「男性の適切な体脂肪率はどれくらいなのかな?」
「体脂肪率を下げるためにはどうしたら良いんだろう……」
体脂肪率の高い状態が健康に良くないという印象をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
しかし、適切な体脂肪率の目安や体脂肪の過度な蓄積が健康にどんな悪影響を及ぼすのかについて理解している方は少ないかもしれませんね。
体脂肪率が高いと見た目に影響するだけでなく、将来、重篤な病気を引き起こすリスクが上がります。
この記事では、男性の体脂肪率の目安や体脂肪率を下げる方法について解説します。
ぜひ最後までお読みになり、体脂肪を下げて引き締まった体を目指すための参考にしてくださいね。
1.男性の体脂肪率の目安
「男性の体脂肪率はどれくらいが適切なんだろう……」
体脂肪率とは体重に占める脂肪の重さを比率で表したものです。
成人男性の場合、体脂肪率が25%を超えると体脂肪が多い状態だといわれています[1]。
つまり、男性の体脂肪率の目安はこの数値を超えない状態が理想的であるといえますね。
体脂肪率は家庭用の体脂肪計で簡単に測定できます。
一般的に家庭用の体脂肪計は「生体インピーダンス法」により体脂肪率を推定しています。
ただし体の水分量や体脂肪計の機種により変動しやすいため、正確に測定することが難しいというデメリットがあります。
あくまで一つの目安として測定すると良いでしょう。
[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「体脂肪計」
2.体脂肪率とBMIの違い
「BMIって聞いたことがあるけど、体脂肪率とは違うものなのかな?」
体格を表す指標であるBMIという言葉を見聞きしたことがある方もいらっしゃるでしょう。
BMIは肥満度を示す国際的な指標です。
[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で計算され、日本ではBMI25以上を肥満と判定します[2]。
ただしBMIは体格を表す要素が強いため筋肉質な人でも数値が大きくなるといったようにBMIだけでは肥満を判断するのが難しい場合もあります。
そのため日本肥満学会では、肥満の定義を「BMIが25以上」かつ「脂肪が過剰に蓄積した状態」としています[2]。
体脂肪率は肥満の判定の補助となるものなのですね。
なおBMIは22が標準とされ、肥満と関係する病気に最もかかりにくい状態だといわれています[3]。
減量したい場合は体脂肪率だけではなくBMIも意識しながら標準体重を目指すと良いでしょう。
[2] 一般社団法人 日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン2022」
[3] 厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満と健康」
3.男性で体脂肪率が高い場合の悪影響
体脂肪率が高過ぎると健康にさまざまな影響を及ぼします。
体脂肪は内臓に脂肪がつく内臓脂肪、皮膚の下に脂肪がつく皮下脂肪に分けられます。
体脂肪はどこにつくかによって健康への危険性が異なり、「生活習慣病」の発症リスクを高めるのは内臓脂肪の方であるとされています。
男性は女性よりも内臓脂肪がつきやすいため注意が必要です。
この章では、体脂肪率が高いとどのようなリスクがあるのかについて説明します。
3-1.太って見える
「体重は標準なのに実際の体重よりも太って見られる……」
このような悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
同じ体重でも、体脂肪率によって見た目の印象が変わります。
脂肪は筋肉よりも体積が大きいため、たとえ体重が同じであっても脂肪が多い人は筋肉が多い人よりも太って見えてしまうのです。
特に、男性に多い内臓脂肪型肥満では腸の周りに脂肪が過剰に蓄積するため、おなかがぽっこりとして見えます。
ダイエットの際は体重だけに着目するのではなく、体脂肪率にも目を向けることでより理想的な体型に近づけると言えますね。
3-2.メタボリックシンドロームのリスクが高まる
男性は過剰な体脂肪の蓄積によりメタボリックシンドロームのリスクが高まります。
「メタボ」という言葉の方が聞きなじみがある方も多いかもしれませんね。
メタボリックシンドロームとは内臓脂肪の蓄積による肥満に加え、脂質、血圧、血糖の異常が二つ以上該当する状態のことです。
動脈硬化を進行させる危険を高めるとされています。
メタボリックシンドロームは放置せず適切な治療を受けることが大切です。
なお、メタボリックシンドロームの診断基準における内臓脂肪が蓄積した状態とは、男性は腹囲が85cm以上を指します[4]。
男性は女性よりも内臓脂肪がつきやすいため、メタボリックシンドロームのリスクがより高いと言えますね。
メタボリックシンドロームについて詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
メタボリックシンドロームとは?診断基準や健康への悪影響を解説
[4] 厚生労働省 e-ヘルスネット「メタボリックシンドロームの診断基準」
3-3.睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まる
体脂肪が増加すると睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まります。
体重増加に伴い増えた首周りの脂肪が空気の通り道を狭め、睡眠中の無呼吸を引き起こすのです。
これにより深い眠りにつけず睡眠不足になるため、日中に強い眠気を感じ日常生活に支障を来すことがあります。
それだけでなく、高血圧や糖尿病、心臓病、脳血管疾患などを合併するリスクを高めるため適切な治療が必要です。
なお、男性は喉の形状から女性よりも睡眠時無呼吸症候群を発症しやすいとされています。
4.体脂肪率を下げるためのポイント
「体脂肪率を下げるにはどうしたら良いんだろう?」
体脂肪率を適切な値まで下げることが大切だと分かっていても対処方法までは知らないという方も 多いのではないでしょうか。
ここでは体脂肪率を下げるための方法をポイント別にご紹介します。
理想の体型を手に入れるための参考にしてくださいね。
ポイント1 エネルギー摂取量を適切に抑える
体脂肪率を下げるために食事の際はエネルギー摂取量を適切に抑えましょう。
摂取したエネルギーが消費するエネルギーを上回る状態が続くと、体内で消費しきれなかったエネルギーは脂肪として体に蓄積されてしまいます。
そのため活動で消費するエネルギー量を知り、摂取するエネルギー量を適切に抑えることが大切です。
体脂肪を1kg減少させるには食事によるエネルギー摂取量の制限と運動によるエネルギー消費量の増加を合わせて約7,000kcalが必要だといわれています[5]
ただし極端に食事からのエネルギー摂取量を減らし過ぎると健康を害する恐れがあります。
無理な食事制限をせず、適切にエネルギー量を抑えてくださいね。
1日の適切な摂取カロリーについて知りたい方は以下の記事をご覧ください。
1日の適切な摂取カロリーは?体格や運動量に合わせた計算方法を解説
[5] 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
ポイント2 エネルギー産生栄養素バランスを整える
エネルギー産生栄養素をバランス良く摂取することは体脂肪率を下げるのに効果的です。
エネルギー産生栄養素とは、ヒトが生命活動を維持するため必要なエネルギー源となるものを指します。
以前は三大栄養素と呼ばれていた、たんぱく質、脂質、炭水化物がこれに当たります。
1日に摂取するカロリーのなかで、これらの栄養素をバランス良く摂取することが大切です。
厚生労働省ではエネルギー産生栄養素を摂取する上での理想的なバランスとして「エネルギー産生栄養素バランス」の目標量を設定しています。
エネルギー産生栄養素バランスとは、各エネルギー産生栄養素が総エネルギー摂取量に対して占めるべき割合のことです。
各年代のエネルギー産生栄養素バランスは以下のとおりです。
年齢 | たんぱく質 | 脂質 | 糖質 |
---|---|---|---|
18~29歳 | |||
30~49歳 | |||
50~64歳 | |||
65~74歳 | |||
75歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
エネルギー量が適正でも、エネルギー産生栄養素のバランスが乱れると体脂肪が増える原因となります。
特に炭水化物や脂質の摂り過ぎは体脂肪が増える原因となるため、注意が必要です。
エネルギー産生栄養素のバランスを意識して、食事を見直してみましょう。
ポイント3 有酸素運動を行う
有酸素運動には体脂肪率を減らす効果が期待できます。
有酸素運動とは筋肉を動かすときのエネルギーとして、酸素といっしょに糖や脂肪が使われる運動のことです。
ウォーキングやジョギング、水泳などが該当します。
体脂肪率を減少させるためには週10メッツ・時以上の有酸素運動が必要と考えられています[6]。
活動の運動強度の例をご紹介します。
運動強度 | 活動内容 |
---|---|
3メッツ程度 | 歩く、軽い筋トレ、掃除機などの軽い家事、子どもと遊ぶなど |
4メッツ程度 | 少し速く歩く、通勤で自転車に乗る、階段をゆっくり上がるなど |
6メッツ程度 | ゆっくりとしたジョギング |
8メッツ程度 | ランニング、スイミング(クロール)、重い荷物を運搬する |
厚生労働省 e-ヘルスネット「メッツ / METs」をもとに執筆者作成
活動強度を参考にすることで効率的に体脂肪の減少が目指せそうですね。
[6] 厚生労働省 e-ヘルスネット「内臓脂肪減少のための運動」
ポイント4 筋トレを行う
筋トレを行うことも体脂肪率を下げるのに効果的です。
筋トレをして筋肉量が増えると基礎代謝が上がり脂肪が燃えやすくなります。
また筋肉は脂肪よりも体積が小さいため、筋肉量を増やすと体重は増える可能性があります。
しかし、体が引き締まるためスタイルが良く見えます。
[7] 厚生労働省 e-ヘルスネット「身体活動とエネルギー代謝」
5.男性の体脂肪率についてのまとめ
体脂肪とは体重に占める脂肪の割合のことです。
成人男性の場合、体脂肪率が25%を超えると脂肪が多い状態とされます[8]。
日本肥満学会では、BMIが25以上かつ体脂肪が過剰に蓄積した状態を肥満と定義しています[9]。
体脂肪は内臓脂肪と皮下脂肪に分けられ、男性は生活習慣病の発症と関係のある内臓脂肪がつきやすいといわれています。
そのため男性の場合、体脂肪率が高いことで太って見えるだけでなく、メタボリックシンドロームのリスクが高まります。
また体重増加に伴い睡眠時無呼吸症候群も発症しやすくなります。
これらの病気を放置するとさまざまな合併症を引き起こすため適切な治療を受けることが大切です。
体脂肪率を下げるためにはエネルギー摂取量を適切に抑え、エネルギー産生栄養素のバランスを整えましょう。
有酸素運動を行うこともおすすめですよ。
さらに、筋トレを行い筋肉量が増えると基礎代謝が上がり脂肪が燃えやすくなります。
この記事を効率良く体脂肪を減らすために役立ててくださいね。
[8] 厚生労働省 e-ヘルスネット「体脂肪計」
[9] 一般社団法人 日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン2022」