「できるだけ早く痩せたい……」
「1カ月後に控えた予定のために3kg減量したい」
このようにお考えの方も多くいらっしゃることでしょう。
現在の体重や生活スタイルにもよりますが、1カ月に3kgの減量はかなり厳しい目標であるといえます。
進め方を誤ると体調を崩したり、かえってリバウンドしたりしてしまう恐れもあるので要注意です。
この記事では1カ月で3kgの減量を目指すときに必要な知識や、健康的に痩せるためのポイントをお伝えします。
記事の内容を参考に健康的に目標体重を目指してくださいね。
1.1カ月で3kg痩せることを目指すのに必要なこと
「1カ月で3kg痩せるのを目指すには何をしたら良いんだろう?」
ダイエットのために食事の改善や運動量の増加が必要であることは皆さんご存じでしょう。
1カ月で3kgの減量を行うためには、まず健康上問題がないかを確認し、目標を把握し、それに向けて生活習慣の改善を行う必要があります。
順にご説明していきましょう。
まずはダイエットの基礎知識をおさらいするところからです。
体脂肪は摂取カロリーが消費カロリーを下回ったときに減少します。
そのため、ダイエットでは食事から摂るエネルギー(カロリー)を減らしたり、体を動かして消費するカロリーを増やしたりすることが基本となります。
ただしむやみなダイエットは体調不良を招く場合があるため、まずはBMIを計算し、3kgの減量を行っても健康上の問題がないかご自身の肥満度を確認してみましょう。
日本国内での肥満度の分類は以下のとおりです。
BMI | 判定 |
---|---|
18.5未満 | |
18.5以上25.0未満 | |
25.0以上30.0未満 | |
30.0以上35.0未満 | |
35.0以上40.0未満 | |
40.0以上 |
一般社団法人 日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン2022」をもとに執筆者作成
現在の体重と目標体重のBMIを確認し、目標体重が低体重に当たる場合、ダイエットは勧められません。
3kgのダイエットを行っても健康に問題がないことを確認できた方は、1カ月で3kgの体脂肪を落とす、というのはどういうことなのかを把握しておきましょう。
厚生労働省は、内臓脂肪1kgは約7,000kcalに相当するとしています[3]。
つまり、1カ月で3kgの減量を目指すためには、単純に考えて現在の食事から減らした摂取カロリーと現在の生活より増やした消費カロリーを合わせたカロリーが1カ月のうちに21,000kcalを超える必要があるのです。
1カ月を30日とすると、1日で700kcalが必要になってしまうのですね。
急な減量はリバウンドを招く恐れが大きく、健康を損ねる危険性もあります。
ダイエットのためには食事の改善に加え、しっかりと体を動かしてカロリーを消費すること、筋肉を付けて消費カロリーを減らさないことが不可欠です。
ここからは、具体的な食事や運動のポイントをご紹介します。
2.1カ月で3kg痩せることを目指すための食事のポイント
「痩せるためにはどんな食事を摂ったら良いんだろう?」
「1カ月で3kg痩せるためにはどれくらいカロリー制限をすべきなのかな?」
このように疑問に思っている方もいらっしゃることでしょう。
ここでは、ダイエットに有効な食事のポイントをお伝えしましょう。
ポイント1 必要な栄養摂取をしながら適切なカロリー制限を行う
摂取カロリーの制限がダイエットの基本となることは皆さんご存じですよね。
しかし極端なカロリー制限はエネルギーの不足による集中力の低下や疲労感、最悪の場合には意識障害といった症状を引き起こす可能性があるため無理は禁物です。
自分に合った適切な摂取カロリーを把握し、それに合わせて制限を行う必要があります。
消費カロリーは身体活動量(体をどれだけ動かすか)によって異なるのでまずはご自身の身体活動レベルを把握しましょう。
身体活動レベル | 日常生活の内容 |
---|---|
低い(Ⅰ) | 生活のほとんどを座って過ごす場合 |
普通(Ⅱ) | 座って過ごすことが多いが、 職場内での移動や立った状態での作業・接客、通勤・通学や買い物などでの歩行、 家事、軽いスポーツのいずれかを行う場合 |
高い(Ⅲ) | 移動や立った状態での作業が多い仕事に就いている、 または余暇にスポーツなどの活発な運動を行う場合 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
日本人として平均的な体格の方の推定必要カロリー(推定エネルギー必要量)は以下のとおりです。
性別 | 男性 | 女性 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
身体活動レベル | 低い(Ⅰ) | 普通(Ⅱ) | 高い(Ⅲ) | 低い(Ⅰ) | 普通(Ⅱ) | 高い(Ⅲ) |
18〜29歳 | ||||||
30〜49歳 | ||||||
50〜64歳 | ||||||
65〜74歳 | ||||||
75歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
この推定エネルギー必要量は日常生活を送るために必要なエネルギーの目安です。
減量を目指す場合、まずはこの数値を基準に摂取カロリーを管理すると良いでしょう。
ただし、標準的な体格よりも小柄な方はこの数値を参考にするとかえって太ってしまう恐れがあります。
そこで、体重1kg当たりの推定エネルギー必要量から目標体重の推定必要カロリーを計算してみましょう。
性別 | 男性 | 女性 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
身体活動レベル | 低い(Ⅰ) | 普通(Ⅱ) | 高い(Ⅲ) | 低い(Ⅰ) | 普通(Ⅱ) | 高い(Ⅲ) |
18〜29歳 | ||||||
30〜49歳 | ||||||
50〜64歳 | ||||||
65〜74歳 | ||||||
75歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
例えば20代の女性で身体活動レベルが普通、目標体重が50kgの場合、摂取カロリーの目安は38.7kcal×50=1,935kcalとなります。
体重は消費カロリーが摂取カロリーを上回っているときに減少し、消費カロリーと摂取カロリーが同じときには変化しなくなります。
そのため摂取カロリーを目標体重の推定必要カロリーに設定すれば減量が見込めるのです。
ポイント2 糖質と脂質を適切に制限する
ダイエットのためには糖質と脂質の摂取量に気を付けることも重要です。
これらは体のエネルギー源となる不可欠な栄養素である一方、摂り過ぎるとエネルギー過多となり、脂肪として蓄えられてしまうため肥満の原因となります。
炭水化物と脂質、他に体のエネルギー源となるたんぱく質はまとめて「エネルギー産生栄養素」と呼ばれます。
炭水化物(糖質)とたんぱく質は1g当たり約4kcal、脂質は1g当たり約9kcalです[4]。
脂質が肥満の原因として広く知られているのは他のエネルギー産生栄養素よりもカロリーが高いからなのですね。
厚生労働省は1日の総摂取カロリーに対し炭水化物から摂取するカロリーが占める割合を50〜65%の範囲に収めるよう目標量を設定しています[4]。
例えば1日の推定必要カロリーが2,000kcalであれば、炭水化物から摂るカロリーは1,000〜1,300kcal、重量に換算すると250〜325gの糖質を摂取する計算です。
糖質はご飯やパン、麺類などの主食となる食べ物やいも類、甘いお菓子などに多く含まれています。
これらの食品は摂り過ぎないように注意しましょう。
また、厚生労働省は18歳以上の男女に対し、脂質から摂取するカロリーが1日の総摂取カロリーの20〜30%となるよう目標量を設定しています[4]。
さらに脂質の構成要素である「脂肪酸」の一種「飽和脂肪酸」から摂るカロリーは、1日の総摂取カロリーの7%以下にするという目標量も設定されています[4]。
1日の推定必要カロリーが2,000kcalの場合、脂質から摂るカロリーは400〜600kcal、重量に換算すると約44〜67gになりますね。
脂質の多い肉やバターなどの動物性油脂は摂り過ぎないように注意しましょう。
ポイント3 たんぱく質を十分に摂取する
ダイエットのためにはたんぱく質を十分に摂ることも心掛けましょう。
「たんぱく質もカロリーがあるから制限した方が良いんじゃないの?」
このように疑問に思った方もいらっしゃるかもしれません。
確かにたんぱく質は1g当たり4kcalのエネルギーを生み出すエネルギー産生栄養素の一つです[5]。
しかしたんぱく質にはエネルギー源となる他に重要な役割があります。
たんぱく質は筋肉や臓器、皮膚、髪の毛などの体の器官の材料となったり、ホルモンや酵素、抗体などの体の機能を調節するための物質としてはたらいたりします。
なかでもダイエットにおいて重要なのは筋肉の材料となるはたらきでしょう。
ヒトの消費カロリーは大きく「基礎代謝量」「食事誘発性熱産生(DIT)」「身体活動量」に分けられます。
基礎代謝量とは呼吸や心拍、体温の維持など、生命を保つために消費される最低限必要なカロリー(エネルギー量)のことで、1日の消費カロリーの約60%を占めています[6]。
基礎代謝量は体格によって変動し、特に除脂肪量(体の組織から脂肪を除いた量)の影響を大きく受けます。
筋肉が減ると基礎代謝が低下し全体の消費カロリーが減ってしまうので、筋肉の材料となるたんぱく質をしっかり補給し、基礎代謝を維持することが太りにくい体づくりにつながると考えられるのですね。
厚生労働省は18〜49歳の男女に対し、1日の摂取カロリーのうちたんぱく質から摂取するカロリーが占める割合を13〜20%に収めるよう目標量を設定しています[5]。
1日の推定必要カロリーが2,000kcalの場合、260〜400kcalをたんぱく質から摂取する計算です。
これは重量に換算すると65〜100gとなります。
たんぱく質は肉や魚、卵、豆類などに多く含まれているので、これらの食品を十分に摂取するよう心掛けましょう。
ただし肉類などは脂質を多く含むものもあるため脂質の少ないものを選ぶよう注意してくださいね。
鶏のささみや皮を取り除いたむね肉などは脂質が少なくたんぱく質含有量が多いことで知られているので、これらの食品やたんぱく質を補給するプロテインサプリメントを活用すると良いでしょう。
ポイント4 食物繊維を十分に摂取する
ダイエットのためには食物繊維を十分に摂取することも心掛けておきましょう。
食物繊維は炭水化物の一種でヒトの消化酵素では消化することのできない物質です。
水に溶ける水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維に分けられます。
ダイエット中に食物繊維を摂るメリットはいくつもあるので、順番にご説明しましょう。
第一に、食物繊維には便秘予防の効果があります。
食物繊維は消化されることなく大腸まで達するため、大腸で便の材料となったり腸にすむ善玉菌の餌となって増殖を助けたりしておなかの調子を整えてくれるのです。
ダイエット中は食事の量を減らすことにより便秘が起こりやすくなります。
たかが便秘、と甘く見ている方もいらっしゃるかもしれませんが、便秘によって腸のはたらきが低下すると基礎代謝が低下するともいわれています。
食物繊維をしっかり摂って便秘を予防しておきたいものですね。
さらに、食物繊維には糖質や脂質を吸着し体外に排出するはたらきもあるとされています。
これにより肥満の予防や改善に効果が期待されているのです。
また食物繊維自体が1g当たり0〜2kcalと低カロリーであることもうれしいポイントです[7]。
加えて食物繊維は水分を吸収する性質を保つため、胃や腸の中で膨らんで満腹感をもたらします。
ダイエット中におなかが空いてつらい思いをしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
食物繊維が豊富な食品は低カロリーで満腹感を得られるので、積極的に食べるようにしましょう。
このようにダイエットにとってうれしいことずくめの食物繊維ですが、多くの日本人は食物繊維が不足しがちな食生活を送っているといわれています。
厚生労働省は18〜64歳の男性に対し21g以上、女性に対し18g以上の食物繊維を摂取するよう1日当たりの目標量を定めているので、まずはこの量を目指しましょう[7]。
食物繊維は肉や魚などの動物性食品にはほとんど含まれておらず、野菜類、きのこ類、豆類、海藻類などの植物性食品からの摂取が必要です。
特にごぼうやかぼちゃ、さつまいも、たけのこ、ブロッコリー、切り干し大根、納豆、おから、しいたけ、ひじき、しらたきなどは食物繊維含有量が多く、1食当たり2〜3gの食物繊維を摂取できます[8]。
またご飯やパンなどの主食を玄米ご飯や麦ご飯、ライ麦パン、そばなどに替えることでも食物繊維摂取量を増やせますよ。
これらの食品を毎日の食事に取り入れてみましょう。
ポイント5 栄養バランスに留意する
効率的にダイエットを進めるためにも健康のためにも、栄養バランスの取れた食事を摂るよう心掛けましょう。
極端に食事の量を減らしたり特定のものだけを食べたりするダイエットでは一時的な体重の変化は見られても、体に必要な栄養素が不足して体調不良を引き起こしたり、リバウンドを招いたりしてしまいます。
特に懸念されるのが食物繊維不足による便秘やカルシウムとビタミンDが不足することによる骨粗しょう症、鉄不足による貧血などです。
鉄不足は月経異常の原因にもなり得ます。
ヒトの体に必要な栄養素には炭水化物・脂質・たんぱく質の他、13種類のビタミン[9]、16種類のミネラルがあります[10]。
ビタミンは水に溶ける「水溶性ビタミン」と油に溶ける「脂溶性ビタミン」に分けられ、以下の13種類があります。
分類 | 名称 |
---|---|
水溶性ビタミン | ビタミンB1 |
ビタミンB2 | |
ビタミンB6 | |
ビタミンB12 | |
ナイアシン | |
パントテン酸 | |
葉酸 | |
ビオチン | |
ビタミンC | |
脂溶性ビタミン | ビタミンA |
ビタミンD | |
ビタミンE | |
ビタミンK |
厚生労働省は13種類のミネラルに対し食事から摂取する基準量を設け、必要量によって多量ミネラルと微量ミネラルに分類しています。
分類 | 名称 |
---|---|
多量ミネラル | |
微量ミネラル | |
その他 | |
健康のためにはこれらの栄養素を過不足なく摂取する必要があるのですね。
ビタミンやミネラルのなかには栄養素をエネルギーや生命の維持に必要な物質に変える「代謝」というはたらきに関わるものが多くあります。
ダイエットにおいてはエネルギー代謝を高めることが重要です。
しっかりと体に必要な栄養素を摂取しておきましょう。
ポイント6 規則正しく食事をとる
ダイエット中は特に不規則な食事を避け、規則正しい食生活を心掛けましょう。
前の食事から時間が空くとおなかが空いてつい食べ過ぎてしまうかもしれません。
それにより血糖値が上がりやすくなってしまうこともダイエットには問題だといえます。
食後、食事に含まれていた糖質が分解され血液中に取り込まれると血糖値が上昇し、膵臓(すいぞう)から「インスリン」が分泌されます。
インスリンは細胞に血糖をエネルギーとして使わせ、血糖値を下げるはたらきのあるホルモンです。
インスリンにはエネルギーとして使い切れなかった血糖を脂肪として蓄えるはたらきを促進する作用もあるため、血糖値が急激に上昇すると、体脂肪の増加を招いてしまうのです。
また夜遅い時間の食事は摂取したカロリーが消費されにくいため体脂肪として蓄積されやすいといわれています。
夜遅く食べると太りやすくなることは遺伝子レベルの研究でも分かっているのです[11]。
どうしても食事が夜遅くなってしまうという場合はできるだけ脂肪が少なく、カロリーが低いものを選びましょう。
野菜中心のメニューにするのがおすすめですよ。
[11] 農林水産省「夜遅く食事をとるときは」
ポイント7 飲酒を控える
お酒を飲む習慣のある方は、できればこの1カ月ほどは飲酒を控えましょう。
「糖質ゼロのお酒を飲んでいるから大丈夫」
とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、アルコールには1g当たり7.1kcalのカロリーがあります[12]。
アルコール自体のエネルギーは体に蓄えられにくく、実際に利用されるカロリーは1g当たり5kcal程度だと推定されていますが、お酒には糖質やたんぱく質も含まれています。
銘柄によっても異なりますが、例えば350mLのビールに含まれるアルコールは約14gで、カロリーは約140〜180kcalです[12]。
一部はエネルギーにならなかったとしても、1カ月で3kgという厳しい目標に取り組んでいるときにこのカロリーは大敵だといえますね。
またアルコールには食欲を増進する作用があります。
お酒を飲んでつい食べ過ぎてしまった経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
お酒と相性の良い食べ物には脂質や糖質を多く含むものも少なくありません。
1カ月で結果を出したいとお考えなら、しばらくはお酒を我慢する、というのも一つの手でしょう。
2023年に発表された研究結果では、ノンアルコール飲料が飲酒量の減少に有⽤であり、減酒のきっかけにもなる可能性が明らかになりました[13]。
お酒を飲む習慣がなかなかやめられないという方は、ノンアルコール飲料を活用してみるのも良いでしょう。
ただし、糖質が含まれているものもあるため、糖質ゼロや糖質オフのものを選ぶと良いですね。
[13] H. Yoshimoto et al. 「Effect of provision of non-alcoholic beverages on alcohol consumption: a randomized controlled study」(BMC Medicine, volume 21, Article number: 379 (2023) )
3.1カ月で3kg痩せることを目指すための運動のポイント
「ダイエットのために運動した方が良いのは分かっているけど、何をしたら良いんだろう……」
このようにお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ダイエットに効果がある運動は大きく「有酸素運動」と「筋トレ」に分けられます。
ここではそれぞれの定義や効果などについてご説明しましょう。
なお、ダイエットにおすすめの具体的な運動については以下の記事でご紹介していますよ。
ポイント1 有酸素運動を行う
ダイエットに欠かせないのが有酸素運動の実施です。
有酸素運動は脂肪を燃料とするため、直接的な体脂肪の燃焼効果があり、ダイエットにぴったりの運動だといえます。
筋肉への負荷が比較的小さいため普段運動の習慣がない方でも始めやすいのも魅力的ですよね。
有酸素運動にはウォーキングやジョギング、サイクリング、エアロビクスダンス、水泳、アクアウォーキングなどが該当します。
痩せるためには激しい運動が必要だというイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、通常の運動は有酸素運動と短時間で激しい負荷のかかる「無酸素運動」が組み合わさっており、運動強度の低い運動の方が有酸素運動の割合が高くなります。
そのためジョギングよりもウォーキングの方が脂肪燃焼効果は高いと考えられるのです。
ただし、同じ時間実施する場合、消費カロリーは激しい運動の方が大きくなります。
運動の消費カロリーは1.05×メッツ×実施時間(時間)×体重(kg)という式で求められます[14]。
例えば体重50kgの方が30分間歩いた場合、消費カロリーは1.05×3.0(メッツ)×0.5(時間)×50で約79kcal(小数点第1位で四捨五入)となります。
一方ジョギングを行った場合、消費カロリーは1.05×7.0(メッツ)×0.5(時間)×50で184kcal(小数点第1位で四捨五入)です。
激しい運動を行った方が短時間で多くのカロリーが消費できることが分かりますね。
どのような運動を行うかはご自身の好みや、運動に充てられる時間を鑑みて決めると良いでしょう。
「歩行」という動作一つとっても、目的や速度、歩く道のコンディションなどによってメッツは異なります。
各運動のメッツが知りたいという方は国立健康・栄養研究所の「改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』」を参照してくださいね。
[15] 厚生労働省「身体活動・運動の単位」
ポイント2 筋トレを行う
有酸素運動と併せて筋トレを行うことも重要です。
仮に食事制限と有酸素運動だけのダイエットを行った場合、体脂肪は減りますが、それに伴って除脂肪量も減ってしまいます。
そのため基礎代謝も落ちてしまうと考えられるのです。
筋肉を維持し基礎代謝の低下を防ぐためには筋肉量を増やすための筋トレが欠かせません。
筋肉自体の基礎代謝量は1kg当たり13kcalだといわれていますが、除脂肪量が1kg増えると基礎代謝量は1日当たり約50kcal増えるという研究結果も発表されています[16]。
たったの50kcalと思った方もいらっしゃるかもしれませんが、1カ月で3kgという厳しい減量目標がある場合には微々たる消費カロリーも見逃せません。
また長期的に見ると、筋肉を増やしておくことで消費カロリーが大きくなりリバウンドもしにくくなると考えられるので、しっかりと筋トレを行っておきましょう。
「脂肪より筋肉の方が重いって聞いたんだけど、筋トレをしたら体重が増えちゃうんじゃない?」
このように気になった方もいらっしゃるかもしれませんね。
同じ重さで比較した場合、筋肉と脂肪では脂肪の方が大きくなります。
これは筋肉の密度が脂肪の密度よりも高く、重量当たりの体積が小さくなるためです。
そのため体脂肪を減らし、筋肉を増やせば、確かに体重が増えてしまうことも考えられます。
しかし、同じ体重でも筋肉が多い方が引き締まって見えるので、体重だけでなく体脂肪率も意識し、理想の体形を目指すのが良いと考えられるでしょう。
[16] 横浜市スポーツ医科学センター「肥満と減量(理論編) 知っておきたい肥満と減量の基礎知識 【理論3】減量に筋力トレーニングが必要な理由」
ポイント3 筋トレを有酸素運動より先に行う
「筋トレと有酸素運動はどっちを先にやったら良いの?」
このように気になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
脂肪燃焼効果を高めるためには、筋トレを先に行った方が良いとされています。
筋トレを行うと成長ホルモンが分泌されますが、成長ホルモンには筋肉の回復を早めるはたらきなどの他、脂肪の分解を促す作用があります。
このため筋トレを先に行い成長ホルモンを分泌させておくことで、その後の有酸素運動による脂肪燃焼効果を高められると考えられるのです。
一方、筋トレの前に有酸素運動を行ってしまうと成長ホルモンの分泌が完全に抑えられてしまうことが実験の結果から分かっています[17]。
せっかく運動を行うなら、最大限の脂肪を燃やしたいものですよね。
筋トレを先に行い、その後で有酸素運動を行うという習慣を身に付けると良いでしょう。
[17] 横浜市スポーツ医科学センター「肥満と減量(理論編) 知っておきたい肥満と減量の基礎知識 【理論3】減量に筋力トレーニングが必要な理由」
4.1カ月で3kg痩せることを目指すためのポイントまとめ
1カ月で体脂肪を3kg減らすためには食事で摂取するカロリーを減らした分と運動で消費するカロリーを増やした分を合わせて21,000kcalにする必要があります。
1カ月を30日とすると1日に700kcalの計算になるので、かなり厳しい目標であることが分かりますよね。
目標体重が低体重に当たる方は健康を損ねるリスクがあるのでダイエットを行わないよう注意しましょう。
また健康といえる範囲の減量であっても、急なダイエットは体調不良やリバウンドの原因となり得るので注意が必要です。
短期間での減量を目指す場合には目標体重の推定必要カロリーを計算し、それを目安としてカロリー制限を行いましょう。
糖質や脂質の摂り過ぎに注意してたんぱく質を十分に摂ることも重要です。
また食物繊維やその他の体に必要な栄養素をバランス良く摂り、規則正しい食生活を送ることを心掛けましょう。
お酒を飲む習慣のある方は節酒も重要です。
運動では有酸素運動で体脂肪を燃やし、筋トレで基礎代謝を増やします。
同日に行う場合は筋トレを先に行ってから有酸素運動を行うのがおすすめです。
この記事を参考に理想の体形を目指してみてくださいね。