「オクラって体に良いのかな?」
「オクラにはどんな栄養素が含まれているんだろう……」
おなじみの野菜であるオクラですが、含まれる栄養素やはたらきについてはよく知らない方が多いのではないでしょうか。
オクラには整腸作用のある食物繊維や各種のビタミンなどさまざまな栄養素が含まれています。
この記事ではオクラに含まれる栄養素とそれぞれのはたらきについて詳しく解説していきます。
選び方や保存の方法についてもご紹介するので、参考にしてくださいね。
1.オクラの基礎知識
オクラはアオイ科に属するアフリカ原産の植物で、日本では主に鹿児島県、高知県、沖縄県、熊本県、福岡県などで生産されています。
切った断面が星のような形でぬめりがあるのも特徴的ですね。
オクラのカロリーが知りたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
オクラ100g当たりのカロリーは26kcalです[1]。
主な野菜のカロリーをみてみましょう。
【主な野菜の可食部100g当たりのカロリー】
食品名 | 加工状態など | カロリー |
---|---|---|
きゅうり | 生 | 13kcal |
ほうれん草 | 生 | 18kcal |
赤トマト | 生 | 20kcal |
青ピーマン | 生 | 20kcal |
たまねぎ | 生 | 33kcal |
長ねぎ | 生 | 35kcal |
ブロッコリー | 生 | 37kcal |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
他の野菜と比べても、オクラのカロリーは高くありません。
オクラは、カロリーが気になる方も安心して食べられる野菜ですね。
[1] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
2.オクラに豊富に含まれる栄養素
「オクラにはどんな栄養素が多く含まれているのかな?」
オクラには、私たちの体に必要なさまざまな栄養素が含まれています。
この章では成人男女向けに1日当たりの摂取量の目安(食事摂取基準)を紹介しています。
17歳以下の方は乳児・小児の食事摂取基準を、妊娠中・授乳中の方は必要量が増える栄養素もあるため、妊婦・授乳婦の食事摂取基準で付加量をご確認ください。
では、早速オクラに豊富に含まれる栄養素についてみていきましょう。
【オクラに豊富に含まれる栄養素(100g当たり)】
栄養素 | 含有量 |
---|---|
たんぱく質 | 2.1g |
食物繊維 | 5.0g |
ビタミンA(レチノール活性当量) | 44μg |
ビタミンE | 1.2mg |
ビタミンK | 66μg |
ビタミンB1 | 0.09mg |
ビタミンB2 | 0.09mg |
ナイアシン(ナイアシン当量) | 1.2mg |
ビタミンB6 | 0.10mg |
葉酸 | 110μg |
パントテン酸 | 0.42mg |
ビオチン | 6.6μg |
ビタミンC | 11mg |
カリウム | 280mg |
カルシウム | 92mg |
マグネシウム | 51mg |
鉄 | 0.5mg |
亜鉛 | 0.6mg |
銅 | 0.13mg |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
[2] 東京都保険医療局「栄養成分表示ハンドブック」
[3] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
2-1.たんぱく質
オクラにはたんぱく質が豊富に含まれています。
オクラ100g当たりのたんぱく質の含有量は2.1gです[4]。
たんぱく質はエネルギー産生栄養素の一つです。
たんぱく質は食べ物から摂取する必要のある9種類の必須アミノ酸と体内で合成が可能な11種類の非必須アミノ酸、合計20種類のアミノ酸によって構成されています[5]。
エネルギー源となる他、筋肉や臓器、皮膚、髪の毛など体の器官の材料となったり、ホルモンや酵素を構成したりもしており、生きていく上で欠かせない栄養素です。
食事量の減少などでたんぱく質が欠乏すると、成長障害や免疫機能の低下などが起こることがあります。
たんぱく質の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~64歳で65g、65歳以上で60gです[6]。
女性は18歳以上で50gです[6]。
たんぱく質についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
たんぱく質を多く含む食べ物は?摂取量の目安やおすすめの食材を解説
[4] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[5] 厚生労働省e-ヘルスネット「アミノ酸」
[6] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-2.食物繊維
オクラには食物繊維が豊富に含まれています。
オクラ100g当たりの食物繊維の含有量は5.0gです[7]。
食物繊維は炭水化物の一種で、食品に含まれるヒトの消化酵素では消化できない物質です。
実はオクラのぬめりの正体は食物繊維であるといわれています。
食物繊維は消化されずに大腸まで達し、便のかさを増やす材料となる他、腸内の「善玉菌」の餌となってこれらを増やします。
善玉菌が増えることで腸内環境の改善につながるとされています。
また食物繊維は糖や脂質、ナトリウムを吸着して体外へ排出するため、これらの摂り過ぎによる肥満や高血圧などの予防・改善効果が期待できます。
しかし、残念ながら食生活の変化により日本人の食物繊維の平均摂取量は以前と比べて減少しています。
健康のためには積極的に摂りたい栄養素の一つです。
食物繊維の1日当たりの摂取目標量は男性の場合18~64歳で21g以上、65歳以上で20g以上です[8]。
女性は18~64歳で18g以上、65歳以上で17g以上です[8]。
オクラを食べることで、食物繊維の摂取量を底上げできると良いですね。
食物繊維についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
食物繊維は1日にどのくらい摂ればいい?期待できる効果や食材を紹介
[7] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[8] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-3.ビタミンA
オクラにはビタミンAも豊富に含まれています。
オクラ100g当たりのビタミンAの含有量はレチノール活性当量で44μgです[9]。
ビタミンAは油に溶けやすい性質を持つ脂溶性ビタミンの一種で、目・皮膚・粘膜の健康維持や成長などに関わっています。
そのため、不足すると成長障害や皮膚・粘膜の乾燥、暗い所に目が順応できず見えにくくなる夜盲症などを引き起こすことがあります。
ビタミンAの1日当たりの摂取推奨量は、男性の場合18~29歳で850μgRAE、30~64歳で900μgRAE、65~74歳で850μgRAE、75歳以上で800μgRAEです[10]。
女性の場合18~29歳で650μgRAE、30~74歳で700μgRAE、75歳以上で650μgRAEです[10]。
ビタミンAについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンAにはどんな効果がある?目標摂取量とおすすめの食品を紹介
[9] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[10] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-4.ビタミンE
オクラにはビタミンEも豊富に含まれています。
オクラ100g当たりのビタミンEの含有量は1.2mgです[11]。
ビタミンEは、体内の細胞膜や脂質に多く存在する脂溶性ビタミンで、抗酸化作用を持っています。
ビタミンEは抗酸化作用により体内の脂質の酸化を防いだり、細胞の健康を維持したりしています。
不足すると神経や筋肉に障害が現れますが、ヒトではほとんど見られません。
ビタミンEの1日当たりの摂取目安量は、男性の場合18~49歳で6.0mg、50~74歳で7.0mg、75歳以上で6.5mgです[12]。
女性の場合18~29歳で5.0mg、30~49歳で5.5mg、50~64歳で6.0mg、65歳以上で6.5mgです[12]。
ビタミンEについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンEが多く含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説
[11] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[12] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-5.ビタミンK
オクラにはビタミンKも豊富に含まれています。
オクラ100g当たりのビタミンKの含有量は66μgです[13]。
ビタミンKは脂溶性ビタミンの一つで、正常な血液凝固が行われるための補酵素としてはたらきます。
また、ビタミンKは骨がつくられる際にも必要な成分で、骨粗しょう症の治療薬としても使用されています。
ビタミンKの不足は、通常の食事をしている場合にはほとんど見られませんが、不足すると鼻血や胃腸からの出血、月経過多、血液凝固の遅れなどの症状が現れます。
ビタミンKの1日当たりの摂取目安量は18歳以上の男女共に150μgです[14]。
ビタミンKについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンKにはどんな効果がある?摂取目安量とおすすめの食材を紹介
[13] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[14] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-6.ビタミンB1
オクラにはビタミンB1も豊富に含まれています。
オクラ100g当たりのビタミンB1の含有量は0.09mgです[15]。
ビタミンB1は水溶性ビタミンで、ビタミンB群の一種です。
ビタミンB1は体内では糖質やたんぱく質を構成する「アミノ酸」の一種を代謝する際の補酵素としてはたらきます。
食事からの供給が長期的に不足したり、糖質の多い食品やアルコールの摂取が多く需要が高まったりすると、ビタミンB1が不足する場合があります。
ビタミンB1は糖質の代謝に関わるため、不足すると糖質を主なエネルギー源として利用する脳や神経のはたらきに影響を及ぼすことがあるので注意が必要です。
ビタミンB1の1日当たりの摂取推奨量は、男性の場合18~49歳で1.4mg、50~74歳で1.3mg、75歳以上で1.2mgです[16]。
女性の場合18~74歳で1.1mg、75歳以上で0.9mgです[16]。
ビタミンB1についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンB1が豊富に含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説
[15] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[16] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-7.ビタミンB2
オクラにはビタミンB2も豊富に含まれています。
オクラ100g当たりのビタミンB2の含有量は0.09mgです[17]。
ビタミンB2はビタミンB群の一種で、エネルギーの代謝に関わる補酵素としてはたらきます。
また、成長促進や皮膚・粘膜の保護にも関与しています。
ビタミンB2の不足は単独では起こりにくく他のビタミンと共に生じることが多く、不足により成長障害や口角炎、皮膚炎などを引き起こす場合があります。
ビタミンB2の1日の摂取推奨量は男性では18~49歳で1.6mg、50~74歳で1.5mg、75歳以上で1.3mgです[18]。
女性では18~74歳で1.2mg、75歳以上で1.0mgです[18]。
ビタミンB2については以下の記事で詳しく解説しています。
ビタミンB2が手軽に摂れる食べ物は何?効果や食事摂取基準も紹介
[17] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[18] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-8.ナイアシン
オクラにはナイアシンも豊富に含まれています。
オクラ100g当たりの含有量はナイアシン当量で1.2mgです[19]。
ナイアシンはビタミンB群の一種で、皮膚や粘膜の健康に関わっています。
また、脂肪の一種である脂肪酸の合成やステロイドホルモンの合成を助ける役割を担っています。
ナイアシンの1日当たりの摂取推奨量は、男性の場合18~49歳で15mgNE、50~74で14mgNE、75歳以上は13mgNEです[20]。
女性の場合18~29歳で11mgNE、30~49歳で12mgNE、50~74歳で11mgNE、75歳以上で10mgNEです[20]。
[19] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[20] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-9.ビタミンB6
オクラにはビタミンB6も豊富に含まれています。
オクラ100g当たりのビタミンB6の含有量は0.10mgです[21]。
ビタミンB6はビタミンB群の一種です。
たんぱく質、脂質、炭水化物などの代謝の補酵素となる他、ホルモンを調節する因子としてはたらきます。
ビタミンB6の不足は他のビタミンと共に生じることが多く、湿疹、口角炎、貧血、免疫機能の低下などの症状が現れることがあります。
ビタミンB6の1日当たりの摂取推奨量は、18歳以上の男性で1.4mg、同じく女性で1.1mgです[22]。
ビタミンB6についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
[21] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[22] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-10.葉酸
オクラには葉酸も豊富に含まれています。
オクラ100g当たりの葉酸の含有量は110μgです[23]。
葉酸はビタミンB群の一種で、細胞の増殖のために必要なDNAの合成に関わります。
特に妊娠を計画している女性や妊娠初期の女性はサプリメントなどからの葉酸摂取が推奨されています。
これは胎児の細胞増殖が活発な妊娠初期に葉酸が不足すると、「神経管閉鎖障害」と呼ばれる先天性異常の発症率が高まることが分かっているためです。
神経管閉鎖障害は脳や脊髄のもとになる「神経管」の形成に異常を来すもので、運動や排せつに障害が生じたり、脳が十分に形成されない「無能症」を引き起こしたりします。
葉酸の1日当たりの摂取推奨量は、男女共に18歳以上で240μgです[24]。
葉酸についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
葉酸が多く含まれている食べ物とは?効果や摂取基準もあわせて解説
[23] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[24] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-11.パントテン酸
オクラにはパントテン酸も豊富に含まれています。
オクラ100g当たりのパントテン酸の含有量は0.42mgです[25]。
パントテン酸はビタミンB群の一種で、補酵素を構成する成分として糖や脂肪酸の代謝に関わっています。
多くの食品に含まれるため、不足することはほぼないとされています。
パントテン酸の1日当たりの摂取目安量は、男性の場合18~49歳で5mg、50歳以上で6mg、18歳以上の女性の場合5mgです[26]。
[25] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[26] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-12.ビオチン
オクラにはビオチンも豊富に含まれます。
オクラ100g当たりのビオチンの含有量は6.6μgです[27]。
ビオチンはビタミンB群の一種で、糖やアミノ酸、脂肪酸の合成やエネルギー代謝などの反応を助ける補酵素としてはたらきます。
また、抗炎症物質を産生することでアレルギーの症状を抑える作用もあるといわれます。
ビオチンはさまざまな食品に含まれるため、通常の食事をしている場合に不足することはほぼありません。
ビオチンの1日当たりの摂取目安量は18歳以上の男女共に50μgです[28]。
ビオチンについてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
ビオチンとは?はたらきや摂取の目安量、摂取源となる食品を解説
[27] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[28] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-13.ビタミンC
オクラにはビタミンCも豊富に含まれています。
オクラ100g当たりのビタミンCの含有量は11mgです[29]。
ビタミンCは水溶性ビタミンの一種で、皮膚や軟骨の材料となるたんぱく質「コラーゲン」の合成に必要な栄養素です。
また抗酸化作用や消化管で鉄の吸収を高める作用も有しています。
ビタミンCが不足するとコラーゲンの合成ができず、血管がもろくなり出血しやすくなります。
また倦怠(けんたい)感や疲労感などの症状が見られる場合もあります。
特に、喫煙者は非喫煙者と比べてビタミンCの必要性が高くなるといわれているので気を付けましょう。
ビタミンCの1日当たりの摂取推奨量は、男女共に18歳以上で100mgです[30]。
ビタミンCについてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンCの美容・健康効果は?目標摂取量と豊富に含まれている食品
[29] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[30] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-14.カリウム
オクラにはカリウムも豊富に含まれています。
オクラ100g当たりのカリウムの含有量は280mgです[31]。
カリウムはミネラルの一種で、体内ではほとんどが細胞内に存在しています。
カリウムにはナトリウムを体外へ排出するはたらきがあり、過剰に摂取した塩分を調節するのに役立ちます。
また、細胞内液の浸透圧を一定に保ったり、筋肉の収縮や体液の酸性・アルカリ性のバランスを調整したりするはたらきがあります。
カリウムが不足すると、脱力感や食欲不振、精神障害、不整脈などの症状が見られることがあります。
カリウムの1日当たりの摂取目標量は、18歳以上の男性で3,000mg以上、女性で2,600mg以上です[33]。
カリウムについてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
カリウムとは?はたらきや摂取すべき量、摂取源となる食品を紹介
[31] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[32] 国立研究開発法人国立循環器病研究センター「栄養に関する基礎知識」
[33] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-15.カルシウム
オクラにはカルシウムも豊富に含まれています。
オクラ100g当たりのカルシウムの含有量は92mgです[34]。
カルシウムは体内に最も多く存在するミネラルで、大部分が骨や歯に含まれています[35]。
血液や筋肉、神経にも微量が含まれており、血液の凝固や心筋の収縮、筋肉の興奮性の抑制などに関与しています。
カルシウムが不足すると、骨の成長に支障を来す他、骨粗しょう症を引き起こす原因にもなります。
カルシウムの吸収を良くするには、十分な摂取に加えてビタミンDをしっかり摂る必要があります。
各種のミネラルの吸収はお互いに影響し合って高められるため、食事のバランスにも気を付けましょう。
運動などで骨に負荷をかけることも、カルシウムの利用効率を上げるために効果的です。
カルシウムの1日当たりの摂取推奨量は、男性の場合18~29歳で800mg、30~74歳で750mg、75歳以上で700mgです[36]。
女性の場合18~74歳で650mg、75歳以上で600mgです[36]。
[34] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[35] 厚生労働省e-ヘルスネット「カルシウム」
[36] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-16.マグネシウム
オクラにはマグネシウムも豊富に含まれています。
オクラ100g当たりのマグネシウムの含有量は51mgです[37]。
マグネシウムはミネラルの一種で、体内では骨や歯の他、筋肉や脳・神経に含まれています。
酵素を活性化し、筋肉の収縮や体温・血圧の調整などのはたらきに関わる栄養素です。
マグネシウムは未精製、未加工の食品の多くに含まれており、健康で通常の食事をしている人では不足の心配はないとされています。
マグネシウムの1日当たりの摂取推奨量は、男性の場合18~29歳で340mg、30~64歳で370mg、65~74歳で350mg、75歳以上で320mgです[38]。
女性の場合18~29歳で270mg、30~64歳で290mg、65~74歳で280mg、75歳以上で260mgです[38]。
マグネシウムについてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
マグネシウムとは?はたらきや食事摂取基準、摂取源となる食品を解説
[37] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[38] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-17.鉄
オクラには鉄も豊富に含まれています。
オクラ100g当たりの鉄の含有量は0.5mgです[39]。
鉄はミネラルの一種で、多くは赤血球のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンに含まれます。
それ以外は肝臓や骨髄、筋肉などに蓄えられています。
成長期の乳児や幼児、月経のある女性、妊婦や授乳婦では鉄が不足することがあります。・
鉄の代表的な欠乏症が鉄欠乏性貧血です。
鉄欠乏性貧血はヘモグロビンがつくれなくなることによって生じる貧血です。
ヘモグロビンは全身に酸素を運ぶはたらきを担っているため、ヘモグロビンが減ると全身に十分に酸素を供給できなくなります。
そうすると、頭痛や目まい、動悸(どうき)、息切れなどの症状が現れることがあります。
鉄欠乏性貧血は重度にならないと症状が出ないので、日常的に不足しないように気を付けましょう。
鉄の1日当たりの摂取推奨量は、男性の場合18~74歳で7.5mg、75歳以上で7.0mgです[40]。
女性は月経がある場合18~49歳で10.5mg、50~64歳で11.0mg、月経がない場合18~64歳で6.5mg、65歳以上で6.0mgです[40]。
鉄についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
鉄分が多く含まれる食べ物と効果的な摂り方は?貧血気味の方必見!
[39] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[40] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-18.亜鉛
オクラには亜鉛も豊富に含まれています。
オクラ100g当たりの亜鉛の含有量は0.6mgです[41]。
亜鉛はミネラルの一種で、骨や歯、肝臓、腎臓、筋肉などに多く含まれています。
主なはたらきとして、ホルモンやDNA、たんぱく質の合成、免疫反応の調節などが挙げられます。
亜鉛不足は味覚障害や皮膚炎、食欲不振の原因になるといわれますが、そのメカニズムはまだ明らかにはなっていません。
他にも、不足により免疫機能の低下や慢性の下痢、貧血などが見られるといわれます。
亜鉛の1日当たりの摂取推奨量は、18~74歳の男性で11mg、75歳以上の男性で10mgです[42]。
18歳以上の女性では8mgです[42]。
亜鉛についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
亜鉛のはたらきと1日の適切な摂取量とは?亜鉛を多く含む食品も紹介
[41] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[42] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-19.銅
オクラには銅も豊富に含まれています。
オクラ100g当たりの銅の含有量は0.13mgです[43]。
銅はミネラルの一種で、主に骨や筋肉、血液などに存在します。
たんぱく質と結合して銅酵素となり、造血や鉄の代謝・輸送、活性酸素の除去など、重要な役割を果たしている栄養素です。
通常の食生活を送っている場合、銅が不足することはないといわれています。
銅の1日当たりの摂取推奨量は、18~74歳の男性で0.9mg、75歳以上の男性で0.8mgです[44]。
18歳以上の女性では0.7mgです[44]。
[43] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[44] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
3.オクラをおいしく食べるためのポイント
「オクラを選ぶときにはどこを見たら良いのかな?」
「オクラはどうやって保存したら良いんだろう?」
せっかくなら鮮度が良くおいしいオクラを食べたいものですよね。
この章では、オクラをおいしく食べるための選び方や保存方法についてご紹介するので、参考にしてくださいね。
ポイント1 色が濃く鮮やかなものを選ぶ
オクラを選ぶ際には色に着目しましょう。
色が鮮やかで、産毛がしっかり密生しているものがおいしいといわれます。
またハリや弾力があり、大き過ぎないものを選ぶと良いでしょう。
大きくなると、種が詰まり実が硬くなっている可能性があります。
切り口がみずみずしいことも新鮮なものの証しです。
ポイント2 ヘタと産毛を処理する
オクラはゆでてから使うのが一般的ですが、その前にヘタと産毛の処理をすると食感が良くなります。
まず、ヘタの周り(ガク)の硬い部分は包丁で面取りをするように削り取りましょう。
ヘタの先端部分をゆでる前に切り落とすと、ゆでている間に切り口から水が入り料理の仕上がりにも影響します。
先端が黒く変色している場合にも、ゆでてから切るようにしてください。
産毛の処理は、水洗いしたオクラに塩をまぶして指でこするようにします。
オクラの量が多い場合は、水洗いをしてまな板に並べ塩を振り手のひらで優しく抑えながら前後に転がしましょう。
これは「板ずり」という方法で、オクラの産毛を取り表面を滑らかにすることができます。
塩を使うことで産毛処理ができるだけではなく下味も付くので、料理の下ごしらえも兼ねられて便利ですよ。
ポイント3 温度に注意して保存する
オクラは低温と乾燥に弱いため、何本かまとめてキッチンペーパーで包んだものを保存袋に入れて、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。
温度が低過ぎると低温障害が起こり、表面の黒ずみの原因になります。
また、瓶に少量の水を入れ、ヘタを下向きにして野菜室で保存すると長持ちするとされています。
いずれにせよ、オクラは傷みやすいので早めに食べるようにしましょう。
さらに長く持たせたい場合には、冷凍庫での保存がおすすめです。
洗って水気をしっかり拭き取ったオクラを重ならないように並べ、保存袋に入れて冷凍庫で保存しましょう。
輪切りなど、カットしても同様に冷凍することが可能です。
冷凍すると産毛が取れるので下処理の必要もなく、さらに凍ったまま使えるので便利ですよ。
4.オクラの栄養についてのまとめ
オクラは、多くの栄養素を含む野菜です。
100g当たりのカロリーは26kcalで、他の野菜と比べても高くはありません[45]。
オクラにはたんぱく質や食物繊維の他、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、葉酸、パントテン酸、ビオチン、ビタミンCなどのビタミンが豊富に含まれています。
また、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅などのミネラルも豊富です。
オクラは色が濃くて鮮やかなものがおいしいとされています。
保存の際はキッチンペーパーで包み保存袋に入れてから、冷蔵庫の野菜室に入れましょう。
長く持たせたい場合は、冷凍庫で保存することもできますよ。
新鮮でおいしいオクラを食べて、健康づくりに役立ててくださいね。
[45] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」