血圧を下げる食べ物とは?高めの血圧が気になる際の食事のポイント

2023年03月23日

2024年11月11日

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「血圧が高めっていわれたけど、何に気を付ければ良いんだろう?」

「血圧を下げる効果のある食べ物ってないのかな?」

健康診断などで血圧の高さを指摘され、このようにお悩みの方もいらっしゃるかもしれませんね。

血圧が正常値より高い状態は「高血圧」と呼ばれ、慢性化すると心臓や脳の病気の発症リスクを高めます。

高血圧は運動不足や肥満の他、食塩の過剰摂取による影響が大きいため、改善するには食事内容を見直すことが重要です。

またその上で、血圧を下げる食べ物があれば積極的に取り入れたいところですよね。

そこでこの記事では、高めの血圧が気になる場合の食事のポイントや血圧を下げる成分が含まれる食べ物、食事以外に気を付けるべきポイントについて解説します。

食事内容を見直して高血圧の予防や改善に努めましょう。

1.高血圧とは

血圧測定器

「自分の血圧が高めなのかよく分からない……」

「高血圧だといわれたけれど、何が問題なの?」

このように気になっている方もいらっしゃるかもしれませんね。

まずは高血圧について簡単におさらいしておきましょう。

メモ
血圧とは、心臓から全身へと送り出される血液が血管の内側にかける圧力のことです。一般的には特に「上腕動脈」という血管にかかる圧を指します。

【関連情報】 「血圧を下げる方法は?食事や運動などの生活習慣改善のポイントを解説」についての記事はこちら

1-1.高血圧の基準

病院で測った血圧(診察室血圧)の場合、最高血圧が120mmHg未満かつ最低血圧が80mmHg未満であれば「正常」だといえます[1]。

一方、最高血圧が140mmHg以上、または最低血圧が90mmHg以上の場合には「高血圧」と診断されます[1]。

メモ
最高血圧は一般的には「上の血圧」といわれるもので、「収縮期血圧」とも呼ばれます。心臓が収縮し全身に血液を送り出すときの血圧です。また最低血圧は一般的に「下の血圧」と呼ばれ、「拡張期血圧」という名前もあります。こちらは心臓が膨らみ、次に送り出す血液をためているときの血圧です。

詳しい基準値については以下の表のとおりです。

【成人における血圧値の分類(mmHg)】

最高血圧 最低血圧
正常血圧 120未満 かつ 80未満
正常高値血圧 120〜129 かつ 80未満
高値血圧 130〜139 かつ/または 80〜89
Ⅰ度高血圧 140〜159 かつ/または 90〜99
Ⅱ度高血圧 160〜179 かつ/または 100〜109
Ⅲ度高血圧 180以上 かつ/または 110以上
(孤立性)収縮圧高血圧 140以上 かつ 90未満

厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」をもとに執筆者作成

ただし一度血圧がこの基準を超えれば直ちに高血圧に該当するというものではなく、繰り返し測っても血圧が正常より高い場合を高血圧といいます

メモ
家庭で測定する場合には、診察室で測定するよりも5mmHg低い値が基準になります。すなわち、最高血圧115mmHg未満、かつ最低血圧75mmHg未満が正常血圧です[1]。また最高血圧135mmHg以上、または最低血圧が85mmHg以上の場合には高血圧と診断されます[1]。

[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」

1-2.高血圧の種類と原因

高血圧には「二次性高血圧」と「本態性高血圧」があり、それぞれ原因が異なります

二次性高血圧は、何らかの病気が関連して発症する高血圧を指します。

例えば、腎臓の上に位置し、ホルモンの分泌などを担う「副腎」や、首の前面に存在し、同様にホルモン分泌を行う「甲状腺」などの病気に関連して高血圧を招くことがあります。

また睡眠中に呼吸が止まってしまう「睡眠時無呼吸症候群」も高血圧の原因となります。

二次性高血圧は原因となる病気の治療を行うことで改善が期待できるので、まずは病気の治療に取り組むことが重要です。

一方、原因の特定できないものを本態性高血圧といい、日本人の高血圧の多くはこちらに該当します。

本態性高血圧は食塩の過剰摂取や運動不足、アルコールの飲み過ぎ、肥満、ストレスなどの生活習慣や、遺伝的体質などが組み合わさって引き起こされると考えられています。

なかでも日本人の高血圧は食塩の過剰摂取による影響が大きいといわれているので要注意です。

メモ
高血圧には自覚症状がほとんどありませんが、放置していると心臓や全身の血管に大きな病気を引き起こす可能性があります。

2.血圧を下げる食事のポイント

「高血圧だと診断されたら、どんなものを食べたら良いの?」

このように気になっている方もいらっしゃることでしょう。

ヒトの体はさまざまな栄養素の影響を受けます。

血圧が気になるときには、いくつかの栄養素の摂取量を意識したり、カロリー制限を行ったりすることが重要です。

どのようなものを食べるべきか判断するために、まずは注意すべき食事のポイントを知っておきましょう。

ポイント1 ナトリウムの摂取量を減らす

高血圧の改善のために、まず気を付けておきたいポイントは減塩です。

日本人の高血圧の最大の原因は食塩の摂り過ぎであるといわれています。

しょうゆやみそ汁、漬物などが食卓に上る機会の多い日本人は食塩を摂り過ぎる傾向にあります。

またインスタントラーメンなどの加工食品も塩分過多となる要因の一つです。

塩分の摂り過ぎが高血圧を招く原因は、食塩の主成分の一つ「ナトリウム」にあります。

ナトリウムとは
人体に必要なミネラルの一種で、体内では細胞外液に含まれ、浸透圧の調整を行うはたらきをしています。食事からは主に食塩(塩化ナトリウム)の形で摂取されます。

ナトリウムは人体に欠かせない栄養素の一つですが、摂り過ぎると血圧を上昇させることが知られています。

多量摂取により血液中のナトリウム濃度が上昇すると、体は浸透圧を保とうと血液中の水分を増やし、その結果として血液量が増加します。

これにより血液量が増え、血管の壁を押す力が増す、つまり血圧が上昇するのだと考えられています。

このため高血圧の改善にはナトリウム、つまり食塩の摂取制限が欠かせないのです。

厚生労働省は高血圧の予防・改善のためには、1日当たりの食塩摂取量を6g未満とするのが望ましいとしています[2]。

しかし、厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」の結果では、20歳以上の日本人の1日当たりの平均食塩摂取量は男性で10.9g、女性で9.3gとこの目標を大きく超えていることが分かります[3]。

減塩の道のりは厳しいものだと感じられたかもしれませんが、以下のような工夫を取り入れれば、減塩をスムーズに進められるでしょう。

簡単にできる減塩の方法

厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」をもとに執筆者作成

[2] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

[3] 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」

ポイント2 カリウムを摂取する

また、摂り過ぎたナトリウムを体内に吸収させないような食品成分を含む食べ物を摂ることもポイントです。

「カリウム」というミネラルには、ナトリウムの排せつを促し、血圧を下げるはたらきがあるとされています。

そのため、血圧の予防・改善にはナトリウム摂取量を減らすだけでなく、カリウムの摂取量を増やすことも勧められています。

日本人の成人の1日当たりのカリウムの摂取目標量は男性で3,000mg以上、女性で2,600mg以上です[4]。

しかし20歳以上のカリウムの平均摂取量は男性で2,439mg、女性で2,273mgと目標よりも少なくなっています[5]。

より多くの摂取を心掛けることが必要だといえるでしょう。

注意!
腎機能が低下した状態でカリウムを摂取すると体外に排出されるカリウムが減り、血中のカリウム濃度が高まります。これにより不整脈が出現し、最悪の場合には心停止が引き起こされます。そのため腎機能が低下している方はカリウム制限を行わなくてはならない場合があります。腎臓に持病のある方は主治医に相談してください。

[4] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

[5] 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」

ポイント3 食物繊維を摂取する

その他に整腸効果で知られる食物繊維にはナトリウムや脂質、糖質を吸着して体外に排出するはたらきが認められており、高血圧や肥満、糖尿病、脂質異常症などの予防・改善に効果が期待できます

1日当たりの食物繊維の成人男性の摂取目標量は18〜64歳で21g以上、65歳以上で20gです[6]。

また成人女性の摂取目標量は18〜64歳で18g以上、65歳以上で17g以上です[6]。

20歳以上の平均摂取量は男性で19.9g、女性で18.0gとなっています[7]。

女性は目標量を摂取できているように見えますが、理想的な食物繊維摂取量は1日当たり24gであるとされています[6]。

上記の目標量は日本人の食物繊維摂取量が少ないため、厚生労働省の「平成28年 国民健康・栄養調査」に基づく摂取量の中央値と理想的な摂取量との中間値から設定されたものです。

少しでも多く食物繊維を摂れるよう心掛けましょう

メモ
世界保健機関(WHO)はナトリウムの摂取量を食塩相当量で1日当たり5g未満にするよう強く推奨しています[6]。またカリウムについては、1日当たりの摂取量を3,510mg程度にするよう推奨しています[6]。しかし日本人の現在の平均的な摂取量から鑑みるとこの目標の実現は困難であるため、食物繊維と同様の算出方法で日本人向けの目標量が設定されています。

[6] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

[7] 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」

ポイント4 カルシウムを摂取する

また骨の健康に欠かせないカルシウムは血圧を安定させる効果があり、不足すると高血圧を招く場合があるといわれています。

カルシウムの1日当たりの摂取推奨量は男性の場合、18〜29歳で800mg、30〜74歳で750mg、75歳以上で700mgです[8]。

また女性の場合、18〜74歳で650mg、75歳以上で600mgです[8]。

一方で20歳以上の男性の平均摂取量は503mg、同じく女性で494mgと[9]、推奨量を満たせていません

カルシウムを含む食品も摂取を心掛けたいものですね。

[8] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

[9] 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」

ポイント5 摂取カロリーを適切に抑える

近年では若年・中年の男性を中心に、肥満が原因の高血圧も増加しています。

そのため肥満の状態にある方は、適切なカロリー制限を行うことも重要だといえるでしょう。

健康な成人の1日当たりの推定必要カロリー(推定エネルギー必要量)は以下のとおりです。

【1日当たりの推定エネルギー必要量(kcal)】

性別 男性 女性
身体活動レベル 低い(Ⅰ) 普通(Ⅱ) 高い(Ⅲ) 低い(Ⅰ) 普通(Ⅱ) 高い(Ⅲ)
18〜29歳 2,300 2,650 3,050 1,700 2,000 2,300
30〜49歳 2,300 2,700 3,050 1,750 2,050 2,350
50〜64歳 2,200 2,600 2,950 1,650 1,950 2,250
65〜74歳 2,050 2,400 2,750 1,550 1,850 2,100
75歳以上 1,800 2,100 - 1,400 1,650 -

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

身体活動レベルは日常生活のなかでどれくらい体を動かしているかによって分けられます。

ご自身の身体活動レベルが分からないという方は以下のメモを確認してください。

メモ
「低い(Ⅰ)」に該当するのは生活の大部分を座って過ごし、じっとしていることが多い場合です。座って過ごすことが多いものの、職場などで立って行う作業や移動がある場合、通勤や買い物などで歩いたり、家事や軽いスポーツを行ったりする場合には「普通(Ⅱ)」に分類されます。また「高い(Ⅲ)」に分類されるのは、移動や立った状態での仕事が多い場合や、余暇に運動を活発に行う習慣がある場合です。

体を動かす機会が多ければ、その分必要なカロリーも増えるのですね。

食べ過ぎは塩分の摂り過ぎにもつながります

腹八分目を意識し、ご自分に必要なカロリー(エネルギー)を摂取するよう心掛けましょう。

推定エネルギー必要量は標準的な体格の方を対象に算出されたものです。

ご自身の体格に合った必要カロリーが知りたい方は以下の記事をご覧ください。

1日に必要なカロリーって?計算方法と健康のポイント

3.血圧を下げる効果が期待できる成分を含む食べ物

「食べるだけで血圧の下がる食べ物があったら良いのに……。」

「どんなものを食事に取り入れたら血圧が下がるのかな?」

このように気になっている方もいらっしゃることでしょう。

食べ物は薬とは違い、基本的には「これを食べればこのような効果が期待できる」といったことは断言できません。

しかし、先の章でご紹介したような高血圧の改善効果を有する成分を多く含む食品を摂取し、食事と共に生活習慣を改めることで改善が期待できます

またなかには、血圧が高めの方を対象としている特定保健用食品や機能性表示食品もあります。

ここでは、血圧を下げる効果が期待できる成分を含む食べ物をご紹介しましょう。

3-1.野菜類

野菜にはカリウムや食物繊維が豊富に含まれます

カリウムと食物繊維を多く含む身近な野菜をご紹介しましょう。

【野菜類のカリウムと食物繊維の含有量およびカロリー(100g当たり)】

食品名 加工状態など カリウム含有量 食物繊維含有量 カロリー
ほうれん草 690mg 2.8g 18kcal
えだまめ 590mg 5.0g 125kcal
モロヘイヤ 530mg 5.9g 36kcal
たけのこ 520mg 2.8mg 27kcal
小松菜 500mg 1.9g 13kcal
リーフレタス 490mg 1.9g 16kcal
水菜 480mg 3.0g 23kcal
ブロッコリー 460mg 5.1g 37kcal
れんこん 440mg 2.0g 66kcal
西洋かぼちゃ 430mg 3.5g 78kcal
ごぼう 320mg 5.7g 58kcal
にんじん 皮なし、生 300mg 2.8g 32kcal

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

低カロリーのものが多いのもうれしいポイントですよね。

普段野菜を食べる機会があまりないという方は少しでも食事に取り入れられるよう心掛けましょう。

3-2.いも類

いも類のなかにもカリウムや食物繊維を含むものがあります

代表的ないも類のカリウムと食物繊維の含有量、およびカロリーをご紹介しましょう。

【いも類のカリウムと食物繊維の含有量およびカロリー(100g当たり)】

食品名 加工状態など カリウム含有量 食物繊維含有量 カロリー
さといも 640mg 2.3g 53kcal
さつまいも 皮なし、生 480mg 2.2g 126kcal
ながいも 430mg 1.0g 64kcal
じゃがいも 皮なし、生 410mg 8.9g 59kcal
むらさきいも 皮なし、生 370mg 2.5g 123kcal

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

いも類は糖質も含んでいるので、カロリーにも注意しつつ、他の食品と合わせてバランス良く栄養素を摂れるよう心掛けましょう

3-3.果物類

果物類からもカリウムを摂取することができます

カリウムを含む果物類をご紹介しましょう。

ものによっては食物繊維の摂取源にもなり得ますよ。

【果物類のカリウムと食物繊維の含有量およびカロリー(100g当たり)】

食品名 加工状態など カリウム含有量 食物繊維含有量 カロリー
バナナ 360mg 1.1g 93kcal
メロン(緑肉種) 350mg 0.5g 45kcal
メロン(赤肉種) 350mg 0.5g 45kcal
ドラゴンフルーツ 350mg 1.9g 52kcal
キウイフルーツ(緑肉種) 300mg 2.6g 51kcal
キウイフルーツ(黄肉種) 300mg 1.4g 63kcal
もも(白肉種) 180mg 1.3g 38kcal
パイナップル 150mg 1.2g 54kcal
日本なし 140mg 0.9g 38kcal

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

ただし果物類は野菜類に比べるとカロリーが高く、カリウムや食物繊維の含有量も少ない傾向にあるといえます。

果物に頼らず、野菜類もしっかり摂取するようにしましょう。

3-4.きのこ類

きのこ類からもカリウムや食物繊維を摂取できます

代表的なきのこ類のカリウムと食物繊維の含有量をご紹介しましょう。

【きのこ類のカリウムと食物繊維の含有量およびカロリー(100g当たり)】

食品名 加工状態など カリウム含有量 食物繊維含有量 カロリー
まつたけ 410mg 4.7g 32kcal
ぶなしめじ 370mg 3.0g 26kcal
マッシュルーム 350mg 2.0g 15kcal
えのきたけ 340mg 3.9g 34kcal
エリンギ 340mg 3.4g 31kcal
本しめじ 310mg 1.9g 21kcal
しいたけ(菌床栽培) 290mg 4.9g 25kcal
しいたけ(原木栽培) 270mg 5.5g 34kcal
なめこ 240mg 3.4g 21kcal
まいたけ 230mg 3.5g 22kcal

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

3-5.海藻類

海藻類にもカリウムを含むものがあります。

また、食物繊維やカルシウムの摂取源にもなります

【海藻類のカリウムと食物繊維、カルシウムの含有量およびカロリー(100g当たり)】

食品名 加工状態など カリウム含有量 食物繊維含有量 カルシウム含有量 カロリー
刻み昆布 乾燥 8,200mg 39.1g 940mg 119kcal
干しひじき 乾燥 6,400mg 51.8g 1,000mg 180kcal
まこんぶ(素干し) 乾燥 6,100mg 32.1g 780mg 170kcal
乾燥わかめ(素干し) - 6,000mg 29.8g 830mg 172kcal
りしりこんぶ(素干し) - 5,300mg 31.4g 760mg 211kcal
あおさ(素干し) - 3,200mg 29.1g 490mg 201kcal
干しのり - 3,100mg 31.2g 140mg 276kcal
焼きのり - 2,400mg 36.0g 280mg 297kcal
乾燥わかめ 水戻し 440mg 4.3g 100mg 20kcal
カットわかめ 乾燥 430mg 39.2g 870mg 186kcal
干しひじき ゆで 160mg 3.7g 96mg 13kcal

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

乾燥した状態で流通しているものが多いので、水で戻すと1食当たりの摂取量は少なくなってしまいますが、副菜として取り入れると良いでしょう。

3-6.穀類

主食からも食物繊維を摂取することができます

ここでは、穀類の食物繊維含有量をご紹介しましょう。

【穀類の食物繊維含有量およびカロリー(100g当たり)】

食品名 加工状態など 食物繊維含有量 カロリー
ポップコーン - 9.3g 472kcal
半生そば - 6.9g 325kcal
半生中華めん - 6.2g 305kcal
そば 6.0g 271kcal
ライ麦パン - 5.6g 252kcal
マカロニ・スパゲッティ 乾燥 5.4g 347kcal
中華めん 5.4g 249kcal
全粒粉パン - 4.5g 251kcal
半生うどん - 4.1g 296kcal
うどん 3.6g 249kcal
発芽玄米 - 3.1g 339kcal
玄米 - 3.0g 346kcal

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

うるち米100g当たりの食物繊維含有量はわずか0.5gですが、玄米100g当たりの食物繊維含有量は3.0gあります[10]。

穀類は糖質を多く含んでいる傾向にあるためカロリーの摂り過ぎには十分注意が必要ですが、主食を工夫することで食物繊維の摂取量を増やせるかもしれませんね。

[10] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

3-7.牛乳・乳製品

牛乳や乳製品はカルシウムの摂取源としてよく知られていますよね。

ここでは乳製品のカルシウム含有量をご紹介しましょう。

【乳製品のカルシウム含有量およびカロリー(100g当たり)】

食品名 加工状態など カルシウム含有量 カロリー
パルメザンチーズ - 1,300mg 445kcal
エメンタールチーズ - 1,200mg 398kcal
チェダーチーズ - 740mg 390kcal
ゴーダチーズ - 680mg 356kcal
プロセスチーズ - 630mg 313kcal
カマンベールチーズ - 460mg 291kcal
モッツァレラチーズ - 330mg 269kcal
ヨーグルト(無脂肪無糖) - 140mg 37kcal
アイスクリーム(普通脂肪) - 140mg 178kcal
ヨーグルト(低脂肪無糖) - 130mg 40kcal
加工乳(低脂肪) - 130mg 42kcal
ヨーグルト(全脂無糖) - 120mg 56kcal
加工乳(濃厚) - 110mg 70kcal
ヨーグルト ドリンクタイプ(加糖) - 110mg 64kcal
普通牛乳 - 110mg 61kcal

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

牛乳よりも水分の少ないチーズ類の方がカルシウムを効率的に摂ることができますが、その半面、カロリーが高くなったり、ナトリウムの含有量が増えたりすることもあります。

他の食品と合わせてバランスの取れた食事を心掛けましょう。

カルシウムは乳製品や海藻類の他に魚介類や豆類からも摂取することができます。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

カルシウムを多く含む食品と効果的な摂り方を解説

3-8.特定保健用食品や機能性表示食品

「特定保健用食品」や「機能性表示食品」を適宜活用するのも良いでしょう。

特定保健用食品は、体内の機能に影響を与える「保健機能成分」を含んだ食品のことで「トクホ」とも呼ばれます。

最近では、特定保健用食品として「血圧を正常に保つことを助ける」などと表示され販売されているものもあります

また機能性表示食品も特定保健用食品と同様に保健機能を表示できる食品として販売されています。

現在、血圧を正常に保つことを目的として販売されている特定保健用食品や機能性表示食品には「カゼインドデカペプチド」や「サーデンペプチド」「杜仲(とちゅう)葉配糖体」「ラクトトリペプチド」などの成分が配合されています。

販売されている食品の情報を十分に確認して取り入れてみると良いでしょう。

しかし、特定保健用食品や機能性表示食品は医薬品ではないため、摂取するだけで症状を改善させる効果は期待できません

まずは食生活の改善を心掛けることが大切です。

トクホと機能性表示食品の違いについては以下の記事で解説しています。

機能性表示食品とはどんなもの?メリットを徹底解説!

4.血圧を下げるための食事以外のポイント

石段を上る女性

高血圧の予防や改善には食事以外にもいくつか気を付けるべきことがあります。

血圧が高くなる原因として、食事以外には運動不足や睡眠不足、過度の飲酒などが挙げられます

高血圧を予防したり改善したりするためには、このような食事以外の生活習慣の改善にも取り組む必要があるといえるでしょう。

高血圧を改善するためには、運動療法として「有酸素運動」が勧められています。

有酸素運動とは
ウォーキングやジョギング、水泳などの比較的負荷の軽い運動のことです。筋肉を動かす際のエネルギーとして脂肪や血糖と一緒に酸素を利用することからこのように呼ばれています。

運動種目としてウォーキング(速歩)やスロージョギング、ランニングなどが良いとされており、できれば毎日30分以上行うと効果が期待できるといわれています[11]。

既に高血圧と診断されている場合には、運動療法の可否や強度、頻度について主治医に確認の上行うようにしましょう。

また、睡眠不足は「自律神経」を乱れさせ、血圧を高めるといわれています。

自律神経とは
神経のうち、意思とは関係なくはたらき体の機能を調節するものです。相反するはたらきをする「交感神経」と「副交感神経」から成り立ちます。交感神経は体を動かす際にはたらき、副交感神経は体を休めるときにはたらきます。体の機能は両者がバランスを取ることで保たれています。

血圧を正常に保つためにも十分な睡眠を心掛けましょう

さらに、飲酒によって血圧が高くなっている場合にも、飲酒量を見直すことで血圧を下げる効果が期待できるといわれています。

高血圧を予防するためには、1日当たりの飲酒量を日本酒1合程度にとどめるとともに、週に1日以上は休肝日を設けるようにすることが重要です[12]。

この他、高血圧には自覚症状がないため、定期的に健診を受けることも心掛けましょう。

[11] 厚生労働省「高血圧を改善するための運動」

[12] 厚生労働省「栄養・食事・血圧から見た許容飲酒量」

5.血圧を下げたいときの食事についてのまとめ

血圧は心臓から全身へと送り出される血液が血管の内側にかける圧力のことで、特に「上腕動脈」という血管にかかる圧を指します。

診察室血圧は収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧は90mmHg以上の場合には高血圧と診断されます[13]。

高血圧にはさまざまな原因がありますが、なかでも食生活との関連が深いとされるため、食事内容を見直すことが重要です。

特に減塩は不可欠であるとされています。

またナトリウムの排せつを促すカリウムやナトリウムを吸着して体外に排出する食物繊維、血圧を安定させるカルシウムを摂ることもポイントです。

これらの栄養素は主に野菜類やいも類、果物類、きのこ類、海藻類、穀類、牛乳・乳製品から摂取することができます

この他、血圧を正常に保つことを目的とした特定保健用食品や機能性表示食品も販売されています。

また、適度な運動や十分な睡眠を心掛けたり飲酒量を控えたりすることも重要です。

[13] 厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」

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