「ズッキーニにはどんな栄養素が含まれているんだろう?」
トマトやきゅうりと共に夏野菜として知られるズッキーニですが、他の野菜と比べるとあまりなじみがない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ズッキーニにはたんぱく質をはじめ、食物繊維やビタミンなどの栄養素が豊富に含まれています。
この記事では、ズッキーニからどのような栄養素が摂取できるのかを解説します。
栄養素のはたらきだけでなく、1日に摂取すべき量もご紹介しているので参考にしてくださいね。
1.ズッキーニの基礎知識
「ズッキーニはどんな野菜なのかな?」
「ズッキーニってそもそもどんな味だっけ……」
スーパーで見かけても、どんな野菜か分からず手が伸びないという方もいらっしゃるでしょう。
ズッキーニは北アメリカ南部からメキシコ北部が原産の野菜です。
きゅうりに似た形をしていますが、ウリ科カボチャ属に属す野菜で、かぼちゃの仲間です。
食用として売られているものは熟す前の果実で、花が咲いてから数日のものを食べます。
スーパーなどでは一年中見かけますが、本来の旬は6~8月です[1]。
味はほのかに甘く、皮ごと食べても癖が少ないため食べやすいといわれています。
100g当たり16kcalとカロリーが低くさまざまな栄養素を豊富に含むため、ダイエット中の方にもうれしい野菜だといえるでしょう[2]。
次の章では、ズッキーニに含まれる栄養素について解説していますので参考にしてくださいね。
[1] 全国農業協同組合連合会 茨城県本部 園芸部「ズッキーニ」
[2] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
2.ズッキーニに豊富に含まれる栄養素
「ズッキーニにはどんな栄養が含まれているのかな?」
ズッキーニを食べるに当たり、どのような栄養素がどれくらい含まれているか気になりますよね。
ズッキーニにはたんぱく質や食物繊維に加え、ビタミンCをはじめとする各種ビタミンやカリウムなどのミネラルが豊富に含まれています。
【ズッキーニに含まれる主な栄養素とその含有量(可食部100g当たり)】
栄養素 | 含有量 |
---|---|
たんぱく質 | 1.3g |
食物繊維 | 1.3g |
ビタミンA | 27μg |
ビタミンE | 0.4mg |
ビタミンK | 35μg |
ビタミンB1 | 0.05mg |
ビタミンB2 | 0.05mg |
ビタミンB6 | 0.09mg |
葉酸 | 36μg |
パントテン酸 | 0.22mg |
ビオチン | 2.7μg |
ビタミンC | 20mg |
カリウム | 320mg |
カルシウム | 24mg |
マグネシウム | 25mg |
鉄 | 0.5mg |
亜鉛 | 0.4mg |
銅 | 0.07mg |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
ではそれぞれの栄養素について詳しくみてみましょう。
それぞれの栄養素について成人の食事摂取基準もご紹介しているのでご確認くださいね。
18歳未満の方、妊娠・授乳中の方はそれぞれ以下のページをご覧ください。
[3] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
2-1.たんぱく質
ズッキーニにはたんぱく質が豊富に含まれています。
ズッキーニ100g当たりのたんぱく質含有量は1.3gです[4]。
たんぱく質は炭水化物や脂質と並ぶエネルギー産生栄養素の一つです。
またたんぱく質は筋肉や臓器、肌や髪などの細胞を構成する材料となります。
他にも体のさまざまな機能を円滑にはたらかせるためのホルモンや酵素の材料になります。
たんぱく質はズッキーニの他に肉や魚、卵、大豆類などの食品に多く含まれています。
たんぱく質の推奨量は、男性の18~64歳で65g、65歳以上で60gです[6]。
女性の場合、18歳以上で50gです[6]。
ズッキーニから十分なたんぱく質を摂取することはできないので、他の食品からもたんぱく質をしっかり摂るよう心掛けましょう。
たんぱく質についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
たんぱく質とは?体内でのはたらきや食事摂取基準、豊富な食品を紹介
[4] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[5] 厚生労働省 e-ヘルスネット「アミノ酸」
[6] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-2.食物繊維
ズッキーニには食物繊維も豊富に含まれています。
ズッキーニ100g当たりの食物繊維含有量は1.3gです[7]。
食物繊維は食べ物に含まれるヒトの消化酵素では分解できない物質の総称です。
便の容量を増やして腸を刺激し、便通を良くすることが広く知られています。
加えて食物繊維には脂質や糖質、ナトリウムなどを吸着して体外に排出するはたらきがあります。
このためこれらが要因となる糖尿病、高血圧などの生活習慣病の予防や改善が期待できます。
男性の食物繊維の目標量は18~64歳で21g以上、65歳以上で20g以上です[8]。
また女性の目標量は18~64歳で18g以上、65歳以上で17g以上です[8]。
現代の日本人は食物繊維が不足しがちな食生活を送っているといわれています。
ズッキーニだけではなく、他の食品からもしっかり摂取しておきましょう。
食物繊維については以下の記事で詳しく解説しています。
食物繊維は整腸作用の他にも効果アリ?含有量の多いおすすめ食品11選
[7] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[8] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-3.ビタミンA
ビタミンAもズッキーニに豊富に含まれる栄養素です。
ズッキーニ100g当たりのビタミンA含有量は27μgです[9]。
ビタミンAは油に溶けやすい脂溶性ビタミンの一種です。
体内のビタミンAはレチノール、レチナール、レチナイン酸という3種類の形で作用しています。
また食品にはこれらの他に体内でビタミンAとしてはたらく「プロビタミンA」と総称される物質が含まれている場合があります。
ビタミンA含有量はレチノール含有量にプロビタミンAから変換されるビタミンAの量を加えた「レチノール活性当量(μgRAE)」で表されます。
ビタミンAは皮膚や粘膜の健康を保つ、目の機能を正常に維持するというはたらきをします。
また、ビタミンAは「抗酸化作用」を持つ抗酸化ビタミンの一種でもあります。
ビタミンAが不足すると夜盲症、皮膚の乾燥、成長障害などを引き起こす恐れがあります。
ビタミンAの推奨量は男性では18~29歳で850μgRAE、30~64歳で900μgRAE、65~74歳で850μgRAE、75歳以上で800μgRAEです[10]。
女性の場合、18~29歳で650μgRAE、30~74歳で700μgRAE、75歳以上で650μgRAEです[10]。
ズッキーニなどからビタミンAを摂取するよう心掛けましょう。
ビタミンAについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンAにはどんな効果がある?目標摂取量とおすすめの食品を紹介
[9] 文部科学省「日本本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[10] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-4.ビタミンE
ズッキーニにはビタミンEも多く含まれています。
ズッキーニ100g当たりのビタミンE含有量は0.4mgです[11]。
ビタミンEは脂溶性で、抗酸化作用を持つ抗酸化ビタミンの一種です。
ビタミンEは自らが酸化されることで体内の脂質の酸化を防ぎ、細胞の健康維持を助ける役割を担っています。
ビタミンE不足は神経や筋肉に障害を起こすといわれていますが、ヒトにおいてこのような不足による影響が問題になることはありません。
ビタミンEの目安量は、男性の18~49歳で6.0mg、50~74歳で7.0mg、75歳以上で6.5mgです[12]。
女性の場合、18~29歳で5.0mg、30~49歳で5.5mg、50~64歳で6.0mg、65歳以上で6.5mgです[12]。
ズッキーニなどからしっかりとビタミンEを摂取しておきましょう。
ビタミンEについては以下の記事で詳しく解説しています。
ビタミンEが多く含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説
[11] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[12] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-5.ビタミンK
ズッキーニにはビタミンKが豊富に含まれています。
ズッキーニ100g当たりのビタミンK含有量は35μgです[13]。
ビタミンKは脂溶性ビタミンの一種で、体内では主に出血を止める血液凝固のはたらきに関わっています。
またビタミンKは骨の形成にも必要だとされています。
このため不足した場合は血が固まるのが遅れ、鼻血や月経過多などの症状が現れる他、慢性的な不足は骨折や骨粗しょう症の原因にもなるといわれています。
ビタミンKの目安量は男女共に18歳以上で150μgです[14]。
ズッキーニなどの食品からビタミンKを十分に摂取しておきましょう。
ビタミンKについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンKにはどんな効果がある?摂取目安量とおすすめの食材を紹介
[13] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[14] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-6.ビタミンB1
ズッキーニにはビタミンB1も豊富に含まれています。
ズッキーニ100g当たりのビタミンB1含有量は0.05mgです[15]。
ビタミンB1は水溶性ビタミンでビタミンB群の一種です。
ビタミンB1は体内では糖質や一部の必須アミノ酸の代謝に必要な補酵素としてはたらきます。
ビタミンB1は特に糖質からのエネルギーを生み出すはたらきに欠かせない栄養素であるため、糖質の多い食事を摂取すると必要量が多くなります。
また不足すると糖質をエネルギー源とする脳や神経に影響が及ぶ恐れがあります。
ビタミンB1の推奨量は男性では18~49歳で1.4mg、50~74歳で1.3mg、75歳以上で1.2mgです[16]。
女性では18~74歳で1.1mg、75歳以上で0.9mgです[16]。
脳などにしっかりとエネルギー供給できるよう、ズッキーニなどからビタミンB1を十分摂取しておきましょう。
ビタミンB1については以下の記事でさらに詳しく解説しています。
ビタミンB1が豊富に含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説
[15] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[16] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-7.ビタミンB2
ビタミンB2もズッキーニに多く含まれる栄養素です。
ズッキーニ100g当たりのビタミンB2含有量は0.05mgです[17]。
ビタミンB2はビタミンB群の一種で、糖質や脂質、たんぱく質からエネルギーをつくり出す代謝に関する補酵素としてはたらきます。
またビタミンB2には成長の促進、皮膚や粘膜の保護などのはたらきもあります。
ビタミンB2の推奨量は男性では18~49歳で1.6mg、50~74歳で1.5mg、75歳以上で1.3mgです[18]。
女性では18~74歳で1.2mg、75歳以上で1.0mgです[18]。
ズッキーニなどからビタミンB2を十分に摂取しておきましょう。
ビタミンB2については以下の記事で詳しく解説しています。
ビタミンB2が手軽に摂れる食べ物は何?効果や食事摂取基準も紹介
[17] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[18] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-8.ビタミンB6
ズッキーニにはビタミンB6も多く含まれています。
ズッキーニ100g当たりのビタミンB6含有量は0.09mgです[19]。
ビタミンB6はビタミンB群の一種で、たんぱく質や脂質、炭水化物の代謝などに補酵素として関わっています。
また100種類以上の代謝に関わるとされています[20]。
特にたんぱく質からエネルギーをつくる際には欠かせない栄養素です。
筋トレなどでたんぱく質を多く摂取している方はビタミンB6の必要量が増加するため注意してくださいね。
ビタミンB6の推奨量は男性で1.4mg、女性では1.1mgです[21]。
ズッキーニなどからビタミンB6を十分摂取しておきましょう。
ビタミンB6については以下の記事で詳しく解説しています。
[19] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[20] 厚生労働省 eJIM「ビタミンB6」
[21] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)]」
2-9.葉酸
ズッキーニには葉酸が豊富に含まれています。
ズッキーニ100g当たりの葉酸含有量は36μgです[22]。
葉酸はビタミンB群の一種です。
DNAやRNAの合成、アミノ酸の代謝、たんぱく質の合成などに関わり、細胞の増殖に深く関係しています。
また胎児の正常な発育に重要な栄養素で、妊娠を計画している女性や妊婦は十分に摂取することが推奨されています。
妊婦が十分に葉酸を摂取しなかった場合、胎児の神経管閉鎖障害という先天性の異常を引き起こす恐れがあります。
厚生労働省は妊娠の1カ月以上前から妊娠3カ月までの間に1日400μgの葉酸を栄養補助食品から摂ることで、胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクを低減できる可能性があるとしています[23]。
葉酸の推奨量は男女共に18歳以上で240μgです[24]。
葉酸についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
葉酸が多く含まれている食べ物とは?効果や摂取基準もあわせて解説
[22] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[23] 厚生労働省 e-ヘルスネット「葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果」
[24] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-10.パントテン酸
パントテン酸もズッキーニに多く含まれる栄養素です。
ズッキーニ100g当たりのパントテン酸含有量は0.22mgです[25]。
パントテン酸はビタミンB群の一種で、体内ではさまざまな補酵素の構成成分として重要なはたらきをしています。
特に糖や脂肪酸の代謝に関わっており、不足するとエネルギー代謝に異常や障害を起こします。
ただしパントテン酸の名前はギリシャ語の「あらゆるところにある酸」という意味の言葉に由来しており、その名のとおりさまざまな食品に含まれているため不足による不調が生じることはほとんどありません。
パントテン酸の目安量は、男性の場合18~49歳で5mg、50歳以上で6mgです[26]。
18歳以上の女性の目安量は5mgです[26]。
パントテン酸は不足の心配の少ない栄養素ですが、ズッキーニなどさまざまな食品から摂取しておきましょう。
[25] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[26] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-11.ビオチン
ズッキーニにはビオチンが豊富に含まれています。
ズッキーニ100g当たりのビオチン含有量は2.7μgです[27]。
ビオチンはビタミンB群の一種で、体内ではエネルギー代謝や脂肪酸の合成などに関わる酵素の補酵素としてはたらいています。
また抗炎症物質を生成することでアレルギー症状などを和らげます。
さらに皮膚や粘膜などの健康を維持するはたらきもあります。
18歳以上のビオチンの目安量は男女共に50μgです[28]。
ズッキーニなどの食品からビオチンを十分摂取しておきましょう。
ビオチンについては以下の記事で詳しく解説しています。
ビオチンとは?はたらきや摂取の目安量、摂取源となる食品を解説
[27] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[28] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-12.ビタミンC
ズッキーニにはビタミンCも豊富に含まれています。
ズッキーニ100g当たりのビタミンC含有量は20mgです[29]。
ビタミンCは水溶性ビタミンの一種で、皮膚や腱(けん)、軟骨などを構成するたんぱく質のコラーゲンを生成するのに欠かせない栄養素です。
また皮膚のメラニン色素の生成を抑制し、日焼けを防ぐはたらきもあります。
ビタミンCは肌の健康を保ち日焼けを防ぐはたらきをすることから、美肌に効果があるといわれているのですね。
ビタミンCには美肌効果にとどまらず多くの重要なはたらきがありますが、その分不足には注意が必要です。
ビタミンCは偏食などによる摂取不足に加え、喫煙などによって必要量が増大して不足に陥る場合もあります。
ビタミンCが不足すると、皮膚の乾燥や倦怠(けんたい)感、疲労感、気力低下といった症状が現れます。
また重度の欠乏に至るとコラーゲンがつくれずに血管がもろくなり、「壊血病」を発症する危険があります。
ビタミンCの推奨量は18歳以上の男女共に100mgです[30]。
ビタミンCが不足しないよう、ズッキーニなどからしっかり摂取しておきましょう。
ビタミンCについては以下の記事で詳しく解説しています。
ビタミンCはどんな食べ物に含まれるの?健康維持に必要な摂取量を解説
[29] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[30] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-13.カリウム
ズッキーニにはカリウムが多く含まれています。
ズッキーニ100g当たりのカリウム含有量は320mgです[31]。
カリウムは必須ミネラルの一種です。
カリウムの主なはたらきは細胞内液の浸透圧の調節です。
また神経の興奮や筋肉の収縮に関わったり、体液のpHバランスを維持したりするはたらきもしています。
加えてカリウムにはナトリウムの排せつを促す作用があります。
カリウムの目標量は、18歳以上の男性で3,000mg以上、女性で2,600mg以上です[32]。
日本人は食塩を通じナトリウムを多く摂取しているといわれており、ナトリウムの過剰摂取による高血圧が問題になっています。
高血圧予防の観点からもカリウムを十分摂取することが推奨されているので、ズッキーニなどの食品からカリウムをしっかり摂取しておきましょう。
カリウムについてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
カリウムとは?はたらきや摂取すべき量、摂取源となる食品を紹介
[31] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[32] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-14.カルシウム
カルシウムもズッキーニに多く含まれる栄養素です。
ズッキーニ100g当たりのカルシウム含有量は24mgです[33]。
カルシウムは必須ミネラルの一種で、ヒトの体内ではほとんどが骨や歯を構成しています。
また残りは筋肉や神経、血液中にあり、筋肉の収縮や血液の凝固などに関わっています。
心臓の筋肉を正常に動かすためにもカルシウムは必要です。
カルシウムが不足すると骨がもろくなり骨折しやすくなる骨粗しょう症や高血圧などを引き起こす恐れがあります。
カルシウムの推奨量は男性の場合18~29歳で800mg、30~74歳で750mg、75歳以上で700mgです[34]。
女性では18~74歳で650mg、75歳以上で600mgです[34]。
日本人はカルシウムが不足しがちな食生活を送っているといわれているので、ズッキーニなどからしっかりと摂取するよう心掛けましょう。
カルシウムについては以下の記事で詳しく解説しています。
カルシウムとは?はたらきや摂取すべき量、摂取源となる食品を解説
[33] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[34] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-15.マグネシウム
ズッキーニにはマグネシウムも多く含まれています。
ズッキーニ100g当たりのマグネシウム含有量は25mgです[35]。
マグネシウムは必須ミネラルの一種で、体内ではエネルギー産生やたんぱく質の合成、筋肉や神経の機能など酵素が関わるさまざまな反応をサポートしています。
またマグネシウムはカルシウムやリンと共に骨を形成しています。
マグネシウムの推奨量は男性の場合18~29歳で340mg、30~64歳で370mg、65~74歳で350mg、75歳以上で320mgです[36]。
女性の場合18~29歳で270mg、30~64歳で290mg、65~74歳で280mg、75歳以上で260mgです[36]。
マグネシウムについては以下の記事で詳しく解説しています。
マグネシウムとは?はたらきや食事摂取基準、摂取源となる食品を解説
[35] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[36] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-16.鉄
ズッキーニには鉄が豊富に含まれています。
ズッキーニ100g当たりの鉄含有量は0.5mgです[37]。
鉄は血液中の赤血球の構成要素「ヘモグロビン」として酸素の運搬や細胞の呼吸に関わる必須ミネラルです。
また筋肉中のたんぱく質「ミオグロビン」の成分として、筋肉での代謝や組織の維持にも深く関わっています。
さらに鉄は酵素の材料となる他、体の成長や神経発達、細胞機能、ホルモン合成などにも欠かせない栄養素です。
ヘモグロビンは鉄(ヘム)とたんぱく質(グロビン)が結合したものです。血液が赤い理由はヘムが赤色素を持っているためです。
鉄が不足すると赤血球が小さくなり数も減少するため、体全体に酸素を十分に行き渡らせることができなくなります。
代表的な欠乏症は頭痛や疲労感、動機(どうき)、息切れなどが見られる鉄欠乏性貧血です。
鉄の推奨量は男性の場合、18~74歳で7.5mg、75歳以上で7.0mgです[38]。
女性では、月経の有無で推奨量が異なります。
月経がある場合、推奨量は18~49歳で10.5mg、50~64歳で11.0mgです[38]。
また月経がない場合、18~64歳で6.5mg、65歳以上で6.0mgです[38]。
特に月経のある方や妊産婦などにおいて鉄の不足が問題とされているため、ズッキーニなどの食品から十分に摂取するよう心掛けましょう。
鉄についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
マグネシウムとは?はたらきや食事摂取基準、摂取源となる食品を解説
[37] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[38] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-17.亜鉛
亜鉛もズッキーニに豊富に含まれる栄養素です。
ズッキーニ100g当たりの亜鉛含有量は0.4mgです[39]。
亜鉛は必須ミネラルの一種で、多くの酵素に含まれています。
またたんぱく質の合成や遺伝子の発現に関わり、細胞の成長と分化において重要なはたらきをしています。
また亜鉛には免疫機能や味覚、嗅覚を正常に保ったり、皮膚の健康に関わったりするはたらきもあります。
不足すると味覚障害や皮膚炎、食欲不振などが生じます。
亜鉛の推奨量は男性の場合18~74歳で11mg、75歳以上では10mgです[40]。
女性の場合18歳以上で8mgです[40]。
近年、日本では若い成人女性において亜鉛不足と味覚機能の低下の関係が指摘されているので、味覚を正常に保つためにもズッキーニなどからしっかり亜鉛を摂取しておきましょう。
亜鉛については以下の記事で詳しく解説しています。
亜鉛のはたらきと1日の適切な摂取量とは?亜鉛を多く含む食品も紹介
[39] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[40] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-18.銅
ズッキーニには銅も豊富に含まれています。
ズッキーニ100g当たりの銅含有量は0.07mgです[41]。
銅は必須ミネラルの一種で、体内では主に骨や筋肉、血液などに分布しています。
銅はたんぱく質と結合し酵素として作用する他、鉄と共に血をつくるはたらきにも関わっています。
銅の推奨量は、男性の場合18~74歳で0.9mg、75歳以上で0.8mgです[42]。
女性の場合18歳以上で0.7mgです[42]。
銅は通常の食生活を送っていれば不足の心配はない栄養素ですが、ズッキーニなどからしっかり摂取しておきましょう。
[41] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[42] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
3.ズッキーニの選び方・保存方法・調理方法
「ズッキーニをおいしく食べるにはどうすれば良いのかな?」
ズッキーニは生でも加熱しても食べることができ、さまざまな料理に使える万能な野菜です。
せっかくなら豊富な栄養を逃さず、さらにおいしく食べたいものですよね。
この章ではズッキーニをおいしく食べるための選び方、保存や調理の方法についてご紹介します。
3-1.ズッキーニの選び方
まずはズッキーニの選び方についてご紹介します。
おいしいズッキーニは太さが均一で、皮は滑らかでつやとハリがあります。
また表面に傷がないものを選ぶと良いでしょう。
新鮮なものはへたの切り口がみずみずしいことが特徴です。
3-2.ズッキーニの保存方法
ズッキーニは温度が低過ぎる場所では傷みやすいといわれています。
早めに食べ切ることを意識し、夏以外の季節はキッチンペーパーなどに包んで冷暗所保存するのがおすすめです。
冷蔵庫に入れる場合は切らずに丸ごとキッチンペーパーなどで包み、さらにポリ袋に入れた上で野菜室に入れましょう。
水分が抜けると味が落ちてしまうので乾燥を防ぐことがポイントです。
長期保存には適さないので注意してくださいね。
長期にわたって保存したい場合は冷凍するのも一つの手です。
食べやすいサイズにカットしたら保存袋に入れ、空気を抜いて冷凍します。
ズッキーニは水分が多く、断面が触れ合った状態で冷凍するとくっついてしまいやすいので保存袋の中で重ならないようにしておきましょう。
3-3.ズッキーニの調理方法
ここではズッキーニに豊富に含まれる栄養素を効率的に摂取する方法についてご紹介します。
ズッキーニは炒めたり揚げたりと油を使って調理することで、脂溶性ビタミンであるビタミンAやビタミンE、ビタミンKの吸収率を高めることができます。
火を通すと中がしっとりとやわらかくなり、塩こしょうといったシンプルな味付けでも甘みやうまみをしっかりと感じられますよ。
またズッキーニは薄切りなどにして生で食べてもおいしい野菜です。
生で食べると熱に弱いビタミンCを効率的に摂取することができます。
イタリアンやフレンチなど洋風の味付けのイメージがありますが、和風の味付けも合うので試してみると良いでしょう。
さまざまな調理法でおいしく食べることができるズッキーニをぜひ日頃の献立に取り入れてみてくださいね。
4.ズッキーニの栄養についてのまとめ
ズッキーニはウリ科カボチャ属に属する野菜です。
ズッキーニは意外なことにたんぱく質を豊富に含んでいるといえます。
ただしズッキーニからでは必要なたんぱく質を十分に摂取できないので他のたんぱく源となる食品と一緒に調理しましょう。
またズッキーニには食物繊維も豊富です。
さらにビタミンではビタミンA、ビタミンE、ビタミンKという3種類の脂溶性ビタミンと、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、葉酸、パントテン酸、ビオチン、ビタミンCという8種類の水溶性ビタミンを豊富に含んでいます。
ズッキーニはさまざまなビタミンの摂取源となるのですね。
またカリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅といったミネラルも豊富に含まれていますよ。
おいしいズッキーニを選ぶためには、太さが均一であるか、皮につやとハリがあるかをチェックしましょう。
また保存のポイントとしては温度が低過ぎないところに置き、袋などに入れて水分を飛ばさないようにすることが重要です。
油と調理することで脂溶性ビタミンを、生で食べることでビタミンCを効率的に摂取できます。
この記事を参考に、ズッキーニに含まれる豊富な栄養素をより効果的に摂取できるよう工夫してみてくださいね。