「食物繊維はダイエットに効果があるっていうけど、本当なのかな?」
「ダイエットにお勧めの食物繊維を含む食品を知りたい」
食物繊維はダイエット中に摂ると良いという話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
食物繊維といえば腸内環境を整えるはたらきがあるというイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、それだけではなく、食物繊維にはダイエットにうれしいさまざまな作用があるといわれています。
この記事では、食物繊維がダイエットに効果が期待できているといわれている理由や食物繊維が豊富な食品を紹介します。
記事後半では健康的に痩せるための食事のポイントについても解説するので、ダイエット中の方やこれから始めようと思っている方はぜひ意識してみてくださいね。
1.食物繊維がダイエットの味方になる理由
「どうしてダイエット中に食物繊維を摂取すると良いんだろう?」
と気になっている方もいらっしゃるでしょう。
ここからは食物繊維が持つダイエットをサポートする三つのはたらきについて解説します。
1-1.脂質・糖を排出する
食物繊維には脂質や糖を排出するはたらきがあります。
脂質や糖質は人間が活動するために欠かせないエネルギー源ですが、過剰に摂取すると肥満の原因になってしまいます。
脂質は余分に摂取すると中性脂肪として体内に蓄積され、多く摂ればその分肥満になるリスクが高まります。
また糖質はエネルギーとして消費しきれないくらい摂り過ぎると中性脂肪になり体内にため込まれてしまいます。
食物繊維のなかでも水溶性食物繊維には、脂質や糖を吸着し体外に排出するはたらきがあるため、肥満の予防が期待できます。
1-2.血糖値の上昇を抑制する
食物繊維が持つ血糖値の急上昇を抑えるはたらきも肥満の予防に有効と考えられています。
食事で糖を一気に吸収すると血糖値は急上昇するため、その血糖値を下げるため膵臓から多量のインスリンが分泌されます。
インスリンが持つはたらきによってたくさんの糖が中性脂肪として蓄えられてしまうのです。
そこで食物繊維のなかでも水溶性食物繊維を摂取することで、ゼリー状になった食物繊維が栄養素の吸収速度を緩やかにしてくれます。
これにより食事から摂取した糖の吸収が緩やかになるため、食後の血糖値の急上昇を防ぐことができるのです。
血糖値の急上昇が防げればインスリンの多量分泌による脂肪細胞の蓄積も防げるでしょう。
1-3.便通を改善する
便秘は便が快適に排出できないだけでなく体にさまざまな悪影響を及ぼすため、食物繊維を摂取して便通を改善することでダイエットにも良い影響が見られます。
日本消化器病学会が発行した「慢性便秘症診療ガイドライン」によると便秘とは体外に排出すべき便が十分な量、快適に排出できない状態のことです。
ダイエットをしているからと食事量を減らしたり脂質を全く摂らなかったりといった食事制限をすることによって便秘になることがあります。
便秘によって腸内に便がたまると胃腸のはたらきが鈍くなるため、代謝の機能が落ち痩せにくい体になってしまいます。
また腸内に便がたまった状態が続くことで「悪玉菌」が増殖し腸内環境を悪化させます。
悪玉菌が増え過ぎてしまい腸内環境の悪化を招くと、栄養素を必要以上に吸収してしまう恐れがあるのです。
そのため、便秘は肥満を引き起こす原因になりうるといえます。
したがって、便秘の改善に有効だといわれている食物繊維を摂取することが重要です。
不溶性食物繊維は便の量を増やすことで腸を刺激し腸の運動を活発化させて便通を整えます。
水溶性食物繊維は腸内の「善玉菌」を増やしたり便を軟らかくしたりすることで便秘の改善を促します。
便秘を予防するためにも日々の食事に食物繊維を含む食品を取り入れましょう。
2.食物繊維の1日の摂取目標量
「食物繊維って1日にどれくらいの量を摂取したら良いのかな?」
普段の食事に食物繊維を取り入れるにあたり、1日に摂取すべき量を知りたい人もいるのではないでしょうか。
日本ではアメリカ・カナダの食事摂取基準を参考に食物繊維の理想的な摂取量は成人で1日24gです[1]。
しかし日本人の食物繊維の摂取量が減少している傾向を踏まえ、厚生労働省が公表した「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では成人男性は1日20~21g以上、成人女性は1日17~18g以上を摂取目標量としています[1]。
厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査」によると日本人の食物繊維の平均摂取量は男性が19.4g、女性が17.5gです[2]。
いずれもアメリカの摂取目標量より少ないことが分かりますね。
日本人の食物繊維の平均摂取量はかつて1日20g以上でしたが、穀類、いも類、豆類などの摂取量が減ったことで食物繊維自体の摂取量も減少傾向にあります[3]。
肥満を予防するためにもアメリカでの理想的な摂取量の24gにできるだけ近づけるように、日本の摂取目標量以上の食物繊維を摂取するように意識すると良いでしょう[1]。
3.ダイエットにおすすめの食物繊維が豊富な食べ物
「食物繊維が豊富に含まれる食べ物には何があるのかな?」
積極的に食物繊維を摂取するためにも食物繊維が豊富な食品について知りたいですよね。
ここからは食物繊維が豊富に含まれている食品をピックアップしてご紹介します。
3-1.野菜類
野菜類に含まれる食物繊維の含有量は以下のとおりです。
【食物繊維を多く含む野菜類と可食部100g当たりの含有量】
食品名 | 加工状態など | 水溶性食物繊維 | 不溶性食物繊維 | 食物繊維総量 |
---|---|---|---|---|
モロヘイヤ | 生 | 1.3g | 4.6g | 5.9g |
ごぼう | 生 | 2.3g | 3.4g | 5.7g |
ブロッコリー | 生 | 0.9g | 4.3g | 5.1g |
オクラ | 生 | 1.4g | 3.6g | 5.0g |
えだまめ | 生 | 0.4g | 4.6g | 5.0g |
西洋かぼちゃ | 生 | 0.9g | 2.6g | 3.5g |
水菜 | 生 | 0.6g | 2.4g | 3.0g |
とうもろこし(スイートコーン) | 生 | 0.3g | 2.7g | 3.0g |
にんじん | 皮なし、生 | 0.8g | 1.9g | 2.7g |
キャベツ | 生 | 0.4g | 1.4g | 1.8g |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
野菜類には不溶性食物繊維が豊富に含まれていることが分かりますね。
生野菜でたくさんの量を摂取できない場合は、加熱調理するとかさを減らすことができ食べやすくなりますよ。
また野菜本来が持つ香りや味も引き出されるため、よりおいしく食べられるでしょう。
3-2.きのこ類
きのこ類も食物繊維を豊富に含んでいる食品の一つです。
【食物繊維を多く含むきのこ類と可食部100g当たりの含有量】
食品名 | 加工状態など | 水溶性食物繊維 | 不溶性食物繊維 | 食物繊維総量 |
---|---|---|---|---|
しいたけ(原木栽培) | 生 | 0.4g | 5.1g | 5.5g |
まつたけ | 生 | 0.3g | 4.4g | 4.7g |
しいたけ(菌床栽培) | 生 | 0.4g | 4.1g | 4.6g |
えのきたけ | 生 | 0.4g | 3.5g | 3.9g |
まいたけ | 生 | 0.3g | 3.2g | 3.5g |
ぶなしめじ | 生 | 0.3g | 3.2g | 3.5g |
エリンギ | 生 | 0.2g | 3.2g | 3.4g |
なめこ | 生 | 1.0g | 2.4g | 3.4g |
マッシュルーム | 生 | 0.2g | 1.8g | 2.0g |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
きのこ類は炒めたり揚げたりスープにしたりとさまざまな調理法で摂取しやすい食品といえます。
みそ汁の具材として使うのもお勧めです。
3-3.豆類
豆類のなかでも食物繊維を豊富に含むものは以下のとおりです。
【食物繊維を多く含む豆類と可食部100g当たりの含有量】
食品名 | 加工状態など | 水溶性食物繊維 | 不溶性食物繊維 | 食物繊維総量 |
---|---|---|---|---|
きなこ(黄大豆) | - | 2.7g | 15.4g | 18.1g |
大豆(国産) | 乾燥 | 1.5g | 16.4g | 17.9g |
いんげん豆 | 乾燥 | 3.3g | 16.2g | 19.6g |
青えんどう豆 | 乾燥 | 1.2g | 16.2g | 17.4g |
レンズ豆 | 乾燥 | 1.0g | 15.7g | 16.7g |
ひよこ豆 | 乾燥 | 1.2g | 15.1g | 16.3g |
あずき | ゆで | 0.8g | 11.3g | 12.1g |
おから | 生 | 0.4g | 11.1g | 11.5g |
蒸し大豆 | - | 2.3g | 6.5g | 8.8g |
納豆 | - | 2.3g | 4.4g | 6.7g |
こし練りあん | - | 0.2g | 3.4g | 3.5g |
油揚げ | 生 | 0.5g | 0.8g | 1.3g |
木綿豆腐 | - | 0.1g | 0.3g | 0.4g |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
食物繊維を豊富に含む食品というとさつまいもやごぼうをイメージする人が多くいらっしゃるかもしれません。
しかし、豆類は食物繊維の含有量が多く、大豆にはごぼうの約3倍、にんじんの約7倍の食物繊維が含まれています。
また日本人になじみ深いあんこや豆腐、油揚げ、納豆などの豆の加工食品からも食物繊維を摂取できますよ。
3-4.海藻類
海藻類にも食物繊維がたくさん含まれていますよ。
【食物繊維を多く含む海藻類と可食部100g当たりの含有量】
食品名 | 加工状態など | 水溶性食物繊維 | 不溶性食物繊維 | 食物繊維総量 |
---|---|---|---|---|
干しひじき | 乾燥 | - | - | 51.8g |
刻み昆布 | - | - | - | 39.1g |
焼きのり | - | - | - | 36.0g |
カットわかめ | 乾燥 | - | - | 35.4g |
あおのり | 素干し | - | - | 35.2g |
あおさ | 素干し | - | - | 29.1g |
乾燥わかめ | 素干し | - | - | 29.0g |
塩昆布 | - | - | - | 6.8g |
昆布つくだ煮 | - | - | - | 8.8g |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
わかめなどは乾燥わかめやカットわかめなど手軽に使いやすいタイプが出ていますので、みそ汁やスープに入れて摂取しても良いですね。
3-5.穀類
穀類にも食物繊維は豊富に含まれます。
食物繊維を豊富に含む穀類は以下のとおりです。
【食物繊維を多く含む穀類と可食部100g当たりの含有量】
食品名 | 加工状態など | 水溶性食物繊維 | 不溶性食物繊維 | 食物繊維総量 |
---|---|---|---|---|
オートミール | - | 3.2g | 6.2g | 9.4g |
ポップコーン | - | 0.2g | 9.1g | 9.3g |
押麦(大麦) | 乾燥 | 4.3g | 3.6g | 7.9g |
半生そば | - | 1.1g | 2.0g | 3.1g |
ライ麦パン | - | 2.0g | 3.6g | 5.6g |
全粒粉パン | - | 0.9g | 3.6g | 4.5g |
そば | 乾麺 | 1.6g | 2.1g | 3.7g |
マカロニ・スパゲッティ | 乾燥 | 1.4g | 1.6g | 3.0g |
玄米 | - | 0.7g | 2.3g | 3.0g |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
食物繊維の摂取量の減少は米や大麦といった穀類離れが一因と考えられます。
「国民健康・栄養調査」によると1950年頃をピークに穀類の摂取量は減少傾向にあります[4]。
穀類には不溶性食物繊維を豊富に含む全粒小麦や玄米、そして水溶性食物繊維を含むライ麦、大麦などがあるため、食物繊維の摂取源としてはうってつけです。
穀類は精製によって食物繊維が減少することがあるので、できれば玄米や全粒粉などの精製度の低いものを選ぶと良いですよ。
玄米が食べづらいと感じる方は三分づきや五分づきといったものもお勧めです。
3-6.果物類
果物類に含まれる食物繊維の含有量は以下のとおりです。
【食物繊維を多く含む果物類と可食部100g当たりの含有量】
食品名 | 加工状態など | 水溶性食物繊維 | 不溶性食物繊維 | 食物繊維総量 |
---|---|---|---|---|
干し柿 | - | 1.3g | 12.7g | 14.0g |
プルーン | 乾燥 | 3.4g | 3.8g | 7.1g |
ラズベリー | 生 | 0.7g | 4.0g | 4.7g |
ブルーベリー | 生 | 0.5g | 2.8g | 3.3g |
キウイフルーツ(緑) | 生 | 0.6g | 2.0g | 2.6g |
西洋なし | 生 | 0.7g | 1.2g | 1.9g |
いちじく | 生 | 0.7g | 1.2g | 1.9g |
りんご | 皮なし、生 | 0.4g | 1.0g | 1.4g |
いちご | 生 | 0.5g | 0.9g | 1.4g |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
果実類は間食としても摂取しやすい食品ですが、摂り過ぎると果糖の過剰摂取でかえって脂肪を増やす可能性があるので食べ過ぎに注意しましょう。
4.健康的に痩せる食事のポイント
「無理せず健康的に痩せるために気を付けた方が良い食事のポイントってあるのかな?」
ダイエットをするにあたって食生活での注意点を知りたいという人は多いのではないでしょうか。
実は特定の食品ばかりを摂取したり、ある食品を制限したりといった偏った食生活はかえって太る原因になる場合があります。
そのため、食物繊維を豊富に含む食品だけを摂っていても健康的にダイエットができない恐れがあるといえるかもしれません。
そこで、ここからは健康的に痩せるための食事のポイントを六つ紹介します。
ポイント1 摂取カロリーを消費カロリーより抑える
まずは摂取カロリーを消費カロリーよりも抑えることが重要です。
体に脂肪が蓄えられてしまうのは摂取カロリーが消費カロリーより多いことが原因と考えられます。
カロリーオーバーを防ぐためには1日の平均的な消費カロリーである「推定エネルギー必要量」を把握すると良いでしょう。
【日本人の推定エネルギー必要量(kcal)】
男性 | 女性 | |
---|---|---|
18~29歳 | 2,300~3,050 | 1,700~2,300 |
30~49歳 | 2,300~3,050 | 1,750~2,350 |
50~64歳 | 2,200~2,950 | 1,650~2,250 |
65~74歳 | 2,050~2,750 | 1,550~2,100 |
75歳以上 | 1,800~2,100 | 1,400~1,650 |
推定エネルギー必要量以上のカロリーを摂取した場合はエネルギーが使いきれずに脂肪へと変わってしまいます。
逆をいえば食事から摂取するカロリーを消費カロリーよりも抑えることができれば、基本的には体重を落とせるのです。
とはいえ特定の食品のみを摂取したり制限したりといった無理な食生活を送るとエネルギー不足や栄養不足などかえって体に悪影響を及ぼす可能性があります。
摂取カロリーを抑えるためには単に食事制限をするのではなく、運動などによる消費カロリーを増やすことも重要でしょう。
運動のなかでも特にお勧めなのがウォーキングやサイクリング、水泳などの有酸素運動です。
食事の際のカロリー計算や適切な運動を組み合わせて無理のないダイエットに取り組みましょう。
ポイント2 アルコールや甘いものを控える
アルコールや甘いものは脂肪の原因になるため控えるようにしましょう。
糖を摂り過ぎると血糖値が急上昇するため、血糖値を下げようとインスリンが多量に分泌されます。
これによってエネルギー源として使用されなかった糖が脂肪としてため込まれるため、太りやすくなってしまうのです。
アルコールは1gあたり7kcalとそれ自体が持つカロリーも高い上、中性脂肪の増加を促すはたらきがあります[5]。
そのため過剰に摂取すると中性脂肪が必要以上に合成されるのです。
またアルコールは食欲を増進させるはたらきもあり、おつまみとして脂質の多いものを摂取することも肥満の原因になります。
アルコールと一緒に他の食品を摂取する場合はアルコールの分解が優先されるため、糖や脂肪は蓄積されていってしまうのです。
このようにアルコールや甘いものは中性脂肪を増やす原因になるため、摂り過ぎには注意してくださいね。
ポイント3 食物繊維を含む食品を最初に食べる
食事の際はまず食物繊維を含む食品から食べるように意識しましょう。
特に水溶性の食物繊維には栄養素の吸収を緩やかにするはたらきがあるため、血糖値の急上昇を抑えてくれます。
このようにして血糖値の急上昇を防ぐことができればインスリンの過剰分泌による脂肪の蓄積も予防できるでしょう。
しかし、食物繊維が豊富に含まれていればどんな食品でも良いというわけではありません。
れんこんやかぼちゃ、芋類などは食物繊維が含まれているとはいえ、糖質も同時に多く含まれているので最初に食べる野菜としてはふさわしくありません。
ポイント4 調理法を工夫する
調理法を工夫することによっても摂取カロリーを抑えることができます。
普段からさまざまな調理法で料理をしているかと思いますが、摂取カロリーを抑えたいのであれば蒸す、ゆでる、焼くといった調理法がお勧めです。
調理法一つで摂取カロリーが大きく変わるのには油を使っていることが原因の一つといえます。
油は大切なエネルギー源であると同時に少量でも高カロリーです。
例えば同じ豚ロース80gであっても揚げて調理されたとんかつはしゃぶしゃぶの2倍以上カロリーに差があります[6]。
摂取カロリーを抑えるためには、できるだけ油を使わない調理法を選択するなどの工夫をしましょう。
また調理時に使う油だけでなく脂身の多い部位を選ばないようにしたり、調理前に脂質の多い皮などの部位は取り除いたりといった工夫によっても摂取カロリーを抑えられます。
ポイント5 よく噛んで食べる
食事の際によく噛むことも健康的に痩せるために重要なポイントです。
よく噛んで食べることで満腹中枢が刺激され、満腹感を得られやすくなるため食べ過ぎ防止につながるでしょう。
ほかにも早食いを防いだり、薄味でも満足できたりするようになります。
「早食いすることってそんなに問題なのかな?」
という疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれませんね。
実は厚生労働省が過去に行った「国民健康・栄養調査」によると、早食いと肥満には関係があることが分かったのです。
肥満の人は肥満ではない人よりも食事が速い傾向にあり、早食いの習慣がある人には肥満度が高い人が多いという傾向にあることが示されました。
この理由としては噛む回数が少ないと脳が満腹と感じるよりも先にたくさんの量を食べてしまうからではないかと考えられています。
よく噛んで食べると適量でも満腹感を得られるだけでなく、消費カロリーを増やす効果も期待できます。
これには「食事誘発性熱産生(DIT)」が関係しています。
咀嚼(そしゃく)回数と「食事誘発性体熱産生」を比較する実験では、ゆっくり食事をすることで咀嚼回数が増え食事誘発性熱産生による消費エネルギーが増加することが分かりました。
食物繊維を含む食品は噛みごたえがあるものが多く、食事の際の咀嚼回数も自然と増えるのでよく噛んで食べるにはぴったりですね。
ポイント6 バランスの良い食事を心掛ける
健康的なダイエットをするにはバランスの良い食事を心掛けてください。
バランスの取れた食事とは米やパンなどの主食を基本に、肉・魚などの主菜、サラダといった副菜、そして汁物を組み合わせいろいろな食材を摂ることです。
日本の昔ながらの「一汁三菜」は栄養バランスが取れた理想的な食事スタイルといえます。
エネルギー源となる栄養素に関しては総エネルギー摂取量に対して、たんぱく質が13~20%、脂質が20~30%、炭水化物が50~65%の摂取が摂取目標量とされています[7]。
また野菜は淡色野菜や緑黄色野菜などの色、根菜類、葉茎菜類、果菜類など食べる部位が異なる野菜を組み合わせて1日350g食べるようにしましょう[8]。
食事バランスが崩れてしまうとエネルギーの過剰摂取によって肥満を招いたり、反対に栄養不足になったりと体に不調が現れます。
農林水産省が「「食事バランスガイド」について」のサイトで情報を公開しているので、参考にしてみてくださいね。
5.食物繊維がダイエットにもたらす効果についてのまとめ
食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の大きく分けて二つ種類あり、それぞれにダイエットをサポートするはたらきがあります。
水溶性食物繊維は余分に摂取した脂質や糖を体から排出したり、血糖値の急上昇を抑えインスリンの多量分泌による脂肪の蓄積を予防したりしてくれます。
不溶性食物繊維は便の量を増やし腸の動きを活発にすることで、肥満を引き起こす一因となる便秘を改善します。
特に日本人は食物繊維の摂取量が減少傾向にあるため、摂取目標量を参考に積極的に摂取するようにしましょう。
食物繊維が豊富に含まれる食品には野菜類をはじめ、きのこ類、豆類、海藻類、穀類、果物類などがあります。
この記事を参考に健康的に痩せるダイエットを無理なく続けてくださいね。