「ほうれん草にはたくさん栄養素が含まれていると聞くけど本当かな……」
「ほうれん草を食べると体にどんなメリットがあるのかな?」
ほうれん草はおなじみの野菜ですが、含まれている栄養素について詳しくご存じない方も多いのではないでしょうか。
ほうれん草にはエネルギーのもとになるたんぱく質や整腸作用で知られる食物繊維の他、多くのビタミンやミネラルが豊富に含まれています。
この記事では、ほうれん草に含まれる栄養素や成分、そのはたらきについて具体的にご説明します。
ほうれん草の選び方や鮮度を保つための保存法についてもご紹介しますので、参考にしてみてくださいね。
1.ほうれん草の基礎知識
ほうれん草はビタミンやミネラルなどの栄養素を豊富に含む緑黄色野菜です。
【ほうれん草に含まれる主な栄養素とその含有量(100g当たり)】
栄養素 | 含有量 |
---|---|
たんぱく質 | 2.2g |
食物繊維 | 2.8g |
ビタミンA | 350μg |
ビタミンE | 2.1mg |
ビタミンK | 270μg |
ビタミンB1 | 0.11mg |
ビタミンB2 | 0.20mg |
ナイアシン | 1.3mg |
ビタミンB6 | 0.14mg |
葉酸 | 210μg |
パントテン酸 | 0.20mg |
ビオチン | 2.9μg |
ビタミンC | 35mg |
亜鉛 | 0.7mg |
カリウム | 690mg |
カルシウム | 49mg |
マグネシウム | 69mg |
鉄 | 2.0mg |
銅 | 0.11mg |
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成
元々は葉が薄くてあくが少ない東洋種が食べられていましたが、現在は丸くて厚めの葉が特徴の西洋種と東洋種を掛け合わせた交雑種が主流となっています。
栄養価の高いほうれん草ですが、あくのもとでもあるシュウ酸や有害性が懸念される硝酸が多く含まれます。
そのため、下ゆでしてから食べるのが基本です。
最近は、サラダほうれん草という生食ができる品種も出回っているので試してみるのも良いですね。
ほうれん草のカロリーについては知らない方もいらっしゃると思います。
ほうれん草100g当たりのカロリーは18kcalです[1]。
他の野菜と比較してみましょう。
【主な野菜の可食部100g当たりのカロリー】
食品名 | 加工状態など | カロリー |
---|---|---|
小松菜 | 生 | 13kcal |
きゅうり | 生 | 13kcal |
なす | 生 | 18kcal |
青ピーマン | 生 | 20kcal |
たまねぎ | 生 | 33kcal |
ブロッコリー | 生 | 37kcal |
長ねぎ | 生 | 35kcal |
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成
他の野菜と比べても、ほうれん草のカロリーは高くないことが分かります。
健康を気遣う方やダイエット中の方も安心して食べることができますね。
2.ほうれん草に豊富に含まれる栄養素
「ほうれん草に豊富に含まれる栄養素にはどんなものがあるのかな?」
ほうれん草にはたんぱく質や食物繊維、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。
早速ほうれん草に豊富に含まれる栄養素についてみていきましょう。
この章では成人男女向けに1日当たりの摂取量の目安(食事摂取基準)を紹介しています。
17歳以下の方は乳児・小児の食事摂取基準を、妊娠中・授乳中の方は必要量が増える栄養素もあるため、妊婦・授乳婦の食事摂取基準で付加量をご確認ください。
2-1.たんぱく質
ほうれん草にはたんぱく質が豊富に含まれています。
ほうれん草100g当たりのたんぱく質の含有量は2.2gです[3]。
たんぱく質は脂質や炭水化物と同様に、エネルギー産生栄養素です。
たんぱく質は動物や植物の細胞をつくる主な成分で、筋肉や臓器、皮膚、毛髪の材料となります。
体の調節のために必要なホルモンや酵素の成分でもあり、生きる上で欠かすことはできません。
食事量の減少などによりたんぱく質が不足するとたんぱく質欠乏症となり、体力や免疫機能の低下、成長障害が起こることがあります。
厚生労働省による「日本人の食事摂取基準(2020年版)」において、たんぱく質には推奨量が定められています。
たんぱく質の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~64歳で65g、65歳以上で60gです[4]。
女性は18歳以上で50gです[4]。
たんぱく質についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
たんぱく質を多く含む食べ物は?摂取量の目安やおすすめの食材を解説
2-2.食物繊維
ほうれん草には食物繊維も豊富に含まれています。
ほうれん草100g当たりの食物繊維の含有量は2.8gです[5]。
食物繊維は他の栄養素と異なり、小腸で消化、吸収されずに大腸へ達します。
整腸効果でよく知られますが、血糖値の上昇を抑制したり血液中のコレステロール値を低下させたりする作用が認められています。
しかし、生活の変化により現代の日本人のほとんどは食物繊維が不足しているといわれています。
健康維持に重要であるため、積極的な摂取が勧められる栄養素です。
食物繊維の1日当たりの摂取目標量は男性の場合18~64歳で21g以上、65歳以上で20g以上です[6]。
女性は18~64歳で18g以上、65歳以上で17g以上です[6]。
食物繊維についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
食物繊維は1日にどのくらい摂ればいい?期待できる効果や食材を紹介
2-3.ビタミンA
ほうれん草にはビタミンAも豊富に含まれています。
ほうれん草100g当たりのビタミンAの含有量は350μgです[7]。
ビタミンAは、水に溶けずに脂肪組織や肝臓に貯蔵される脂溶性ビタミンの一種です。
目の機能を正常に保つ他、皮膚や粘膜の健康維持、成長などに関わる栄養素です。
そのためビタミンAが不足すると、暗い所で目が見えなくなる夜盲症の症状が出たり、皮膚や粘膜の乾燥、成長障害が起こったりする場合があります。
ビタミンAの1日当たりの摂取推奨量はレチノール活性当量で、男性の場合18~29歳で850μgRAE、30~64歳で900μgRAE、65~74歳で850μgRAE、75歳以上で800μgRAEです[8]。
女性の場合18~29歳で650μgRAE、30~74歳で700μgRAE、75歳以上で650μgRAEです[8]。
ビタミンAについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンAにはどんな効果がある?目標摂取量とおすすめの食品を紹介
2-4.ビタミンE
ほうれん草にはビタミンEも豊富に含まれています。
ほうれん草100g当たりのビタミンEの含有量は2.1mgです[9]。
ビタミンEは脂溶性のビタミンで、体にさまざまな悪影響を及ぼす活性酸素を抑える抗酸化作用を持つことで知られています。
通常の食生活によって、ビタミンEが不足することはまずありません。
厚生労働省による「日本人の食事摂取基準(2020年版)」において、ビタミンEには目安量が定められています。
ビタミンEの1日当たりの摂取目安量は、男性の場合18~49歳で6.0mg、50~74歳で7.0mg、75歳以上で6.5mgです[10]。
女性の場合18~29歳で5.0mg、30~49歳で5.5mg、50~64歳で6.0mg、65歳以上で6.5mgです[10]。
2-5.ビタミンK
ほうれん草にはビタミンKも豊富に含まれています。
ほうれん草100g当たりのビタミンKの含有量は270μgです[11]。
ビタミンKは脂溶性のビタミンで、肝臓内で血液凝固因子のプロトロンビンなどを活性化することにより、血液の凝固を促します。
その他、骨の形成の調節をしたり、動脈の石灰化を抑えたりするはたらきもあります。
通常の食生活を送っている場合、ビタミンKが不足することはほぼありません。
ビタミンKの1日当たりの摂取目安量は18歳以上の男女共に150μgです[12]。
ビタミンKについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンKにはどんな効果がある?摂取目安量とおすすめの食材を紹介
2-6.ビタミンB1
ほうれん草にはビタミンB1も豊富に含まれています。
ほうれん草100g当たりのビタミンB1の含有量は0.11mgです[13]。
ビタミンB1は、血液などの体液に溶け込んでいる水溶性ビタミンでビタミンB群の一種です。
ビタミンB1は糖質を代謝する際にはたらきます。
特に糖質の多い食品を多く摂ったり、アルコールをたくさん飲んだりしたときには需要が高まります。
主に糖質をエネルギーとして利用する脳や神経は、ビタミンB1の不足により影響を受けることがあるため注意が必要です。
ビタミンB1の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~49歳で1.4mg、50~74歳で1.3mg、75歳以上で1.2mgです[14]。
女性は18~74歳で1.1mg、75歳以上で0.9mgです[14]。
ビタミンB1についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンB1が豊富に含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説
2-7.ビタミンB2
ほうれん草にはビタミンB2も豊富に含まれています。
ほうれん草100g当たりのビタミンB2の含有量は0.20mgです[15]。
ビタミンB2は体内でエネルギー代謝が行われる際に補酵素としてはたらきます。
他にも成長促進、皮膚や粘膜の保護にも関わっている栄養素です。
そのため、ビタミンB2が不足すると成長障害や皮膚炎、口内炎などの症状が現れることがあります。
ビタミンB2の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~49歳で1.6mg、50~74歳で1.5mg、75歳以上で1.3mgです[16]。
女性は18~74歳で1.2mg、75歳以上で1.0mgです[16]。
ビタミンB2についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンB2が手軽に摂れる食べ物は何?効果や食事摂取基準も紹介
2-8.ナイアシン
ほうれん草にはナイアシンも豊富に含まれています。
ほうれん草100g当たりの含有量はナイアシン当量で1.3mgです[17]。
ナイアシンは水溶性ビタミンの一種で、皮膚や粘膜の健康に関わっています。
また、ステロイドホルモンや脂肪の一つである脂肪酸の産生を助ける役割を担っています。
ナイアシンの1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~49歳で15mgNE、50~74歳は14mgNE、75歳以上は13mgNEです[18]。
女性は18~29歳で11mgNE、30~49歳で12mgNE、50~74歳で11mgNE、75歳以上で10mgNEです[18]。
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所が「『健康食品』の安全性・有効性情報」というサイトでナイアシンの情報を公開しているので、参考にしてくださいね。
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「『健康食品』の安全性・有効性情報」
2-9.ビタミンB6
ほうれん草にはビタミンB6も豊富に含まれています。
ほうれん草100g当たりのビタミンB6含有量は0.14mgです[19]。
ビタミンB6はたんぱく質、脂質、炭水化物を代謝する際の補酵素である他、神経伝達物質の代謝の補酵素としてもはたらきます。
不足すると、皮膚炎などの原因となることがあります。
ただし、ビタミンB6の不足は単独ではほぼ起こりませんが、他のビタミンが不足すると同時に起こります。
ビタミンB6の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18歳以上で1.4mg、女性は1.1mgです[20]。
ビタミンB6についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
2-10.葉酸
ほうれん草には葉酸も豊富に含まれています。
ほうれん草100g当たりの葉酸含有量は210μgです[21]。
葉酸は細胞の増殖のために必要なDNAの合成に関わります。
妊娠初期の胎児の細胞増殖が活発な時期に葉酸が不足すると胎児の神経管の成長が正常に行われず、神経管閉鎖障害と呼ばれる先天異常の発症率が高まることが明らかになっています。
葉酸の1日当たりの摂取推奨量は、男女共に18歳以上で240μgです[22]。
葉酸についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
葉酸が多く含まれている食べ物とは?効果や摂取基準もあわせて解説
2-11.パントテン酸
ほうれん草にはパントテン酸も豊富に含まれています。
ほうれん草100g当たりのパントテン酸含有量は0.20mgです[23]。
パントテン酸は水溶性ビタミンの一種で、体内では補酵素として脂肪を構成する要素である「脂肪酸」や糖の代謝に関わっています。
パントテン酸はさまざまな食品に含まれており、不足の心配はほぼありません。
パントテン酸の1日当たりの摂取目安量は、男性は18~49歳で5mg、50歳以上は6mgです[24]。
女性は18歳以上で5mgです[24]。
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所が「『健康食品』の安全性・有効性情報」というサイトでパントテン酸の情報を公開しているので、参考にしてみてくださいね。
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「『健康食品』の安全性・有効性情報」
2-12.ビオチン
ほうれん草にはビオチンも豊富に含まれています。
ほうれん草100g当たりのビオチン含有量は2.9μgです[25]。
ビオチンは水溶性ビタミンの一つで、補酵素として糖質の代謝や分岐鎖アミノ酸の合成、エネルギー代謝などに関わっています。
ビオチンは多くの食品に含まれるため、不足することはほぼありません。
ビオチンの1日当たりの摂取目安量は、男女共に18歳以上で50μgです[26]。
ビオチンについてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
ビオチンとは?はたらきや摂取の目安量、摂取源となる食品を解説
2-13.ビタミンC
ほうれん草にはビタミンCも豊富に含まれています。
ほうれん草100g当たりのビタミンC含有量は35mgです[27]。
ビタミンCはコラーゲンをつくるために欠かせない栄養素です。
コラーゲンはたんぱく質の一種で、皮膚や腱(けん)、軟骨などを構成しています。
またビタミンCは抗酸化物質として、また鉄の吸収を高める成分としても重要な栄養素です。
ビタミンCはヒトの体内ではつくることができないため、食品から摂らなくてはなりません。
食物からの摂取が少ない場合や、アルコール・薬物依存などがあるケースではビタミンCの不足が多く見られます
また、喫煙者や受動喫煙者はより多くのビタミンCを必要とします。
ビタミンCが不足すると倦怠(けんたい)感や疲労感の症状が現れることがあり、さらに欠乏すると歯肉や皮下の出血、呼吸困難などが起こる場合もあります。
ビタミンCの1日当たりの摂取推奨量は、男女共に18歳以上で100mgです[28]。
ビタミンCについてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンCの美容・健康効果は?目標摂取量と豊富に含まれている食品
2-14.亜鉛
ほうれん草には亜鉛も豊富に含まれています。
ほうれん草100g当たりの亜鉛含有量は0.7mgです[29]。
亜鉛は骨や歯、肝臓、腎臓、筋肉などに多く含まれるミネラルで、体内では酵素を構成し活性化する他、ホルモンやたんぱく質の合成、免疫機能の調整などに関与しています。
食事からの亜鉛の摂取が不足すると、味覚障害や皮膚炎、食欲不振などの症状が現れることがあります。
亜鉛の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~74歳で11mg、75歳以上で10mgです[30]。
女性は18歳以上で8mgです[30]。
日本人は高齢者を中心に亜鉛不足の状態にあるとされています。
実際に複数の疫学調査の論文において、日本人の 20-30%が亜鉛欠乏の状況にあると報告されています[31]。
亜鉛が含まれる食品を、意識して食事に取り入れることで、亜鉛不足にならないようにしましょう。
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所が「『健康食品』の安全性・有効性情報」というサイトで亜鉛の情報を公開しているので、参考にしてみてくださいね。
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「『健康食品』の安全性・有効性情報」
[31] 神戸 大朋「亜鉛トランスポーターの解析から亜鉛の生理機能を探る」(日本栄養・食糧学会誌 第 76 巻 第 4 号 207‒216(2023))
2-15.カリウム
ほうれん草にはカリウムも豊富に含まれています。
ほうれん草100g当たりのカリウム含有量は690mgです[32]。
カリウムはミネラルの一種で、体内ではほとんどが細胞内液に存在しています。
ナトリウムを体外へ排出するはたらきがあるため、塩分を過剰に摂取した際の調節に役立ちます。
また、細胞内液の浸透圧を一定に保つ他、筋肉の収縮や体液の酸性・アルカリ性のバランスを調整するはたらきがあります。
カリウムが不足すると、脱力感や食欲不振、精神障害、不整脈などの原因となることがあります。
カリウムの1日当たりの摂取目標量は、18歳以上の男性で3,000mg以上、女性で2,600mg以上です[33]。
カリウムについてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
カリウムとは?はたらきや摂取すべき量、摂取源となる食品を紹介
2-16.カルシウム
ほうれん草にはカルシウムも豊富に含まれています。
ほうれん草100g当たりのカルシウム含有量は49mgです[34]。
カルシウムはヒトの体に最も多く存在するミネラルで、骨や歯の主な材料となります[35]。
またビタミンDの摂取や運動が足りていないと、カルシウムの摂取量が十分であっても吸収や利用効率が悪くなります。
さらに、カルシウムの吸収には他のミネラルの存在も重要であるため、食事からバランス良く摂取することが重要です。
カルシウムの1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~29歳で800mg、30~74歳は750mg、75歳以上は700mgです[36]。
女性は18~74歳で650mg、75歳以上で600mgです[36]。
カルシウムについてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
カルシウムを多く含む食品と効果的な摂り方は?骨の健康を守ろう!
[35] 厚生労働省e-ヘルスネット「カルシウム」
2-17.マグネシウム
ほうれん草にはマグネシウムも豊富に含まれています。
ほうれん草100g当たりのマグネシウム含有量は69mgです[37]。
マグネシウムはカルシウムと共に骨をつくる他、体内のさまざまな代謝を促すミネラルです。
筋肉の収縮、体温や血圧の調節にも関わっています。
マグネシウムは未精製、未加工の食品の多くに含まれており、通常の食事をしていて健康な場合には不足の心配はないとされています。
マグネシウムの1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~29歳で340mg、30~64歳で370mg、65~74歳で350mg、75歳以上で320mgです[38]。
女性は18~29歳で270mg、30~64歳で290mg、65~74歳で280mg、75歳以上で260mgです[38]。
マグネシウムについてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
マグネシウムとは?はたらきや食事摂取基準、摂取源となる食品を解説
2-18.鉄
ほうれん草には鉄も豊富に含まれています。
ほうれん草100g当たりの鉄含有量は2.0mgです[39]。
鉄は体内では赤血球のヘモグロビンや筋肉の中にあるミオグロビンに含まれる他、肝臓や骨髄、筋肉などに蓄えられています。
成長期にある乳児や幼児、月経のある女性、鉄の需要が多くなる妊婦や授乳婦では鉄不足が見られることがあります。
また、摂取量の不足や吸収の障害、出血などで鉄が失われると欠乏症を引き起こすことがあり、なかでもよく知られているのが鉄欠乏性貧血です。
鉄欠乏性貧血の主な症状は、頭痛、目まい、動悸(どうき)、息切れなどですが、重症化するまでは症状が現れないため注意が必要です。
鉄の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~74歳で7.5mg、75歳以上で7.0mgです[40]。
女性は月経がある場合18~49歳で10.5mg、50~64歳で11.0mg、月経がない場合18~64歳で6.5mg、65歳以上で6.0mgです[40]。
鉄についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
鉄分が多く含まれる食べ物と効果的な摂り方は?貧血気味の方必見!
2-19.銅
ほうれん草には銅も豊富に含まれています。
ほうれん草100g当たりの銅含有量は0.11mgです[41]。
銅は主に骨や筋肉、血液に含まれるミネラルです。
体内では鉄と共に造血の機能に関与している他、神経伝達物質や鉄の代謝、活性酸素の除去などの役割を担っています。
通常の食事を摂っていて銅が不足することはほぼありません。
銅の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~74歳で0.9mg、75歳以上で0.8mgです[42]。
女性は18歳以上で0.7mgです[42]。
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所が「『健康食品』の安全性・有効性情報」というサイトで銅の情報を公開しているので、参考にしてみてくださいね。
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「『健康食品』の安全性・有効性情報」
3.ほうれん草の選び方と保存方法
選び方や保存方法に気を付けることで、ほうれん草をよりおいしく食べることができます。
ほうれん草を選ぶ際は、根と葉の状態を見ましょう。
根が太くて赤みが強くみずみずしいものは、十分に成長して甘みがあり新鮮な証拠です。
また葉に厚みとハリがあるのも新鮮なほうれん草の特徴だといわれています。
葉を確認する際は、根元の部分から密生しているかどうかも確認しましょう。
葉が根元から密生しているものは育ちが良いほうれん草です。
また、葉の色が濃いものは栄養価が高いといわれますが、黒っぽいものはあくが強い場合があるので 注意しましょう。
保存の際は、まず新聞紙を湿らせてほうれん草を包みます。
これをビニール袋に入れ、冷蔵庫の野菜室に立てて保管しましょう。
すぐに食べない場合は鮮度が落ちるのを防ぐため、下ゆでしてから保存します。
ほうれん草に含まれるシュウ酸や硝酸も、ゆでることで大部分を減らすことができます。
ただしゆで過ぎると食感が失われ、栄養素も流れ出てしまいます。
沸騰したお湯でさっとゆでたらすぐに冷水にさらしましょう。
ゆでるお湯に少量の塩を入れると、ほうれん草が変色せずに鮮やかな色に仕上がります。
4.ほうれん草の栄養についてのまとめ
ほうれん草はビタミンやミネラルなどを豊富に含む緑黄色野菜です。
ほうれん草100g当たりのカロリーは18kcalで、他の主な野菜と比べても高くありません[43]。
ほうれん草には、たんぱく質や食物繊維をはじめ、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、葉酸、パントテン酸、ビオチン、ビタミンCなどのビタミン類が豊富に含まれています。
また、亜鉛、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、銅などのミネラルも豊富です。
根が太くて赤くみずみずしいもの、葉に厚みやハリがあり密生しているほうれん草は、甘みがあり新鮮です。
ほうれん草の保存は、冷蔵庫の野菜室で行います。
すぐに食べない場合は鮮度を保つために下ゆでして保存すると良いでしょう。
下ゆですることで、ほうれん草に含まれるあくのもとであるシュウ酸や有害性があるといわれる硝酸の大部分を減らすことができます。
ほうれん草を日々の食事に取り入れ、健康づくりに役立ててくださいね。