「トマトには、どんな栄養素が含まれているのかな?」
「トマトの栄養を効果的に摂るにはどうしたら良いんだろう……」
トマトは身近な野菜の一つですが、トマトに含まれている栄養素や食べ方のポイントについてはあまりご存じない方もいらっしゃるかもしれません。
トマトには食物繊維をはじめ、ビタミン類などの栄養素が豊富に含まれています。
また、体にとって有益なはたらきをするリコピンという成分が多く含まれることも特徴の一つです。
この記事ではトマトに含まれる栄養素やそのはたらきについて解説します。
また、栄養素を効率良く摂るためのポイントやおいしいトマトの選び方、保存方法についても紹介しますので参考にしてくださいね。
1.トマトとは
トマトはじゃがいもやピーマンの仲間で、ナス科に属する野菜です。
一般的には丸くて赤いイメージのトマトですが、世界中には細長いものや赤色系以外の色のものなど1万以上の種類があるといわれています[1]。
日本では300種類以上の品種が登録されていて、大きさ(重さ)と色でそれぞれ三つのタイプに分類されます[1]。
大きさに厳密な規格はありませんが、目安として約100g以上のものは大玉トマト、約30~60gのものは中玉トマト(ミディトマト)、10~30g程度のものはミニトマトとされています[1]。
色では、皮が薄めで透明な桃色系、皮が厚めで鮮やかな赤が特徴の赤色系、黄色やオレンジ、緑色のその他に分けられます。
その他、トマトの分類には用途や栽培法によるものもあります。
加工用トマトはジュースやケチャップ、缶詰などに使われるトマトです。
酸味があり生食には不向きですが、加熱により味が引き立つことや貯蔵がしやすいことから加工用として使用されます。
また、フルーツトマトは栽培方法の工夫により一般のトマトより糖度が高くなったトマトです。
なかには、果物並みに甘いものもあります。
用途や好みによって選択肢が多いのも、トマトを食べる楽しみの一つですね。
2.トマトのカロリー
「トマトのカロリーってどのくらいなんだろう?」
ダイエット中の方や健康への意識が高い方は、トマトのカロリーを気にされるかもしれませんね。
トマトのカロリーは以下のとおりです。
【トマト可食部100g当たりのカロリー】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
赤色トマト | 生 | 20kcal |
赤色ミニトマト | 生 | 30kcal |
黄色トマト | 生 | 18kcal |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
他の身近な野菜と比べてみましょう。
【トマト以外の野菜可食部100g当たりのカロリー】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
かぼちゃ | 生 | 78kcal |
にんじん | 生 | 35kcal |
たまねぎ | 生 | 34kcal |
キャベツ | 生 | 23kcal |
ピーマン | 生 | 20kcal |
なす | 生 | 18kcal |
きゅうり | 生 | 13kcal |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
他の野菜と比べてもトマトのカロリーは低めなので、ダイエット中でも安心して食べることができますね。
3.トマトに豊富に含まれる栄養素
「トマトにはどんな栄養素が豊富に含まれているのかな?」
トマトは定番野菜の一つですが、どんな栄養素が含まれているのか知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
トマトには食物繊維やさまざまなビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。
それではトマトに含まれる豊富な栄養素とそのはたらきを見ていきましょう。
また成人男女向けに1日当たりの摂取量の目安(食事摂取基準)もご紹介しているので参考にしてくださいね。
未成年の食事摂取基準は「未成年の食事摂取基準」を、妊娠中・授乳中の方は必要量が増える栄養素もあるため、「妊娠中・授乳中の方」で付加量をご確認ください。
3-1.食物繊維
食物繊維はトマトに豊富に含まれる栄養素の一つで、トマト100g当たりの含有量は1.0gです[3]。
食物繊維は炭水化物のうち、ヒトの消化酵素では消化できないものを指します。
食物繊維は小腸で消化・吸収されることなく大腸まで達するため、おなかの調子を整え便秘を予防するのに役立ちます。
また脂質や糖、ナトリウムを吸着し体外へ排出するはたらきがあり、これらの摂り過ぎが原因で起こる肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病の予防・改善にも効果が期待されています。
食習慣の変化により現代の日本人の食物繊維摂取量は減少傾向にあり、平均摂取量が男女ともに摂取目標量を下回っているため、積極的に摂ることが勧められています。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、食物繊維の摂取目標量は男性の場合18~64歳で21g以上、65歳以上で20g以上です[4]。
女性の場合18~64歳で18g以上、65歳以上で17g以上とされています[4]。
食物繊維を積極的に摂取するよう心掛けましょう。
食物繊維についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
食物繊維は1日にどのくらい摂ればいい?期待できる効果や食材を紹介
3-2.ビタミンA
ビタミンAもトマトに多く含まれている栄養素です。
トマト100g当たりのビタミンA含有量は、レチノール活性当量で45μgです[5]。
ビタミンAには目の機能を正常に保ったり、皮膚や粘膜の健康を維持したりするはたらきがあります。
そのため不足すると夜盲症、皮膚や粘膜の乾燥などを引き起こす場合があります。
ビタミンAの1日当たりの摂取推奨量は、男性の場合18~29歳で850μgRAE、30~64歳で900μgRAE、65~74歳で850μgRAE、75歳以上で800μgRAEです[6]。
女性の場合18~29歳で650μgRAE、30~74歳で700μgRAE、75歳以上で650μgRAEです[6]。
ビタミンAについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンAにはどんな効果がある?目標摂取量とおすすめの食品を紹介
[5] [文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
3-3.ビタミンE
トマトにはビタミンEも豊富に含まれています。
トマト100g当たりのビタミンE含有量は、0.9mgです[7]。
ビタミンEは脂溶性のビタミンで、体にさまざまな悪影響を及ぼす活性酸素のはたらきを抑える「抗酸化作用」を持つことで知られています。
ビタミンEの1日当たりの摂取目安量は、男性の場合18~49歳で6.0mg、50~74歳で7.0mg、75歳以上で6.5mgです[8]。
女性の場合18~29歳で5.0mg、30~49歳で5.5mg、50~64歳で6.0mg、65歳以上で6.5mgです[8]。
ビタミンEについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンEが多く含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説
[7] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
3-4.ビタミンK
ビタミンKもトマトに多く含まれる栄養素です。
トマト100g当たりのビタミンK含有量は、4μgです[9]。
ビタミンKは血液凝固を円滑に行う他、骨の形成を助け骨粗しょう症を予防するはたらきを持ちます。
ビタミンKが不足すると鼻血や月経過多、血液凝固の遅延などを引き起こすことがあります。
慢性的に不足すると骨粗しょう症や骨折の原因となることもあるので注意したいですね。
「ビタミンK不足を防ぐには1日どのくらいの量のビタミンKを摂取すれば良いのかな?」
このように気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ビタミンKの1日当たりの摂取目安量は18歳以上の男女共に150μgです[10]。
ビタミンKについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンKにはどんな効果がある?摂取目安量とおすすめの食材を紹介
[9] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
3-5.ビタミンB1
トマトにはビタミンB1も豊富に含まれています。
トマト100g当たりのビタミンB1含有量は0.05mgです[11]。
ビタミンB1は糖質の代謝に関わり、炭水化物からのエネルギーの産生を助けます。
また、健康な皮膚や粘膜を維持する役割も担っています。
ビタミンB1は糖質の代謝の際に必要であるため、糖質やアルコールをたくさん摂ると不足することがあります。
不足すると特に糖質を主にエネルギー源としている脳や神経のはたらきに影響が出ることがあるため注意が必要です。
ビタミンB1の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~49歳で1.4mg、50~74歳は1.3mg、75歳以上は1.2mgです[12]。
女性は18~74歳で1.1mg、75歳以上で0.9mgです[12]。
ビタミンB1についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンB1が豊富に含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説
[11] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
3-6.ナイアシン
ナイアシンもトマトに豊富に含まれる栄養素です。
トマト100g当たりのナイアシン含有量は、ナイアシン当量で0.8mgです[13]。
ナイアシンは水溶性のビタミンで、皮膚や粘膜を健康に保つはたらきがあります。
その他にもエネルギーや脂肪の構成要素である「脂肪酸」、ステロイドホルモンの産生などを助けます。
ナイアシンが欠乏すると、ペラグラという重篤な疾患により皮膚炎・下痢・精神神経障害などの症状を引き起こすことがありますが、日本人の発症は稀(まれ)といわれています。
ナイアシンの1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~49歳で15mgNE、50~74歳は14mgNE、75歳以上は13mgNEです[14]。
女性は18~29歳で11mgNE、30~49歳で12mgNE、50~74歳で11mgNE、75歳以上で10mgNEです[14]。
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所が「「健康食品」の安全性・有効性情報」というサイトでナイアシンの情報を公開しているので、参考にしてみてくださいね。
[13] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
3-7.ビタミンB6
ビタミンB6もトマトに多く含まれる栄養素です。
トマト100g当たりのビタミンB6含有量は0.08mgです[15]。
ビタミンB6 は酵素のはたらきを助ける補酵素となる他、脂質やたんぱく質を構成するアミノ酸の代謝、神経伝達物質の生成などに関わっています。
ビタミンB6が欠乏すると、皮膚炎や食欲不振、動脈硬化の原因となることがあります。
ビタミンB6の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18歳以上で1.4mg、女性は1.1mgです[16]。
ビタミンB6についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
[15] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
3-8.葉酸
トマトには葉酸も多く含まれています。
トマト100g当たりの葉酸含有量は22μgです[17]。
葉酸は細胞が増殖する際に必要なDNAの合成に深く関わる栄養素です。
不足すると巨赤芽球性貧血を引き起こし、動悸(どうき)や息切れ、疲労感などの症状が現れる場合があります。
また、胎児の細胞増殖が盛んな妊娠初期に葉酸が欠乏すると、胎児の神経管閉鎖障害の発症率が高くなります。
そのため厚生労働省からは、妊娠の1カ月以上前から妊娠3カ月までは1日400μgの葉酸を栄養補助食品から摂ることが、胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクを低減できる可能性があると報告されています[18]。
葉酸の1日当たりの摂取推奨量は、男女共に18歳以上で240μgです[19]。
葉酸についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
葉酸が多く含まれている食べ物とは?効果や摂取基準もあわせて解説
[17] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
3-9.パントテン酸
パントテン酸もトマトに多く含まれます。
トマト100g当たりのパントテン酸含有量は0.17mgです[20]。
パントテン酸は水溶性ビタミンの一種で、脂肪酸や糖の代謝に関っています。
さまざまな食品に含まれているため、日常の生活においてパントテン酸が不足する心配はほぼありません。
パントテン酸の1日当たりの摂取目安量は、男性は18~49歳で5mg、50歳以上は6mgです[21]。
女性は18歳以上で5mgです[21]。
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所が「「健康食品」の安全性・有効性情報」というサイトでパントテン酸の情報を公開しているので、参考にしてみてくださいね。
[20] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
3-10.ビオチン
ビオチンもトマトに豊富に含まれる栄養素の一つです。
トマト100g当たりのビオチン含有量は2.3μgです[22]。
ビオチンはヒトの体内では作ることができないため、食品から摂取する必要があります。
体内で糖質の代謝、アミノ酸、脂肪酸の合成、エネルギーの代謝などが行われる際に補酵素としてはたらきます。
さまざまな食品に含まれているため、通常は不足することはないとされています。
ビオチンの1日当たりの摂取目安量は、男女共に18歳以上で50μgです[23]。
ビオチンについてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
ビオチンとは?はたらきや摂取の目安量、摂取源となる食品を解説
[22] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
3-11.ビタミンC
トマトにはビタミンCも多く含まれています。
トマト100g当たりのビタミンC含有量は15mgです[24]。
ビタミンCはヒトの体の中で作ることができないため、食事から摂取しなくてはなりません。
ビタミンCの主なはたらきは、皮膚や腱(けん)、軟骨などの構成成分であるコラーゲンを合成することです。
また抗酸化物質として重要な役割を持つ他、消化管で鉄の吸収を促す役割も担っています。
ビタミンCの不足は倦怠(けんたい)感、疲労感、気力低下などの症状の原因となることがあります
重度の欠乏症では「壊血病」を招き、歯ぐき(歯茎)や歯のトラブル、貧血、あざ、毛髪や皮膚の乾燥などの症状を引き起こすことがありますが、先進国での発症は稀です。
ビタミンCの1日当たりの摂取推奨量は、男女共に18歳以上で100mgです[25]。
ビタミンCについてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンCの美容・健康効果は?目標摂取量と豊富に含まれている食品
[24] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
3-12.カリウム
カリウムもトマトには豊富に含まれています。
トマト100g当たりのカリウム含有量は210mgです[26]。
カリウムはミネラルの一種で、ヒトの体内ではほとんどが細胞内に存在し細胞内液の浸透圧を一定に保つはたらきをしています。
またナトリウムを排出するはたらきがあり、摂り過ぎた塩分を調節する重要な役割を果たしています。
カリウムが不足するとナトリウムの排出を滞らせる他、脱力感・食欲不振・筋無力症・精神障害・不整脈などの症状が現れることがあります。
カリウムの1日当たりの摂取目標量は、18歳以上の男性で3,000mg以上、女性で2,600mg以上です[27]。
カリウムについてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
カリウムとは?はたらきや摂取すべき量、摂取源となる食品を紹介
[26] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
3-13.マグネシウム
マグネシウムもトマトに豊富に含まれている栄養素の一つです。
トマト100g当たりのマグネシウム含有量は9mgです[28]。
マグネシウムはミネラルの一つで、体内では6割は骨や歯に含まれ、残りは筋肉や脳、神経に存在しています[29]。
300種類以上の酵素のはたらきを助ける他、筋肉の収縮や神経情報の伝達、体温や血圧の調整などに関わっています[29]。
マグネシウムが不足すると、骨粗しょう症、神経疾患、精神疾患、不整脈、心疾患、筋肉収縮異常などを引き起こすことがありますが、通常の食事をしている場合、不足の心配はほぼないといわれています。
マグネシウムの1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~29歳で340mg、30~64歳で370mg、65~74歳で350mg、75歳以上で320mgです[30]。
女性は18~29歳で270mg、30~64歳で290mg、65~74歳で280mg、75歳以上で260mgです[30]。
マグネシウムについてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
マグネシウムとは?はたらきや食事摂取基準、摂取源となる食品を解説
[28] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
3-14.鉄
鉄もトマトに多く含まれる栄養素です。
トマト100g当たりの鉄含有量は0.2mgです[31]。
鉄はミネラルの一種で、70%が赤血球の「ヘモグロビン」や筋肉の「ミオグロビン」に、残りは肝臓や骨髄、筋肉などに蓄えられています[32]。
鉄は酸素の運搬や酵素の構成要素としても重要です。
不足すると貧血を招き、運動や免疫機能が低下する場合があります。
特に月経のある女性や妊産婦、乳児の場合は不足しないように十分な摂取が必要です。
鉄の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~74歳で7.5mg、75歳以上で7.0mgです[33]。
女性は月経がある場合18~49歳で10.5mg、50~64歳で11.0mg、月経がない場合18~64歳で6.5mg、65歳以上で6.0mgです[33]。
鉄についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
鉄分が多く含まれる食べ物と効果的な摂り方は?貧血気味の方必見!
[31] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[32] 厚生労働省e-ヘルスネット「鉄」
3-15.銅
トマトには銅も豊富に含まれています。
トマト100g当たりの銅含有量は0.04mgです[34]。
銅はヒトの体の中では主に筋肉や骨、肝臓に存在するミネラルで、エネルギーを生成する他、鉄の代謝や神経伝達物質の産生、活性酸素の除去などに関わります。
通常の食生活で銅が欠乏することはほとんどありません。
しかし不足した場合には鉄を投与しても改善しない貧血や成長障害、白血球の減少、骨異常、免疫機能の低下、コレステロールや糖の代謝異常などが見られることがあります。
銅の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~74歳で0.9mg、75歳以上で0.8mgです[35]。
女性は18歳以上で0.7mgです[35]。
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所が「「健康食品」の安全性・有効性情報」というサイトで銅の情報を公開しているので、参考にしてみてくださいね。
[34] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
3-16.リコピン
トマトはリコピンを含む代表的な食品です。
リコピンとは野菜や果物に含まれる「カロテノイド」の一種です。
カロテノイドは多くの動植物に含まれる黄色や赤色の成分で、「カロテン類」と「キサントフィル類」に分けられ、リコピンはカロテン類に属しています。
リコピンには強い抗酸化作用があり活性酸素のはたらきを抑えるため、活性酸素によって作られる過酸化脂質が原因となる動脈硬化を予防する効果があるといわれます。
さらに老化やがんの発生を抑える作用も期待されています。
リコピンの食事摂取基準は定められていませんが、さまざまな機能を持つ有効成分です。
身近で入手しやすいトマトで日常的にリコピンが摂れるのはうれしいですね。
4.トマトに含まれる栄養素
トマトにはビタミンB2やカルシウム、亜鉛などの栄養素も含まれています。
ここではそれぞれの栄養素の役割や食事摂取基準について解説していきますね。
4-1.ビタミンB2
トマトにはビタミンB2も含まれています。
トマト100g当たりのビタミンB2含有量は0.02mgです[37]。
ビタミンB2は水溶性のビタミンで、体内では補酵素としてエネルギー代謝に関わります。
成長促進や皮膚や粘膜の保護にも関与する栄養素で、不足した場合は成長障害や皮膚炎、口内炎などの症状が見られる場合があります。
ビタミンB2の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~49歳で1.6mg、50~74歳で1.5mg、75歳以上で1.3mgです[38]。
女性は18~74歳で1.2mg、75歳以上で1.0mgです[38]。
ビタミンB2についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンB2が手軽に摂れる食べ物は何?効果や食事摂取基準も紹介
[37] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
4-2.カルシウム
カルシウムもトマトに含まれる栄養素の一つです。
トマト100g当たりのカルシウム含有量は7mgです[39]。
カルシウムといえば骨や歯の材料として知られていますが、他にも血液凝固、筋肉の収縮、酵素反応、ホルモンや神経伝達物質の放出反応など、生命活動において重要な役割を担っています。
これらのはたらきが正しく行われるように、ビタミンD、副甲状腺ホルモン、男性ホルモンなどにより、血液中のカルシウム濃度が一定に保たれています。
カルシウム摂取が不足した場合には血中のカルシウム濃度が低下し、骨からカルシウムが溶け出してしまいます。
カルシウムの不足により、骨量の減少や骨粗しょう症を招く他、高血圧、動脈硬化、糖尿病、肥満、変形性関節症などの原因となることがあります。
カルシウムの1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~29歳で800mg、30~74歳で750mg、75歳以上で700mgです[40]。
女性は18~74歳で650mg、75歳以上で600mgです[40]。
カルシウムについてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
カルシウムを多く含む食品と効果的な摂り方は?骨の健康を守ろう!
[39] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
4-3.亜鉛
トマトには亜鉛も含まれています。
トマト100g当たりの亜鉛含有量は0.1mgです[41]。
亜鉛は体内では骨や歯、筋肉,肝臓、腎臓に多く含まれ、200種以上の酵素を構成する他、酵素反応の活性化、ホルモンやたんぱく質の合成、免疫反応の調節などに関わっています[42]。
亜鉛が欠乏すると、味覚障害や皮膚炎、食欲不振などの症状が現れるといわれます。
また、免疫機能低下、慢性下痢、貧血、精神障害などの原因となる可能性があります。
亜鉛の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~74歳で11mg、75歳以上で10mgです[43]。
女性は18歳以上で8mgです[43]。
日本人は高齢者を中心に亜鉛不足の状態にあるとされています。
実際に複数の疫学調査の論文において、日本人の 20-30%が亜鉛欠乏の状況にあると報告されています[44]。
亜鉛が含まれる食品を、意識して食事に取り入れることで、亜鉛不足にならないようにしましょう。
亜鉛についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
亜鉛のはたらきと1日の適切な摂取量とは?亜鉛を多く含む食品も紹介
[41] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[44] 神戸 大朋「亜鉛トランスポーターの解析から亜鉛の生理機能を探る」(日本栄養・食糧学会誌 第 76 巻 第 4 号 207‒216(2023))
5.トマトの選び方と保存方法
「おいしいトマトの見分け方ってあるのかな?」
「トマトはどうやって保存したら良いんだろう……」
せっかくならおいしくトマトを食べたいですよね。
トマトを買う際には、ヘタが新鮮で皮に張りがあり、実が割れていないものを選びましょう。
また、持ってみてずっしりと重量感があること、お尻に星のような筋があることも良いトマトの特徴です。
保存の際は、すでに熟しているものはビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室に入れましょう。
まだ緑の部分が残っているものは常温での保存がおすすめです。
ただし冷やし過ぎると風味が悪くなるため注意してくださいね。
すぐに食べない場合は、ヘタをくり抜いて冷凍することも可能です。
6.トマトの栄養についてのまとめ
トマトはナス科に属する野菜で、日本では300種類以上の品種が登録されています[45]。
気になるカロリーは一般的な赤色トマト100g当たり20kcalで、身近な他の野菜と比べても高くありません[46]。
トマトには、食物繊維、ビタミンA、ビタミンEなどのビタミン類、カリウムやマグネシウムなどのミネラル類が豊富に含まれています。
さらにカロテノイドの一つであるリコピンを多く含むことも特徴的です。
その他、ビタミンB2やカルシウム、亜鉛も含まれています。
トマトを購入する際には、ヘタや皮の状態が良く実が割れていないものを選びましょう。
すでに熟したものは野菜室で、緑の部分が残っているものは常温で保存するのがおすすめです。
スペインで約7000人を対象とした調査によると、トマトを「3日で約1個」食べた人たちに比べ、「毎日1個以上」食べた人たちでは上の血圧が2.4mmHg、下の血圧も2.0mmHg低くなっていました[47]。
さらに、観察を始めた時点は高血圧でなかった約1000人で解析すると、トマトを「3日で約1個」食べた人たちに比べ、「毎日1個以上」食べた人たちは3年間で高血圧になるリスクが相対的に44%も減っていました[47]。
生活の中でトマトを上手に利用したいですね。
[45] 農林水産省「トマトまるごとまるわかり!」
[46] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」