「お茶のカテキンは健康に良いみたいだけど本当なのかな?」
「どんなお茶にカテキンが含まれているんだろう……」
お茶には健康に良い影響のある「カテキン」が含まれていることはご存じの方も多いでしょう。
カテキンは抗酸化作用のあるポリフェノールの一種です。
特定保健用食品として「コレステロールが高めの方に適する」旨の表示が許可されている他、体脂肪を下げたり動脈硬化を予防したりするはたらきなどが明らかになっています。
この記事ではカテキンとはどのような特徴のある成分なのか、そのはたらきや効果的な摂取量などについて解説します。
以前からお茶のカテキンについて詳しく知りたいと考えていた方は、ぜひ参考にしてくださいね。
1.カテキンとは
「カテキンってどんな成分なんだろう?」
名前はよく聞くけれど、具体的にはどんな成分なのかあまりよく分からない方もいらっしゃるかもしれませんね。
カテキンはお茶、主に緑茶の苦みや渋みのもととなる成分で抗酸化作用を持つ「ポリフェノール」の一種です。
抗酸化作用とは「活性酸素」の発生を抑制したり除去したり、作用を弱めたりするはたらきのことです。
カテキンには増え過ぎた活性酸素から体を守る抗酸化作用の他、さまざまな健康効果が期待されています。
カテキンに期待できる効果については、後ほど詳しく紹介しますね。
2.カテキンの種類
緑茶の茶葉に含まれる主なカテキンには種類があります。
その種類とは「エピガロカテキン」「エピカテキン」「エピガロカテキンガレート」「エピカテキンガレート」の四つです。
これらのうち含有量が多く、幅広い作用を持つのがエピガロカテキンガレートです。
エピガロカテキンガレートについては研究が進んでおり、抗酸化作用をはじめ、がんに対する作用や炎症を鎮める作用などが確認されています。
またエピガロカテキンは「腸管免疫」をサポートする可能性があるといわれています。
それぞれのカテキンが特有のはたらきをすることで、私たちの健康に良い影響をもたらしているのですね。
3.カテキンに期待できる効果
「カテキンにはどんな効果があるんだろう?」
カテキンには具体的にどんな作用があるのか詳しく知りたいですよね。
ここではカテキンを摂取することで期待できる効果をみていきましょう。
効果1 抗酸化作用
カテキンは活性酸素を取り除いたりはたらきを抑えたりする作用を持つ抗酸化物質です。
活性酸素は加齢やストレス、たばこ、紫外線、食品添加物などで過剰につくられ、老化や生活習慣病、がんなどを引き起こすといわれています。
このように体内に増え過ぎた活性酸素を取り除く作用があるのはカテキンをはじめとする抗酸化物質です。
具体的には血中脂質の酸化を抑え「動脈硬化」を抑制するなどの作用が期待できます。
その他、カテキンの抗酸化作用はがんの予防や肌のシミ・シワへの効果も期待されています。
効果2 コレステロール低下作用
カテキンにはコレステロールを低下させる作用があるという研究もあります。
茶カテキンを継続して摂取することで総コレステロール値およびLDLコレステロール(悪玉コレステロール)値が低下したという報告があるのです。
コレステロールについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。
コレステロールとは?数値の基準や高くなる原因、対策を徹底解説!
これはエピカテキンガレートおよびエピガロカテキンガレートなど「ガレート型」のカテキンに特徴的な作用です。
ガレート型カテキンがコレステロールの吸収を阻害することで血中コレステロール値、LDLコレステロール値を低下させるといわれています。
このような作用から、茶カテキンを含む食品は「特定保健用食品(トクホ)」として「コレステロールが高めの方に適する」旨の表示が許可されています。
コレステロールが気になる方は、カテキンを含むトクホを利用してみると良さそうですね。
トクホについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
トクホ(特定保健用食品)とは?期待できる効果や安全に活用する方法
効果3 体脂肪低減作用
カテキンに期待される効果のうち、耳にしたことがある方も多いのが体脂肪を減らす作用ではないでしょうか。
長期にわたり一定量以上のカテキンを摂取することで体脂肪の蓄積が抑えられ、体脂肪および体重の減少が見られることが確認されています。
特に生活習慣病との関連が深い「内臓脂肪」の低下が見られることが分かりました。
効果が期待できるカテキンの摂取量については後ほど詳しく紹介しますね。
カテキンのこのような効果から、茶カテキンを含む食品がトクホとして「体脂肪が気になる方に適する」旨の表示が許可されています。
効果4 むし歯菌への作用
カテキンにはむし歯菌の増殖を抑えたり「歯垢(しこう)」が歯に付くのを防いだりする効果が期待できます。
カテキンには歯垢をつくり出す酵素のはたらきを妨げる作用があることから、むし歯の予防が期待されているのです。
効果5 抗がん作用
カテキンを含む緑茶をたくさん飲むことでがんの発生が抑制されることが確認されています。
具体的には1日当たり5杯以上の緑茶を摂取する女性に胃がんのリスクが低いこと[1]、緑茶を多く飲んでいる地域で胃がんの死亡率が低いことなどが研究により報告されています。
効果6 抗菌・殺菌作用
カテキンには食中毒菌などの増殖を抑制する抗菌作用が期待できます。
食中毒菌そのものの増殖を抑えるだけではなく、食中毒菌がつくり出す「毒素」にも有効だといわれています。
また、試験管レベルの実験では胃がんや胃潰瘍の原因菌であるとされる「ピロリ菌」や肺炎の原因となる細菌、水虫の原因となる「白癬(はくせん)菌」などの増殖を抑制することも分かっています。
効果7 抗アレルギー作用
カテキンにはくしゃみや鼻づまりなどのアレルギー症状を緩和させる効果が期待できます。
特に効果が高いのは、緑茶の品種の一つ「べにふうき」に多く含まれる「メチル化カテキン」です。
メチル化カテキンはカテキンのうち幅広い作用を持つエピガロカテキンガレートの一部が変化したもので、他のカテキンに比べアレルギーに対する作用が高いことが分かっています。
花粉症などのアレルギー症状に悩む方とっては、カテキンは試してみたい成分であるといえますね。
4.カテキンを含むお茶や食品
「カテキンって緑茶以外には含まれていないのかな?」
このようなことを考えたことがある方は意外に多いかもしれませんね。
緑茶よりは少ないものの、カテキンはウーロン茶や紅茶にも含まれています。
緑茶は茶葉を摘み取ってすぐに高温で蒸し、発酵を止めて作られます。
それに対してウーロン茶や紅茶は茶葉を発酵させることで作られるお茶です。
発酵させることでカテキンそのものは減少してしまいますが「テアフラビン」や「テアルビジン」といった新たなポリフェノールがつくられ、カテキンと同様の抗酸化作用や抗菌作用などを示すといわれています。
お茶以外ではりんごやさくらんぼ、ぶどう、なし、そら豆、チョコレートなどにもカテキンが含まれています。
5.カテキンの摂取量の目安
日本人の食事摂取基準ではカテキンの摂取目安量などは設けられていません。
カテキンに関する研究は現在も進められており、効果のある摂取量についてさまざまな報告が挙げられています。
ここではカテキンの摂取量に関する情報についてご紹介します。
5-1.効果が期待できる摂取量の目安
カテキンの体脂肪低減作用に関する研究において、効果が期待できる摂取量が報告されているのでご紹介しましょう。
健康な状態である成人の男性82人を対象にした研究では、1日当たり500〜600mg以上のカテキンを12週間摂取することで体脂肪が減少すると報告されました[2]。
また普通体重もしくは肥満の男女計80人を対象とした研究では、1日当たり588mgのカテキンを含む飲料を12週間摂ったグループは126mgのカテキンを含む飲料を摂ったグループに比べて体脂肪が減ったという結果が得られました[3]。
これらの研究から、1日当たり約500mg以上のカテキンを摂取することで体脂肪の減少に効果があると考えられます。
500mLのペットボトルの緑茶に換算すると、3~4本程度に相当します[4]。
ただし緑茶にはカフェインも含まれており、飲み過ぎるとカフェインの摂り過ぎになってしまう恐れもあります。
コーヒーなど他にもカフェインを含む飲み物を飲む習慣のある方は特に注意しましょう。
5-2.過剰摂取による健康被害を避ける摂取量の目安
カテキンは通常緑茶として摂取する分に関しては、一般的には安全であると考えられています。
しかしサプリメントからの摂取では過剰摂取に注意しなければいけません。
欧州食品安全機関(EFSA)では、まれなケースであるとしながらも1日当たり800mg以上のカテキンをサプリメントから摂取すると肝機能に異常を来すという科学的根拠があると結論付けました[6]。
日本ではカテキンをサプリメントなどで摂取する場合の安全性について信頼できる根拠が得られていないとしていることも踏まえると、お茶以外での摂取は摂り過ぎに十分注意するべきであるといえるでしょう。
サプリメントでカテキンを摂取する場合は、パッケージ記載の目安量を守るようにしてくださいね。
6.カテキンについてのまとめ
カテキンは主に緑茶に含まれる苦みや渋みの成分で、ポリフェノールの一種です。
抗酸化作用、コレステロール低下作用、体脂肪低減作用などのさまざまな効果が期待できます。
カテキンには主に「エピガロカテキン」「エピカテキン」「エピガロカテキンガレート」「エピカテキンガレート」の四つの種類があります。
そのなかでもエピガロカテキンガレートは緑茶に多く含まれており、幅広い作用を持っています。
カテキンは緑茶以外の紅茶やウーロン茶にも含まれていますが、緑茶に比べるとカテキンの含有量は少ないとされます。
またお茶以外では、りんご、ぶどう、チョコレートなどにもカテキンが含まれています。
カテキンの摂取目安量は設けられていませんが、さまざまな研究により体脂肪減少の効果が期待できる摂取量が報告されています。
ただしサプリメントなどによる過剰摂取は健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、飲料からカテキンを摂取するのがおすすめですよ。