「海苔って栄養があるのかな?」
海苔は日本の食生活においてはおなじみの食材ですが、どのような栄養素が含まれているのか詳しくご存じの方は多くはないかもしれませんね。
実は、海苔にはたんぱく質や食物繊維をはじめ各種ビタミン・ミネラルが豊富に含まれています。
「すぐにしけてしまうんだよな……」
このようにお困りの方もいらっしゃるかもしれませんが、適切な方法で保存することで鮮度を保ち長くおいしさを楽しむことができます。
この記事では海苔に含まれる栄養素と期待される効果の他、おいしい海苔の選び方や保存方法について詳しく解説しますので参考にしてくださいね。
1.海苔の基礎知識
海苔は紅藻類に属し、一般に海苔として流通しているものは「あまのり」といわれる品種です。
あまのりには複数の種類がありますが、なかでも主流なのは「ナラワスサビノリ」と呼ばれるものです。
養殖技術の発達や機械化により、昭和以降は生産が安定するようになりました。
のりの養殖には「遠浅の海」「潮の満ち引きが激しいところ」「海水と淡水が混ざり合う場所」が適した条件として挙げられます。
有明海はこれらの条件を満たす国内有数の生産地で、有明海沿岸の佐賀県は代表的な海苔の生産地の一つです。
その他、瀬戸内海に面する大阪府や兵庫県や伊勢湾が接する愛知県、三重県などでも収穫されています。
海苔の収穫は10月下旬から始まり、最初に収穫された「新海苔」が出回る11月中旬以降が旬の時期といわれています[1]。
旬の時期に出回る新海苔は、柔らかくておいしいとされていますよ。
海苔として販売されているのは、干し海苔やそれを焼いた焼き海苔、焼き海苔に味を付けた味付け海苔などです。
この記事では最も一般的な焼き海苔に含まれる栄養素を紹介します。
カロリーが気になる方もいらっしゃるかもしれませんね。
焼き海苔のカロリーは100g当たり297kcalです[2]。
海苔一枚はおよそ3gです。一度に食べる海苔の量を考えると、高くはないことが分かります。
[1] 全国漁連のり事業推進協議会「 のりの産地 のりを食べよう」
[2] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
2.海苔に豊富に含まれる栄養素
海苔に含まれる栄養素について、気になる方もいらっしゃるでしょう。
海苔には、筋肉や臓器の材料となるたんぱく質やおなかの調子を整えるはたらきのある食物繊維、さまざまなビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。
ここでは、海苔に多く含まれる栄養素とそのはたらきをご紹介します。
成人男女向けに1日当たりの摂取量の目安(食事摂取基準)を紹介します。
17歳以下の方は乳児・小児の食事摂取基準を、妊娠中・授乳中の方は必要量が増える栄養素もあるため、妊婦・授乳婦の食事摂取基準で付加量をご確認ください。
では、早速海苔に豊富に含まれる栄養素についてみていきましょう。
【海苔に豊富に含まれる栄養素・成分(100g当たり)】
栄養素 | 含有量 |
---|---|
たんぱく質 | 41.4g |
食物繊維 | 36.0g |
ビタミンA | 2,300μg |
ビタミンE | 4.6mg |
ビタミンK | 390μg |
ビタミンB1 | 0.69mg |
ビタミンB2 | 2.33mg |
ナイアシン当量 | 20.0mg |
ビタミンB6 | 0.59mg |
ビタミンB12 | 56.7μg |
葉酸 | 1,900μg |
ビオチン | 47.0μg |
ビタミンC | 210mg |
カリウム | 2,400mg |
カルシウム | 280mg |
マグネシウム | 300mg |
鉄 | 11.0mg |
亜鉛 | 3.6mg |
銅 | 0.55mg |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
[3] 国立研究開発法人国立循環器病研究センター「栄養に関する基礎知識」
[4] 東京都保険医療局「栄養成分表示ハンドブック」
2-1.たんぱく質
海苔にはたんぱく質が豊富に含まれています。
海苔100g当たりのたんぱく質の含有量は41.4gです[5]。
たんぱく質にはさまざまな種類があり、いずれも20種類のアミノ酸の結合により構成されています[6]。
筋肉・臓器・皮膚・毛髪などの材料となる他、ホルモンなどの構成成分として欠かすことのできない栄養素です。
また、炭水化物・脂質と共に「エネルギー産生栄養素」と呼ばれており、エネルギーを生みだす成分としても重要です。
たんぱく質が欠乏すると成長障害の他、体力や免疫機能の低下が起こることがあるため注意が必要です。
たんぱく質の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~64歳で65g、65歳以上で60gです[7]。
女性は18歳以上で50gです[7]。
たんぱく質についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
たんぱく質を多く含む食べ物は?摂取量の目安やおすすめの食材を解説
[5] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[6] 厚生労働省e-ヘルスネット「 たんぱく質」
[7] 厚生労働省「 日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-2.食物繊維
海苔には食物繊維が豊富に含まれています。
海苔100g当たりの食物繊維の含有量は36.0gです[8]。
食物繊維は、たんぱく質や脂質、炭水化物と異なり、消化酵素で分解(消化)されずに大腸まで達します。
食物繊維は便の量を増やす他、ビフィズス菌や乳酸菌など善玉菌の割合を増やし腸内環境の改善に役立つことで知られています。
その他、血中コレステロールや食後の血糖値の上昇を抑える作用も注目されています。
現在は食生活の変化により穀類・いも類・豆類の摂取量が減少し、ほとんどの日本人で食物繊維の摂取量が不足気味です。
健康に深く関わる成分であるため、積極的に摂取することが勧められています。
食物繊維の1日当たりの摂取目標量は男性の場合18~64歳で21g以上、65歳以上で20g以上です[9]。
女性は18~64歳で18g以上、65歳以上で17g以上です[9]。
食物繊維についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
食物繊維は1日にどのくらい摂ればいい?期待できる効果や食材を紹介
[8] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[9] 厚生労働省「 日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-3.ビタミンA
海苔にはビタミンAが豊富に含まれています。
海苔100g当たりのビタミンAの含有量はレチノール活性当量で2,300μgです[10]。
ビタミンAは水に溶けにくく油に溶けやすい性質のある脂溶性ビタミンの一つです。
目の機能や皮膚・粘膜を正常に保つ他、成長にも関わります。
そのため、不足すると暗い場所で目が見えにくくなる夜盲症、皮膚や粘膜の乾燥、成長障害などを引き起こす場合があります。
ビタミンAの1日当たりの摂取推奨量はレチノール活性当量で、男性の場合18~29歳で850μgRAE、30~64歳で900μgRAE、65~74歳で850μgRAE、75歳以上で800μgRAEです[11]。
女性の場合18~29歳で650μgRAE、30~74歳で700μgRAE、75歳以上で650μgRAEです[11]。
ビタミンAについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンAにはどんな効果がある?目標摂取量とおすすめの食品を紹介
[10] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[11] 厚生労働省「 日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-4.ビタミンE
海苔にはビタミンEが豊富に含まれています。
海苔100g当たりのビタミンEの含有量は4.6mgです[12]。
ビタミンEは、体内では細胞膜や脂質に豊富に存在する脂溶性ビタミンです。
活性酸素のはたらきを抑える抗酸化ビタミンとして知られています。
ビタミンEの不足は、ヒトの場合にはほとんど見られません。
ビタミンEの1日当たりの摂取目安量は、男性の場合18~49歳で6.0mg、50~74歳で7.0mg、75歳以上で6.5mgです[13]。
女性の場合18~29歳で5.0mg、30~49歳で5.5mg、50~64歳で6.0mg、65歳以上で6.5mgです[13]。
ビタミンEについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンEが多く含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説
[12] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[13] 厚生労働省「 日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-5.ビタミンK
海苔にはビタミンKが豊富に含まれています。
海苔100g当たりのビタミンKの含有量は390μgです[14]。
ビタミンKは、肝臓内の血液凝固因子を活性化し血液凝固を促すことで知られるビタミンです。
他にも、動脈が石のように固くなる石灰化の抑制や、骨形成への関与など重要なはたらきを担っています。
通常の食事をしている場合、ビタミンKの欠乏はほぼ見られません。
ビタミンKの1日当たりの摂取目安量は18歳以上の男女共に150μgです[15]。
ビタミンKについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンKにはどんな効果がある?摂取目安量とおすすめの食材を紹介
[14] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[15] 厚生労働省「 日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-6.ビタミンB1
海苔にはビタミンB1が豊富に含まれています。
海苔100g当たりのビタミンB1の含有量は0.69mgです[16]。
ビタミンB1は、血液など体液中に存在している水溶性のビタミンでビタミンB群の一種です。
ビタミンB1は、体内で糖質やアミノ酸を代謝する際に「補酵素」としてはたらく栄養素です。
食事からの供給が長期的に不十分であったり、糖質の多い食品やアルコールの摂取が多く需要が高まったりすると、ビタミンB1が不足する場合があります。
ビタミンB1は糖質の代謝に関わるため、不足すると糖質を主なエネルギー源として利用する脳や神経のはたらきに影響を及ぼすことがあるので注意したいですね。
ビタミンB1の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~49歳で1.4mg、50~74歳で1.3mg、75歳以上で1.2mgです[17]。
女性は18~74歳で1.1mg、75歳以上で0.9mgです[17]。
ビタミンB1についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンB1が豊富に含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説
[16] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[17] 厚生労働省「 日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-7.ビタミンB2
海苔にはビタミンB2が豊富に含まれています。
海苔100g当たりのビタミンB2の含有量は2.33mgです[18]。
ビタミンB2は体内ではエネルギー代謝を助ける補酵素としてはたらきます。
成長促進、皮膚や粘膜の保護にも関与しています。
そのため、不足すると成長障害や皮膚炎、口内炎などを起こすことがあります。
ビタミンB2の不足は食事からの摂取が不十分な場合や疾患、薬の服用などが原因で起こります。
ただし単独で不足することはまれで、他のビタミンの不足と同時に起こるとされています。
ビタミンB2の1日の摂取推奨量は男性では18~49歳で1.6mg、50~74歳で1.5mg、75歳以上は1.3mgです[19]。
女性では18~74歳で1.2mg、75歳以上は1.0mgです[19]。
ビタミンB2については以下の記事で詳しく解説しています。
ビタミンB2が手軽に摂れる食べ物は何?効果や食事摂取基準も紹介
[18] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[19] 厚生労働省「 日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-8.ナイアシン
海苔にはナイアシンが豊富に含まれています。
海苔100g当たりのナイアシンの含有量はナイアシン当量で20.0mgです[20]。
ナイアシンは、筋肉を収縮させる際のエネルギー源となるATP(アデノシン三リン酸)の産生に関与するビタミンです。
また、「ステロイドホルモン」や脂肪の一種である脂肪酸やDNAの合成、細胞の分化などにも関わっています。
ナイアシンの1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~49歳で15mgNE、50~74歳は14mgNE、75歳以上は13mgNEです[21]。
女性は18~29歳で11mgNE、30~49歳で12mgNE、50~74歳で11mgNE、75歳以上で10mgNEです[21]。
[20] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[21] 厚生労働省「 日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-9.ビタミンB6
海苔にはビタミンB6が豊富に含まれています。
海苔100g当たりのビタミンB6の含有量は0.59mgです[22]。
ビタミンB6はたんぱく質・脂質・炭水化物や神経伝達物質の代謝に使われる補酵素の役割を果たします。
不足した場合には、湿疹や口角炎、舌炎、皮膚炎、貧血、免疫機能の低下などの症状が起こることがあります。
ただしビタミンB6の不足は単独では起こることは少なく、他のビタミンの不足と同時に生じます。
ビタミンB6の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18歳以上で1.4mg、女性は1.1mgです[23]。
ビタミンB6についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
[22] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[23] 厚生労働省「 日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-10.ビタミンB12
海苔にはビタミンB12が豊富に含まれています。
海苔100g当たりのビタミンB12の含有量は56.7μgです[24]。
ビタミンB12はアミノ酸や脂質の代謝に関わる補酵素としてはたらきます。
微生物から合成されるため、植物性食品にはほとんど含まれていません。
ビタミンB12の不足は、厳格な菜食を続けていたり胃酸の分泌が少なかったりする場合に見られます。
主な欠乏症状は悪性貧血、神経障害、記憶障害、うつ病、慢性疲労、運動時の動悸(どうき)や息切れなどです。
ビタミンB12の1日当たりの摂取目安量は、男女共に18歳以上で2.4μgです[25]。
ビタミンB12についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンB12を含む食べ物は?過不足の影響と食事摂取基準も解説
[24] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[25] 厚生労働省「 日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-11.葉酸
海苔には葉酸が豊富に含まれています。
海苔100g当たりの葉酸の含有量は1,900μgです[26]。
葉酸は水溶性ビタミンの一種で、細胞増殖のために必要とされるDNAの合成に関わっています。
不足すると、細胞分裂が抑制され造血機能に異常を来し、貧血や神経障害を起こすことがあります。
また、妊娠初期の胎児の細胞増殖が活発な時期に葉酸が不足すると、胎児の神経管の成長が妨げられ、神経管閉鎖障害と呼ばれる先天異常の発症率が高まることが明らかになっています。
葉酸の1日当たりの摂取推奨量は、男女共に18歳以上で240μgです[27]。
葉酸についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
葉酸が多く含まれている食べ物とは?効果や摂取基準もあわせて解説
[26] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[27] 厚生労働省「 日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-12.ビオチン
海苔にはビオチンが豊富に含まれています。
海苔100g当たりのビオチンの含有量は47.0μgです[28]。
ビオチンは水溶性ビタミンの一種で、「糖新生」の他アミノ酸や脂肪酸の合成、エネルギー代謝などに関わっています。
また、ビオチンが産生する抗炎症物質にはアレルギーの症状を緩和する効果も期待されています。
ビオチンはさまざまな食品に含まれているため、通常の食事をしている場合に不足することはほぼありません。
ビオチンの1日当たりの摂取目安量は18歳以上の男女共に50μgです[29]。
ビオチンについてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
ビオチンとは?はたらきや摂取の目安量、摂取源となる食品を解説
[28] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[29] 厚生労働省「 日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-13.ビタミンC
海苔にはビタミンCが豊富に含まれています。
海苔100g当たりのビタミンCの含有量は210mgです[30]。
ビタミンCは、皮膚や腱(けん)、軟骨などを構成する材料である「コラーゲン」を作るためになくてはならない栄養素です。
また、抗酸化ビタミンとしての役割を担う他、消化管での鉄の吸収を高めるはたらきもしています。
ビタミンCの不足は、アルコールや薬物の依存がある場合、また食生活に偏りがあり野菜や果物の摂取が少ない場合に多く見られます。
不足すると、倦怠(けんたい)感、疲労感、気力低下などの症状が現れることがあります。
さらに欠乏に至るとコラーゲンを作ることができないため、血管がもろくなり歯肉や皮下の出血、貧血、筋肉の減少などを引き起こすため注意が必要です。
ビタミンCの1日当たりの摂取推奨量は、男女共に18歳以上で100mgです[31]。
ビタミンCについてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンCの美容・健康効果は?目標摂取量と豊富に含まれている食品
[30] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[31] 厚生労働省「 日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-14.カリウム
海苔にはカリウムが豊富に含まれています。
海苔100g当たりのカリウムの含有量は2,400mgです[32]
カリウムはミネラルの一種で、体内では多くが細胞内に存在しますが、血液やリンパなどの細胞外液、骨にも少量が含まれています。
カリウムにはナトリウムを体外へ排出するはたらきがあり、過剰に摂取した塩分を調節するのに役立ちます。
また、細胞内液の「浸透圧」を一定に保ったり、筋肉の収縮や体液の酸性・アルカリ性のバランスを調整したりするはたらきがあります。
カリウムの不足による主な症状は、脱力感や食欲不振、精神障害、不整脈などです。
カリウムの1日当たりの摂取目標量は、18歳以上の男性で3,000mg以上、女性で2,600mg以上です[33]。
カリウムについてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
カリウムとは?はたらきや摂取すべき量、摂取源となる食品を紹介
[32] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[33] 厚生労働省「 日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-15.カルシウム
海苔にはカルシウムが豊富に含まれています。
海苔100g当たりのカルシウムの含有量は280mgです[34]
カルシウムは骨や歯を構成する主要な成分で、体内のカルシウムのほとんどが骨と歯に存在しています。
残りのカルシウムは血液や細胞外液に含まれ、血液凝固や心機能、筋収縮など重要なはたらきに関わります。
食事からの摂取が不十分な場合や、カルシウムの吸収を促すビタミンDが不足した際、カルシウム不足が起こる場合があります。
カルシウムの不足により、骨量の減少や骨粗しょう症の他、高血圧や糖尿病、軟骨の変性、変形性関節症などの症状が起こることがあるため注意が必要です。
日本人のカルシウム摂取量は目標量に届いていないため、積極的な摂取を心掛けたいですね。
カルシウムの1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~29歳で800mg、30~74歳は750mg、75歳以上は700mgです[35]。
女性は18~74歳で650mg、75歳以上で600mgです[35]。
カルシウムについてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
カルシウムとは?はたらきや摂取すべき量、摂取源となる食品を解説
[34] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[35] 厚生労働省「 日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-16.マグネシウム
海苔にはマグネシウムが豊富に含まれています。
海苔100g当たりのマグネシウムの含有量は300mgです[36]。
マグネシウムは骨や歯の形成に不可欠な栄養素で、カルシウムと共に骨の健康を維持する役割を担っています。
また、体内における酵素の正常なはたらきとエネルギーの産生を助けます。
マグネシウムは未精製・未加工の食品のほとんどに含まれているため、通常の食事をしていて健康な場合に不足することはほとんどありません。
医薬品やサプリメントで多量に摂取すると、下痢などの消化器の症状が見られることがあります。
マグネシウムの1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~29歳で340mg、30~64歳で370mg、65~74歳で350mg、75歳以上で320mgです[37]。
女性は18~29歳で270mg、30~64歳で290mg、65~74歳で280mg、75歳以上で260mgです[37]。
マグネシウムについてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
マグネシウムとは?はたらきや食事摂取基準、摂取源となる食品を解説
[36] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[37] 厚生労働省「 日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-17.鉄
海苔には鉄が豊富に含まれています。
海苔100g当たりの鉄の含有量は11.0mgです[38]。
体内の鉄の多くは赤血球のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンに存在し、酸素の運搬などを行います。
残りの鉄は肝臓や骨髄、筋肉などに貯蔵されています。
鉄が不足すると、赤血球中のヘモグロビンが減り「鉄欠乏性貧血」を起こし、集中力の低下や頭痛、食欲不振などの症状が現れることがあります。
筋肉中のミオグロビンが減ると、筋力の低下や疲労感なども見られます。
特に月経のある女性や妊婦・授乳婦では鉄の不足が起こりやすいので注意が必要です。
鉄の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~74歳で7.5mg、75歳以上で7.0mgです[39]。
女性は月経がある場合18~49歳で10.5mg、50~64歳で11.0mg、月経がない場合18~64歳で6.5mg、65歳以上で6.0mgです[39]。
鉄についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
鉄分が多く含まれる食べ物と効果的な摂り方は?貧血気味の方必見!
[38] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[39] 厚生労働省「 日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-18.亜鉛
海苔には亜鉛が豊富に含まれています。
海苔100g当たりの亜鉛の含有量は3.6mgです[40]。
亜鉛は体内では骨格筋、骨、皮膚、肝臓、脳、腎臓などに存在し、主なはたらきはホルモンやDNA、たんぱく質の合成などです。
不足すると味覚障害や皮膚炎、食欲不振の他、免疫機能の低下、貧血、精神障害などの症状が現れることがあります。
亜鉛の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~74歳で11mg、75歳以上で10mgです[41]。
女性は18歳以上で8mgです[41]。
[40] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[41] 厚生労働省「 日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-19.銅
海苔には銅が豊富に含まれています。
海苔100g当たりの銅の含有量は0.55mgです[42]。
銅は主に骨や骨格筋、血液に存在しています。
たんぱく質と結合した銅酵素として、鉄の代謝や輸送、活性酸素の除去、神経伝達物質の代謝など重要な役割を担い、鉄と共に造血作用にも関わります。
通常の食事をしている場合、不足は起こらないとされています。
銅の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~74歳で0.9mg、75歳以上で0.8mgです[43]。
女性は18歳以上で0.7mgです[43]。
[42] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[43] 厚生労働省「 日本人の食事摂取基準(2020年版)」
3.海苔を長持ちさせるポイント
袋を開けたての、海苔のパリッとした食感や香ばしい風味を長く保つことができたらうれしいですよね。
海苔は湿気に大変弱く、光や温度・湿度の変化にも敏感です。
保存は密閉できる容器で行い、使うときに必要な分だけ取り出し素早く容器を閉めるようにしてください。
チャック付きの保存袋やふた付きの保存容器に乾燥剤と一緒に入れて余分な空気を抜き、冷暗所で保存すると良いでしょう。
乾燥剤は中身が粉状に変化したり、袋が膨らんできたりしたら寿命なので新しいものと交換しましょう。
この状態で密閉して冷蔵庫や冷凍庫で保存すると、海苔の食感や風味をさらに長持ちさせることができます。
ただし、冷蔵・冷凍保存したものはすぐには開封せず、必ず常温に戻してから袋を開けるようにしてください。
冷蔵庫や冷凍庫から取り出してすぐに開けてしまうと、海苔が湿気を吸ってあっという間にふにゃふにゃになってしまいます。
適した方法で保存して、海苔のおいしさを長く楽しんでくださいね
4.おいしい海苔の選び方
「おいしい海苔の見分け方ってあるのかな?」
せっかくならおいしい海苔を食べたいですよね。
海苔は早く摘み取った若い芽のものがおいしいとされています。
早摘みの芽は柔らかく、口に入れるとすぐにうまみ成分が溶け出すのでおいしく感じられるのです。
「早摘みの海苔ってどうやって見分けるの?」
早摘みの海苔を選ぶ際には、小穴の多いものを探しましょう。
早摘みの海苔の芽は柔らかく、焼くと縮んで小穴ができやすいという特徴があります。
見分け方のもう一つのポイントは、艶(つや)です。
早摘みのおいしい海苔は、やや赤みがかった、艶のある黒緑色をしているといわれます。
海苔を選ぶ際の参考にしてくださいね。
5.海苔に含まれる栄養素についてのまとめ
一般に海苔として流通しているものは「あまのり」といわれる品種で、現在は養殖技術や機械化により安定的に生産されています。
海苔の産地で代表的なのは有明海で、瀬戸内海や伊勢湾などでも収穫されています。
新海苔は柔らかくおいしいとされており、新海苔が出回る11月中旬頃からが海苔の旬といわれます[44]。
日常的に食べられている焼き海苔のカロリーは100g当たり297kcalです[45]。
海苔には、筋肉や臓器の材料となるたんぱく質やおなかの調子を整えるはたらきのある食物繊維が豊富に含まれています。
さらにビタミンA、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ビオチン、ビタミンC、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅も豊富に含まれます。
海苔の鮮度を保つためには密閉できる容器に入れ、冷暗所で保存しましょう。
冷蔵庫や冷凍庫で保存するとさらに長持ちさせることが可能です。
おいしいとされる早摘みの海苔は、小穴が多く艶があるのが特徴です。
さまざまな栄養素が豊富に含まれる海苔を日々の食生活に取り入れて、健康のために役立ててくださいね。
[44] 全国漁連のり事業推進協議会「 のりの産地 のりを食べよう」
[45] 文部科学省「 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」