「キウイにはどんな栄養素が含まれているのかな?」
「キウイの栄養を効果的に摂取するにはどうすれば良いんだろう……」
定番フルーツの一つであるキウイですが、キウイに含まれる栄養素や摂取する際のポイントについては、あまりよく知らない方も多いのではないでしょうか。
キウイはビタミンCをはじめ、食物繊維やカリウムなど日常生活で摂取しておきたい栄養素を含むフルーツです。
今回この記事ではキウイに含まれる栄養素とそのはたらきについて解説していきます。
またキウイを選ぶ際のポイントや効率的に摂取する方法についても併せてご紹介しますよ。
1.キウイとは?
キウイはビタミンCやカリウムなどさまざまな栄養素を豊富に含むフルーツです。
まずはキウイにまつわる豆知識をお伝えしましょう。
キウイの原産は実は中国です。
元は「チャイニーズ・グーズベリー(サルナシ)」という名前で呼ばれていましたが、ニュージーランドに持ち込まれ、ニュージーランドの国鳥「キウイ(Kiwi)」に似ていたことから、キウイフルーツと名付けられました。
現在食べられているのは、ニュージーランドで品種改良が重ねられ栽培技術が確立され、世界に広まったものです。
日本では1970年代に愛媛県のみかん農家が栽培を始めたところから広まり[1]、現在では広い地域でさまざまな品種が開発・栽培されています。
またキウイには一般的に知られている果肉が緑色のもの(緑肉種)と果肉が黄色のもの(黄肉種)があります。
緑色のキウイは酸味と甘みのバランスが取れた味わいが特徴で、黄色のキウイは強い甘みのある味わいが特徴です。
最近ではこれらのキウイに加えて、果肉が赤く色づいている品種も開発されています。
2.キウイに含まれる主な栄養素とはたらき
「キウイに含まれる栄養素にはどんなはたらきがあるんだろう?」
このように気になってこの記事を読んでいる方も多くいらっしゃることでしょう。
キウイにはさまざまな栄養素が含まれています。
また果肉が緑色のキウイと黄色のキウイでは、栄養素の含有量にも違いがあります。
ここではキウイに含まれる栄養素とそのはたらきについて説明します。
この章では、キウイ(緑肉種)の栄養成分を参照し、含有量が食品表示基準の「高い旨」「含む旨」の基準を満たしている栄養素をご紹介しています。
また妊娠中・授乳中は栄養素の必要量が増加する場合があるので、該当の方は厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」または各項でご紹介している栄養素の解説記事をご覧ください。
2-1.糖質
「キウイには糖質が多く含まれているのかな?」
このように気になっている方もいらっしゃるかもしれませんね。
確かに果物には野菜と比べて糖質が多く含まれている傾向にあります。
キウイの糖質含有量は以下のとおりです。
【キウイの可食部100g当たりの糖質含有量】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
キウイ(緑肉種) | 生 | 9.5g |
キウイ(黄肉種) | 生 | 11.9g |
糖質は炭水化物の一種で、体のエネルギーとなる栄養素の一つです。
糖質は摂り過ぎると太るという印象をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんね。
確かに摂取した糖質をエネルギーとして消費し切れなかった場合には中性脂肪として体内に蓄積され、肥満や生活習慣病の原因になってしまいます。
しかし糖質は生命を維持したり体を動かしたりする上で不可欠なエネルギー源であるため、不足すると集中力の減退や疲労感、ひどい場合には意識障害を引き起こします。
適切な量の糖質を摂取することが重要なのですね。
糖質の1日の摂取目標量については以下の記事をご覧ください。
糖質は一日にどれくらい摂取するべき?摂り過ぎにも不足にも注意!
なおキウイのカロリーは可食部100g当たり緑肉種で51kcal、黄肉種で63kcalです[2]。
間食のカロリーは1日当たり200kcal程度として、1日に摂取するカロリーのなかで調整するのが適当であるといわれています[3]。
キウイは1個約100gといわれているので[4]、一つや二つ程度であれば低カロリーでおやつとしてもぴったりなフルーツだといえるでしょう。
2-2.食物繊維
緑肉種のキウイには食物繊維が多く含まれています。
キウイの100g当たりの食物繊維の量は以下のとおりです。
【キウイの可食部100g当たりの食物繊維含有量】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
キウイ(緑肉種) | 生 | 2.6g |
キウイ(黄肉種) | 生 | 1.4g |
黄肉種のキウイにも食物繊維は含まれていますが、こちらは緑肉種に比べると少ない含有量となっています。
食物繊維は同じ炭水化物である糖質が体のエネルギー源となるのに対し、ヒトの消化酵素では消化できないためほとんどエネルギーになりません。
その半面、消化されずに腸まで到達し、便の材料となったり、腸内の善玉菌の餌となって増殖を助けたりすることでおなかの調子を整えるはたらきがあります。
また脂質や糖質、食塩の主成分の一つであるナトリウムを吸着して体外に排出する作用も持っています。
これにより、脂質や糖質、ナトリウムの取り過ぎによって起こる肥満や高血糖、高血圧などの生活習慣病を予防・改善する効果が期待されています。
体に良いさまざまな効果が期待されている食物繊維ですが、日本人の食生活では不足しがちであるといわれており、摂取量を増やしておきたい栄養素の一つです。
食物繊維の理想的な摂取量は1日当たり24g以上であるとされていますが[5]、日本人の摂取量はこれよりもかなり少ないため、厚生労働省は日本人の成人の食物繊維摂取量(中央値)と理想的な摂取量の中間値を参照して1日の摂取目標量を設定しています。
18歳以上の男性の摂取目標量は20〜21g、女性の摂取目標量は17〜18g以上です[5]。
食物繊維の含有量は黄色のキウイよりも緑のキウイの方が多いため、食物繊維を摂取したいなら緑のキウイを食べるのが良いでしょう。
食物繊維の摂取目標量や摂取源となる食品については以下の記事をご覧ください。
2-3.ビタミンE
キウイにはビタミンEが豊富に含まれています。
キウイ100gに含まれるビタミンEの量をみていきましょう。
【キウイの可食部100g当たりのビタミンE含有量】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
キウイ(緑肉種) | 生 | 1.3mg |
キウイ(黄肉種) | 生 | 2.5mg |
ビタミンEは水に溶けにくい半面、油脂やアルコールに溶ける性質を持つ脂溶性ビタミンの一つです。
ビタミンEには抗酸化作用があります。
また活性酸素は肌のしみやしわ、たるみ、くすみなどの原因になるともいわれています。
ヒトの体には本来、活性酸素を抑える機能が備わっていますが、加齢とともにその機能は低下していきます。
活性酸素を処理し切れなくなってしまわないよう、ビタミンEなど抗酸化用のある物質をしっかり摂取しておくことが重要なのです。
成人のビタミンEの1日の摂取目安量は男性の場合18〜49歳で6.0mg、50〜74歳で7.0mg、75歳以上で6.5mgです[6]。
また女性の場合18〜29歳で5.0mg、30〜49歳で5.5mg、50~64歳で6.0mg、65歳以上で6.5mgです[6]。
キウイなどの食品を通じてしっかり摂取しておきましょう。
ビタミンEのはたらきや摂取源となる食べ物については以下の記事をご覧ください。
ビタミンEが多く含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説
2-4.ビタミンK
キウイから摂取できる栄養素にはビタミンKもあります。
キウイのビタミンK含有量は以下のとおりです。
【キウイの可食部100g当たりのビタミンK含有量】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
キウイ(緑肉種) | 生 | 6µg |
キウイ(黄肉種) | 生 | 6µg |
ビタミンKは出血の際に血液を凝固させるはたらきに関わっており、不足すると鼻血や月経過多などの症状を引き起こします。
また骨をつくるはたらきを調節したり、動脈の石灰化を抑制したりする作用も持っています。
18歳以上の男女のビタミンKの1日の摂取目安量はいずれも150μgとされています[7]。
キウイだけでは1日分のビタミンKを摂取することは難しいといえますが、他の食品と合わせてしっかりビタミンKを補給しましょう。
ビタミンKのはたらきや摂取源となる食品については以下の記事で詳しく解説しています。
ビタミンKにはどんな効果がある?摂取目安量とおすすめの食材を紹介
2-5.ビタミンB6
ビタミンB6はキウイに豊富に含まれる栄養素です。
キウイに含まれるビタミンB6の含有量をみてみましょう。
【キウイの可食部100g当たりのビタミンB6含有量】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
キウイ(緑肉種) | 生 | 0.11mg |
キウイ(黄肉種) | 生 | 0.14mg |
ビタミンB6は水溶性ビタミンの一種で、ビタミンB群の仲間です。
たんぱく質や脂質、炭水化物の代謝の補酵素としてのはたらきがあります。
特にたんぱく質の材料となるアミノ酸の代謝に関わるため、たんぱく質の摂取量が多くなるとそれに伴ってビタミンB6の必要量も増加します。
ビタミンB6はその他にも免疫機能の維持において重要なはたらきを果たします。
また不足すると湿疹や皮膚炎、舌炎、口角炎などの他、免疫機能の低下や貧血などを生じてしまうとされています。
皮膚や粘膜の健康維持にも欠かせないので、健康や美容のためにもしっかり摂っておきたい栄養素ですね。
ビタミンB6の1日の摂取推奨量は18歳以上の男性の場合1.4mg、女性の場合1.1mgです[8]。
他の食品と合わせてしっかり摂取しておきましょう。
ビタミンB群について知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンB群を豊富に含む食べ物は?それぞれの食事基準や作用も解説
またビタミンB6の摂取源となる食べ物や、はたらきなどについては詳しくは以下の記事で解説しています。
2-6.葉酸
キウイには葉酸も豊富に含まれています。
キウイに含まれる葉酸の含有量は以下のとおりです。
【キウイの可食部100g当たりの葉酸含有量】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
キウイ(緑肉種) | 生 | 37µg |
キウイ(黄肉種) | 生 | 32µg |
葉酸は水溶性ビタミンでビタミンB群の一種です。
DNAなどの合成、アミノ酸の代謝、たんぱく質の合成などに関わり、細胞の増殖において重要なはたらきを果たします。
またビタミンB12と共に、血をつくる上で重要な栄養素です。
葉酸の1日の摂取推奨量は18歳以上の男女ともに240μgとされています[9]。
また妊娠初期や妊娠を計画している女性は胎児の「神経管閉鎖障害」のリスクを減らすために、1日400㎍の葉酸を摂取するようにしましょう[9]。
胎児だけでなく、成長期の子どもも成長のために葉酸を大量に消費します。
日頃の食事からしっかり葉酸を摂取できるようにしておきましょう。
葉酸のはたらきや摂取源となる食べ物については以下の記事で詳しく解説しています。
葉酸が多く含まれている食べ物とは?効果や摂取基準もあわせて解説
妊娠・授乳中は葉酸を摂取すべき量が大きく増えるので、該当の方はこの記事をご覧ください。
2-7.パントテン酸
キウイに含まれる栄養素にはパントテン酸もあります。
緑肉種には特に豊富なパントテン酸が含まれています。
【キウイの可食部100g当たりのパントテン酸含有量】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
キウイ(緑肉種) | 生 | 0.31mg |
キウイ(黄肉種) | 生 | 0.26mg |
パントテン酸はビタミンB群の一種です。
さまざまな食品に含まれる栄養素で、糖質や脂質を構成する脂肪酸の代謝に関わります。
幅広い食品に含まれているため不足することはまれですが、不足すると手足のしびれや頭痛、疲労、不眠、胃の不快感を伴う食欲不振の他、成長が止まったり、副腎が傷つけられたりします。
成人のパントテン酸の1日の摂取目安量は男性の場合、18〜49歳で5mg、50歳以上では6mgです[10]。
また18歳以上の女性は5mgです[10]。
キウイや他の食品から、しっかり摂取しておきましょう。
2-8.ビオチン
キウイから摂取できる栄養素の一つ、ビオチンの含有量をみていきましょう。
【キウイの可食部100g当たりのビオチン含有量】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
キウイ(緑肉種) | 生 | 1.4µg |
キウイ(黄肉種) | 生 | 未測定 |
ビオチンはビタミンB群の一種です。
糖質や脂質、アミノ酸の代謝や、エネルギーを生み出すはたらきに関わっており、皮膚や粘膜の健康維持を助ける作用もあります。
腸内細菌によっても合成されますが、それだけでは必要量を満たすことができないので食品などからの摂取が必要です。
不足すると皮膚炎や舌炎の他、食欲不振、吐き気、筋肉痛、脱毛、結膜炎、うつ症状、知覚過敏などさまざまな症状が現れるので注意が必要です。
ただしビオチンはさまざまな食品に含まれているため、通常の食生活を送っていれば不足する心配はあまりないといえるでしょう。
キウイを含めさまざまな食品からビオチンをしっかり摂取しておきましょう。
ビオチンの摂取目安量は18歳以上の男女ともに1日50μgです[11]。
ビオチンについて詳しく知りたいという方は以下の記事で詳しく解説しているのでお読みください。
ビオチンとは?はたらきや摂取の目安量、摂取源となる食品を解説
2-9.ビタミンC
キウイにはビタミンCも豊富に含まれています。
キウイ100gに含まれるビタミンCの量をみてみましょう。
【キウイの可食部100g当たりのビタミンC含有量】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
キウイ(緑肉種) | 生 | 71mg |
キウイ(黄肉種) | 生 | 140mg |
ビタミンCは皮膚や軟骨、腱(けん)などの材料となるたんぱく質「コラーゲン」の生成に欠かせない水溶性ビタミンの一種です。
また抗酸化作用や、消化管において鉄の吸収を高めるはたらきも有しています。
ビタミンCが不足するとコラーゲンが合成できなくなり、血管がもろくなるために出血しやすくなります。
重度の場合には「壊血病」と呼ばれる病気になり、歯肉や皮下で出血を起こしたり、貧血が生じたり、筋肉の減少や呼吸困難といった症状が現れたりします。
また気力の低下や倦怠(けんたい)感、疲労感といった症状もあります。
ビタミンC不足は野菜や果物の摂取量が少ない方や喫煙の習慣がある方、高齢の方などで多く見られます。
1日の摂取推奨量は18歳以上の場合男女ともに100mgなので、当てはまる方はしっかりとビタミンCを摂るよう心掛けましょう[12]。
緑肉種では1個半、黄肉種なら1個で1日分のビタミンCが摂れるので心強い味方だといえるでしょう。
ただし、1日当たり10mgのビタミンCを摂取すれば壊血病は発症しないとされているので、推奨量を満たせていないからといってすぐに病気の心配をする必要はありません[12]。
ビタミンCのはたらきや摂取源となる食品、ビタミンCにまつわる噂については以下の記事で詳しく解説しています。
ビタミンCの美容・健康効果は?目標摂取量と豊富に含まれている食品
2-10.カリウム
キウイにはカリウムも豊富に含まれています。
キウイ100g当たりのカリウムの含有量をみていきましょう。
【キウイの可食部100g当たりのカリウム含有量】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
キウイ(緑肉種) | 生 | 300mg |
キウイ(黄肉種) | 生 | 300mg |
カリウムは細胞内液の浸透圧を調整するはたらきをもつミネラルの一種です。
またナトリウムの排出や体液のpHバランスの維持、神経、筋肉の興奮伝達などさまざまなはたらきを持っています。
特に高血圧を予防・改善する目的で積極的な摂取が勧められる栄養素だといえるでしょう。
カリウムの摂取量が不足すると細胞の浸透圧や神経の興奮性、筋肉の収縮に影響が出るのはもちろん、脱力感、食欲不振といった症状が現れます。
カリウムの1日の摂取目標量は18歳以上の男性で3,000mg以上、女性で2,600mg以上です[14]。
キウイなどのフルーツや野菜をしっかり摂り、十分な量のカリウムを摂取するよう心掛けましょう。
ただし腎機能が低下している場合はカリウムを尿から十分に排せつできなくなってしまうため、体内にカリウムが蓄積し不整脈などを引き起こす可能性があります。
腎機能の低下が指摘されている方は必ず主治医にカリウムの摂取量について確認してください。
カリウムの摂取源となる食べ物や過不足による影響などについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
[13] 厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」
2-11.カルシウム
緑肉種のキウイからはカルシウムも摂取できます。
【キウイの可食部100g当たりのカルシウム含有量】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
キウイ(緑肉種) | 生 | 26mg |
キウイ(黄肉種) | 生 | 17mg |
カルシウムは人体に最も多く含まれるミネラルで、骨や歯をつくるはたらきをします。
体重の1〜2%を占めており、99%は骨および歯を構成していますが、残りの約1%は血液や細胞、組織液に分布し血液凝固や心機能、筋肉の収縮などに関わっています[16]。
長い期間カルシウムが不足すると健康な骨をつくることができず、骨の組織がスカスカになり骨折しやすくなる「骨粗しょう症」、子どもでは曲がりやすく伸びにくい骨ができてしまう「くる病」などの病気を招きます。
また高血圧や動脈硬化、認知障害、免疫異常、糖尿病、肥満などさまざまな病気・異常が引き起こされる可能性も考えられています。
非常に重要なカルシウムですが、日本人の一般的な食生活では十分に摂取できていないと考えられます。
成人のカルシウムの1日の摂取推奨量は男性の場合、18〜29歳で800mg、30歳〜74歳で750mg、75歳以上で700mgです[16]。
また女性の場合は18〜74歳で650mg、75歳以上で600mgです[16]。
カルシウムは乳製品や魚介類、大豆製品、ナッツ類、海藻類などに多く含まれています。
キウイだけで推奨量を摂取するのは困難ですが、ヨーグルトにカットキウイを入れるなど他の食品と組み合わせて摂取するのも良いでしょう。
カルシウムのはたらきや摂取源となる食品などについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
カルシウムとは?はたらきや摂取すべき量、摂取源となる食品を解説
2-12.マグネシウム
キウイからはマグネシウムを摂取することもできます。
キウイのマグネシウム含有量は以下のとおりです。
【キウイの可食部100g当たりのマグネシウム含有量】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
キウイ(緑肉種) | 生 | 14mg |
キウイ(黄肉種) | 生 | 12mg |
マグネシウムはカルシウムと共に骨の健康を維持する他、筋肉や脳、神経など全身の細胞に広く分布して300種類以上の酵素の補酵素としてはたらき[17]、ほとんど全ての代謝や生合成反応に関わります。
神経伝達やホルモンの分泌、筋肉の収縮、骨の弾性維持などさまざまな場面で機能する栄養素です。
不足すると吐き気や嘔吐(おうと)、眠気、脱力感、筋肉のけいれんや震え、食欲不振などの症状が現れます。
また不足が長期にわたると骨粗しょう症や心疾患、糖尿病などの生活習慣病のリスクが高まると考えられていますが、科学的根拠はまだ十分ではありません。
このように非常に重要なマグネシウムですが、動植物の全ての細胞に存在するため、加工や精製をなされていない食品には満遍なく含まれており、通常の食生活で深刻に不足することはありません。
ただし平均的な摂取量は摂取推奨量に達していないため摂取を心掛けても良いでしょう。
成人のマグネシウム摂取推奨量は男性の場合18〜29歳で340mg、30〜64歳で370mg、65〜74歳で350mg、75歳以上で320mgです[18]。
また女性の場合は18〜29歳で270mg、30〜64歳で290mg、65〜74歳で280mg、75歳以上で260mgです[18]。
キウイのマグネシウム含有量は多くはないものの、摂取推奨量を摂取するためにも食事に取り入れると良いでしょう。
マグネシウムのはたらきや年代別の摂取推奨量、摂取源となる食品などについて知りたい方は以下の記事をお読みください。
2-13.鉄
鉄もキウイに含まれる栄養素の一つです。
【キウイの可食部100g当たりの鉄含有量】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
キウイ(緑肉種) | 生 | 0.3mg |
キウイ(黄肉種) | 生 | 0.2mg |
鉄は人体に不可欠なミネラルの一つで、人体にある鉄のうち70%が赤血球の「ヘモグロビン」、筋肉中の「ミオグロビン」に、30%が筋肉や骨髄、肝臓にストックされています[19]。
鉄の不足によって酸素を運ぶ役割を持つヘモグロビンが減少することは、赤血球の減少にもつながるため、酸素が十分に供給されなくなり「鉄欠乏性貧血」を起こします。
また筋肉組織内に酸素を運搬するはたらきを持つ「ミオグロビン」が鉄不足によって減少すると、筋力低下や疲労感といった症状が現れます。
鉄の必要量は男女で異なり、月経がある方や妊娠・授乳中の方は必要量が増大します。
特にダイエットなどで食生活が偏ると鉄不足による貧血に陥りやすいといわれているのでしっかり摂取しておきましょう。
成人の鉄の摂取推奨量は男性の場合18〜74歳で7.5mg、75歳以上で7.0mgです[20]。
一方月経のある女性では18〜49歳で10.5mg、50〜64歳で11.0mgです[20]。
月経のない女性の場合、18〜64歳で6.5mg、65歳以上で6.0mgに設定されています[20]。
妊娠中・授乳中、特に妊娠中期から後期にかけては推奨量が大きく増大するので該当の方は注意してください。
また鉄を摂取する際はその種類にも注目しましょう。
野菜などに含まれる「非ヘム鉄」は、肉や魚に含まれるたんぱく質と結合した「ヘム鉄」より吸収率が低いとされています。
しかしビタミンCや動物性たんぱく質は非ヘム鉄の吸収を促進するといわれているので、非ヘム鉄を摂取する際には食べ合わせに気を付けることで吸収率を上げられると考えられます。
キウイはビタミンCも豊富に含んでいますし、肉や魚と一緒に摂取するのも一つの手でしょう。
キウイに含まれる「アクチニジン」と呼ばれる酵素にはたんぱく質を分解するはたらきがあるため、肉と一緒に漬けることで、肉をやわらかくしてくれますよ。
鉄の摂取源となる食品や年代別・状況別の詳しい摂取推奨量などが知りたい方は以下の記事をお読みください。
鉄分が多く含まれる食べ物と効果的な摂り方は?貧血気味の方必見!
[19] 厚生労働省 e-ヘルスネット「鉄」
2-14.銅
銅はキウイに豊富に含まれる栄養素の一つです。
キウイの銅含有量をみてみましょう。
【キウイの可食部100g当たりの銅含有量】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
キウイ(緑肉種) | 生 | 0.10mg |
キウイ(黄肉種) | 生 | 0.07mg |
銅はエネルギーや神経伝達物質を生み出すはたらきや鉄の代謝、活性酸素の除去などに関わるミネラルです。
銅は成人の体内には100mgほどあり、筋肉や骨に約65%、肝臓中に約10%存在しています[21]。
また鉄と共に血をつくるはたらきにも関わっています。
重要な栄養素の一つですが、通常の食生活では不足しにくいといわれており、平均的な摂取量も摂取推奨量を満たしているので意識して摂取量を増やす必要はないといえるかもしれません。
成人男性の銅の摂取推奨量は18〜74歳で0.9mg、75歳以上で0.8mgです[21]。
また18歳以上の女性の摂取推奨量は0.7mgです[21]。
ただし授乳中の付加量が大きいので該当の方は注意してください[21]。
3.キウイを摂取する際のポイント
「キウイに含まれる栄養素を効率良く摂取するにはどうすれば良いのかな?」
キウイに豊富に含まれる栄養素をしっかり摂取するにはどんなことに気をつければ良いのか、四つのポイントを紹介します。
キウイがあまり好きではないという方も、おいしく食べるコツなどが分かればキウイを摂取しやすくなるかもしれませんよ。
ポイント1 完熟キウイを選ぶ
スーパーなどでキウイを購入する際は完熟キウイを選ぶようにしましょう。
キウイを苦手とする方のなかにはキウイの酸味や実の硬さを苦手な理由として挙げる方もいるのではないでしょうか。
キウイは完熟すると実が柔らかくなり、甘みも増すため食べやすくなります。
完熟キウイを見分ける方法が分かれば、おいしいキウイを食べられますよね。
食べごろの完熟キウイを見分けるには、まずキウイを軽く握ってみましょう。
少し弾力を感じられるものであれば完熟しています。
強く握ってしまうとキウイを傷つけてしまう恐れがあるので気を付けてくださいね。
ポイント2 追熟で甘くする
「まだ硬くて完熟していないキウイを買ってしまった場合にはどうすれば良いの?」
硬いキウイを買ってしまい困っているという方は、自宅でキウイを追熟させて甘くすると良いでしょう。
キウイは室温で保管することで、冷蔵庫に入れて保存するよりも早く追熟させられます。
もっと早く追熟させたい場合にはビニール袋にキウイを入れ、そこにりんごやバナナなども一緒に入れて保管してください。
りんごやバナナなどから放出される「エチレン」は、種子の発芽促進や果実を成熟させるはたらきをもっているため、キウイの追熟を進めてくれます。
追熟させるときは毎日硬さをチェックして食べごろを見逃さないようにしましょう。
大体数日で食べごろになるので、食べごろになったら冷蔵庫に入れて保存してください。
冷蔵庫に入れても追熟は進むため、できるだけ早めに食べるようにしましょう。
ポイント3 そのまま食べる
キウイに含まれる栄養素のなかには加熱や調理によって失われやすいものもあるため、生のまま食べるのがおすすめです。
加熱で失われやすい栄養素にはビタミンC、ビタミンB6が、調理で失われやすいものには葉酸が該当します。
またキウイの種類によっては皮ごと食べることで食物繊維や葉酸、ビタミンEなどの栄養素を無駄なく摂取できるものもあります。
キウイ特有の皮についた柔毛が気になるという方も多く、一般的には実だけを食べる方が多いようですが、キウイの本場ニュージーランドでは皮ごと食べる場合もあるようです。
表面の毛が気になる方は表面を軽くこすって毛を落とすと良いでしょう。
他にも皮付きのままミキサーなどを使いスムージーにすれば、食感が気にならなくなるのでおすすめですよ。
ポイント4 朝に摂取する
キウイなどフルーツは朝に摂取するのがおすすめです。
フルーツは短時間でエネルギーになるため、朝食あるいは昼食時に摂取すると良いでしょう。
朝にフルーツを食べることで睡眠中に枯渇したエネルギーや水分を補給できます。
また夜は活動量が減るためフルーツから摂取した糖分を消費するのは難しいといえますが、朝や昼は活動量が増える時間帯なのでしっかりと消費できるでしょう。
以上の理由からキウイをはじめフルーツは朝や昼に摂取するのが良いといえます。
忙しい朝にはスムージーにしたり、ヨーグルトやシリアルと一緒に食べたりするのもおすすめですよ。
その他にもトーストやサラダ、肉料理との相性も良いので、ぜひいろいろな食べ方でキウイを摂取してみてくださいね。
4.キウイの栄養について まとめ
キウイはビタミンCをはじめ、食物繊維や葉酸などさまざまな栄養素を含むフルーツです。
キウイには緑や黄色のキウイだけでなく、果肉が赤い品種のものもあります。
この記事を読むと、キウイに含まれる栄養素はおなかの調子を整えるものや軟骨や歯、皮膚のもととなるコラーゲンの生成に必要なものなど、健康的に過ごす上で重要なものがたくさんあることお分かりいただけたでしょう。
キウイの栄養素を効率良く摂取するには、生のまま食べるのがベストですが、キウイを摂取する習慣を身に付けるにはアレンジレシピでおいしく食べる方法を知っておくのもおすすめです。
完熟のキウイは軽く握った際に弾力が感じられます。
硬いキウイを買ってしまった場合は、常温で置いたり、りんごやバナナとビニール袋に入れ室温で保存したりすれば追熟させることができるのでお試しください。