「みかんにはどんな栄養素が含まれているんだろう?」
このように気になっている方もいらっしゃるでしょう。
みかんはビタミンAや葉酸などのビタミン、カリウムやマグネシウムなどのミネラル、食物繊維などさまざまな栄養素を含む果物です。
また、体にうれしい作用のあるβ-クリプトキサンチンやヘスペリジンも含んでいます。
この記事では、みかんに含まれる栄養素や成分について詳しく解説します。
みかんの選び方や保存方法もご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
1.みかんの基礎知識
みかんは一般的によく食べられる果物の一つですが、どのような特徴があるか詳しくは知らないという方も多いかもしれませんね。
この章ではみかんの特徴や旬などみかんの基礎知識について解説します。
1-1.みかんとは
みかんはミカン科ミカン属に属する果物です。
一般的にみかんは「温州(うんしゅう)みかん」を指す言葉として用いられています。
温州みかんは中国から伝わった柑橘(かんきつ)類の果物が元となり、鹿児島で生まれたものであるとされています。
温州みかんは手で皮をむくことができるため手軽に食べることができます。
味には甘みがあるのが特徴です。
収穫時期によって「極早生(ごくわせ)温州」「早生(わせ)温州」「中生(なかて)温州」「普通温州」に分けられます。
みかんは冬が旬ですが、近年では旬を外れた時期でもハウス栽培による生産が行われているため年中流通しています。
主なみかんの産地は和歌山県、愛媛県、静岡県です。
1-2.みかんのカロリー
みかんのカロリーは、100g当たり49kcalです[1]。
「他の果物と比べてカロリーは高いのかな?」
と気になった方もいらっしゃるでしょう。
そこで代表的な果物のカロリーと比較してみましょう。
【代表的な果物の可食部100g中のカロリー】
食品名 | 加工状態など | カロリー |
---|---|---|
みかん | 生 | 49kcal |
バナナ | 生 | 93kcal |
マンゴー | 生 | 68kcal |
さくらんぼ | 生 | 64kcal |
ぶどう | 皮なし、生 | 58kcal |
パインアップル | 生 | 54kcal |
りんご | 皮なし、生 | 53kcal |
キウイフルーツ(緑) | 生 | 51kcal |
いちご | 生 | 31kcal |
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成
みかんのカロリーはりんごやぶどうなどに比べるとやや低いものの、特別高くも低くもないといえます。
なお、農林水産省の設定する1日当たりの果物摂取目標量は200g以上です[2]。
みかんは2個で200g程度に相当し、そのカロリーはおよそ98kcalとなります[1][2]。
一般的に間食のカロリーは200kcal程度が適量とされているため、間食としてみかんを食べる場合、多すぎる量でなければカロリーを摂り過ぎる心配はないといえるでしょう[3]。
2.みかんに豊富に含まれる栄養素
「みかんにはどんな栄養素が豊富に含まれているんだろう?」
このように、みかんに含まれる栄養素について詳しく知らない方もいらっしゃるかもしれません。
みかんにはいくつかのビタミンやミネラルが豊富に含まれています。
いずれもヒトの体に欠かせない栄養素です。
この章ではみかんに豊富に含まれる栄養素とそのはたらきについて解説します。
【みかんに多く含まれる栄養素とその含有量(100g当たり)】
栄養素 | 含有量 |
---|---|
ビタミンA | 84μg |
ビタミンE | 0.4mg |
ビタミンB1 | 0.1mg |
葉酸 | 22μg |
ビタミンC | 32mg |
カリウム | 150mg |
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成
各章ではそれぞれの栄養素の1日に摂取すべき量を簡単にご紹介しています。
詳しく知りたい方はそれぞれの章でご紹介している別の記事や、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をご覧ください。
2-1.ビタミンA
みかんにはビタミンAが多く含まれており、100g当たりの含有量は「レチノール活性当量」で84μgです[5]。
ビタミンAは油に溶けやすく水に溶けにくい性質を持つ「脂溶性ビタミン」の一種であり、目や皮膚、粘膜の健康を維持するのに関わっています。
またビタミンAは「抗酸化作用」を持つ「抗酸化ビタミン」の一種です。
ビタミンAが不足すると皮膚や粘膜の乾燥、夜盲症などを引き起こします。
不足しないようにビタミンAをしっかり摂っておくことが重要なのですね。
ビタミンAの1日当たりの成人男性の摂取推奨量は18〜29歳で850μgRAE、30〜64歳で900μgRAE、65〜74歳で850μgRAE、75歳以上で800μgRAEです[6]。
成人女性の摂取推奨量は18〜29歳で650μgRAE、30〜74歳で700μgRAE、75歳以上で650μgRAEです[6]。
ただしビタミンAの摂り過ぎにも注意が必要です。
サプリメントやビタミンAを豊富に含むレバーなどを摂取し過ぎると、頭痛や吐き気といった症状を引き起こす恐れがあります。
習慣的に摂取しても健康被害を生じないと推定される1日当たりの「耐容上限量」は男女共に2,700μgRAEとされています[6]。
みかんなどの食品から過不足なくビタミンAを摂取するよう心掛けましょう。
ビタミンAのはたらきや食事摂取基準などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンAにはどんな効果がある?目標摂取量とおすすめの食品を紹介
2-2.ビタミンE
みかんにはビタミンEが豊富に含まれており、100g当たりの含有量は「α-トコフェロール」として0.4mgです[7]。
ビタミンEは抗酸化作用を有します。
通常の食生活を送っている限り、ビタミンEの不足や摂り過ぎによる悪影響を受けることはほとんどありません。
ビタミンEの1日当たりの成人男性の摂取目安量は18〜49歳で6.0mg、50〜74歳で7.0mg、75歳以上で6.5mgです[8]。
成人女性の摂取目安量は18〜29歳で5.0mg、30〜49歳で5.5mg、50〜64歳で6.0mg、65歳以上で6.5mgです[8]。
ビタミンEの食事摂取基準や摂取源となる食品などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンEが多く含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説
2-3.ビタミンB1
みかんには100g当たりビタミンB1が0.1mgと豊富に含まれています[9]。
ビタミンB1は水に溶けやすく油に溶けにくい「水溶性ビタミン」で、「ビタミンB群」に該当します。
ビタミンB1は体内では糖質の代謝などに関わっており、生命を維持したり体を動かしたりするエネルギーを生み出すのに欠かせません。
ビタミンB1が不足すると、糖質をエネルギー源としている脳や神経に悪影響を及ぼすといわれています。
ビタミンB1の1日当たりの成人男性の摂取推奨量は18〜49歳で1.4mg、50〜74歳で1.3mg、75歳以上で1.2mgです[10]。
成人女性の摂取推奨量は18〜74歳で1.1mg、75歳以上で0.9mgです[10]。
ビタミンB1の食事摂取基準や摂取源となる食品などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンB1が豊富に含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説
2-4.葉酸
みかんには葉酸が豊富に含まれており、100g当たりの含有量は22μgです[11]。
葉酸はビタミンB群の一種で、たんぱく質を構成する「アミノ酸」の代謝やたんぱく質の合成、細胞の増殖に深く関わっています。
また葉酸は赤血球の形成や胎児の正常な発育においても重要な役割を果たします。
このため妊娠初期の母体に葉酸が不足していると胎児の「神経管閉鎖障害」の発症率が高まることが分かっています。
妊娠初期には胎児の細胞増殖が盛んで神経管が形成されるため、この時期に葉酸が不足してしまわないよう妊娠を計画している女性や妊娠初期の女性は葉酸を十分に摂取することが推奨されています。
葉酸は妊娠や出産を考えている女性にとって特に意識して摂りたい栄養素だといえるでしょう。
葉酸の1日当たりの摂取推奨量は18歳以上の男女で240μgです[12]。
ただし妊娠を計画している女性や妊娠初期の方はサプリメントなどで1日当たり400μgの葉酸を摂取することが望ましいとされています[12]。
また1日の推奨量に妊娠中期・後期の方は240μg、授乳中の方は100μgを加えて摂取することが推奨されています[12]。
葉酸の食事摂取基準や摂取源となる食品について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
葉酸が多く含まれている食べ物とは?効果や摂取基準もあわせて解説
2-5.ビタミンC
みかんには100g当たりビタミンCが32mgと豊富に含まれています[13]。
ビタミンCは水溶性ビタミンの一種で、皮膚、細胞、軟骨などの成分となるたんぱく質「コラーゲン」をつくるのに重要な栄養素です。
また抗酸化作用としてはたらく他、体内においてミネラルの一種である鉄の吸収率を高めます。
ビタミンCが不足すると血管がもろくなり、貧血や筋肉減少、皮下出血などの症状のある「壊血病」を招きます。
ビタミンCの1日当たりの摂取推奨量は18歳以上の男女で100mgです[14]。
ビタミンCの食事摂取基準や摂取源となる食品については以下の記事で解説しています。
ビタミンCはどんな食べ物に含まれるの?健康維持に必要な摂取量を解説
2-6.カリウム
みかんにはカリウムが多く含まれており、100g当たりの含有量は150mgです[15]。
カリウムはヒトの体に必要なミネラルの一種で、ほとんどが細胞内に存在しています。
ミネラルについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ミネラルとは?体に必要な理由と豊富に含まれる食べ物を種類別に紹介
カリウムは細胞内液の「浸透圧」を一定に保つ作用を有する他、神経伝達や筋肉の収縮、体液の酸性・アルカリ性のバランスの維持に関わっています。
またカリウムには食塩の主成分であるナトリウムを体外に排出するのを促す作用があるため、ナトリウムの摂り過ぎによって引き起こされる高血圧を予防したり改善したりする効果が期待されています。
高血圧について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
高血圧とは?基準値や健康上のリスク、改善のポイントを徹底解説
日本人には塩分を通じてナトリウムを摂り過ぎていることが原因の高血圧が多く見られるので、ナトリウムの排出を促すカリウムの積極的な摂取が勧められています。
カリウムの1日当たりの摂取目標量は成人男性で3,000mg以上、成人女性で2,600mg以上です[16]。
みかんなどの果物や野菜からしっかりカリウムを摂取するよう心掛けましょう。
ただし腎臓の機能が低下している場合、血中のカリウム濃度が高くなる「高カリウム血症」になる恐れがあります。
高カリウム血症では不整脈が現れ、最悪の場合には心臓が止まってしまう恐れもあるため、腎臓の機能が低下している方は主治医の指示に従ってカリウムを制限してください。
カリウムの食事摂取基準や摂取源となる食品について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
カリウムとは?はたらきや摂取すべき量、摂取源となる食品を紹介
3.みかんに含まれる栄養素
みかんには食物繊維やカルシウムなどの栄養素も含まれています。
この章ではみかんに含まれる栄養素とそのはたらきについて解説します。
【みかんに含まれる栄養素とその含有量(100g当たり)】
栄養素 | 含有量 |
---|---|
食物繊維 | 1.0g |
ナイアシン | 0.4mg |
ビタミンB6 | 0.06mg |
パントテン酸 | 0.23mg |
カルシウム | 21mg |
マグネシウム | 11mg |
鉄 | 0.2mg |
銅 | 0.03mg |
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成
各章ではそれぞれの栄養素の1日に摂取すべき量を簡単にご紹介しています。
詳しく知りたい方はそれぞれの章でご紹介している別の記事や、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をご覧ください。
3-1.食物繊維
みかんには100g当たり食物繊維が1.0g含まれています[18]。
食物繊維は消化・吸収されることなく大腸まで達する栄養素です。
食品中に含まれる栄養素は通常、消化によって体内で利用できる物質に分解されてから吸収され体にとって重要な役割を果たしますが、食物繊維は消化されない状態でさまざまなはたらきをすることが分かっています。
食物繊維は便の材料となる他、腸に良いはたらきをする善玉菌を増やして腸内環境を整えるのに役立ちます。
さらに脂質や糖、ナトリウムを吸着して体外に排出する作用もあるため、肥満や高血圧などを予防・改善する効果も期待できるのです。
現代の日本人の食物繊維の平均摂取量は目標量を下回っていることから、健康のために積極的な摂取が必要と考えられています。
食物繊維の1日当たりの成人男性の摂取目標量は18〜64歳で21g以上、65歳以上で20g以上です[19]。
成人女性の摂取目標量は18〜64歳で18g以上、65歳以上で17g以上です[19]。
食物繊維の食事摂取基準や摂取源となる食品などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
食物繊維は1日にどのくらい摂ればいい?期待できる効果や食材を紹介
3-2.ナイアシン
みかんにはナイアシンも含まれており、100g当たりの含有量は「ナイアシン当量」として0.4mgです[20]。
ナイアシンは水溶性ビタミンの一種で、エネルギーを生み出す過程や脂質の構成成分「脂肪酸」の合成、「ステロイドホルモン」の合成などに関わります。
ナイアシンが不足すると皮膚炎や下痢などの症状がある「ペラグラ」という重篤な病気を発症する恐れがありますが、日本で発症することはほとんどないといわれています。
ナイアシンの1日当たりの成人男性の摂取推奨量は、18〜49歳で15mgNE、50〜74歳で14mgNE、75歳以上で13mgNEです[21]。
成人女性の摂取推奨量は18〜29歳で11mgNE、30〜49歳で12mgNE、50〜74歳で11mgNE、75歳以上で10mgNEです[21]。
3-3.ビタミンB6
みかんには100g当たりビタミンB6が0.06mg含まれています[22]。
水溶性ビタミンの一種であるビタミンB6は主にアミノ酸の代謝をサポートする栄養素です。
また、ビタミンB6は免疫機能を維持するのに重要な役割を持っています。
ビタミンB6が不足すると皮膚炎、貧血、免疫機能の低下などが起こることがあります。
ビタミンB6の1日当たりの摂取推奨量は成人男性で1.4mg、成人女性で1.1mgです[23]。
ビタミンB6の食事摂取基準や摂取源となる食品などについては以下の記事で詳しく解説しています。
3-4.パントテン酸
みかんには100g当たりパントテン酸が0.23mg含まれています[24]。
パントテン酸は水溶性ビタミンの一種で、糖質や脂質の代謝に関わる栄養素です。
さまざまな食品に含まれるため不足することはほぼありません。
ただし極端な食事制限や偏った食生活などによりパントテン酸が不足すると、食欲不振、不眠、頭痛、手足のしびれなどの不調が現れることがあります。
パントテン酸の1日当たりの成人男性の摂取目安量は、18〜49歳で5.0mg、50歳以上で6.0mgです[25]。
成人女性の摂取目安量は5.0mgです[25]。
3-5.カルシウム
みかんには100g当たりカルシウムが21mg含まれています[26]。
カルシウムはミネラルのなかでも体内に最も多く存在しており、骨や歯の形成に欠かせない栄養素です。
血液の凝固を促す他、筋肉の収縮や心臓の動きなどに関わっています。
カルシウムは不足すると「骨粗しょう症」や高血圧のリスクを高める恐れがあります。
カルシウムは骨の健康のためにしっかり摂取しておくべき栄養素だといえますね。
カルシウムの1日当たりの成人男性の摂取推奨量は18〜29歳で800mg、30〜74歳で750mg、75歳以上で700mgです[27]。
成人女性の摂取推奨量は18〜74歳で650mg、75歳以上で600mgです[27]。
また食事ではカルシウムの摂り過ぎにより健康障害が起こることはほとんどないとされますが、サプリメントなどでカルシウムを過剰摂取すると鉄や亜鉛といった他のミネラルの吸収を妨げたり便秘などを引き起こしたりする恐れがあります。
カルシウムの1日当たりの耐容上限量は男女共に2,500mgです[27]。
カルシウムの食事摂取基準や摂取源となる食品などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
カルシウムとは?はたらきや摂取すべき量、摂取源となる食品を解説
3-6.マグネシウム
みかんには100g当たりマグネシウムが11mg含まれています[28]。
マグネシウムはミネラルの一種で、体内では骨や歯、筋肉、脳、神経に存在します。
さまざまな代謝をサポートし筋肉の収縮や体温・血圧の調節などに関わっています。
またマグネシウムはカルシウムと共に、骨の健康の維持にも役立っています。
マグネシウムが不足すると、食欲不振、眠気、吐き気、筋肉のけいれんなどの症状が現れます。
通常の食生活をしていれば不足したり摂り過ぎたりすることはほとんどありませんが、サプリメントや薬によるマグネシウムの過剰摂取は下痢を引き起こす恐れがあります。
マグネシウムの1日当たりの成人男性の摂取推奨量は、18〜29歳で340mg、30〜64歳で370mg、65〜74歳で350mg、75歳以上で320mgです[29]。
成人女性の摂取推奨量は、18〜29歳で270mg、30〜64歳で290mg、65〜74歳で280mg、75歳以上で260mgです[29]。
マグネシウムの食事摂取基準や摂取源となる食品などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
マグネシウムとは?はたらきや食事摂取基準、摂取源となる食品を解説
3-7.鉄
みかんには100g当たり鉄が0.2mg含まれています[30]。
鉄は必須ミネラルの一種で、「ヘモグロビン」に多く存在する栄養素です。
鉄が不足すると、ヘモグロビン濃度が低下し酸素を十分に運ぶことができない「鉄欠乏性貧血」になり、食欲不振、頭痛、集中力の低下などの症状を引き起こします。
特に女性は月経で鉄が不足しやすくなったり、妊娠期と授乳期で鉄の必要量が増加したりするため、鉄を十分に摂取するようにしましょう。
成人男性の鉄の1日当たりの摂取推奨量は、18〜74歳で7.5mg、75歳以上で7.0mgです[31]。
成人女性の摂取推奨量は、18〜64歳で6.5mg、65歳以上で6.0mgです[31]。
なお月経のある女性は月経血により鉄が不足しやすいことを考慮し、1日当たりの摂取推奨量が18〜49歳で10.5mg、50〜64歳で11.0mgに設定されています[31]。
鉄を多く含む食品や鉄の食事摂取基準などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
鉄分が多く含まれる食べ物と効果的な摂り方は?貧血気味の方必見!
3-8.銅
みかんには100g当たり銅が0.03mg含まれています[32]。
銅も必須ミネラルの一つで、主に骨や筋肉、肝臓に存在しています。
エネルギーを生み出したり神経伝達物質をつくったり、活性酸素を除去したりするはたらきに関わっています。
また鉄と共に血液をつくり出すはたらきにも関与しています。
通常の食生活を送っていれば、銅が不足することはほぼありません。
また銅は毒性が低いため、長期的な過剰摂取による健康被害も報告されていません。
銅の1日当たりの成人男性の摂取推奨量は18〜74歳で0.9mg、75歳以上で0.8mgです[33]。
成人女性の摂取推奨量は0.7mgです[33]。
4.みかんに含まれる成分
みかんにはビタミンやミネラルなどの栄養素以外にも「β-クリプトキサンチン」や「ヘスペリジン」といった健康に役立つとされる成分が含まれています。
「どんな効果が期待できるのかな?」
と気になりますよね。
この章ではみかんに含まれる成分について詳しく解説します。
4-1.β-クリプトキサンチン
β-クリプトキサンチンは「カロテノイド」という色素の一種で、みかんに多く含まれている成分です。
カロテノイドについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
カロテノイドとは?体内でのはたらきや摂取源、効率的な摂取法を紹介
β-クリプトキサンチンはオレンジなどの柑橘類にも含まれていますが、その含有量はごくわずかといわれています。
一方で一般的にみかんと呼ばれる温州みかんに含まれるβ-クリプトキサンチンの含有量は、他の柑橘類と比べて特に多いことが分かっています。
β-クリプトキサンチンには糖尿病やがんといった病気のリスクを下げるなどさまざまな効果が期待されています。
さらにβ-クリプトキサンチンは骨の代謝を助ける作用を有しており、この作用は「機能性表示食品」として表示が認められています。
機能性表示食品について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
機能性表示食品とはどんなもの?トクホとの違いやメリットを徹底解説
実際に「三ヶ日(みっかび)みかん」など一部のみかんは、骨の健康に役立つとして機能性表示がなされています。
骨の健康が気になる方はみかんを取り入れてみると良いかもしれませんね。
4-2.ヘスペリジン
ヘスペリジンはポリフェノールの一種で、みかんの皮や筋に多く含まれている成分です。
ポリフェノールについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ポリフェノールとは?体への効果と摂取できる食品・飲み物を解説!
ヘスペリジンは「ビタミンP」とも呼ばれていますが、厳密にはビタミンではないためビタミンに似ているビタミン様物質とされています。
ヘスペリジンには抗酸化作用や末梢(まっしょう)血管を強化する作用があるため、血流を改善したり高血圧を予防したりする効果が期待されています。
その他にもアレルギー反応による炎症を抑えるはたらきがあるという報告もあります。
ヘスペリジンはみかんが熟すと含有量が減少していくため、完熟みかんよりも青みかんに多く含まれています。
ヘスペリジンを十分に摂りたい場合は、青いみかんを摂取すると良いのですね。
ただしヘスペリジンには水に溶けにくく体内に吸収されにくいというデメリットがあります。
そこで近年では効率良く吸収されやすい「糖転移へスペリジン」が開発され、サプリメントなどに利用されるようになりました。
ヘスペリジンを手軽に取り入れたい場合は、こちらを試してみるのも良いでしょう。
5.みかんの選び方と保存方法
「おいしいみかんの選び方や保存のコツはあるかな?」
せっかくみかんを食べるならおいしく食べたいですよね。
この章ではみかんの選び方と保存方法をご紹介します。
5-1.みかんの選び方
おいしいみかんを選ぶためには、皮やヘタ、重さなどを意識することがポイントです。
おいしいみかんの皮は色が濃く、きめが細かいといわれています。
これは皮の色が濃く皮のきめが細かいほど、果肉が十分に熟して甘みが増していると考えられるからです。
ヘタが小さく黄緑色であるみかんは味が濃くおいしいものとされています。
また果汁を多く含んでいるみかんは、持ったときに重みを感じます。
そのためみかんを選ぶ際は重みもチェックするようにしましょう。
5-2.みかんの保存方法
みかんを長持ちさせるには、風通しの良い場所で重ねずに保存することがポイントです。
みかんは高温多湿の環境に弱く、涼しい場所での保存に適しているといわれています。
またつぶれやすいため、みかんを重ねて保存するのは避けましょう。
ヘタを下にして置くとつぶれにくくなります。
箱で購入した場合は、傷んでいるものを取り除き箱のふたを開けたままにしてください。
傷んでいるものを箱に入れたままにしていると、他のみかんも傷んでしまう恐れがあります。
一般的にみかんの保存期間は2〜3週間であるため、それまでに食べ切るようにしましょう[34]。
もし食べ切るのが難しい場合は、冷凍みかんにして保存するのがおすすめです。
冷凍みかんは1〜2カ月ほど保存が可能といわれています[34]。
なお冷凍みかんの作り方は以下のとおりです。
【冷凍みかんの作り方】
- みかんを軽く水洗いし、水分を拭き取る
- 水洗いしたみかんを冷凍庫で凍らせる
- 凍らせたみかんを冷水にくぐらせる
- 再び冷凍庫に入れて凍らせる
- 十分に凍らせたら、ビニール袋などに入れて冷凍庫で保存する
今回ご紹介した保存方法を参考にして、おいしいみかんを食べてくださいね。
[34] 農林水産省「特集1 みかん(5)」
6.みかんの栄養についてのまとめ
みかんはミカン科ミカン属に属する果物で、一般的には「温州みかん」のことを指します。
冬が旬の果物ですが、近年では年中味わうことができます。
みかんにはビタミンA、ビタミンE、ビタミンB1、葉酸、ビタミンC、カリウムが豊富に含まれています。
その他にβ-クリプトキサンチンやヘスペリジンといった成分が含んでいるのもみかんの特徴です。
これらの栄養素や成分はいずれもヒトの健康に役立つものとされます。
おいしいみかんを選ぶためには、皮やヘタの状態、みかんの重さをチェックすることがポイントです。
また涼しい場所に保存したり冷凍保存したりすることで、長持ちさせることができます。
日々の健康のためにも、身近な果物であるみかんを取り入れてみてはいかがでしょうか。