは成長期だけでなく成人になってからも分泌され、体脂肪を分解させたり、筋肉を増大させたりするはたらきをしています。
このように睡眠不足はさまざまなホルモンの分泌に異常を来し、ダイエットを妨げてしまう恐れがあるのですね。
せっかくダイエットをしているのに、寝不足で十分な効果が得られないという事態は避けたいものですよね。
睡眠の習慣を整えるためには以下のような点を心掛けましょう。
【良質な睡眠のためのポイント】
- 規則正しい生活を送り体内時計を整える
- 習慣的に運動を行う
- 寝る前に入浴し体温を上げる
- 朝の光を浴びて体内時計を早める
良質な睡眠を十分にとり、ダイエットをより効果的に進めてくださいね。
ポイント2 更年期障害を治療する
体調が悪いと、ダイエットに取り組むことも難しくなってしまいますよね。
更年期障害の症状がつらい場合、治療を受けることも検討しましょう。
更年期障害の治療法としては「ホルモン補充療法(HRT)」などがあります。
HRTでは飲み薬、貼り薬、塗り薬などでエストロゲンの補充を行います。
HRTには更年期障害によるのぼせや火照り、発汗などの血管運動に関わる症状や、動悸や知覚異常などの自律神経系の不調の改善効果が認められています。
なお、子宮がある方には同時に女性ホルモンの一種「プロゲステロン」の投与も行います。
この他に、漢方薬や向精神薬が用いられる場合もあります。
更年期障害ではさまざまな症状が見られるため、これらを和らげる効果のある漢方薬が処方されます。
また気分の落ち込み、イライラ、情緒不安定がつらい方には、これらを改善する抗うつ剤や抗不安剤、催眠鎮静剤などの向精神薬が処方されます。
自分に合った治療を受けることができるので、症状がある場合は無理せず早めに婦人科を受診しましょう。
5.40代女性のダイエットについてのまとめ
40代の女性は太りやすい傾向にあるといわれています。
これは加齢による基礎代謝の低下や運動不足、更年期のホルモンバランスの乱れなどが要因です。
仕事や家庭で忙しく、気が付けば体重が増えてしまっていたという方もいらっしゃるかもしれませんね。
ダイエットのためには、消費カロリーが摂取カロリーを上回った状態にすることが欠かせません。
まずは脂肪燃焼効果のある有酸素運動を行いましょう。
また筋トレで筋肉量を増やし基礎代謝を上げることも重要です。
なかなか運動する時間が取れないという方はできる範囲で体を動かす機会を増やすことから取り組んでいきましょう。
食事ではカロリー制限を行うことが重要です。
単にカロリー制限を行うのではなく炭水化物(糖質)・脂質・たんぱく質をバランス良く摂ることもポイントです。
特にたんぱく質は筋肉の材料となるのでしっかり摂取しておきましょう。
アルコールを控え、食物繊維を摂取することもダイエットには有効です。
またダイエットを妨げてしまわないために、しっかりと睡眠をとることも大切だと考えられます。
ダイエットを続けるためには体調を整えることも必要なので、更年期障害の症状がつらい場合は、治療に取り組むことも検討しましょう。
太りやすくなったとお悩みの方も、この記事を参考にダイエットに取り組んでみてくださいね。