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鉄分とは?はたらきや食事摂取基準、多く含まれる食品などを紹介

「鉄分ってどんなはたらきをする栄養素なのかな?」

「鉄分はどんな食品に含まれているんだろう?」

鉄分不足が貧血を引き起こすことは知っていても、鉄分の詳しいはたらきや多く含まれる食品まではご存じない方もいらっしゃるかもしれません。

鉄分は栄養学的には「鉄」と呼ばれる栄養素で、赤血球の材料となって全身に酸素を運搬する役割を担っています

鉄分を多く含む食品としてはレバーや貝類、煮干し、アーモンドや納豆、葉物野菜などが挙げられます

この記事では鉄分のはたらきと鉄分を多く含む食品の他に、過不足による体への影響、適切な摂取量などを解説していきますよ。

1.鉄分とは

まずはそもそも鉄分とは何かをご説明しましょう。

鉄分は栄養学的には「鉄」と呼ばれ、「必須ミネラル」の一種です。

必須ミネラルとは
栄養素として体に必要なことが分かっているミネラルのことで、16種類あります[1]。ミネラルはヒトの体を構成する元素のうち、酸素、炭素、水素、窒素以外のものの総称です。代表的な必須ミネラルにはカルシウム、リン、カリウムなどがあります。

鉄分は成人の体内には約3〜5g存在します[2]。

ごくわずかなように思えるかもしれませんが、そのはたらきは非常に重要です。

体内に存在する鉄分の約70%は、赤血球のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンに存在し、酸素を運搬するはたらきをしています[2]。

ヘモグロビンとは赤血球に含まれる赤色をしたたんぱく質のことです。

メモ
ヘモグロビンは鉄(ヘム)とたんぱく質(グロビン)が結び付いてできています。

ヘモグロビンは肺で酸素と結合して体内のあらゆる器官に酸素を運び、二酸化炭素を回収して肺に戻ります。

ミオグロビンは筋肉に存在する鉄分とたんぱく質が結合した物質で、ヘモグロビンが運んできた酸素を筋組織で受け取り、筋肉中に運んだり蓄えたりする役割をしています。

また、鉄には酵素の構成要素となるはたらきもあります

酵素とは
体内で起こる化学反応に触媒として必要とされる物質です。体内では消化や吸収などの過程でさまざまな化学反応が起こっていますが、これらのほとんどは特定の酵素を必要とします。

このように体内ではたらく鉄は「機能鉄」と呼ばれます。

また機能鉄以外の鉄は、体内に鉄を蓄えたり運んだりするために使われており、「貯蔵鉄」と呼ばれます。

貯蔵鉄は肝臓や脾臓(ひぞう)、骨髄などに蓄えられています。

次の章では鉄分の過不足による体への影響をみていきましょう。

[1] 国立研究開発法人 国立循環器病研究センター 「栄養に関する基礎知識」

[2] 厚生労働省 健康づくりサポートネット 「鉄」

2.鉄分の過不足による影響

「鉄分が足りないと貧血になるイメージがあるけど、過剰に摂取してもだめなのかな?」

鉄分不足の影響としては貧血がよく知られていますが、過剰摂取した場合の影響も気になるところですよね。

この章では鉄分が不足した場合と、鉄分を過剰摂取した場合の体への影響を解説していきます。

2-1.鉄分が不足した場合の影響

おでこに手をあてて目を瞑っている女性

鉄分が不足すると赤血球の構成要素であるヘモグロビンが減り、結果として赤血球の数も減ってしまいます。

赤血球は全身に酸素を運ぶ役割を担っているため、酸素供給が不十分になり、頭痛や目まい、動悸(どうき)、息切れなどの症状が現れます

これが貧血のなかで最も一般的とされている「鉄欠乏性貧血」です。

鉄欠乏性貧血の症状は鉄分不足が深刻になるまで現れないため、日頃から注意しておきたいものですね。

また鉄分の一部はミオグロビンとして筋肉のなかにも存在しているため、鉄分が不足すると筋力の低下や疲労感といった症状が現れることもあります。

成長に伴う体の変化が激しい乳幼児、体内で鉄分の需要が高まる授乳婦、月経による血液の損失がある女性などが鉄分不足に陥りやすいとされています。

2-2.鉄分を過剰摂取した場合の影響

錠剤

よほど偏った食生活を送っているか、サプリメントや栄養補助食品を多用し過ぎていない限り、鉄分を過剰摂取することはありません。

しかし、体内の鉄が過剰になると、便秘や胃腸の障害といった症状が現れます

また鉄が臓器に沈着することにより、さまざまな臓器に障害が起こったり、亜鉛の吸収を阻んだりする恐れもあります

亜鉛とは
必須ミネラルの一種で、細胞の成長と分化において重要な役割を果たしています。不足すると味覚障害などが起こることが知られています。

また幼児が錠剤やサプリメントを誤飲すると急性鉄中毒を起こすことがあり、重度の臓器障害や死亡事故につながる恐れがあります

鉄は重要な栄養素ですが、摂り過ぎはかえって体に害を及ぼしてしまうのですね。

3.鉄の食事摂取基準と平均摂取量

「鉄分って具体的にどのくらい摂るのが良いんだろう?」

鉄分を過不足なく摂取するためにも、適切な摂取量が気になるところですよね。

そのため、この章では厚生労働省が定めた鉄の食事摂取基準と、日本人の鉄の平均摂取量をご紹介します。

3-1.鉄の食事摂取基準

栄養素の摂取すべき量は性別や年齢によって異なります。

鉄の場合、月経による血液の損失があればその分を補う必要があるため、月経がある方は摂取すべき量が多くなります

厚生労働省は「日本人の食事摂取基準(2025年版)」において鉄の推定平均必要量、推奨量、および目安量を設定しています。

推定平均必要量は対象者の半数が必要量を満たすことができる量で、摂取不足を回避する目的で定められています。

推奨量は対象となるほとんどの方にとって十分であると考えられる量です。

鉄の食事摂取基準を順にご紹介しましょう。

0〜5カ月には目安量が設定されています。

【鉄の目安量(mg/日)】
性別 男性 女性
年齢
0~5カ月
0.5
0.5

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成

鉄の推定平均必要量は以下のとおりです。

【鉄の推定平均必要量(mg/日)】
      
性別 男性女性
年齢 月経なし 月経あり
6~11カ月
3.5
3.0
-
1〜2歳
3.0
3.0
-
3〜5歳
3.5
3.5
-
6〜7歳
4.5
4.5
-
8〜9歳
5.5
6.0
-
10〜11歳
6.5
6.5
8.5
12〜14歳
7.5
6.5
9.0
15〜17歳
7.5
5.5
7.5
18〜29歳
5.5
5.0
7.0
30〜49歳
6.0
5.0
7.5
50〜64歳
6.0
5.0
7.5
65〜74歳
5.5
5.0
-
75歳以上
5.5
4.5
-

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成

鉄の推奨量は以下のとおりです。

【鉄の推奨量(mg/日)】
      
性別 男性女性
年齢 月経なし 月経あり
6~11カ月
4.5
4.5
-
1〜2歳
4.0
4.0
-
3〜5歳
5.0
5.0
-
6〜7歳
6.0
6.0
-
8〜9歳
7.5
8.0
-
10〜11歳
9.5
9.0
12.5
12〜14歳
9.0
8.0
12.5
15〜17歳
9.0
6.5
11.0
18〜29歳
7.0
6.0
10.0
30〜49歳
7.5
6.0
10.5
50〜64歳
7.0
6.0
10.5
65〜74歳
7.0
6.0
-
75歳以上
6.5
5.5
-

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成

また妊娠中・授乳中の方には以下の付加量が設定されています。

【妊娠・授乳期の鉄の付加量(mg/日)】
時期 推定平均必要量 推奨量
妊娠 初期
+2.0
+2.5
中期・後期
+7.0
+8.5
授乳期
+1.5
+2.0

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成

鉄を過不足なく摂取することを心掛けましょう。

3-2.鉄の平均摂取量

では、日本人はどれくらい鉄分を摂取しているのでしょうか。

厚生労働省の「令和5年 国民健康・栄養調査報告」によると、日本人の1日当たりの鉄の平均摂取量は以下のとおりです。

【鉄の1日当たりの平均摂取量(mg/日)】
年齢 男性 女性
1~6歳
4.0
3.9
7~14歳
6.5
5.9
15~19歳
8.5
6.3
20~29歳
7.4
6.5
30~39歳
7.4
6.2
40~49歳
7.5
6.6
50~59歳
7.7
7.1
60~69歳
8.4
7.6
70~79歳
8.8
8.1
80歳以上
8.3
7.5

厚生労働省「令和5年国民健康・栄養調査報告」をもとに執筆者作成

また、妊娠中の女性の平均摂取量は6.9mg、授乳中の女性の平均摂取量は7.0mgとなっています[3]。

このことから女性、特に月経のある方や妊娠中・授乳中の方の平均摂取量が推奨量に届いておらず、鉄分不足に注意が必要な状況といえます。

女性の方は特に鉄分不足に陥らないよう気を付けたいものですね。

[3] 厚生労働省 「令和5年国民健康・栄養調査報告」

4.鉄分が多く含まれる食品

「鉄分を摂取するには何を食べれば良いんだろう?」

食事で鉄分を摂取するに当たり、まずはどんな食品に鉄分が多く含まれているか知りたいですよね。

この章では鉄分が多く含まれる食品を肉や魚などの「動物性食品」と、野菜や穀物などの「植物性食品」の二つに分けてご紹介します。

4-1.動物性食品

レバーの料理

鉄分を多く含む動物性食品は以下のとおりです。

【鉄分を多く含む動物性食品と可食部100g当たりの含有量】

食品名 加工状態など 含有量
煮干し(かたくちいわし) - 18.0mg
豚レバー 13.0mg
鶏レバー 9.0mg
しじみ 8.3mg
ビーフジャーキー - 6.4mg
赤貝 5.0mg
ほっき貝 4.4mg
牛レバー 4.0mg
あさり 2.2mg
ほたて 2.2mg
かき 2.1mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

鉄分が多く含まれる動物性食品としては煮干しやレバー、しじみをはじめとした貝類などが挙げられます。

4-2.植物性食品

チンゲンサイ

鉄分は植物性食品にも含まれています。

【鉄分を含む植物性食品と可食部100g当たりの含有量】

食品名 加工状態など 含有量
アーモンド - 3.6mg
納豆 - 3.3mg
小松菜 2.8mg
枝豆 2.7mg
サラダ菜 2.4mg
水菜 2.1mg
ほうれん草 2.0mg
サニーレタス 1.8mg
たかな 1.7mg
春菊 1.7mg
ルッコラ 1.6mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

植物性食品のなかではアーモンドや納豆、小松菜などの葉物野菜に鉄分が多く含まれています。

5.鉄分を効率良く摂取する方法

「鉄分を無駄なく摂る方法ってないのかな?」

せっかくなら効率良く鉄分を摂取したいですよね。

鉄分は「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」とに分けられます。

ヘム鉄は動物性食品に、非ヘム鉄は植物性食品に多く含まれており、ヘム鉄は非ヘム鉄と比べると体内への吸収率が高いことが分かっています。

そのため効率の良い摂取を目指すなら、鉄分を多く含む動物性食品を積極的に摂ると良いでしょう。

また、動物性たんぱく質やビタミンCには非ヘム鉄の吸収を促進するはたらきがあります。

そのため、これらの栄養素を含む食品を一緒に摂取すれば、植物性食品からも鉄分を効率良く摂ることができますよ。

動物性たんぱく質を多く含む食品としては肉類、魚類、卵などが挙げられます。

ビタミンCはレモンなどの柑橘(かんきつ)類やピーマン、ブロッコリーなどの野菜類などに多く含まれます。

一方、ポリフェノールを含む食品や繊維質の食品、フィチン酸を含む食品などは非ヘム鉄の吸収を妨げてしまうため要注意です。

ポリフェノールはほとんどの植物に存在する苦みや色みのもととなる成分で、ブルーベリーなどに含まれる「アントシアニン」や緑茶に含まれる「カテキン」、ワインに含まれる「タンニン」などがこれに当たります。

またフィチン酸は米や小麦、とうもろこしなどに多く含まれている成分です。

6.鉄分についてのまとめ

鉄分は必須ミネラルの一種で、全身に酸素を運搬する他、酵素の構成要素として体内のさまざまな反応に関わっています

鉄分不足は貧血の大きな原因になる他、筋力の低下などももたらします

鉄分の過剰摂取はサプリメントなどを摂り過ぎた場合に起こり、便秘や胃腸の障害の原因となります。

月経のある女性や授乳婦は特に多くの鉄分を必要としますが、不足しがちなため十分注意が必要です。

鉄分を多く含む食品には、煮干しやレバー、貝類などがあり、植物性食品ではアーモンドや納豆、葉物野菜などがあります。

動物性食品に含まれるヘム鉄は植物性食品に含まれる非ヘム鉄よりも吸収効率が高いため、効率良く鉄分を摂取できます

非ヘム鉄は動物性たんぱく質やビタミンCと一緒に摂取することで吸収率を高めることができますよ。