食後の運動は血糖値改善に有効!メリットと運動の際の注意点を解説

2024年09月26日

2024年11月11日

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「食後の運動は体に良いって本当?」

「食後の運動で気を付けるポイントを知りたい」

と気になっている方は多いかもしれませんね。

食後の運動には血糖値が気になる方やダイエットをしたい方にうれしいメリットがあります

しかし間違った方法で行うと腹痛などを招き、健康を害する恐れがあるため注意が必要です。

この記事では食後の体内で起こる変化や、食後に運動を行うメリットについてご紹介します。

さらに食後に運動する際の注意点についても解説していますので、ぜひ最後までお読みくださいね。

1.食後、体内で起こる変化

腸内をイメージさせる画像

私たちが食事をすると、食物中の栄養素が消化され、体内に吸収されます

栄養素とは
ヒトが生きて活動するために食物から摂取しなければならない物質のことです。

栄養素のうち糖質やたんぱく質、脂質は分子量が大きく、そのままでは体内に取り込むことができません。

このため唾液や胃液といった消化液で分解され、体内に取り込まれます。

摂取した食物が血中に取り込むことができる分子量まで分解されることを消化、消化された物質が体内に取り込まれることを吸収といいます

糖質は「ブドウ糖」などに分解され、小腸粘膜から吸収されて肝臓に運ばれた後、血液中に入ります。

ブドウ糖とは
糖質の一種です。糖質のなかで最も小さく基本的な「単糖類」の代表で、ヒトを含めた動植物が活動するための重要なエネルギー源です。

血液のブドウ糖の濃度(血糖値)が上昇すると、それに反応してインスリンが分泌されます

インスリンとは
膵臓(すいぞう)から分泌され、糖質の代謝などを調節するホルモンです。代謝とは体内で起こる化学変化とエネルギーの変換のことです。

インスリンは血液中のブドウ糖を細胞に取り込んでエネルギーとして使わせ、使い切れなかったエネルギーを脂肪などに変換させて蓄えるはたらきを促します。

このため糖質を摂り過ぎてしまうと脂肪として蓄えられる量が増えて肥満を招くのです。

他の栄養素もそれぞれに消化・吸収されます。

たんぱく質はアミノ酸に、脂質は脂肪酸とグリセリンにそれぞれ分解された後に吸収されます。

たんぱく質はエネルギー源になる他、筋肉や臓器、皮膚、髪の毛などの構成成分となります。

またホルモンや酵素、抗体などの機能成分としても欠かせません。

脂質からは糖質やたんぱく質の倍以上のエネルギーを得ることができます[1]。

しかし脂質は高エネルギーである分、摂り過ぎると肥満や脂質異常症の原因となります。

脂質異常症とは
血液中の脂質の値が基準値から外れた状態のことです。悪玉コレステロールが増える「高LDLコレステロール血症」、善玉コレステロールが減る「低HDLコレステロール血症」、中性脂肪が増える「高トリグリセリド血症」などがあります。

消化にかかる時間は栄養素によって異なり、特に脂質は消化にかかる時間が長いといわれています。

[1] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

【関連情報】 「血糖値とは?正常値や高血糖の基準、高血糖・低血糖の影響を解説」についての記事はこちら

2.食後に運動を行うメリット

ジョギングをする男性の後ろ姿

「食後の運動にはどんな効果があるんだろう?」

食後の運動は体に良くないというイメージを持たれている方もいらっしゃるかもしれませんね。

実は食後の運動には、血糖値の改善や体脂肪蓄積の予防などのメリットがあります

この章では食後の運動がもたらすメリットについて詳しく解説します。

メリット1 血糖値の改善

血糖値を計測しているところ

運動には血糖値の改善効果が認められています。

特に食後の1時間後の運動は食後高血糖の改善に効果的です[2]。

食後高血糖とは
食後から2時間が過ぎても血糖値が高い状態のことです[3]。空腹時の血糖値が正常でも食後の血糖値が高い方は糖尿病の発症リスクが高い「隠れ糖尿病」の可能性があります。

食事の後は健康な方でも血糖値が上昇し、インスリンのはたらきによって低下します。

しかしインスリンの分泌量が減ったり、効きが悪くなったりすると血糖値が下がりにくくなります。

インスリンの効きが悪くなる大きな原因には内臓脂肪からインスリンのはたらきを阻害する物質が分泌されることがあります。

内臓脂肪とは
筋肉の内側の腹腔内に蓄積する脂肪のことです。蓄積しやすい一方で、燃焼しやすい性質があります。

このため運動を行って内臓脂肪を減らすと、インスリンの効きが良くなって血糖値が改善するのです。

インスリンがはたらかず高血糖が慢性化した状態が糖尿病です。

糖尿病になると動脈硬化が進行して心臓病や脳卒中などのリスクが高まります。

糖尿病を予防するために食後には運動でエネルギーを消費し、血糖値を下げることが重要だといえるでしょう。

[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「糖尿病を改善するための運動

[3] 厚生労働省 e-ヘルスネット「食後高血糖

メリット2 体脂肪の蓄積予防

メタボなお腹

運動を行うと体脂肪蓄積の予防につながります

インスリンはエネルギーとして使い切れなかった血糖を脂肪として蓄えるはたらきを促します。

食後に運動してエネルギーを消費することで、余分な糖質が体脂肪として蓄えられてしまうのを防ぐことができます

次の章では食後におすすめの運動と詳しいやり方について解説しています。

ぜひお読みになり、血糖値の改善や肥満予防にお役立てくださいね。

3.食後におすすめの運動

ウォーキングしている男女

「食後におすすめの運動はなんだろう?」

食後に行う運動には有酸素運動がおすすめです。

有酸素運動とは
比較的負荷の小さい運動のことで、酸素を使い体内の脂質と糖質をエネルギー源とします。有酸素運動にはウォーキング、ジョギング、水泳、エアロビクスダンスなどがあります。

有酸素運動は体脂肪を減らすため、ダイエットに有効だとされています。

また糖質をエネルギー源とすることから血糖値の改善にも効果があります

なお糖尿病の予防・改善のため食後に運動を行う場合は以下のような運動が勧められています。

食後におすすめの運動

糖尿病の予防・改善のためには、週に3回以上、ややきついと感じられる程度の有酸素運動を1回20分以上、週に計150分以上行うと良いでしょう[4]。

食後に運動をする際の参考にしてくださいね。

また20分以上有酸素運動を継続すると、使われるエネルギーが体脂肪に切り替わるといわれています[5]。

肥満の解消やダイエットを考えている方はまずこちらの時間を目標に運動を行うと良いでしょう。

有酸素運動については以下の記事で詳しく解説しています。

有酸素運動とは?効果や無酸素運動との違い、おすすめの運動を紹介

[4] 厚生労働省 e-ヘルスネット「糖尿病を改善するための運動

[5] 厚生労働省 e-ヘルスネット「エアロビクス / 有酸素性運動

4.食後に運動する際の注意点

ジョギングをする男性の後ろ姿

「食後に運動するときに気を付けることはあるのかな?」

食後に運動して気分が悪くなったという経験をお持ちの方がいらっしゃるかもしれませんね。

食後の運動は間違った方法で行うと健康を害する可能性があります

この章では食後に運動する際の注意点を二つご紹介します。

ぜひお読みになってから運動に取り組んでくださいね。

注意点1 食後すぐの運動を避ける

壁掛け時計

食後に運動を行う際の注意点として、食後すぐの運動は避けることが挙げられます。

胃に食べ物が入った状態のまま運動すると、胃が揺さぶられて血流不足による痛みなどを感じることがあります

運動中に起こる脇腹の痛みの多くが、食後1時間以内に運動をしたことが原因で起こるといわれています[6]。

食事の後すぐの運動は避け、少し時間を空けて消化が進んでから運動に取り組むようにしましょう。

[6] 富山県 スポーツ情報ネットワーク「腹痛

注意点2 適度な強度の運動を行う

膝を気にしている運動中の人

食後に行う運動では強度にも気を配りましょう

食事直後は消化のために血液が消化器官に集まっています。

しかし、すぐに運動をすると血液が筋肉の方に集まるため、消化器官の血液が足りなくなり消化不良を起こしてしまいます。

食後に激しい運動を行うと、胃や体に負担をかけてしまうのですね。

息切れをしない程度の強度の運動を行いましょう。

5.食後の運動についてのまとめ

食事をすると食物中の栄養素が消化され、体内に吸収されます。

糖質がブドウ糖に分解されて血中に入り込むと、血糖値が上昇します。

ブドウ糖はインスリンのはたらきによってエネルギーとして使われますが、余った分は脂肪として蓄えられます。

食後に運動をすると食べ物に含まれるブドウ糖がエネルギーとして消費されるため、食後血糖値の上昇が抑えられます

また余分なブドウ糖が脂肪として蓄えられることも防ぐため肥満の防止にも効果的です。

さらに運動によって肥満が解消するとインスリンの効きが良くなるため、血糖値の改善が期待できます。

食後に行う運動としては、負荷が小さく糖質や脂質をエネルギー源として消費できる有酸素運動がおすすめです。

食後すぐの運動や激し過ぎる運動は避け、食後少し時間を置いて適度な強度の運動を行うと良いでしょう。

ぜひこの記事を参考に食後の運動を日々の習慣に取り入れてくださいね。

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