「ブロッコリーは栄養価が高いって聞いたけど本当かな?」
「どんな効果のある栄養素が含まれているんだろう?」
ブロッコリーはヨーロッパとアフリカの間、地中海周辺の地域で生まれた野菜です。
和洋中さまざまな料理に使うことができ、調理も手軽なので食べる機会が多いという方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
また近年は筋トレをしている方に人気の食材でもあります。
実は、ブロッコリーにはヒトの体に必要なさまざまな栄養素が豊富に含まれているのです。
この記事では、ブロッコリーに含まれる栄養素とその効果について詳しく解説します。
あなたもぜひブロッコリーを食卓に取り入れ、バランスの良い食事をつくってみてくださいね。
1.ブロッコリーに豊富に含まれる栄養素とその効果
「ブロッコリーにはどんな栄養素が含まれているんだろう?」
というのが気になるところですよね。
ブロッコリーにはさまざまな栄養素が豊富に含まれているといえます。
また生のブロッコリーは100g当たり37kcalとカロリーが低いため、ダイエット中の心強い味方になってくれるともいえるでしょう[1]。
ここでは、ブロッコリーに豊富に含まれる栄養素とその効果を詳しくご説明しましょう。
【ブロッコリーに含まれる成分・栄養素】
- たんぱく質
- 食物繊維
- ビタミンB1
- ビタミンB2
- ナイアシン
- ビタミンB6
- パントテン酸
- ビオチン
- ビタミンC
- ビタミンE
- ビタミンK
- β-カロテン
- カリウム
- 鉄
- 銅
[1] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
1-1.たんぱく質
生のブロッコリーには100g当たり5.4gのたんぱく質が含まれます[2]。
たんぱく質は炭水化物(糖質)や脂質と並んでヒトの体のエネルギーとなる栄養素です。
また筋肉や臓器、皮膚、毛髪などの体の組織や、ホルモンなどの体の機能を調節する成分などの材料となっており、ヒトの体から水分を除いた約50%がたんぱく質でできています[3]。
体をつくる上で欠かせない栄養素だといえますね。
特に筋トレや運動をする習慣のある方は筋肉を育てるために必要量が多くなるといわれており、意識して摂取することが重要です。
ブロッコリーのたんぱく質含有量は、肉や魚などたんぱく質を多く含むことで知られる食品に比べれば少なめですが、野菜のなかではかなり多い方であるといえます。
また、ブロッコリーに含まれるたんぱく質は他の野菜に比べ体内での利用率が高いと考えられる点も魅力です。
たんぱく質は20種類のアミノ酸によって構成されており、うち9種類はヒトの体でつくることができないため食品からの摂取が必須な「必須アミノ酸」です[4]。
必須アミノ酸がヒトの体にとって望ましい量に対し、どれくらいの割合で含まれているかを示す数値を「アミノ酸スコア」といいます。
アミノ酸スコアは100を上限として、高いほど「良質なたんぱく質」であるとされます[5]。
一般的に良質なたんぱく質は肉や魚、卵といった動物性の食品や、大豆などのたんぱく質含有量が多いといわれる食品に含まれている傾向にあります。
代表的な食品のアミノ酸スコアと、たんぱく質含有量を確認してみましょう。
【代表的な食品のアミノ酸スコアと100g当たりのたんぱく質含有量】
食品名 | 加工状態など | たんぱく質含有量 | アミノ酸スコア |
---|---|---|---|
ささみ | 生 | 23.9g | 100 |
鶏むね肉 | 生 | 23.3g | 100 |
プロセスチーズ | - | 22.7g | 100 |
しろさけ | 生 | 22.3g | 100 |
まさば | 生 | 20.6g | 100 |
牛リブロース | 脂身付き、生 | 20.1g | 100 |
鶏もも肉 | 皮付き、生 | 16.6g | 100 |
納豆 | - | 16.5g | 100 |
豚バラ肉 | 生 | 14.4g | 100 |
全卵(鶏卵) | 生 | 12.2g | 100 |
絹ごし豆腐 | - | 5.3g | 100 |
普通牛乳 | - | 3.3g | 100 |
ごはん(精白米、うるち米) | - | 2.5g | 91 |
じゃがいも | 皮なし、生 | 1.8g | 100 |
キャベツ | 生 | 1.2g | 93 |
にんじん | 皮なし、生 | 0.7g | 100 |
トマト | 生 | 0.7g | 83 |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」およびWHO「Protein and amino acid requirements in human nutrition : report of a joint FAO/WHO/UNU expert consultation 」をもとに執筆者作成
ブロッコリーはアミノ酸スコアが最高値である上に、野菜のなかではたんぱく質含有量も多い食品であることが分かります。
1日に必要なたんぱく質を全てブロッコリーから摂取することはやや困難ですが、良質なたんぱく源の一つになるといえるでしょう。
1日に必要なたんぱく質の量やたんぱく質の摂取源となる食べ物について詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
たんぱく質は1日どれくらい必要?効率良く摂取できるおすすめの食品
[2] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
1-2.食物繊維
ブロッコリーには100g当たり5.1gの食物繊維が含まれています[6]。
食物繊維はヒトの消化酵素で消化されず、大腸まで達する食品成分です。
便の体積を増やす材料となったり、大腸内の環境を改善してくれる腸内細菌のえさとなったりするはたらきがあり、おなかの調子を整えてくれることで知られています。
しかし食物繊維のはたらきはそれだけではありません。
食物繊維には脂質や糖、塩分(ナトリウム)などを吸着して体の外に排出するはたらきがあるため、これらの摂り過ぎによって起こる肥満や脂質異常症、糖尿病、高血圧などの生活習慣病の予防・改善に効果が期待できるのです。
脂質異常症、高血圧については以下の記事をご覧ください。
脂質異常症とは?発症の原因や健康への影響、改善のポイントも解説!
患者数は約4,000万人!?高血圧の原因と自分でできる予防策とは
日本人の食物繊維摂取量は食生活の変化に伴って減少し、多くの方は十分な量の食物繊維を摂取できていない状態にあるといわれています。
ダイエットにもうれしい効果のある成分だといえるので、積極的に摂取しておきたいですね。
ブロッコリーの他にも食物繊維を摂取できる食べ物が知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
食物繊維は整腸作用の他にも効果アリ?含有量の多いおすすめ食品11選
[6] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
1-3.ビタミンB1
ブロッコリーには100g当たり0.17mgのビタミンB1が含まれています[7] 。
ビタミンB1は糖質からエネルギーを取り出すはたらきに欠かせない水溶性ビタミンの一種で、ビタミンB群に分類されます。
ビタミンB1が不足すると、体のエネルギーとなる糖質を摂取してもエネルギーに変えることができないため、疲れやすくなるといわれています。
また糖質を主なエネルギー源としている脳や神経に影響が現れ、「脚気(かっけ)」などの病気を引き起こしてしまいます。
このように重要なはたらきをするビタミンB1ですが、日本人の摂取量は推奨量にわずかに届いていないという現実があります。
糖質の多い食事や多量のアルコールを摂ったときには必要量が多くなるので、そのような食生活を送っている方は注意しましょう。
ビタミンB1や摂取源となる食べ物について詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンB1が豊富に含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説
またビタミンB群については以下の記事で解説しています。
ビタミンB群にはどんなものがある?効果や含まれる食品を徹底解説!
[7] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
1-4.ビタミンB2
ブロッコリーにはビタミンB2も100g当たり0.23mg含まれています[8] 。
ビタミンB2はビタミンB群の一種で、体内でエネルギーをつくり出すはたらきに関わる重要な栄養素です。
特に脂質をエネルギーとして利用するはたらきには欠かせません。
また他のビタミンのはたらきにも関わっているため、不足すると体内の多くの機能に影響を与えてしまいます。
皮膚や粘膜を保護するはたらきもあり、不足すると口内炎や口角炎、舌炎、皮膚炎といったトラブルのもとにもなります。
非常に重要な栄養素ですが、日本人の食生活においては推奨量を下回っており、やや不足している傾向にあります。
積極的に摂取しておきたい栄養素だといえるでしょう。
ビタミンB2や摂取源となる食べ物について詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンB2が手軽に摂れる食べ物は何?効果や食事摂取基準も紹介
[8] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
1-5.ナイアシン
ブロッコリーにはビタミンB群の一つであるナイアシンが100g当たり1.0mg含まれています[9] 。
なおナイアシンは狭義には「ニコチン酸」と「ニコチンアミド」という2種類の物質のことを指しますが、体内では「トリプトファン」と呼ばれる物質からもつくられます。
ニコチン酸とニコチンアミドの含有量に加えトリプトファンからつくられる量を足し合わせたものを「ナイアシン当量」といい、ブロッコリーのナイアシン当量は2.0mgです[9]。
ナイアシンは体内でエネルギーをつくるはたらきなどに関わっています。
不足すると皮膚炎や認知症、下痢を引き起こす「ペラグラ」という病気になってしまいますが、日本人ではほとんど見られないので心配する必要はないでしょう。
[9] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
1-6.ビタミンB6
ブロッコリーにはビタミンB6が100g当たり0.30mg含まれています[10]。
ビタミンB6は体内で約100種類の酵素の補酵素としてはたらく栄養素です。
特にたんぱく質を構成する「アミノ酸」の代謝に関わっているため、たんぱく質を多く摂るほど、ビタミンB6の必要量も多くなります。
筋肉の増強などを目的として、意識的にたんぱく質を摂取している方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
単にたんぱく質を摂るだけでなく、そのはたらきを十分なものにするためにはビタミンB6などをしっかり摂ることも欠かせないと考えられるのですね。
またビタミンB6は皮膚や粘膜の健康にも関わっており、不足すると皮膚炎などが起こってしまいます。
しかし日本人の平均摂取量と摂取の推奨量を照らし合わせると、やや不足しがちな傾向にあるといえます。
意識して摂取しておきたい栄養素の一つだといえるでしょう。
[10] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
1-7.パントテン酸
ブロッコリーにはパントテン酸が100g当たり1.42mg含まれています[11]。
パントテン酸もビタミンB1やビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6と並ぶビタミンB群の仲間です。
名前には「至るところに存在する酸」という意味があり、さまざまな食品に含まれているため不足する心配はほとんどありません。
ただし不足すると体内でエネルギーを生み出すはたらきに異常を来してしまうので注意が必要です。
またサプリメントとしては、「皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素」として栄養機能表示が行われている商品もあります。
[11] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
1-8.ビオチン
ブロッコリーにはビオチンが100g当たり13.0μg含まれています[12]。
ビオチンもビタミンB群の一種であり、8種類のうち6種類が豊富に含まれるブロッコリーはビタミンB群の摂取源として非常に優秀な食品であるといえますね。
ビオチンは哺乳類の体内では合成できないため、食べ物から摂取することが欠かせません。
糖質や脂質、アミノ酸からエネルギーをつくり出すはたらきに関わったり、皮膚や粘膜の健康維持を助けたりしています。
さまざまな食品に含まれているため不足することはほとんどないといわれていますが、重要な栄養素の一つだといえるでしょう。
[12] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
1-9.ビタミンC
ビタミンCというとレモンに多く含まれているイメージかもしれませんが、実はブロッコリーには100g当たり140mgと、レモンより多くのビタミンCが含まれています[14]。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によれば成人男女の1日当たりのビタミンCの摂取推奨量は100mgですが[14]、ブロッコリーは70gちょっとで1日分のビタミンCを補給できてしまうのですね。
ビタミンCは皮膚や腱(けん)、軟骨などをつくるたんぱく質「コラーゲン」を合成するために欠かせません。
また不足すると疲労感が出たり、気力が低下したりしてしまいます。
ビタミンCには「活性酸素」のはたらきを抑える抗酸化作用があるのも重要なポイントです。
活性酸素は微量であれば人体に有用なはたらきをしますが、増え過ぎると老化や免疫機能の低下、がん、動脈硬化などを引き起こします。
年齢とともにヒトの体に本来備わっている活性酸素を抑えるはたらきは低下してしまうため、抗酸化作用のある物質を摂取することが重要なのです。
野菜や果実を摂取する機会が少ない方や食生活に極端な偏りがある方ではビタミンCが不足しやすい傾向にあるので意識して摂取しておくと良いでしょう。
またストレスを感じたりたばこを吸ったりすることで消費されてしまうので、ストレスフルな日々を送っている方や喫煙者の方は必要量が増えるといわれています。
ビタミンCについて詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンCはどんな食べ物に含まれるの?健康維持に必要な摂取量を解説
[13] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
1-10.ビタミンE
ブロッコリーには、ビタミンEも100g当たり3.0mgと豊富に含まれています[15]。
ビタミンEは脂溶性のビタミンで、抗酸化作用を有しています。
老化や免疫機能の低下などを予防したい方は意識して摂っておきたい栄養素だといえるかもしれませんね。
ビタミンEについて知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンEが多く含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説
[15] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
1-11.ビタミンK
ブロッコリーは100g当たり210μgとビタミンKも豊富に含んでいます[17]。
ビタミンKは脂溶性ビタミンの一種で、たんぱく質を構成するアミノ酸の一種「グルタミン酸」を「γ-カルボキシグルタミン酸」に変換する際の補酵素としてはたらいています。
これにより、出血した際に血液を凝固させ、血を止めるはたらきをしています。
またビタミンKは骨をつくるのにも必要な栄養素の一つです。
日本人の平均摂取量は摂取の目安量を十分に満たしているため、不足の心配はあまりないと考えられますが、重要な栄養素だといえますね。
ビタミンKについて詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンKにはどんな効果がある?摂取目安量とおすすめの食材を紹介
[17] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
1-12.β-カロテン
さらにブロッコリーには100g当たり900μgのβ-カロテンも含まれます[18]。
β-カロテンはビタミンCやビタミンEなどと同様に高い抗酸化作用をもつ成分です。
血液中の脂質を酸化から防ぎ、血管の健康を維持するはたらきがあります。
また、β-カロテンの一部は体内でビタミンAに変化するため、ビタミンAとしての作用もあります。
β-カロテンから変化したビタミンAは、主に皮膚や粘膜、視機能の健康を維持するのに役立ちます。
視機能に関しては、光刺激への反応に関わる物質をつくることから、薄暗いところでも視力を維持するはたらきがあるとされています。
ブロッコリーに含まれるβ-カロテンは全身の健康を保つのに重要な成分であるといえるでしょう。
緑黄色野菜について詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
緑黄色野菜とは?含まれる成分や摂取目標量、調理する際のポイント
[18] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
1-13.カリウム
ブロッコリーには100g当たり460mgのカリウムが含まれています[20]。
カリウムは食べ物などからの摂取が必要な必須ミネラルの一つで、ナトリウム(塩分)を排出する作用を持っています。
塩分の摂り過ぎは高血圧を招くため、血圧の高い方には特に摂取が勧められる栄養素の一つです。
またカリウムは神経の機能や筋肉の収縮にも関わっています。
不足するとこうしたはたらきに悪影響が出ることに加え、脱力感や食欲不振、不整脈などの症状が生じてしまいます。
日本人は成人男女ともに平均摂取量が1日当たりの目標量を下回っているという現実があるので、意識して摂取しておきたい栄養素の一つだといえるでしょう。
カリウム、ミネラル全般については以下の記事で詳しく解説しています。
ミネラルとは?体に必要な理由と豊富に含まれる食べ物を種類別に紹介
[20] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
1-14.鉄
ブロッコリーには100g当たり1.3mgの鉄が含まれています[21]。
鉄は必須ミネラルの一種で、血液中の赤血球の中の成分「ヘモグロビン」として酸素の運搬や細胞の呼吸において重要なはたらきを担っています。
またさまざまな酵素の構成要素となってもいます。
鉄が不足すると貧血になってしまうことはよく知られていますよね。
鉄不足による貧血「鉄欠乏性貧血」では、体内での酸素の供給が十分に行われず、集中力の低下や頭痛、食欲不振などの症状を引き起こします。
また筋肉中の「ミオグロビン」という物質にも使われるため、不足すると筋力の低下や疲労感などの症状が出る場合もあります。
特に乳児や月経のある方、妊娠中や産後1年以内の方は不足が問題になりやすいため、十分に摂取することが重要です。
鉄不足はダイエットのための食事制限や特定の食品のみを摂取する偏った食生活などによって起こりやすく、月経異常などに至る場合もあります。
食品中の鉄は動物性食品に多く含まれたんぱく質と結合している「ヘム鉄」と、植物性食品に多く含まれる「非ヘム鉄」に分けられ、非ヘム鉄はヘム鉄より体内での吸収率が低いという特徴があります。
非ヘム鉄は動物性たんぱく質やビタミンCと一緒に摂ることで吸収率を上げることができるといわれています。
鉄について詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
鉄分が多く含まれる食べ物と効果的な摂り方は?貧血気味の方必見!
[21] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
1-15.銅
ブロッコリーには、100g当たり0.10mgの銅も含まれています[22]。
「銅」と聞くと金属のイメージが強いかもしれませんが必須ミネラルの一つで、骨や筋肉(骨格筋)、血液に存在し、たんぱく質と結合して体内の化学反応において触媒としてはたらいています。
銅が不足すると貧血や白血球の減少、骨の形成の異常を来してしまいます。
また頻度は少ないものの成長に障害が生じたり、免疫機能が低下したりする場合もあります。
日本人の平均的な摂取量は摂取の推奨量を超えており、一般的な食生活を送っていれば十分に摂取できていると考えられますが、重要な栄養素の一つだといえるでしょう。
[22] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
2.ブロッコリーを食べる際のポイント
体に必要なさまざまな栄養素を豊富に含むブロッコリーですが、食べ方を工夫すればより効率的に栄養を摂取することができます。
ここではブロッコリーを食べる際のポイントをお伝えしましょう。
ポイント1 ゆで過ぎない
ブロッコリーを食べる際はゆで過ぎないよう気を付けましょう。
これはブロッコリーに含まれる多くの栄養が水溶性であるためです。
ゆでる時間が長くなると栄養がゆで汁に溶け出してしまうのです。
ゆでて食べる場合にはなるべく短時間にとどめ、その後も水に浸けずザルで水気を切って冷ましましょう。
電子レンジ調理なら短時間の加熱で調理でき栄養も失わずに済むためおすすめです。
ポイント2 茎の部分も食べる
ブロッコリーは茎の部分も食べるようにしましょう。
つぼみ(花序)の部分のみを食べる方が多いかもしれませんが、茎にもカリウムやビタミンCなどの栄養が含まれます。
茎の硬さが苦手だという方はピーラーで外側の硬い部分を薄くむきましょう。
また味が苦手な場合は細かく刻むと食べやすくなりますよ。
3.ブロッコリーの豆知識
「ブロッコリーのつぶつぶはつぼみなの?」
「ブロッコリーはどうやって選んだら良いんだろう?」
このように疑問に思っている方もいらっしゃるかもしれませんね。
普段私たちが食べている「ブロッコリー」は、「花序(かじょ)」とも呼ばれるつぼみの部分と、茎に当たります。
つぶつぶの一つひとつがつぼみで、集まったドーム状の部分は「花蕾(からい)」といいます。
収穫せずに放置しておくと小さな黄色い花がたくさん咲きますが、花が咲くと野菜としての品質は落ちてしまうので、購入する際は緑色が濃く、つぼみが硬く引き締まっているものを選ぶのがおすすめです。
新鮮なブロッコリーは色が黒ずんでおらず、茎に空洞がないといわれています。
また鮮度が落ちやすいので劣化しにくいよう茎がしっかり残ったものを選ぶこともポイントですよ。
4.ブロッコリーに含まれる栄養素についてのまとめ
ブロッコリーは100g当たり37kcalと比較的低カロリーで、さまざまな栄養素を含む野菜です[23]。
野菜にしては比較的多くのたんぱく質を含んでいることが特徴です。
ブロッコリーのたんぱく質は体内での利用率が高い点も魅力です。
ブロッコリーには食物繊維も豊富に含まれているため、おなかの調子を整えたり、生活習慣病を予防・改善したりするのに役立ってくれるでしょう。
またブロッコリーには多くのビタミンが豊富に含まれています。
ブロッコリーに豊富な水溶性ビタミンは6種類のビタミンB群とビタミンCです。
ビタミンB群は体内のエネルギーを生み出すはたらきなどに関わり、ビタミンCはコラーゲンの合成に欠かせません。
またブロッコリーには脂溶性ビタミンのビタミンE、ビタミンKも豊富な上、体内でビタミンAに変化するβ-カロテンも多く含まれていますよ。
ビタミンEは抗酸化作用を有し、ビタミンKは血を止めるはたらきに関わります。
β-カロテンも抗酸化作用を持ち、ビタミンAとしては目の健康などに関わります。
さらにブロッコリーにはカリウム、鉄、銅といったミネラルも豊富です。
カリウムにはナトリウムを排出し高血圧を予防する効果が期待できます。
また鉄は貧血予防に欠かせない栄養素であり、銅は体内の化学反応に触媒として関わります。
身近な野菜であるブロッコリーですが、これだけさまざまな栄養素が摂れるのですね。
ブロッコリーを調理する際は水溶性の栄養素が溶け出してしまわないよう、ゆで過ぎに注意が必要です。
また茎にも栄養が含まれているので茎も食べるのがおすすめですよ。
[23] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」