貧血の原因は?予防のためのポイントや症状が出た際の対処法も解説

貧血の原因は?予防のためのポイントや症状が出た際の対処法も解説

2024年05月16日

2024年07月03日

「どうして貧血になるのかな?」

と気になっている方も多いのではないでしょうか。

最も一般的な貧血の原因は鉄不足です。

鉄は食事内容が偏っていたり、無理なダイエットをしたりすると不足してしまいます。

また女性は生理による定期的な出血がある他、妊娠や授乳に伴って体内で鉄の需要が増加することなどから、貧血になりやすいため注意が必要です。

この記事では貧血の原因を詳しく解説した後、予防のためのポイントや症状が出た際の対処法をご紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね。

1.貧血とは

血液検査結果票

「どういう状態を貧血というのかな?」

貧血とは血液中の赤血球の数が少ない状態のことです。

赤血球には「ヘモグロビン」というたんぱく質が含まれており、肺で受け取った酸素を全身に運ぶはたらきをします。

ヘモグロビンとは
赤血球に含まれる鉄(ヘム)とたんぱく質(グロビン)が結びついたものです。ヘムが赤い色素を持っているため、血液は赤い色をしています。

そのため何らかの原因で赤血球が減るとヘモグロビンも減少し、活動に必要な十分な酸素を供給することができなくなります。

体が酸素不足になると、酸素を全身へ届けるために心臓や肺が無理をして、動悸(どうき)や息切れが起こります

その他にも、貧血になると目まいや頭痛、疲労感などの症状が現れることがあります。

貧血で赤血球が減ると、酸素の運搬が不十分になってさまざまな症状が起こるのですね。

【関連情報】 「貧血とは?症状や種類別の原因、予防のためのポイントを詳しく解説」についての記事はこちら

2.貧血の原因

「どうして貧血が起こるんだろう?」

と気になっている方もいらっしゃるかもしれませんね。

貧血は赤血球をつくるのに必要な栄養素の不足や、慢性的な出血などが原因で起こります。

この章では貧血の原因を六つご紹介します。

2-1.鉄、ビタミンB12、葉酸の摂取不足

赤血球をつくるには鉄やビタミンB12、葉酸などの栄養素が必要です。

そのためこれらの栄養素が不足すると貧血になってしまいます。

鉄が不足すると起こる貧血を「鉄欠乏性貧血」といいます

鉄の摂取が不足したり、妊娠中や授乳中に必要量が増したりすると体内で鉄の不足が起こることがあります。

鉄が足りないとヘモグロビンをつくることができなくなり、鉄欠乏性貧血になってしまうのです。

ビタミンB12か葉酸が不足することで起こる貧血を「巨赤芽球性貧血」といいます

ビタミンB12と葉酸は赤血球の形を維持するために必要です。

ビタミンB12は手術での胃の切除や小腸での吸収不全、厳格な菜食主義などによって不足することがあります。

また葉酸はアルコールの飲み過ぎなどが原因で不足する場合があります。

そのため鉄、ビタミンB12、葉酸のうち、どれが不足しても新たに赤血球をつくることができなくなってしまいます

また、ごくわずかではありますが赤血球をつくるには銅も必要です。

これらの栄養素が不足する原因としては極端なダイエットや偏食などが挙げられます

貧血にならないようにするにはバランスの良い食事を心掛けることが重要なのですね。  

2-2.妊娠や授乳などによる鉄の需要の増加

妊娠中や授乳中の方、体が急激に成長する乳幼児は体内で鉄の需要が増加するため、貧血になりやすいことが分かっています。

妊娠中は母体の健康維持や、胎児の発育促進のために栄養素の摂取が必要不可欠です。

また、授乳中は母乳の量の維持や母乳に含まれる栄養素を十分に保つ必要があります。

そのため鉄以外にもビタミンやミネラルなどといった各種栄養素をきちんと摂取しなくてはいけません。

妊婦が貧血気味だと低体重児出産や死産のリスクが高まるという報告もあるので、鉄をはじめとした栄養素の不足には十分気をつけましょう。

2-3.生理や子宮筋腫などによる経血量の増加

女性の場合は定期的に生理で血を失うため、貧血になりやすいとされています。

さらに「子宮筋腫」などの婦人科系疾患がある場合、経血量が増えたり、生理期間が長くなったりすることがあります

子宮筋腫とは
子宮にできる腫瘍です。初期症状はほとんどありませんが、大きくなると生理痛がひどくなり、経血量が増えます。頻尿、排尿時の痛み、腰痛などの症状が出ることもあります。

また、子宮筋腫があると生理ではないときに起こる不正出血が見られる場合もあります。

定期的に生理があることに加えて、子宮筋腫などの婦人科系疾患がある場合は経血量が増えるため、女性は鉄欠乏性貧血を起こしやすいのですね。

2-4.消化器系の疾患などによる慢性的な出血

胃や腸などの消化器系の疾患のなかには、慢性的な出血を伴い、貧血につながるものがあります

例えば胃や小腸にできた「潰瘍」、大腸の「ポリープ」などは出血を伴うことがあります。

メモ
潰瘍とは粘膜や皮膚が炎症を起こした際にできた傷が深くえぐれたようになった状態を指します。ポリープは膨らんだイボのような粘膜の総称です。大腸にできたポリープはがんの原因になる場合があります。

このような少量の出血は本人が自覚できないことも多いため注意が必要です。

少量の出血でも長く続くと、多くの血液が失われる恐れがあります。

2-5.血液をつくる機能を阻害する病気

血液をつくる機能を阻害する病気にかかると貧血になることがあります

このような病気としては「再生不良性貧血」「骨髄異形成症候群」「白血病」「多発性骨髄腫」などが挙げられます。

これらの病気はいずれも骨髄の異常で起こる病気です。

その結果正常な血液をつくることができなくなり、貧血の症状が現れます。

これらの病気にかかると赤血球だけでなく、「白血球」や「血小板」の産生が阻害されることもあります。

メモ
白血球と血小板は血液に含まれる成分です。白血球は主に体内に侵入したウイルスなどから体を守るためにはたらいており、不足すると免疫機能が低下します。血小板は血を止めるはたらきを持つため、減少すると出血が止まりにくくなります。

2-6.赤血球を過剰に破壊する病気

赤血球を過剰に破壊する病気にかかった場合も貧血になることがあります

代表的なものは赤血球をまるで異物のように破壊してしまう「自己免疫性溶血性貧血」です。

自己免疫性溶血性貧血は赤血球が破壊されることで起こります。

メモ
赤血球が破壊されることを溶血といい、溶血によって起こる貧血を「溶血性貧血」といいます。通常、赤血球は約120日間で寿命を迎え、骨髄、脾臓(ひぞう)、肝臓に取り込まれて破壊されますが、何らかの理由で赤血球の破壊ペースが産生のペースを上回ると貧血になります[1]。

自身の細胞に対する抗体は「自己抗体」と呼ばれます。

赤血球に対する自己抗体ができることにより、赤血球が血管内や脾臓で破壊されて貧血となるのです。

通常の貧血の症状に加えて黄疸(おうだん)が出たり茶色い尿が出たりする他「胆石」ができることもあります。

胆石とは
肝臓の下に位置する臓器である胆嚢(たんのう)や、そこにつながる管である胆管(たんかん)にできる結石のことです。胆石があっても症状が何も出ないこともありますが、人によっては食後にみぞおちから腹部の右上にかけて痛みが生じます。

貧血の進行が早ければ、症状はより強くなる一方、貧血がゆっくりと進行した場合には、症状が出にくくなります。

[1] MSDマニュアル 家庭版「貧血の概要

3.貧血を予防するためのポイント

「どうすれば貧血を予防できるのかな?」

貧血の原因に対処することが貧血を予防することにつながります。

この章では貧血を予防するためのポイントを四つご紹介します。

ポイント1 鉄を十分に摂る

レバー

貧血のなかでも最も一般的な鉄欠乏性貧血を予防するには鉄を摂取することが重要です。

鉄は「鉄分」と呼ばれることもある栄養素で、肉や魚などの動物性食品、野菜や穀物などの植物性食品の両方から摂取することができます。

鉄は動物性食品では牛・豚・鶏のレバーやしじみなどの貝類に多く含まれます。

【鉄を多く含む動物性食品と可食部100g当たりの含有量】

食品名 加工状態など 含有量
煮干し(かたくちいわし) - 18.0mg
豚レバー 13.0mg
鶏レバー 9.0mg
しじみ 8.3mg
ビーフジャーキー - 6.4mg
赤貝 5.0mg
ほっき貝 4.4mg
牛レバー 4.0mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

植物性食品ではアーモンドや納豆、小松菜などに多く含まれています。

【鉄を多く含む植物性食品と可食部100g当たりの含有量】

食品名 加工状態など 含有量
アーモンド - 3.6mg
納豆 - 3.3mg
小松菜 2.8mg
枝豆 2.7mg
サラダ菜 2.4mg
水菜 2.1mg
ほうれん草 2.0mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

鉄には主に動物性食品に含まれるヘム鉄と、主に植物性食品に含まれる非ヘム鉄があります

両者のうち、ヘム鉄の方が吸収率が高いため、効率良く鉄を摂取したいなら動物性食品がおすすめです。

また動物性たんぱく質やビタミンCには非ヘム鉄の吸収を促進するはたらきがあります。

そのためこれらの食品を一緒に摂取することで、非ヘム鉄からも効率良く鉄を摂取することができます。

たんぱく質、ビタミンCについて詳しいことを知りたい方はそれぞれ以下の記事をご覧ください。

たんぱく質とは?体内でのはたらきや食事摂取基準、豊富な食品を紹介

ビタミンCはどんな食べ物に含まれるの?健康維持に必要な摂取量を解説

逆にフィチン酸やポリフェノールを含む食品、繊維質の食品などは非ヘム鉄の吸収を阻害します

フィチン酸は米や小麦などに含まれる成分で、ポリフェノールはほとんどの植物に含まれている苦味や色みの成分です。

ポリフェノールについて詳しいことを知りたい方は以下の記事をご覧ください。

ポリフェノールとは?体への効果と摂取できる食品・飲み物を解説!

ポイント2 ビタミンB12を十分に摂る

ざるにはいったしじみ

巨赤芽球性貧血を予防するにはビタミンB12を摂取することが重要です。

通常の食事をしていてビタミンB12が不足することはほとんどありません。

しかし、ビタミンB12が含まれる食品を知っておけば心強いですよね。

ビタミンB12はしじみやあさりなどの貝類、レバーなどの動物性食品に多く含まれます。

【ビタミンB12を多く含む動物性食品と可食部100g当たりの含有量】

食品名 加工状態など 含有量
しじみ 68μg
あさり 水煮 64μg
赤貝 59μg
牛レバー 53μg
いくら 47μg
鶏レバー 44μg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

ビタミンB12は植物性食品にはほとんど含まれていないため、厳格な菜食主義者の方は食事からのビタミンB12摂取量が不足してしまうことがあります

ビタミンB12についてさらに詳しいことを知りたい方は以下の記事をご覧ください。

ビタミンB12を含む食べ物は?過不足の影響と食事摂取基準も解説

ポイント3 葉酸を十分に摂る

青汁をグラスに注いでいるところ

巨赤芽球性貧血を予防するには葉酸を十分に摂ることも重要です。

葉酸は鶏・牛・豚のレバー、焼きのりや青汁などに多く含まれます。

【葉酸を多く含む食品と可食部100g当たりの含有量】

食品名 加工状態など 含有量
焼きのり - 1,900μg
鶏レバー 1,300μg
牛レバー 1,000μg
青汁(ケール) 粉末 820μg
豚レバー 810μg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

大量の飲酒は葉酸の吸収と体内での処理を妨げるため、日常的にお酒をたくさん飲む方は葉酸が不足してしまうことがあります

葉酸についてさらに詳しいことを知りたい方は以下の記事をご覧ください。

葉酸が多く含まれている食べ物とは?効果や摂取基準もあわせて解説

ポイント4 定期的に健康診断を受ける

説明する男性医師

貧血の診断は血液検査でヘモグロビン濃度を確認することで行われます

定期的に健康診断を受け、貧血を早期発見しましょう

また胃や小腸にできた潰瘍、大腸のポリープ、子宮筋腫などが慢性的な出血を引き起こし、貧血の原因になることがあります。

少量の出血は自覚がないことも多いため、そういった観点からも定期的に健康診断を受けることが勧められます。

メモ
企業には年に一度、従業員に健康診断を受診させる義務があります。また多くの自治体が健康診断を実施しているので、会社員以外の方はこちらを利用すると良いでしょう。

なお、より精密な検査を受けたい場合は「人間ドック」がおすすめです。

人間ドックとは
健康診断とは違い、法的義務のない医学的な検査のことです。基本的に費用は自己負担である分、健康診断と比べて選べる検査項目が多いのが特徴です。

人間ドックを受けることで健康診断だけでは分からない病気を発見できることがあります。

このようなメディカルチェックを定期的に受けていれば、貧血の原因になりかねない病気を発見できる可能性が上がりますね。

4.貧血の症状が出た際の対処法

貧血の症状は突然現れます。

そのため、いざというときの対処法を知っておくことが重要です。

ふらつきや目まい、意識が遠のくような感覚があるときはその場ですぐにしゃがみ、症状が治まるのを待ちましょう

急に立ち上がると症状が悪化したり、転んだりする危険があります。

路上で貧血になったときは、立ち上がった後もすぐにつかまることができる手すりの側や、歩道の奥側を歩くと良いでしょう。

また手足をストレッチしたり、マッサージしたりすると貧血による倦怠(けんたい)感を軽くすることができるといわれています。

5.貧血の原因についてのまとめ

貧血とは体内の赤血球が減った状態のことで、貧血になると動悸や息切れ、目まいや頭痛などの症状が現れます。

貧血の代表的な原因には鉄やビタミンB12、葉酸などの摂取不足や、消化器官の病気による慢性的な出血などがあります

また生理のある方は毎月一定量の血液を失っており、妊娠中・授乳中の方は体内で鉄の需要が増すため、女性は貧血になりやすいとされています。

さらに血液をつくる機能を阻害する病気や赤血球を過剰に破壊する病気なども貧血の原因になります。

鉄、ビタミンB12、葉酸を十分に摂取すること、定期的に健康診断を受け、原因となる病気を早期発見することが貧血を予防する上では重要です。

貧血の症状が出た際には無理をせず、その場で休むと良いでしょう。

貧血の原因を知るため、そして予防するためにこの記事を役立ててくださいね。

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