筋トレとランニングの適切な順番は?両立のためのポイントも紹介

2024年04月01日

2024年11月11日

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「筋トレとランニングを組み合わせるならどっちを先にやるべきなんだろう?」

このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

筋トレとランニングを組み合わせることにはいくつかのメリットがありますが、目的によってどのような順番で行うべきかが異なります。

せっかく運動をするなら、少しでも効果のある方法で実践したいものですよね。

この記事では筋トレとランニングを組み合わせるメリットや、目的別の適切な順番、筋トレとランニングを両立させるためのポイントをご紹介します。

1.筋トレとランニングの違いとは?

「筋トレとランニングの効果はどう違うんだろう……」

筋トレとランニングがそれぞれ体に与える影響やもたらす効果にどのような違いがあるのか、よく分からないという方もいらっしゃるでしょう。

筋トレとランニングには、いずれもカロリー(エネルギー)を消費する効果があります

ヒトは食べ物などから摂取したエネルギーを、生命を維持したり体を動かしたりするために消費しています。

体を活発に動かせば、その分消費カロリー(エネルギー消費量)を増やし、体重を減らすことができるのです。

しかし、筋トレとランニングの効果はそれだけではありません。

これらの運動は別のジャンルに分けられ、それぞれに異なる効果をもたらします。

ここでは、筋トレとランニングがそれぞれどのような運動で、どのような違いがあるのかを解説します。

1-1.筋トレは無酸素運動

 ベンチプレス

筋トレは短時間に強い筋力を使う瞬発的な運動である「無酸素運動」の一種です。

メモ
無酸素運動は息をせずに行う運動ではなく、筋肉を動かすエネルギーに酸素が使われない運動です。無酸素運動には筋トレの他に、短距離走や相撲などが含まれます。

運動による消費カロリー大きさは、運動の激しさや時間などによって決まります。

このため実施時間が同じであれば、激しい筋トレを行う方がランニングをゆっくり行うよりも多くのカロリーを消費できることになります。

しかし筋トレをランニングのように長時間行うことは難しいため、筋トレは効率良くカロリーを消費できる運動とはいえません。

筋トレによって得られる主な効果は筋肉量を増やし、筋力を上げるというものです。

筋トレをすると筋肉を構成する繊維の一部が傷つけられ、修復される際に元の筋繊維より太くなります。

この現象を「超回復」といい、筋肉量は筋トレと超回復を繰り返すことで増加します。

なお超回復には2〜3日かかり、この間は傷つけられた筋肉を休める必要があるといわれています[1]。

そのため筋トレは毎日行うのではなく、週に2~3回のペースで無理なく行うことが推奨されています [1]。

また筋肉量の増加に伴って基礎代謝が上がります。

基礎代謝とは
安静時に心拍や呼吸、体温の維持などヒトが生命を維持するために消費される必要最低限のカロリーのことです。

基礎代謝は筋肉量の影響を受けるため、筋肉が増えると基礎代謝量も増加するのです。

基礎代謝が上がると安静時に消費するカロリーだけでなく、運動時の消費カロリーも増えるといわれています。

筋肉が増えると消費カロリーが増え、太りにくい体になると考えられるのですね。

さらに、基礎代謝が上がると血行が良くなったり、冷えや肩こりが改善したりする効果もあるといわれています。

では、実際に筋トレを行う場合はどのようなトレーニングをすれば良いのでしょうか。

自宅で簡単にできる筋トレとして、自分の体重を利用するスクワットや腕立て伏せがあります。

スポーツジムなどではダンベル体操やマシンなどの器具を用いる方法があります。

10~15回程度を1セットとし、1~3セットを無理のない範囲で行うことが推奨されているため、自分のペースで実施してくださいね[1]。

自分に合った筋トレを日常生活に取り入れ、筋肉量を増やしていきましょう。

[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「 レジスタンス運動

1-2.ランニングは有酸素運動

 ランニング

ランニングは「有酸素運動」の一種です。

有酸素運動とは
筋肉への負荷が比較的軽く、筋肉を動かすエネルギー源として体内の脂肪や糖質とともに酸素を消費する運動のことです。ウォーキングやジョギング、ランニング、サイクリング、エアロビクスダンス、水泳、アクアビクスなどが該当します。

有酸素運動は脂肪を消費するため、直接的な体脂肪の減少効果が得られます

また血液中のLDLコレステロールの減少にも有効です。

LDLコレステロールとは
肝臓でつくられたコレステロールを全身へ運ぶ役割を担う脂質の一種です。増え過ぎると生活習慣病の原因となるため悪玉コレステロールとも呼ばれます。

有酸素運動にはさらに持久力の向上や心肺機能の改善、骨粗しょう症の予防といった効果も認められています。

骨粗しょう症とは
骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。原因として骨を形成するカルシウムやマグネシウムの不足、カルシウムの吸収に必要なビタミンDの不足、女性ホルモンの減少などが挙げられます。

運動不足はカルシウムの利用効率を低下させるため、骨粗しょう症の要因になります。

骨は物理的な刺激が加わると強度を増すため、ウォーキングやランニングのような有酸素運動は骨粗しょう症の予防に有効だと考えられています。

運動強度が比較的低い有酸素運動には、長時間続けやすいというメリットがあります。

このため効率良くカロリーを消費できる運動だといえるでしょう。

ただし通常の運動は有酸素運動と無酸素運動が組み合わさっており、激しい運動であるほど有酸素運動の割合が低くなります。

このため、ウォーキングやジョギングなどより動きの激しいランニングは有酸素運動の割合が小さいといえます。

メモ
ランニングはジョギングより速く走るトレーニングです。ジョギングは隣の人と話せるくらいの速度が目安で、ランニングでは息が弾んだり切れたりするくらいの速度が目安です。

ランニングは運動強度が大きい分消費カロリーは大きくなりますが、有酸素運動による脂肪燃焼の効果は小さくなります。

脂肪燃焼が目的の場合はあまり速度を上げ過ぎないようにしましょう。

また運動不足の方や高齢者の方など、いきなりランニングから始めることに抵抗がある場合はウォーキングから始めるなどして、無理なく習慣的に取り組みましょう。

2.筋トレとランニングを組み合わせるメリット

 ストレッチ

筋トレとランニングには異なる効果があります。

このため両者を組み合わせることで更なるメリットが得られると考えられます。

ここでは、筋トレとランニングを組み合わせることで得られるメリットをお伝えしましょう。

 筋トレと組み合わせるメリット

メリット1 ダイエットを効率良く進められる

筋トレとランニングを組み合わせると、片方だけしか行わない場合よりもダイエットを効率良く進められるものと考えられます。

筋トレで筋肉量が増えると基礎代謝が向上します。

これにより痩せやすく太りにくい体をつくることができます。

ランニングではカロリーを消費し、脂肪を燃焼させることができます。

また有酸素運動や食事制限だけに頼ったダイエットでは、基礎代謝が低下してしまうことが分かっています。

さらに、有酸素運動だけを長期にわたって行っていると、体がエネルギーの浪費を防ぐため脂肪を貯めやすくなるともいわれています。

このため、ダイエットを進める際には有酸素運動で脂肪を燃やすだけでなく、筋トレで筋肉量を増やし、基礎代謝を維持することが重要だと考えられるのです。

ダイエットを進めるためには筋トレなどの無酸素運動とランニングのような有酸素運動をバランス良く行うことが重要なのですね。

メリット2 美しい体を目指せる

筋トレとランニングを組み合わせることは、理想の体型を目指すことにも有効だと考えられます。

せっかく筋トレで筋肉を増やしても、その上に脂肪が乗っていれば筋肉はあまり見えないままです。

例えば腹筋はどんな人でも六つか八つに割れていますが、いわゆる「腹筋が割れている」状態にするためには筋トレで筋肉量を増やすことに加え、脂肪を減らすことが必要になるのです。

ランニングのような有酸素運動で脂肪を落とすことで、より筋肉の形がはっきりと見える体を目指すことができるのですね。

メリット3 身体能力をバランス良く高められる

ランニングで全身を使った上に筋トレで上半身や体幹などの筋肉を強化することで、バランス良く身体能力を高めることができます

筋トレで体幹などのインナーマッスルが鍛えられると、ランニングの姿勢が安定します。

また下半身の筋肉を鍛えることで足首や膝などの関節の負担を軽減できるためけがのリスクを減らせます。

さらに全身の筋肉が増強されることによってランニングの速度が向上し、タイムが改善されるといったパフォーマンスの向上も期待できるでしょう。

3.筋トレとランニングの適切な順番

筋トレとランニングを組み合わせる場合、目的によってトレーニングの適切な順番は異なります。

脂肪を燃焼させたい、筋肉を大きくしたいなど、自分の目的からトレーニングを行う順番を選んでくださいね

3-1.脂肪を燃焼させるなら筋トレが先

 サイズダウン

脂肪を燃焼させて体重を落としたい場合は筋トレの後にランニングを行うと効果的です。

筋トレのように筋肉に強い負荷がかかる運動を行うと、「成長ホルモン」が分泌されます

メモ
成長ホルモンは成長期だけではなく、生涯にわたって分泌されるホルモンです。免疫機能、認知機能などにも作用することが知られています。

成長ホルモンは成人の体では代謝に関わったり、骨や筋肉の発達を促したり、筋肉を疲労から回復させたりといったはたらきをしているといわれています。

代謝とは
栄養素をエネルギーや生命維持に必要な物質に変えるはたらきのことです。

さらに、成長ホルモンには脂肪の分解を促す強い作用があることが分かっています。

このため、筋トレを先に行って成長ホルモンの分泌を促しておくことで、有酸素運動による脂肪燃焼の効果を高めることができると考えられるのです。

3-2.筋肉を大きくするなら別日に

 ダンベル

筋肉を大きくしたい場合はランニングと筋トレを別日に行いましょう

無酸素運動の筋トレでは、筋肉中に蓄えられたグリコーゲンがエネルギー源として用いられます。

グリコーゲンとは
ヒトの筋肉や肝臓で合成され、蓄えられる糖質の一種です。筋肉中のグリコーゲンは運動で筋肉を使うと消費され、この際に乳酸が生成されます。

筋肉を大きくしたい場合は、筋トレでこのグリコーゲンを可能な限り消費する必要があります。

しかしランニングを行う際にもグリコーゲンは消費されてしまいます。

このため筋トレの前にランニングを行うと、筋トレで消費するためのグリコーゲンが枯渇し、効率的に筋肉を鍛えられなくなります

一方、高負荷の筋トレでグリコーゲンを使い果たし、疲弊した状態でランニングを行うとけがのリスクが高まってしまいます

また筋トレによって生成される乳酸には、筋肉の回復を担う成長ホルモンの分泌を促すはたらきがあります。

しかしランニングなどの有酸素運動で血流が良くなると、乳酸は老廃物などとともに腎臓や肝臓に運ばれ、分解・排出されてしまいます。

このため成長ホルモンの分泌量が減り、筋肉の超回復の効率を下げてしまう可能性も考えられるのです。

筋肉を大きくすることを優先したい方は、筋トレとランニングを別日に行うようにすると効率的に鍛えられるといえるでしょう。

4.筋トレとランニングを両立させるポイント

 ジムトレーナー

「筋トレとランニングを両立させるためにはどうしたら良いのかな……」

こう思う方もいらっしゃるかもしれませんね。

ここでは、筋トレとランニングを両立させるためのポイントを四つご紹介します

これから運動を始めたいと思っている方はぜひ参考にしてみてくださいね。

 筋トレと両立させるポイント

ポイント1 運動前後にストレッチをする

運動前後には、ストレッチを行うようにしましょう。

ストレッチは柔軟性を高めるために筋肉や関節を伸ばす運動で、「動的ストレッチ」と「静的ストレッチ」に大別されます

動的ストレッチは一定の方向に関節を動かしながら筋肉を伸ばしたり縮めたりし、その動きを繰り返すもので、ウォーミングアップに効果的とされています。

静的ストレッチは一定方向に筋肉を伸ばした状態でしばらく静止するもので、クーリングダウンに適しています。

ストレッチは、けがの予防や筋肉の疲労回復に効果があるといわれています。

けがをしたり筋肉に疲労がたまったりしていると運動を続けるのが困難になってしまいます。

運動前の動的ストレッチと運動後の静的ストレッチをしっかり行うことで、より安全かつ効率的に筋トレとランニングを続けていけるでしょう。

ポイント2 大きな筋肉から鍛える

筋トレは大きな筋肉を鍛えることから始めるのがおすすめです。

大きな筋肉を鍛える際には、同時に周辺の小さな筋肉も動かすことになります。

このため小さな筋肉も同時に鍛えることができるのです。

また、大きな筋肉は育ちやすく筋肉量の増加につながりやすいといわれています。

基礎代謝を効率良く上げられるといえるでしょう。

また、変化が目に見えやすいのでモチベーションの維持にも有効です。

体のなかでも大きな筋肉には太ももやお尻、背中、胸の筋肉などがあります。

まずはこれらの筋肉を鍛え、基礎代謝の向上を目指しましょう。

ポイント3 ランニングをあまり長時間行わない

長時間の有酸素運動は筋肉量の減少につながる恐れがあるため、ランニングを長時間行うことは避けましょう

有酸素運動を始めるとまず体内の糖質が、次いで脂質がエネルギー(カロリー)として消費されます。

しかし有酸素運動を長時間続けていると、エネルギー不足に陥った体が筋肉のたんぱく質をエネルギー源に変えてしまいます

メモ
ヒトの体に必要な栄養素のうち、エネルギー源となる、たんぱく質、脂質、炭水化物(糖質)のことを「エネルギー産生栄養素」といいます。また、たんぱく質は筋肉などの体の材料にもなります。

このため、ランニングのような有酸素運動を長時間続け過ぎると筋肉が減ってしまう恐れがあるのです。

せっかく筋トレで育てた筋肉がランニングによって減ってしまう事態は避けたいものですよね。

ランニングを行う場合は適切な時間にとどめ、適宜エネルギーを補給することを心掛けましょう。

ポイント4 栄養バランスの良い食事をする

体に必要な栄養素を過不足なく補給するために栄養バランスの取れた食事を心掛けましょう

体に必要だといわれている栄養素にはエネルギー源となる炭水化物・脂質・たんぱく質の他、13種類のビタミン[2]、16種類のミネラルがあります[3]。

特にたんぱく質は運動習慣がある方が積極的に摂取しておきたい栄養素です。

たんぱく質はエネルギー源となる他、筋肉や臓器、皮膚、髪の毛などを構成しており、筋トレで傷ついた筋肉を修復する超回復の際にも必要となります。

このため、たんぱく質が不足しているとせっかくトレーニングを行っても筋肉量が増えない恐れがあります。

厚生労働省は18〜64歳までの男性に1日当たり65g、65歳以上の男性に60g、18歳以上の女性に50gのたんぱく質の摂取推奨量を設定しています[4]。

たんぱく質は肉や魚、豆類などに多く含まれているのでこれらの食品を積極的に摂取しましょう。

ただし、たんぱく質を多く含むものは脂質も多い傾向にあるため脂質の摂り過ぎには注意が必要です。

なお、運動習慣のある方やしっかり筋肉をつけたい方は体重1kg当たり2gのたんぱく質を摂取すべきだといわれています[5]。

これは体重60kgの方であれば1日120gのたんぱく質が必要ということです。

たんぱく質が多いことで知られる鶏ささみ肉でも毎日約500g食べなければならない計算となるため、この量を食事のみから摂取するのは現実的ではありません。

このため、筋肉をつけたい方はプロテインの利用も視野に入れましょう。

筋トレに適したプロテインの種類や摂取方法についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

プロテインで筋肉がつくって本当?筋力アップのための摂取方法を解説

たんぱく質を体内で利用するには他の栄養素も必要となるため、バランスの良い食事を心掛けてくださいね。

[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「 ビタミン

[3] 国立研究開発法人国立循環器病研究センター「 栄養に関する基礎知識

[4] 厚生労働省「 日本人の食事摂取基準(2020年版)

[5] 一般社団法人 日本プロテイン協会「 誰でもわかるプロテインの基礎知識)

5.筋トレとランニングの順番についてのまとめ

筋トレは無酸素運動に該当し、筋肉量を増やして基礎代謝を上げるのに効果的です。

一方ランニングは有酸素運動で、体内の脂質や糖質を燃料とするため減量に有効です。

これらを組み合わせることでダイエットを効率良く進めたり、筋トレで鍛えた筋肉のラインをはっきりさせたりすることができます。

ダイエットを目的とする場合、筋トレはランニングよりも先に行うようにしましょう。

また筋肉を大きくすることを優先するのであれば別日に行うようにしましょう。

筋トレとランニングを両立させるには、運動前後のストレッチや栄養バランスの取れた食事が重要です。

また筋肉を鍛える際には大きな筋肉からトレーニングを行い、ランニングはあまり長時間行わないこともポイントです。

この記事を参考に、目的に合わせて筋トレとランニングを行ってくださいね。

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