下痢のときの食事はどうすべき?食材選びや調理の際のポイントを解説

2023年02月27日

2024年10月30日

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「おなかが下ってるんだけど、どんなものなら食べて良いんだろう?」

このように、下痢の際にどのような食事を摂れば良いかお困りの方も多いのではないでしょうか。

下痢は多くの場合、食べ過ぎや飲み過ぎなどによって引き起こされます。

下痢になると腸のはたらきが異常に活発となるため、胃腸に負担のかからないように食材を選んだり調理したりすることが重要です。

また調理が難しい場合は、調理しなくても手軽に摂れる食品を活用するのもおすすめですよ。

そこでこの記事では、下痢の際の食事のポイントについて詳しくお伝えします。

1.下痢とは

ベッドに座ってお腹をおさえる人

「そもそも下痢ってどういう状態のことなんだろう?」

と気になった方もいらっしゃるかもしれませんね。

下痢に関してはさまざまな見解があり、厳密な定義はありません。

しかし、一般的には固まっていない水っぽい便が1日に何度も排出される状態のことを指します。

通常は腸内で消化された食べ物から水分が吸収されますが、何らかの原因によって腸内での水分吸収がうまく行われず腸のぜん動運動が激しくなり、下痢が生じます

メモ
腸は収縮を繰り返すことで、胃から肛門まで内容物を運ぶはたらきをしています。これがぜん動運動(腸ぜん動)です。腸のぜん動運動が高まると腸の内容物が急速に通過するため、水分の吸収が十分に行われず下痢になるといわれています。

下痢は症状の持続期間によって大きく急性下痢と慢性下痢に分けられます

急性の下痢は主に刺激物の摂り過ぎや暴飲暴食、ウイルスや細菌による感染などによって引き起こされます。

急に始まって短期間で治まるのが特徴で、発症から2週間程度でおおむね症状が治まります[1]。

他の原因としては、感染症や胃腸からの出血、心筋梗塞、大動脈瘤の破裂などが挙げられます。

一方、慢性の下痢は主に炎症性の腸疾患や薬剤の作用、大腸がんなどの腫瘍、乳糖不耐症などによって引き起こされ、発症から3週間以上症状が続きます[1]。

乳糖不耐症とは
消化酵素の「ラクターゼ」が欠乏している体質により、牛乳や乳製品に含まれる糖の一種「乳糖」が消化できない状態のことです。下痢や腹部の膨満、けいれん痛などを引き起こします。乳製品を摂取した後に症状が現れる場合に疑われます。

このように、下痢には食事内容の他、病気などが関係していることがあります

なかには重篤な病気によるものもあるため、下痢が長引いている場合や他の症状を伴う場合には医療機関を受診しましょう。

下痢の種類や原因について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

下痢の原因は何?症状や予防するためのポイントを分かりやすく解説

[1] 日本臨床検査医学会ガイドライン作成委員会「臨床検査のガイドライン JSLM2018」

2.下痢の際の食事のポイント

卵のおじや

急性下痢は多くの場合自然に治りますが、食事の内容には注意する必要があります。

「下痢の際はどんな食材を選んでどんな調理をすると良いんだろう?」

このように下痢の際にどんな食事を摂ったら良いか知りたいところですよね。

ここからは下痢の際の食事のポイントを詳しく解説します。

ポイント1 消化が良く栄養価の高い食材を選ぶ

まず、消化が良く栄養価の高い食材を選ぶことが挙げられます。

下痢の際は腸に負担をかけないために刺激が少ない消化に良いものが望ましいとされます。

また腸の調子を整えるために栄養のある食材を選択すると良いでしょう。

消化に良く栄養価の高い食材として、以下のようなものがあります。

消化に良い食べ物

メモ
脂質を胃で消化するには長い時間がかかり、その分胃への負担が大きくなるため、下痢のときにはできるだけ油脂類を避けることが望ましいといえます。使用する際はバターやマヨネーズなどの乳化された油脂を少量使うにとどめておきましょう。なお、乳化とは水と油など本来互いに溶け合うことのない液体同士を混ざり合った状態にする技術で、マヨネーズは卵黄による乳化によってつくられています。

紹介した食材を参考に、食べやすいものを選ぶようにしてくださいね。

ポイント2 脂質や食物繊維の多い食材は避ける

食材を選ぶ際は、脂質や食物繊維の多いものは避けるようにしましょう

食物繊維は体内で消化できない食品成分で、豆類、野菜類、果物類、きのこ類、海藻類などに多く含まれています。

食物繊維の多い食材について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

食物繊維は1日どのくらい摂ればいい?詳しく紹介

健康へのさまざまなメリットがあるといわれていますが、消化が悪くガスが発生しやすいため腸に負担がかかるというデメリットもあります

そのため、ごぼうやきのこなどといった食物繊維が多い食材は控えると良いでしょう。

メモ
食物繊維の多い食材を摂取する場合は、細かくしたりやわらかくしたりして調理することがおすすめです。詳しい調理に関してはこの後お伝えします。

また、脂質の多い食材も消化が悪いためできるだけ避けることが必要です。

脂質の多い食材は肉類、魚類、種実類、乳製品があり、そのなかでも特に脂質が多く摂取を控えたい食材は以下のとおりです。

【脂質の多い食材】

  1. 肉類……豚ばら肉、ベーコン、ソーセージなど
  2. 魚介類……いわし、さばなど
  3. 種実類……くるみ、マカダミアナッツなど
  4. 乳製品……生クリーム、チーズなど

脂身や繊維質の多い食材はおなかの調子が治るまで控えておきましょう。

食物繊維について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

食物繊維を摂れる食べ物は?効果や摂取基準も解説

また食品に含まれる脂質の種類や代表的な食品の脂質含有量については以下の記事でご紹介しています。

脂質の少ない食べ物とは?脂質の摂取や抑える工夫

ポイント3 冷たいものや刺激物は避ける

カレーライスの画像

冷たいものや刺激物の摂取も注意が必要です。

まず、刺激物は腸に刺激を与えるため控えるようにしましょう。

一般的に刺激物と呼ばれる食品には以下のようなものがあります。

【刺激の強い食品】

  1. カレー粉、わさび、からしなどの辛いもの
  2. 酢、柑橘(かんきつ)類などの酸味の強いもの
  3. コーヒー、アルコール、炭酸飲料などの飲み物

また冷たい食べ物や飲み物も下痢を引き起こしやすいため、体温に近い温度や温かいものを摂取するようにしてくださいね

ポイント4 油を使う調理法を避ける

調理する際は油の使用を避けるようにしましょう

油の使用量が増えると消化が悪くなるため、揚げたり炒めたりする調理法は望ましくありません。

煮る、蒸す、焼く、ゆでるなどの方法で調理することがおすすめです。

食材ごとの適した料理を以下にご紹介しますので、調理する際に参考にしてくださいね。

【食材ごとの適した料理の例】

  1. 穀類……おかゆ、煮込みうどん
  2. 魚介類……煮魚、酒蒸し
  3. 肉類……煮物、ホイル焼き、しゃぶしゃぶ
  4. 卵類……半熟卵、卵とじ、茶わん蒸し
  5. 野菜類……蒸し野菜、煮物
  6. 乳製品……ポタージュ、温めた牛乳
  7. 大豆製品……湯豆腐

ポイント5 食材を細かくやわらかくする

すりおろしたりんごとりんご

食材の大きさややわらかさを意識することもポイントです。

より消化を良くするためには、食材を細かくしてやわらかく調理することが望ましいといわれています。

「でも細かく切るのは面倒だな……」

食材をカットするのは手間がかかることですよね。

最近ではスーパーなどでカットした食材も販売されているため、このような食材を活用するのも良いでしょう。

自分に合った方法で工夫してみてくださいね。

3.下痢の際に手軽に摂れるおすすめの食品

「下痢になったら調理するのが難しいのでは?」

このように下痢の症状がある場合は疲れていたり調子が悪かったりするため、調理が難しい場合もあるかもしれません。

調理をせずに手軽に摂れる食品はどんなものがあるか知っておきたいですね。

この章では下痢の際に手軽に摂れるおすすめの食品をご紹介します。

3-1.卵豆腐

卵豆腐

まずご紹介するのは、「卵豆腐」です。

卵豆腐は卵とだしなどの調味料を加えて蒸し固めたものです。

家庭で作るには手間のかかるものですが、スーパーやコンビニなどで販売されており、簡単に入手することができます。

一人前のサイズに小分けにされている商品もあるため、食べ切りやすいのもうれしいポイントです。

そのままでも食べられますが、冷蔵状態で販売されているため、おなかを冷やさないよう温めて湯豆腐風にして食べるのがおすすめですよ。

3-2.豆腐

絹ごし豆腐

豆腐」も手軽に摂ることができる食品として、おすすめです。

豆腐は、大豆をすりつぶして搾ってできた豆乳に凝固剤を加えて固めたものです。

原料となる大豆は栄養価が高い反面、消化があまり良くないといわれています。

しかし豆腐を作る際には大豆の消化の悪い部分は壊したり除去したりされているため、豆腐は消化が良く栄養価の高い食品になっています。

豆腐には木綿豆腐、絹ごし豆腐などがあります。

それ以外にも油揚げやがんもどきなどといった豆腐を加工した食品がありますが、これらは油で揚げているため、下痢の際にはできるだけ避けると良いでしょう。

また豆腐の商品は風味が付いているものや豆腐を使った麺などといったさまざまなタイプのものが販売されているため、いろいろ試してみるのもおすすめです。

3-3.ヨーグルト

カップにはいったヨーグルト

次にご紹介するのは、「ヨーグルト」です。

ヨーグルトは発酵乳の一種で、牛乳を乳酸菌や酵母で発酵させたものです。

販売されているヨーグルトは食べ切りサイズが多くさまざまな味があるため、飽きることなく手軽に摂取しやすい食品といえます。

ヨーグルトに含まれる脂肪が気になる方は低脂肪のものを選ぶと良いでしょう。

また乳酸菌やビフィズス菌は胃酸に弱く、腸まで届かず効果が薄れてしまう可能性があります。

そのため、ヨーグルトは胃酸が薄まりやすい食後に摂ると効果的です。

メモ
ビフィズス菌や乳酸菌はさまざまな種類があり、なかには生きたまま腸内に届くものもあります。商品のパッケージを確認して、特徴から自分に合ったヨーグルトを選択することがおすすめです。

3-4.バナナ

皮をむいたバナナ

最後にご紹介するのは、「バナナ」です。

バナナは消化に良いだけではなく皮をむくだけで手軽に摂ることができます。

また体に必要な栄養素であるビタミンやミネラルなどが含まれており、栄養補給に適している食品です。

バナナに含まれる栄養素の一つであるマグネシウムは体の調子を維持するのに重要な栄養素です。

つまり、バナナは消化に良いだけでなく体の調子を整えるのにも役立つのですね。

4.下痢を予防するためのポイント

「下痢にならないためには、どんなことに気を付けたら良いんだろう?」

このように気になる方もいらっしゃるかもしれませんね。

ここからは下痢を予防するためのポイントをご紹介します。

まずは食べ過ぎや飲み過ぎとならないように気を付けることが重要です。

暴飲暴食は下痢の原因となるため、できるだけ控えるように心掛けましょう。

また、食事内容に気を付けることも必要です。

脂っこい食べ物や刺激物、冷たいものは腸に刺激を与えて下痢を引き起こしやすいといわれています。

そのため、腸を刺激するような食品は摂り過ぎないように注意しましょう。

食事だけではなく体を冷やさないようにすることもポイントです。

腸が冷えると腸の消化機能が低下しやすくなるため、腹部を冷やさないように服装を工夫したり暖房器具を使用したりすると良いでしょう。

さらにストレスも下痢を引き起こす場合があります。

休息や睡眠を十分にとったり気分転換をしたりしてストレスをためないようにすることが重要です。

生活習慣に気を配り、腸に負担をかけない生活を心掛けてくださいね。

5.下痢のときの食事について まとめ

下痢の際の食事は、食材の選択や調理法を工夫する必要があります。

脂質、食物繊維の多い食材や冷たいものなどを控えて、卵や豆腐などといった消化が良く栄養価の高い食材を選ぶことがポイントです。

ゆでる、煮る、蒸すなどといった油を使用しない方法で調理すると良いでしょう。

さらに食材を細かくしたり柔らかくしたりすることで、より消化の良い食事となります。

おなかに負担がかからないような食品や調理法を選びつつ、しっかり栄養を摂ってくださいね。

また下痢を引き起こさないためには、生活習慣を改善することが必要です。

食事では、暴飲暴食を控え、腸を刺激するような食材の摂り過ぎに注意しましょう。

十分に休息をとりストレスをためない工夫をすることもポイントです。f

今回の記事を参考にして、下痢への対処と予防を上手に行なってくださいね。

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