「しいたけは体に良さそうだけど、どんな栄養素が含まれているのかな?」
おなじみの食材のしいたけですが、どのような栄養素が含まれているか詳しくはご存じないかもしれませんね。
しいたけには、体を構成するのに欠かせないたんぱく質や整腸効果のある食物繊維をはじめ、各種ビタミンやミネラルが多く含まれています。
この記事ではしいたけに豊富に含まれる栄養素とそのはたらき、またしいたけに特有の成分についても分かりやすく解説します。
選び方や保存方法についてもご紹介しますので、参考にしてくださいね。
1.しいたけの基礎知識
しいたけは、タンニンを含むコナラやミズナラ、クヌギ、シイなどの枯れ木に生えるきのこです。
ご存知のとおり、かさは茶褐色から黒褐色、柄の上部と肉の部分は白色をしています。
しいたけには「生しいたけ」とそれを乾燥させた「乾しいたけ」があります。
かつては原木に直接菌を植え付ける「原木栽培」が主流でしたが、気象条件などの影響を受けることから減少傾向にあります。
現在は「菌床栽培」が主流で、のこぎりなどで木材を加工するときに生じるおがくずなどを利用して育てられています。
生しいたけは菌床栽培の普及により一年を通して出回りますが、本来の旬は3~5月と9~11月といわれています[1]。
「生しいたけ」はすべての農産物で唯一栽培方法別の表示が義務付けられており、菌床栽培か原木栽培のいずれかが明記されています。
また国産の乾しいたけは、主に原木栽培された生しいたけを乾燥させて作られています。
しいたけのカロリーが気になる方もいらっしゃるかもしれませんね。
カロリーは、100g当たり菌床栽培のものが25kcal、原木栽培のものが34kcalです[2]。
数字だけだと高いのか低いのか、よく分かりませんね。
他のきのこのカロリーも見てみましょう。
【主なきのこの可食部100g当たりのカロリー】
食品名 | 加工状態など | カロリー |
---|---|---|
きくらげ | 生 | 14kcal |
マッシュルーム | 生 | 15kcal |
なめこ | 生 | 21kcal |
まいたけ | 生 | 22kcal |
ぶなしめじ | 生 | 26kcal |
エリンギ | 生 | 31kcal |
えのきだけ | 生 | 34kcal |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
原木しいたけは他のきのこに比べてカロリーが高めです。
ただしきのこ自体が低カロリーといわれる食品であることや、一度に食べる量から摂取するカロリーを考慮しても、しいたけのカロリーは高いとはいえません。
ダイエット中も安心して食べられる食材ですね。
[1] 独立行政法人農畜産業振興機構「今月の野菜 しいたけ」
[2] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
2.しいたけに豊富に含まれる栄養素
しいたけに含まれる栄養素について興味がある方もいらっしゃるでしょう。
しいたけには、ヒトの体の組織の材料になるたんぱく質や、優れた整腸作用を持つ食物繊維、各種ビタミン、ミネラルなど多くの栄養素が含まれています。
この記事では、一般的に多く流通している菌床しいたけに多く含まれる栄養素とそのはたらきをご紹介します。
この章では成人男女向けに1日当たりの摂取量の目安(食事摂取基準)を紹介しています。
17歳以下の方は乳児・小児の食事摂取基準を、妊娠中・授乳中の方は必要量が増える栄養素もあるため、妊婦・授乳婦の食事摂取基準で付加量をご確認ください。
【しいたけに豊富に含まれる栄養素(100g当たり)】
栄養素 | 含有量 |
---|---|
たんぱく質 | 3.1g |
食物繊維 | 4.9g |
ビタミンD | 0.3μg |
ビタミンB1 | 0.13mg |
ビタミンB2 | 0.21mg |
ナイアシン当量 | 4.0mg |
ビタミンB6 | 0.21mg |
葉酸 | 49μg |
パントテン酸 | 1.21mg |
ビオチン | 7.6μg |
カリウム | 290mg |
マグネシウム | 14mg |
鉄 | 0.4mg |
亜鉛 | 0.9mg |
銅 | 0.10mg |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
[3] 国立研究開発法人国立循環器病研究センター「栄養に関する基礎知識」
[4] 東京都保険医療局「栄養成分表示ハンドブック」
[5] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
2-1.たんぱく質
しいたけにはたんぱく質が豊富に含まれています。
しいたけ100g当たりのたんぱく質含有量は3.1gです[6]。
たんぱく質は「エネルギー産生栄養素」の一つです。
たんぱく質にはさまざまな種類があり、いずれも20種類のアミノ酸の結合により構成されています[7]。
筋肉・臓器・皮膚・毛髪などの材料となる他、ホルモンなどの構成成分として欠かすことのできない栄養素です。
たんぱく質が欠乏すると成長障害の他、体力や免疫機能の低下が起こることがあるため注意が必要です。
たんぱく質の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~64歳で65g、65歳以上で60gです[8]。
女性は18歳以上で50gです[8]。
たんぱく質についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
たんぱく質を多く含む食べ物は?摂取量の目安やおすすめの食材を解説
[6] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[7] 厚生労働省e-ヘルスネット「良質なたんぱく質」
[8] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-2.食物繊維
しいたけには食物繊維が豊富に含まれています。
しいたけ100g当たりの食物繊維含有量は4.9gです[9]。
食物繊維は消化酵素の影響を受けないため、胃や小腸などで消化・吸収されずに大腸まで達します。
便の体積を増やす他、ビフィズス菌や乳酸菌など善玉菌の餌を増やす役割を果たします。
さらに、血糖値の上昇の抑制や血中コレステロール濃度の低下など重要なはたらきを持つことも認められています。
現代の食生活では、かつてと比較して穀類やいも類・豆類の摂取量が減少したため、日本人の食物繊維の摂取量は不足気味です。
食物繊維は健康へ大きく貢献する栄養素であるため、積極的な摂取が必要とされています。
食物繊維の1日当たりの摂取目標量は男性の場合18~64歳で21g以上、65歳以上で20g以上です[9]。
女性は18~64歳で18g以上、65歳以上で17g以上です[10]。
食物繊維についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
食物繊維は1日にどのくらい摂ればいい?期待できる効果や食材を紹介
[9] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[10] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-3.ビタミンD
しいたけにはビタミンDが豊富に含まれています。
しいたけ100g当たりのビタミンD含有量は0.3μgです[11]。
ビタミンDは脂溶性ビタミンの一種です。
ビタミンDには、腸管や肝臓でのカルシウムとリンの吸収を促すはたらきがあります。
それによりコラーゲンをはじめとしたたんぱく質にリン酸カルシウムが沈着(石灰化)し、骨がつくられます。
ビタミンDが不足すると、腸管でのカルシウムの吸収や腎臓でのカルシウムの再吸収が滞り、低カルシウム血症が起こります。
低カルシウム血症は、骨粗しょう症や骨折のリスクを高めます。
さらに欠乏状態になると、小児の場合はくる病、成人では骨軟化症といった石灰化障害を起こす場合があります。
一方ビタミンDの過剰摂取は、腎臓や筋肉へのカルシウムの沈着や軟組織の石灰化の原因になるといわれます。
その他、嘔吐(おうと)や食欲不振、体重減少などの症状が現れることがあります。
ビタミンDの1日当たりの摂取目安量は、男女共に18歳以上で8.5μgです[12]。
ビタミンDについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンDはどんな食べ物に含まれる?1日の摂取基準やはたらきは?
[11] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[12] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-4.ビタミンB1
しいたけにはビタミンB1が豊富に含まれています。
しいたけ100g当たりのビタミンB1含有量は0.13mgです[13]。
ビタミンB1は水溶性ビタミンの一種です。
ビタミンB1は、主に糖質やアミノ酸が体内で代謝される際の補酵素としてはたらきます。
ビタミンB1の不足は、食事からの供給不足が続いた場合の他、糖質の多い食事や過度の飲酒をした場合などで需要が高まったときに起こりやすくなります。
糖質の代謝に関わるビタミンB1が不足すると、糖質を主なエネルギーとして利用する神経や脳が影響を受けます。
代表的な欠乏症は脚気で、主な症状として全身の倦怠(けんたい)感や四肢の知覚障害、腱(けん)反射の喪失などが挙げられます。
ビタミンB1の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~49歳で1.4mg、50~74歳で1.3mg、75歳以上で1.2mgです[14]。
女性は18~74歳で1.1mg、75歳以上で0.9mgです[14]。
ビタミンB1についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンB1が豊富に含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説
[13] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[14] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-5.ビタミンB2
しいたけにはビタミンB2が豊富に含まれています。
しいたけ100g当たりのビタミンB2含有量は0.21mgです[15]。
ビタミンB2は、主にエネルギー代謝に関わる補酵素としてはたらきます。
また、成長促進や皮膚・粘膜の保護などの役割も担っており、不足すると成長障害や皮膚炎、口内炎などを起こす場合があります。
ただしビタミンB2が単独で不足することは少なく、多くは他のビタミンが不足したときに同時に起こります。
ビタミンB2の1日の摂取推奨量は男性では18~49歳で1.6mg、50~74歳で1.5mg、75歳以上は1.3mgです[16]。
女性では18~74歳で1.2mg、75歳以上は1.0mgです[16]。
ビタミンB2については以下の記事で詳しく解説しています。
ビタミンB2が手軽に摂れる食べ物は何?効果や食事摂取基準も紹介
[15] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[16] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-6.ナイアシン
しいたけにはナイアシンが豊富に含まれています。
しいたけ100g当たりのナイアシン含有量はナイアシン当量(NE)で4.0mgです[17]。
ナイアシンは皮膚や粘膜の健康を維持するはたらきを担っています。
また、ステロイドホルモンや脂肪の一種である脂肪酸の合成の他、DNAの修復や合成、細胞の分化に関わる成分です。
ナイアシンの1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~49歳で15mgNE、50~74歳は14mgNE、75歳以上は13mgNEです[18]。
女性は18~29歳で11mgNE、30~49歳で12mgNE、50~74歳で11mgNE、75歳以上で10mgNEです[18]。
[17] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[18] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-7.ビタミンB6
しいたけにはビタミンB6が豊富に含まれています。
しいたけ100g当たりのビタミンB6含有量は0.21mgです[19]。
ビタミンB6は、たんぱく質・脂質・炭水化物や神経伝達物質の代謝を行う際の補酵素としてはたらきます。
食事からの摂取不足や薬の副作用が原因でビタミンB6が不足すると、湿疹、口角炎、皮膚炎、貧血、聴覚過敏、免疫機能の低下などの症状が現れる場合があります。
ただし、ビタミンB6の不足は単独ではなく、多くは他のビタミンの不足と共に起こります。
ビタミンB6の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18歳以上で1.4mg、女性は1.1mgです[20]。
ビタミンB6についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
[19] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[20] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-8.葉酸
しいたけには葉酸が豊富に含まれています。
しいたけ100g当たりの葉酸含有量は49μgです[21]。
葉酸は水溶性ビタミンの一種で、細胞増殖のために必要とされるDNAの合成に関わっています。
不足すると、細胞分裂が抑制されることにより造血機能に異常を来し、貧血や神経障害を起こすことがあります。
また、妊娠初期の胎児の細胞増殖が活発な時期に葉酸が不足すると、胎児の神経管が正常に成長することができず、神経管閉鎖障害と呼ばれる先天異常の発症率が高まることが明らかになっています。
葉酸の1日当たりの摂取推奨量は、男女共に18歳以上で240μgです[22]。
葉酸についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
葉酸が多く含まれている食べ物とは?効果や摂取基準もあわせて解説
[21] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[22] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-9.パントテン酸
しいたけにはパントテン酸が豊富に含まれています。
しいたけ100g当たりのパントテン酸含有量は1.21mgです[23]。
パントテン酸は、脂質の一種である脂肪酸や糖の代謝に関わるビタミンです。
「至るところに存在する酸」という意味が名前の由来で、その名のとおりさまざまな食品に含まれています。
そのため、通常の食事をしている場合にはほぼ不足の心配はありません。
パントテン酸の1日当たりの摂取目安量は、男性は18~49歳で5mg、50歳以上で6mg、女性は18歳以上で5mgです[24]。
[23] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[24] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-10.ビオチン
しいたけにはビオチンが豊富に含まれています。
しいたけ100g当たりのビオチン含有量は7.6μgです[25]。
ビオチンは、肝臓でブドウ糖をつくる「糖新生」の他、アミノ酸や脂肪酸の合成、エネルギー代謝などに関わっています。
また、ビオチンが産生する抗炎症物質にはアレルギーの症状を緩和する作用があることが認められています。
さまざまな食品に含まれているため、通常の食事をしていて不足することはほぼありません。
ビオチンの1日当たりの摂取目安量は18歳以上の男女共に50μgです[26]。
ビオチンについてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
ビオチンとは?はたらきや摂取の目安量、摂取源となる食品を解説
[25] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[26] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-11.カリウム
しいたけにはカリウムが豊富に含まれています。
しいたけ100g当たりのカリウム含有量は290mgです[27]。
カリウムはミネラルの一種で、体内では多くが細胞内に存在しますが、血液やリンパなどの細胞外液や骨にも少量が含まれています。
カリウムにはナトリウムを体外へ排出するはたらきがあり、過剰に摂取した塩分を調節するのに役立ちます。
また、細胞内液の浸透圧を一定に保ったり、筋肉の収縮や体液の酸性・アルカリ性のバランスを調整したりするはたらきがあります。
カリウムの不足による主な症状は、脱力感や食欲不振、精神障害、不整脈などです。
カリウムの1日当たりの摂取目標量は、18歳以上の男性で3,000mg以上、女性で2,600mg以上です[28]。
カリウムについてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
カリウムとは?はたらきや摂取すべき量、摂取源となる食品を紹介
[27] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[28] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-12.マグネシウム
しいたけにはマグネシウムが豊富に含まれています。
しいたけ100g当たりのマグネシウム含有量は14mgです[29]。
マグネシウムは、体内でエネルギー産生や多くの代謝に関わるミネラルです。
また、カルシウムと共に骨の健康維持にも深く関わっています。
マグネシウム不足は、利尿薬の長期利用や生活習慣病、アルコール中毒などで起こることがありますが、健康なヒトで通常の食事をしている場合、不足はほとんど見られません。
ただしマグネシウムはカルシウムとともにはたらくため、カルシウムの半分量を摂取することが理想とされています。
そのためカルシウムに対してマグネシウムの摂取量が相対的に不足すると、さまざまな疾患を誘発することが懸念されます。
マグネシウムの1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~29歳で340mg、30~64歳で370mg、65~74歳で350mg、75歳以上で320mgです[29]。
女性は18~29歳で270mg、30~64歳で290mg、65~74歳で280mg、75歳以上で260mgです[30]。
マグネシウムについてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
マグネシウムとは?はたらきや食事摂取基準、摂取源となる食品を解説
[29] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[30] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-13.鉄
しいたけには鉄が豊富に含まれています。
しいたけ100g当たりの鉄含有量は0.4mgです[31]。
鉄は、赤血球の色素であるヘモグロビンや酵素を構成する成分です。
体内の鉄のうち、酸素運搬機能を持つ「機能鉄」は大部分がヘモグロビンとして赤血球中に存在しています。
一方、鉄の貯蔵や輸送に使用される「貯蔵鉄」はフェリチンやヘモシデリンとして肝臓や脾臓(ひぞう)、骨髄に含まれる他、輸送中の血清鉄として存在します。
鉄不足は急激な成長期にある乳幼児や、月経のある女性、鉄の要求量が増大する妊婦や授乳婦で特に多く見られます。
代表的な欠乏症である鉄欠乏性貧血になると、頭痛やめまい、動悸(どうき)、息切れ、嚥下(えんげ)障害などが起こることがあります。
このような症状は鉄欠乏が重度にならないと現れないため、普段から不足しないよう注意しましょう。
鉄の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~74歳で7.5mg、75歳以上で7.0mgです[32]。
女性は月経がある場合18~49歳で10.5mg、50~64歳で11.0mg、月経がない場合18~64歳で6.5mg、65歳以上で6.0mgです[32]。
鉄についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
鉄分が多く含まれる食べ物と効果的な摂り方は?貧血気味の方必見!
[31] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[32] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-14.亜鉛
しいたけには亜鉛が豊富に含まれています。
しいたけ100g当たりの亜鉛含有量は0.9mgです[33]。
亜鉛は、体内では筋肉、骨、皮膚、肝臓、脳、腎臓などに広く分布するミネラルで、すべての細胞に存在します。
主な役割は遺伝子の発現やたんぱく質の合成などで、特に細胞の成長・分化に大きく関与しています。
亜鉛が不足すると、味覚障害や皮膚炎、食欲不振などが見られることがあります。
亜鉛の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~74歳で11mg、75歳以上で10mgです[34]。
女性は18歳以上で8mgです[34]。
[33] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[34] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-15.銅
しいたけには銅が豊富に含まれています。
しいたけ100g当たりの銅含有量は0.10mgです[35]。
銅は主に筋肉や骨、肝臓、血液に存在し、鉄と共に造血作用に関与しています。
また、体内の銅の多くはたんぱく質と結合し、酸素の運搬や鉄の代謝・輸送、活性酸素の除去、神経伝達物質の代謝などに関わっています。
通常の食事をしていて健康な場合には、不足の心配はほぼないとされています。
銅の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~74歳で0.9mg、75歳以上で0.8mgです[36]。
女性は18歳以上で0.7mgです[36]。
[35] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[36] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
3.しいたけに含まれる成分
しいたけには、ビタミンDに変化する「エルゴステロール」やうまみのもとである「グアニル酸」という成分が含まれます。
それでは、それぞれのはたらきについて見ていきましょう。
3-1.エルゴステロール
しいたけにはエルゴステロールが含まれています。
エルゴステロールは紫外線に当たるとビタミンDに変化する成分です。
ビタミンDにはカルシウムの吸収を促すはたらきがあるため、骨粗しょう症を予防する効果があるとされています。
特に、天日干しの干ししいたけでは、ビタミンDの含有量が多くなります。
晴れた日に、生のしいたけのかさを下に向けて30分程度日光に当てることで、簡単にビタミンDを増やすことができますよ[37]。
[37] JAグループ「秋・冬の旬野菜生シイタケ」
3-2.グアニル酸
しいたけにはグアニル酸が含まれています。
グアニル酸はうまみのもとになる成分で、干ししいたけにするとさらに含有量が多くなります。
昆布に含まれる「グルタミン酸」やかつお節に含まれる「イノシン酸」と共に「三大うまみ成分」といわれています。
グアニル酸は加熱により増えるため、しいたけを焼いたり炒めたりすることでさらにおいしく食べることができますよ。
4.しいたけをおいしく食べるためのポイント
「おいしいしいたけの見分け方ってあるのかな?」
せっかくしいたけを食べるなら、おいしく食べたいですよね。
ここではしいたけをおいしく食べるためのポイントについてご紹介します。
4-1.全体的にハリがあり肉厚のものを選ぶ
おいしいしいたけを選ぶために、外見に注目しましょう。
かさが肉厚で開き過ぎず、満遍なく薄茶色でハリのあるものが良品とされています。
裏のひだが白く、しっかりとしたハリ感があること、軸が太いことも良いしいたけの条件です。
パックに入っている場合は、水滴が付いていないものを選んでくださいね。
4-2.適切な方法で冷蔵・冷凍保存する
しいたけは湿気があると傷みやすいため、よく乾かしてから保存するのが基本です。
そのため、保存の際はキッチンペーパーで包み、ひだを上にした状態で冷蔵庫に入れて保存してください。
2~3日で食べ切る場合は常温での保存も可能ですが、すぐに食べないときは冷凍保存がおすすめです[38]。
かさと軸を切り離して、あらかじめ使いやすい大きさに切ってから冷凍しましょう。
そのまま調理に使えるため、便利な上にうまみを逃さず活かせます。
冷凍するとうまみ成分が出やすくなり、おいしさが増すともいわれますので試してみてくださいね。
[38] JAグループ「秋・冬の旬野菜生シイタケ」
5.しいたけに含まれる栄養素についてのまとめ
しいたけは、タンニンを含むコナラやミズナラ、クヌギ、シイなどの枯れ木に生えるきのこです。
「生しいたけ」には栽培方法別の表示が義務付けられており、「菌床栽培」か「原木栽培」のいずれかが明記されています。
カロリーは100g当たり菌床栽培のものが25kcal、原木栽培のものが34kcalで、ダイエット中にもおすすめの食材です[39]。
菌床しいたけには、たんぱく質や食物繊維をはじめ、ビタミンD、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、葉酸、パントテン酸、ビオチン、カリウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅が多く含まれています。
また、ビタミンDに変化するエルゴステロールやうまみのもとになるグアニン酸という成分が含まれています。
しいたけは、かさが開き過ぎずハリがあり軸が太いものが良品とされています。
パックに入っている場合は、水滴の付いていないものを選ぶと良いですよ。
保存は湿気を防ぐため、キッチンペーパーに包んでから冷蔵庫に入れましょう。
また、使いやすい大きさに切って冷凍で保存するのもおすすめです。
そのまま調理に使えるので便利ですし、冷凍することでうまみが出やすくなります。
[39] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」