「人参にはどんな栄養素が含まれているんだろう?」
人参は一般的によく食べられる野菜ですが、含まれている栄養素については詳しく知らないという方が多いのではないでしょうか。
人参には食物繊維やビタミン、ミネラルなどさまざまな栄養素が豊富に含まれています。
これらはいずれもヒトの体にとって重要なはたらきをする栄養素です。
この記事では人参に含まれる栄養素とそのはたらきについて詳しく解説します。
また人参の選び方や保存方法、人参の栄養素を効率良く摂取するためのコツもご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
1.人参の基礎知識
人参はセリ科人参属に属する野菜です。
また野菜のなかで地下茎や根を食用とする「根菜類」に分類されます。
人参には大きく分けて江戸時代に日本に入ってきた東洋系と、明治時代以降に入ってきた西洋系に分けられます。
現在、主に流通しているのは西洋系の「五寸人参」です。
五寸人参には根が15〜20cm程の長さがあり形が円すい形であるといった特徴があります[1]。
一方、あまり種類の多くない東洋系人参のなかで代表的なものは京野菜としても知られている「金時人参」です。
金時人参には紅色をしており強い甘味があるといった特徴があり、正月料理の煮しめなどに使われます。
五寸人参の本来の旬は9〜12月頃です[2]。
ただし五寸人参はさまざまな産地で年間を通して栽培されており、春夏に収穫されるものは「春夏人参」、秋に収穫されるものは「秋人参」、冬に収穫されるものは「冬人参」と呼ばれます。
近年では品種改良が進んだことで、甘味が強くなり、人参独特の臭みが少なくなっているといわれています。
そのため、人参は料理だけではなくお菓子やジュースの材料としても使われています。
人参のカロリーは100g当たり32kcalです[3]。
ただ、この数字だけではカロリーが高いのか低いのか想像しづらいですよね。
そこで他の野菜のカロリーと比較してみましょう。
【人参とその他の野菜の可食部100g中のカロリー】
食品名 | 加工状態など | カロリー |
---|---|---|
人参 | 皮なし、生 | 32kcal |
西洋かぼちゃ | 生 | 78kcal |
れんこん | 生 | 66kcal |
ごぼう | 生 | 58kcal |
たまねぎ | 生 | 33kcal |
キャベツ | 生 | 23kcal |
なす | 生 | 18kcal |
だいこん | 皮なし、生 | 15kcal |
はくさい | 生 | 13kcal |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
このように人参のカロリーは同じ根菜類であるれんこんやごぼうよりは低いですが、だいこんよりは高いといえます。
[1] 独立行政法人 農畜産業振興機構 野菜ブック「 人参」
[2] 独立行政法人 農畜産業振興機構 野菜ブック「 人参」
[3] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
2.人参に豊富に含まれる栄養素
人参にはビタミンやミネラルなどさまざまな栄養素が含まれています。
この章では人参に豊富に含まれている栄養素とそのはたらきを解説します。
【人参に多く含まれる栄養素とその含有量(100g当たり)】
栄養素 | 含有量 |
---|---|
食物繊維 | 2.8g |
ビタミンA | 630μg |
ビタミンE | 0.5mg |
ビタミンB1 | 0.04mg |
ナイアシン | 0.8mg |
ビタミンB6 | 0.09mg |
葉酸 | 23μg |
パントテン酸 | 0.27mg |
ビオチン | 2.5μg |
ビタミンC | 4mg |
カリウム | 300mg |
カルシウム | 24mg |
銅 | 0.04mg |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
各章ではそれぞれの栄養素の1日に摂取すべき量を簡単にご紹介しています。
詳しく知りたい方はそれぞれの章でご紹介している別の記事や、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をご覧ください。
[4] 東京都保険医療局「栄養成分表示ハンドブック」
[5] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
2-1.食物繊維
人参100g当たりには食物繊維が2.8gと豊富に含まれています[6]。
食物繊維は消化・吸収されることなく大腸まで達する栄養素で、整腸作用をはじめ体内で良いはたらきをすることが分かっています。
食物繊維は便の量を増やす材料となる他、腸内環境を整える善玉菌を増やすのに役立ちます。
さらに脂質や糖、食塩の主成分であるナトリウムを体外に排出する作用もあるため、肥満や高血圧などを予防・改善する効果も期待できます。
高血圧について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
高血圧とは?基準値や健康上のリスク、改善のポイントを徹底解説
食物繊維の1日当たりの摂取目標量は、男性は18〜64歳で21g以上、65歳以上で20g以上です[7]。
女性は18〜64歳で18g以上、65歳以上で17g以上です[7]。
【1日当たりの食物繊維の推奨量】
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
18〜64歳 | 21g | 18g |
65歳以上 | 20g | 17g |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
食物繊維の食事摂取基準や摂取源となる食品などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
食物繊維は1日にどのくらい摂ればいい?期待できる効果や食材を紹介
[6] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[7] 厚生労働省「 日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-2.ビタミンA(β-カロテン)
人参100g当たりにはビタミンAが「レチノール活性当量」として630μgと豊富に含まれています[8]。
人参はビタミンAのなかでもカロテンの一種である「β-カロテン」を豊富に含んでおり、その含有量は「緑黄色野菜」のなかで最も多いといわれています。
カロテンについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
カロテンの効果とは?多く含む食べ物や効率的な摂取方法について解説
β-カロテンは体内でビタミンAに変わり、ビタミンAとしてさまざまなはたらきをします。
ビタミンAは油に溶けやすく水に溶けにくい性質を持つ「脂溶性ビタミン」の一種で、目や皮膚、粘膜の健康を維持するのに関わっています。
また「活性酸素」のはたらきを抑える「抗酸化作用」を持つ抗酸化ビタミンの一種でもあります。
ビタミンAが不足すると皮膚や粘膜の乾燥、暗い場所で目が見えにくくなる「夜盲症」などを引き起こします。
ビタミンAの1日当たりの摂取推奨量は、男性は18〜29歳で850μgRAE、30〜64歳で900μgRAE、65〜74歳で850μgRAE、75歳以上で800μgRAEです[10]。
女性は18〜29歳で650μgRAE、30〜74歳で700μgRAE、75歳以上で650μgRAEです[10]。
【1日当たりのビタミンAの推奨量】男性
年齢 | 男性 |
---|---|
18〜29歳 | 850μgRAE |
30〜64歳 | 900μgRAE |
65〜74歳 | 850μgRAE |
75歳以上 | 800μgRAE |
【1日当たりのビタミンAの推奨量】女性
年齢 | 女性 |
---|---|
18〜29歳 | 650μgRAE |
30〜74歳 | 700μgRAE |
75歳以上 | 650μgRAE |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
不足しないように人参などの食品から十分に摂取したいですね。
ビタミンAの食事摂取基準や摂取源となる食品などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンAにはどんな効果がある?目標摂取量とおすすめの食品を紹介
[8] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[9] 厚生労働省 e-ヘルスネット「 緑黄色野菜」
[10] 厚生労働省「 日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-3.ビタミンE
人参100g当たりにはビタミンEが「α-トコフェロール」として0.5mgと豊富に含まれています[11]。
ビタミンEも脂溶性ビタミンの一種で、抗酸化作用を持つ栄養素です。
体内では細胞膜などに存在し、細胞の健康を維持するのに役立ちます。
通常の食生活を送っていれば、ビタミンEが不足したり摂り過ぎたりすることはほとんどないといわれています。
ビタミンEの1日当たりの摂取目安量は、男性は18〜49歳で6.0mg、50〜74歳で7.0mg、75歳以上で6.5mgです[12]。
女性は18〜29歳で5.0mg、30〜49歳で5.5mg、50〜64歳で6.0mg、65歳以上で6.5mgです[12]。
【1日当たりのビタミンEの推奨量】男性
年齢 | 女性 |
---|---|
18〜49歳 | 6.0mg |
50〜74歳 | 7.0mg |
75歳以上 | 6.5mg |
【1日当たりのビタミンEの推奨量】女性
年齢 | 女性 |
---|---|
18〜29歳 | 5.0mg |
30〜49歳 | 5.5mg |
50〜64歳 | 6.0mg |
65歳以上 | 6.5mg |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
ビタミンEの食事摂取基準や摂取源となる食品などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンEが多く含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説
[11] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[12] 厚生労働省「 日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-4.ビタミンB1
人参100g当たりにはビタミンB1が0.04mgと豊富に含まれています[13]。
ビタミンB1は水に溶けやすく油に溶けにくい「水溶性ビタミン」で、ビタミンB群の一種です。
ビタミンB1は糖質の代謝に関っており、生命を維持したり体を動かしたりするエネルギーを生み出すサポートをしています。
ビタミンB1が不足すると糖質からエネルギーがつくられにくくなり、糖質をエネルギー源としている脳や神経に悪影響を及ぼすといわれています。
ビタミンB1の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18〜49歳で1.4mg、50〜74歳で1.3mg、75歳以上で1.2mgです[14]。
女性は18〜74歳で1.1mg、75歳以上で0.9mgです[14]。
【1日当たりのビタミンB1の推奨量】男性
年齢 | 男性 |
---|---|
18〜49歳 | 1.4mg |
50〜74歳 | 1.3mg |
75歳以上 | 1.2mg |
【1日当たりのビタミンB1の推奨量】女性
年齢 | 女性 |
---|---|
18〜74歳 | 1.1mg |
75歳以上 | 0.9mg |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
ビタミンB1の食事摂取基準や摂取源となる食品などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンB1が豊富に含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説
[13] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[14] 厚生労働省「 日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-5.ナイアシン
人参100g当たりにはナイアシンが「ナイアシン当量」として0.8mgと豊富に含まれています[15]。
ナイアシンはビタミンB群の一種で、エネルギーをつくり出す過程や脂質の構成成分である「脂肪酸」の合成などに関わっています。
ナイアシンの不足は皮膚炎や下痢などの症状がある「ペラグラ」という重篤な病気を招く恐れがありますが、日本で発症することはほとんどありません。
ナイアシンの1日当たりの摂取推奨量は、男性は18〜49歳で15mgNE、50〜74歳で14mgNE、75歳以上で13mgNEです[16]。
女性は18〜29歳で11mgNE、30〜49歳で12mgNE、50〜74歳で11mgNE、75歳以上で10mgNEです[16]。
【1日当たりのナイアシンの推奨量】男性
年齢 | 男性 |
---|---|
18〜49歳 | 15mgNE |
50〜74歳 | 14mgNE |
75歳以上 | 13mgNE |
【1日当たりのナイアシンの推奨量】女性
年齢 | 女性 |
---|---|
18〜29歳 | 11mgNE |
30〜49歳 | 12mgNE |
50〜74歳 | 11mgNE |
75歳以上 | 10mgNE |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
[15] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[16] 厚生労働省「 日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-6.ビタミンB6
人参100g当たりにはビタミンB6が0.09mgと豊富に含まれています[17]。
ビタミンB6はビタミンB群の一種で、たんぱく質を構成する物質「アミノ酸」の代謝をサポートする栄養素です。
そのためたんぱく質の摂取量が多い人ほど、その分ビタミンB6が必要になるといわれています。
またビタミンB6は免疫機能を維持するのに重要な役割を持っています。
ビタミンB6が不足すると湿疹などの皮膚炎、貧血、免疫機能の低下などが起こることがあります。
ビタミンB6の1日当たりの摂取推奨量は18歳以上の男性で1.4mg、同じく女性で1.1mgです[18]。
【1日当たりのビタミンB6の推奨量】
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
18歳以上 | 1.4mg | 1.1mg |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
ビタミンB6の食事摂取基準や摂取源となる食品などについては以下の記事で詳しく解説しています。
[17] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[18] 厚生労働省「 日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-7.葉酸
人参100g当たりには葉酸が23μgと豊富に含まれています[19]。
葉酸はビタミンB群の一種で、アミノ酸の代謝やたんぱく質の合成、細胞の増殖に関わっています。
また胎児の正常な発育に関わるため、特に妊娠を計画している女性や妊娠初期の女性は積極的に摂りたい栄養素です。
葉酸の1日当たりの摂取推奨量は18歳以上の男女で240μgです[20]。
【1日当たりの葉酸の推奨量】
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
18歳以上 | 240μg | 240μg |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
ただし妊娠を計画している女性や妊娠初期の方は通常の食品からの摂取に加え、サプリメントなどで1日当たり400μgの葉酸を摂取することが望ましいとされています[20]。
また妊娠中期・後期の方は240μg、授乳中の方は100μgを1日の摂取推奨量に加えて摂取することが推奨されています[20]。
葉酸の食事摂取基準や摂取源となる食品について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
葉酸が多く含まれている食べ物とは?効果や摂取基準もあわせて解説
[19] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[20] 厚生労働省「 日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-8.パントテン酸
人参100g当たりにはパントテン酸が0.27mgと豊富に含まれています[21]。
パントテン酸はビタミンB群の一種で、糖質や脂質の代謝に関わる栄養素です。
さまざまな食品に含まれているため、通常の食生活を送っていればパントテン酸が不足することはほとんどありません。
ただし極端な食事制限や偏った食生活などによりパントテン酸が不足すると、頭痛、食欲不振、不眠、手足のしびれなどの症状が現れることがあります。
またパントテン酸の過剰摂取による健康被害は報告されていません。
パントテン酸の1日当たりの摂取目安量は、男性は18〜49歳で5.0mg、50歳以上で6.0mgです[22]。
女性は18歳以上で5.0mgです[22]。
【1日当たりのパントテン酸の推奨量】男性
年齢 | 男性 |
---|---|
18〜49歳 | 5.0mg |
50歳以上 | 6.0mg |
【1日当たりのパントテン酸の推奨量】女性
年齢 | 女性 |
---|---|
18歳以上 | 5.0mg |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
[21] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[22] 厚生労働省「 日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-9.ビオチン
人参100g当たりにはビオチンが2.5μgと豊富に含まれています[23]。
ビオチンはビタミンB群の一種で、エネルギー代謝や脂肪酸の合成などに関わる栄養素です。
また炎症を抑える物質をつくり出すことでアレルギー症状を緩和するのに役立ちます。
不足すると食欲不振、吐き気、筋肉痛などの症状が現れます。
しかし、ビオチンはさまざまな食品に含まれるため通常の食生活を送っていれば不足による体への悪影響はほとんどないといわれています。
ビオチンの1日当たりの摂取目安量は18歳以上の男女で50μgです[24]。
【1日当たりのビオチンの推奨量】
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
18歳以上 | 50μg | 50μg |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
ビオチンの食事摂取基準や摂取源となる食品について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビオチンとは?はたらきや摂取の目安量、摂取源となる食品を解説
[23] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[24] 厚生労働省「 日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-10.ビタミンC
人参100g当たりにはビタミンCが4mgと豊富に含まれています[25]。
ビタミンCは水溶性ビタミンの一種で、皮膚や細胞などの成分となるたんぱく質「コラーゲン」をつくるのに欠かせない栄養素です。
また抗酸化ビタミンとして細胞の健康を維持する他、体内においてミネラルの一種である鉄を吸収しやすくします。
ビタミンCは野菜や果物の摂取不足、偏った食生活、アルコールや薬物依存などが原因で不足することがあるといわれています。
ビタミンCが不足すると、コラーゲンが合成できず血管がもろくなることで出血しやすくなります。
また貧血や皮下出血、筋肉減少などの症状のある「壊血病」を引き起こす可能性があります。
ビタミンCの1日当たりの摂取推奨量は18歳以上の男女で100mgです[26]。
【1日当たりのビタミンCの推奨量】
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
18歳以上 | 100mg | 100mg |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
ビタミンCの食事摂取基準や摂取源となる食品については以下の記事で解説しています。
ビタミンCはどんな食べ物に含まれるの?健康維持に必要な摂取量を解説
[25] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[26] 厚生労働省「 日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-11.カリウム
人参100g当たりにはカリウムが300mgと豊富に含まれています[27]。
カリウムはヒトの体に必要な「ミネラル」の一種です。
ミネラルについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ミネラルとは?体に必要な理由と豊富に含まれる食べ物を種類別に紹介
カリウムは細胞内の「浸透圧」を一定に保つはたらきをする他、筋肉の収縮や体液の酸性・アルカリ性のバランスの維持などに関わっています。
またカリウムにはナトリウムを体外に排出するのを促す作用があるため、ナトリウムの摂り過ぎによって引き起こされる高血圧を予防したり改善したりする効果が期待されています。
日本人はナトリウムを多く摂る傾向があるため、カリウムの積極的な摂取が必要と考えられています。
カリウムの1日当たりの摂取目標量は18歳以上の男性で3,000mg以上、同じく女性で2,600mg以上です[28]。
【1日当たりのカリウムの推奨量】
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
18歳以上 | 3,000mg以上 | 2,600mg以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
カリウムの食事摂取基準や摂取源となる食品について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
カリウムとは?はたらきや摂取すべき量、摂取源となる食品を紹介
[27] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[28] 厚生労働省「 日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-12.カルシウム
人参100g当たりにはカルシウムが24mgと豊富に含まれています[29]。
カルシウムはミネラルのなかでも体内に最も多く存在しており、骨や歯を形成する重要な栄養素です。
また血液の凝固を促して出血を止める他、筋肉や心臓の動きなどにも関わっています。
カルシウムが不足すると骨の形成に悪影響を及ぼし、骨粗しょう症のリスクを高める恐れがあります。
カルシウムの1日当たりの摂取推奨量は、男性は18〜29歳で800mg、30〜74歳で750mg、75歳以上で700mgです[30]。
女性は18〜74歳で650mg、75歳以上で600mgです[30]。
【1日当たりのカルシウムの推奨量】男性
年齢 | 男性 |
---|---|
18〜29歳 | 800mg |
30〜74歳 | 750mg |
75歳以上 | 700mg |
【1日当たりのカルシウムの推奨量】女性
年齢 | 男性 |
---|---|
18〜74歳 | 650mg |
75歳以上 | 600mg |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
骨の健康を維持するためにはカルシウムを十分に摂取しておくべきですね。
また健康な方は、食事でカルシウムの摂り過ぎによる健康障害が生じることはほとんどありません。
しかしサプリメントなどでカルシウムを過剰に摂取すると、鉄や亜鉛といった他のミネラルの吸収を妨げたり便秘などを引き起こしたりする恐れがあるため注意が必要です。
カルシウムの1日当たりの耐容上限量は18歳以上の男女共に2,500mgです[30]。
カルシウムの食事摂取基準や摂取源となる食品などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
カルシウムとは?はたらきや摂取すべき量、摂取源となる食品を解説
[29] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[30] 厚生労働省「 日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-13.銅
人参100g当たりには銅が0.04mgと豊富に含まれています[31]。
銅も必須ミネラルの一つで、体内では骨や筋肉、肝臓に存在している栄養素です。
エネルギーや神経伝達物質の産生、活性酸素の除去に関わっています。
また血液をつくるのをサポートしています。
通常の食生活を送っていれば、銅が不足することはないといわれています。
また銅は毒性が低いため、過剰摂取による健康被害もほとんど報告されていません。
銅の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18〜74歳で0.9mg、75歳以上で0.8mgです[32]。
女性は18歳以上で0.7mgです[32]。
【1日当たりの銅の推奨量】男性
年齢 | 男性 |
---|---|
18〜74歳 | 0.9mg |
75歳以上 | 0.8mg |
【1日当たりの銅の推奨量】女性
年齢 | 男性 |
---|---|
18歳以上 | 0.7mg |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
[31] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[32] 厚生労働省「 日本人の食事摂取基準(2020年版)」
3.人参の栄養素を効率良く摂取するコツ
「人参に含まれる栄養素を効率良く摂取する方法はあるかな?」
このように気になっている方もいらっしゃるかもしれません。
人参に含まれる栄養素を効率良く摂取するためには、皮付きのまま食べることがおすすめです。
一般的に人参は皮をむいて食べることが多い野菜ですが、実は人参の皮にはビタミンAなどの栄養素が多く含まれています。
そのため皮付きの状態か皮を薄くむいた状態で食べると、皮をむいたものより多くの栄養素を摂取できるといえます。
また人参を調理する際は加熱時間を短くするのがポイントです。
人参以外の食品にもいえることですが、加熱するとビタミンなどの栄養素が失われやすくなります。
そこで加熱温度を高くして加熱時間を短くすることで、栄養素の減少を抑えると良いでしょう。
人参の栄養素を十分に摂るために、調理方法を工夫してくださいね。
4.人参の選び方と保存方法
「おいしい人参を食べるための選び方や保存のコツはあるかな?」
せっかくならおいしい人参を食べたいですよね。
この章では人参の選び方と保存方法について解説します。
4-1.人参の選び方
人参を選ぶ際は表面や茎の切り口の状態をチェックすることがポイントです。
人参は表面がなめらかでハリやつやがあるものが良いとされています。
表面が割れているものは避けるようにしましょう。
またおいしい人参の特徴は茎の切り口の部分が小さいことです。
茎の切り口が小さいと芯が細いため、肉質がやわらかく味が良いものとされています。
持った際にずっしりと重みがあるものを選ぶようにしてくださいね。
4-2.人参の保存方法
人参はキッチンペーパーなどに包んだ状態でビニール袋に入れて保存するようにしましょう。
人参は水分が付いていると腐りやすくなるため、袋に入っている状態で購入した場合は袋から出すことが必要です。
また乾燥に弱いため、袋から出した状態のままだと傷みやすくなります。
キッチンペーパーで包んで乾燥を防ぎ冷蔵庫の野菜室か冷暗所に立てて保存しましょう。
また使いかけの人参はラップに包んで冷蔵庫の野菜室に入れることがおすすめです。
人参は冷凍保存することもできます。
細切りや薄切りにした状態で保存袋に入れて冷凍しておくと、冷蔵するよりも長持ちします。
冷凍保存するとそのまま調理に使えて便利ですよ。
5.人参の栄養素についてのまとめ
人参はβ-カロテンを豊富に含む緑黄色野菜の一種です。
100g当たりのカロリーは32kcalで、同じ根菜類のれんこんやごぼうよりは低く、だいこんよりは高いといえます[33]。
人参には食物繊維やビタミン、ミネラルなどヒトの体にとって重要な栄養素が含まれています。
そのなかでも豊富に含まれているのがビタミンAです。
ビタミンなどの栄養素は皮に多く含まれているため、皮ごと食べるか皮を薄くむいて食べることで効率良く栄養素を摂取できるでしょう。
人参は茎の切り口が小さいと肉質がやわらかく味が良いとされています。
人参を長持ちさせるためには、キッチンペーパーに包んでビニール袋に入れて保存したり冷凍保存したりすることがおすすめです。
この記事を参考に、人参を食生活に取り入れてみてくださいね。
[33] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」