「筋トレしていてもお酒は飲んでも大丈夫?」
「体は引き締めたいけどお酒はやめたくない」
筋トレを続ける上で、アルコールを摂取することはあまり良くないと聞いたことはありませんか?
今回は、筋トレを続けながら、健康的にアルコールを楽しむためのポイントを詳しく解説します。
アルコールを適度に楽しみながら、筋肉もしっかり鍛えるライフスタイルを目指しましょう。
1.お酒を飲むと筋トレの効果が減少する
筋トレの効果を追求するなら、飲酒については慎重に検討すべきです。
アルコールの摂取は筋たんぱく質の合成を阻害し、筋肉を維持するためのホルモンを低下させるなど、筋トレ効果が減少する恐れがあります。
特に、筋トレ後の飲酒は控えましょう。ここでは、その理由について解説します。
1-1.筋肥大しにくくなる
筋肥大を求めるトレーニングを行っている方は、お酒を控えましょう。アルコール摂取がテストステロンの分泌を減少させる可能性があるためです。
テストステロンとは、テストステロンは男性ホルモンの一種で、男性の二次性徴を発現させるほか、筋肉量の増加を促します。
テストステロンには、主に以下のようなはたらきがあります。
- 筋たんぱく質の合成を促進する
- 筋肉の分解を抑制する
- 脂肪細胞の増加を抑制する
テストステロンは、筋肉を太くするためのさまざまな信号を発信しているのです。
テストステロンが不足すると筋トレの効果を最大化できなくなるため、筋肥大を目指す方はアルコール摂取を控える、または適量に留めることを意識しましょう。
1-2.筋肉が分解されやすくなる
お酒を飲むと、筋肉が分解されやすくなるとされていますが、原因はコルチゾールというホルモンにあります。
コルチゾールとは、生命を維持するための大切なホルモンの一種です。
ストレスに対抗するホルモンとしても知られており、筋肉中のたんぱく質をアミノ酸に分解し、ブドウ糖に合成する作用があります。
アルコールを摂取するとコルチゾールの増加により筋肉の分解が進行しやすくなるため、筋トレの効果が減少してしまうのです。
1-3.筋肉の合成速度が低下してしまう
筋トレ後の筋肉の回復や成長には、たんぱく質の合成が非常に重要です。
筋トレをすると、mTOR(エムトール)という酵素が細胞内ではたらいて、筋肉の合成が進行します。
しかし、アルコールを摂取してしまうと、mTORを含む筋肉の合成を促すシグナル伝達経路の活動が低下する可能性があるとされています。
結果、mTORタンパクの合成が減少し、たんぱく質を作り出す物質であるRNAの量も減るため、たんぱく質の合成速度が低下してしまうのです。
2.飲酒で筋トレのパフォーマンス低下を招くこともある
筋トレの成果は、実はトレーニングだけでなく、日常の生活習慣に大きく影響されます。特にお酒の摂取が睡眠に与える影響は、筋トレのパフォーマンスにも直結するのです。
寝酒の習慣がある人もいるように、確かにアルコールは短時間での入眠を助けます。
しかし、量にかかわらず就床1時間前に飲むと、睡眠の後半部分が乱れがちです。
深い眠りの時間が短縮し、夜中に何度も目覚めることが多くなる上に、その後はなかなか寝付けなくなります[1]。
なおアルコールが睡眠に悪影響を与える理由には、以下のようなものがあります。
- 利尿作用:アルコール摂取後はトイレが近くなりやすくなる
- 筋弛緩作用:筋肉がリラックスし、いびきをかきやすくなる
- アセトアルデヒドの効果:アルコールの入眠作用が切れた後、同物質の覚醒作用により、浅い眠りが増える
睡眠中は全身のメンテナンスが行われる大切な時間にもかかわらず、飲酒によって質が低下してしまうと、心身不調をきたす原因にもなります。
筋トレのパフォーマンスを維持するためには、お酒の摂取と睡眠の質を意識的に管理することが必要であるといえるでしょう。
3.筋トレ後にお酒を飲むときに意識したいこと
筋トレ後のケアは筋肉を作るのに必要不可欠ですが、社交の場での飲酒は避けられないこともあるでしょう。
お酒を飲む際の大前提として、トレーニング後には時間をおくことや、摂取量を少なめにするといった意識をすることが大切です。
ここからは、お酒の付き合いと筋トレの効果を両立させるための対処法について、見ていきましょう。
3-1.糖質の少ないお酒を選ぶ
筋トレ中の方にとって体脂肪の増加は避けたい問題の一つですが、アルコールの摂取は中性脂肪の合成促進につながります。
飲酒を楽しみつつも中性脂肪が増えるのを抑えるためには、糖質の少ないお酒を選ぶことをおすすめします。
糖質の少ないお酒の例
- 焼酎
- ハイボール
- ウイスキー
- ウォッカ
- テキーラ
- ジン
- ラム
- 泡盛
一方で、以下のお酒は糖質が豊富に含まれているため、飲酒の際は注意が必要です。
糖質の多いお酒の例
- ビール
- サワー類
- 梅酒
筋トレ効果を最大限に引き出すためにも、飲酒の際はアルコール飲料に含まれる糖質の量を意識して、適切なお酒を選びましょう。
3-2.摂取量を少なめにする
筋トレ中の方は極力お酒を控えるべきですが、アルコールの摂取量が少量であれば、筋肉の合成に悪影響を及ぼさないとの研究結果もあります。
ただし、この点には個人差があり、アルコールの度数やそのほかの要因によって影響の度合いは異なるため注意しましょう。
なお、日本における1日当たりの推奨飲酒量は純アルコール量で約20gとされています[2]。
以下に、主な酒類の摂取適量をまとめていますので、参考にしてみてください。
筋トレ中に限らず、飲酒の際は適量を意識し、健康的なライフスタイルを保ちましょう。
3-3.つまみは糖質・脂質の多いものを避ける
お酒を飲むと、食欲が亢進される現象が起こります。
これが原因で、飲酒の際にはおつまみも一緒に摂取したくなりますが、選び方を誤るとカロリー摂取量が予想以上に増えてしまうリスクも高まります。
特に、お酒によく合う料理とされるもののなかには糖質や脂質が多量に含まれているものが多く見受けられるため注意が必要です。
なお筋肉は、水分を除いた約80%がたんぱく質で構成されています。
アルコールの分解に関与する肝臓のはたらきをサポートするため、たんぱく質を多く含むおつまみを選ぶことがおすすめです。
具体的には、鶏ささみやするめ、枝豆、冷奴などが良いでしょう。
これらは低カロリーでありながら、筋肉のメンテナンスに必要なたんぱく質を摂取することが可能です。
4.お酒が筋トレに与える影響についてのまとめ
アルコールの影響によって筋トレの効果が低下するリスクがあるため、飲酒はできるだけ避ける方が良いとされています。
アルコールは睡眠にも悪影響を及ぼすため、日常生活や筋トレのパフォーマンスが下がることもあるでしょう。
付き合いでの飲酒は避けられないこともありますが、糖質の少ないお酒の選択、摂取量の調整、そして糖質・脂質の多いおつまみを回避するといったポイントを押さえて、筋トレ中でも適度に飲酒を楽しみましょう。
この記事の監修者
おだかクリニック
副院長
【経歴】
総合病院・大学病院での勤務を経て、2018年よりおだかクリニックの副院長として診療・経営にあたる。専門の循環器疾患(虚血性心疾患、心不全、不整脈など)はもちろんのこと、高血圧や高脂血症、糖尿病等の生活習慣病や内科疾患全般の診療に従事。現在は、医療コンサルト・アドバイザー業務や、ライティング業務などにもあたっている。
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