「甘いものを食べると太るってイメージがあるし、砂糖のカロリーが気になるなあ……」
ダイエットや健康を意識して砂糖を摂り過ぎないようにしている方は多いでしょう。
実際に砂糖の摂り過ぎが肥満の原因になってしまう可能性もあります。
ただ、甘いものを食べずに過ごすのは精神的にもつらいですよね。
摂取量に注意したり、ちょっとした工夫をしたりすれば、体型や体重への影響を少なくしながら甘いものを楽しむこともできますよ。
この記事では砂糖のカロリーや、健康的に甘いものを楽しむ工夫などを詳しく解説していきますね。
1.砂糖の基礎知識
砂糖は非常に身近な調味料の一つですよね。
しかし、砂糖が何からできているのか、どのような物質が含まれているのかよく知らないという方もなかにはいらっしゃるのではないでしょうか。
まずは砂糖とはどのようなものなのか簡単にご説明しておきましょう。
1-1.主成分は「ショ糖」という糖質の一種
一般的な砂糖の成分はほとんどが「ショ糖」という糖質の一種です。
糖質は一般的にそれ以上体内で分解されない「単糖類」と単糖類が複数個結び付いてできる「少糖類」「多糖類」に分類されます。
単糖類が2個結び付いたものは「二糖類」と呼ばれ、少糖類に含めるケースもあります。
ショ糖は「ブドウ糖」と「果糖」という二つの単糖類が結び付いてできた二糖類の一種です。
「砂糖を摂り過ぎると太る」というイメージがあるかもしれませんが、ショ糖だけでなく糖質全般の特徴として、不足するとエネルギー不足による集中力の減退や疲労感が見られます。
その反面、摂り過ぎでエネルギーとして消費しきれないと中性脂肪として体内に蓄積され肥満や生活習慣病の原因にもなります。
1-2.原料や製造法によってさまざまな種類がある
「黒砂糖と白砂糖は何が違うの?」
このように気になっている方もいらっしゃるかもしれませんね。
砂糖には原料や製造法によってさまざまな種類があります。
一般的な砂糖の原料として使われているのは、さとうきびとてんさいという2種類の植物です。
砂糖は原料にかかわらず製法の違いによって「分蜜糖」と「含蜜糖」に大別できます。
分蜜糖は原料からブドウ糖や果糖が多く含まれる「糖蜜」を分離させ、糖だけを結晶化させて作られる砂糖です。
一般的に料理に使われる白砂糖(上白糖)や少し褐色を帯びた三温糖、グラニュー糖などは分蜜糖に分類されます。
一方含蜜糖は糖蜜を分けず、糖と一緒にそのまま結晶化させて作られます。
精製されていないため原料の風味が残るのが特徴で、黒砂糖などが該当します。
【関連情報】 「代表的な砂糖10種を徹底解説」についてもっと知りたい方はこちら
2.種類別・砂糖のカロリーまとめ
「砂糖=太る」という漠然としたイメージを持っていても、実際砂糖にどれくらいのカロリーがあるのかを知る機会はなかなかありませんよね。
ここでは代表的な砂糖類の1g当たりのカロリーを比べてみましょう。
【砂糖類と1g当たりのカロリー】
種類 | カロリー |
---|---|
グラニュー糖 | 3.94kcal |
角砂糖 | 3.94kcal |
氷砂糖 | 3.94kcal |
粉糖 | 3.93kcal |
上白糖(白砂糖) | 3.91kcal |
三温糖 | 3.90kcal |
黒砂糖 | 3.52kcal |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
種類によってやや異なるものの、1g当たり約4kcalであることが分かりますね。
炭水化物のエネルギー量(カロリー)は由来する食品によってわずかに異なるものの、1g当たり約4kcalとされています。
砂糖のカロリーは、糖以外の成分が製造過程でどれだけ取り除かれているかによって異なると考えられるでしょう。
黒砂糖は精製されていない分、糖以外の成分が多く、カロリーが低くなっているのですね。
3.健康的な砂糖の摂取量の目安は?
「砂糖はどれくらいなら摂取して良いの?」
と疑問に思っている方もいらっしゃるかもしれませんね。
ここでは糖類を健康的に摂取するための摂取量の目安についてご説明しましょう。
WHOが発表する「Guideline: Sugars intake for adults and children」は成人および児童の糖類の摂取量を定めたガイドラインです。
このガイドラインでは砂糖そのものについてではなく、「遊離糖類」の摂取量の目安を定めています。
遊離糖類とは食べ物や飲み物に添加する糖類や蜂蜜、シロップ、果汁、濃縮果汁中に天然に存在する単糖類と二糖類のことで、砂糖の主成分であるショ糖も該当します。
ただし加工していない野菜や果物、乳にもともと含まれる糖は摂取による有害な影響を裏付ける証拠がないため含まれません。
砂糖だけでなく加工食品などから無意識のうちに摂取している遊離糖類全般に気を付けるべきということですね。
WHOは成人および児童の1日当たりの遊離糖類摂取量を総摂取カロリーの10%未満に減らすよう推奨しています[1]。
これにより、過体重や肥満、むし歯のリスクを減らせることが分かっているのです[1]。
また5%まで抑え、1日25g程度に抑えられた場合にはさらに健康に良い効果があるとしています[1]。
実際、遊離糖類の摂取量を毎日計算するのは非現実的かもしれませんが、調理の際は砂糖の使用量に気を付ける、甘い飲み物を避けるといったことを心掛けるのが良いと考えられるでしょう。
4.健康的に甘いものを楽しむポイント
「健康のために遊離糖類の摂取量を減らすにはどうしたら良いの?」
「摂取カロリーは抑えたいけど、甘いものは食べたい……」
このように気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
甘いものを完全に我慢する、というのは現実的ではありませんし、ストレスにもなってしまいます。
ここでは健康的に甘いものを楽しむポイントをご紹介しましょう。
4-1.無意識に摂取している糖類を控える
私たちは普段何げなく糖類を口にしています。
普段の料理に使う砂糖の量を意識するのは一つの有効な手段といえるでしょう。砂糖の量をレシピより控えめにしたり、一部を糖類の少ない甘味料に置き換えたりすることもお勧めです。
また、お菓子の摂り過ぎにも注意が必要です。
甘いお菓子に多くの糖類が使われていることは皆さんご存じですよね。
さらに飲み物からの糖類摂取も気を付けておきたいポイントだといえるでしょう。
甘みのある炭酸飲料だけでなく、スポーツドリンクなどにも糖類は添加されています。
遊離糖類を避けることを考えると果汁のジュースも飲み過ぎは禁物です。
普段ジュースで水分補給をしている方は無糖のお茶や水に切り替えるなど、できるところから工夫していきましょう。
[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「間食のエネルギー」
4-2.おやつやデザートには果物などを選ぶ
糖類を摂り過ぎていると感じる場合、おやつやデザートには果物などを選ぶのがおすすめです。
WHOのガイドラインでも、生の果物や野菜、乳に天然に含まれる糖類は摂取制限の対象外となっています。
出先で甘いものが食べたい、かばんにお菓子を忍ばせておきたいという方は無添加のドライフルーツを選ぶのも良いかもしれませんね。
4-3.カロリーオフやカロリーゼロの商品を選ぶ
やっぱりお菓子が食べたい、という方にはカロリーオフやカロリーゼロの商品がおすすめです。
これらの商品には、砂糖の代替となる高甘味度甘味料が使用されています。
高甘味度甘味料のいくつかは、甘味は強いものの1g当たりのカロリーは他の糖類と同じ約4kcalです[3]。
つまり、砂糖よりも少ないカロリーで十分な甘さを味わうことができ、遊離糖類の摂取量も減らせると考えられます。
ダイエットをしていてカロリーを抑えたい方などには特にぴったりだといえるでしょう。
[3] 独立行政法人 農畜産業振興機構「砂糖以外の甘味料について」
4-4.食物繊維を十分に摂る
普段の食生活であまり食物繊維を摂れていないという方は、十分な摂取を心掛けましょう。
食物繊維とは炭水化物のうちエネルギーにならないもので、消化・吸収されることなく大腸まで到達します。
おなかの調子を整える効果があることはよく知られていますよね。
実は食物繊維には糖や脂質、ナトリウム(塩分)を吸着して体の外に排出してくれるはたらきがあり、肥満や脂質異常症、糖尿病などの予防・改善に効果が期待できるとされています。
現在、ほとんどの日本人は食物繊維が不足した食生活を送っているといわれているため、野菜類や海藻類などの摂取量を増やすことをおすすめします。
【関連情報】 「糖質とカロリーの関係」についてもっと知りたい方はこちら
5.砂糖のカロリーと健康的な摂取方法について まとめ
砂糖の主成分はショ糖と呼ばれる二糖類の一種です。
炭水化物は1g当たり約4kcalであり、砂糖も種類によってやや異なるものの1g当たり4kcal弱であることが一般的であるといえるでしょう。
砂糖の摂取量に関する基準は存在しませんが、WHOは遊離糖類からのカロリー摂取を総摂取カロリーの10%未満、できれば5%未満にすることを推奨しています。
糖類を摂り過ぎていると考えられる方は普段の食生活で無意識に摂取している糖類を控える、おやつやデザートには果物を選ぶ、カロリーオフやカロリーゼロの商品を選ぶ、食物繊維を十分摂るといった工夫を心掛けましょう。