ファスティングにはどのような効果があるのか、正しいやり方を知りたい方は多いのではないでしょうか。
スケジュールや準備食・回復食のメニューも気になりますよね。この記事では、ファスティングの効果や基本的なやり方、スケジュール、注意点などを解説します。
1.ファスティングとは?
ファスティングとは、一定期間食事を断つことです。 食事を断って内臓を休ませることで排泄機能が高まり、体内の老廃物の排出や腸内環境の改善が見込めます。
定期的なファスティングは、代謝をスムーズにし、健康な体づくりに期待できるでしょう。しかし、ファスティングは一定期間であっても「断食」です。
正しいやり方で行わなければ健康を害する危険があります。
ファスティングのやり方はさまざまで、医師の指導のもと数週間にわたって行うものもあります。
また、ファスティングは効果が限定的、デメリットもあるなど否定的意見もありますが、学術的な肯定的意見も多くあります。
2.ファスティングの効果
ファスティングには、さまざまな効果があります。代表的な二つの効果を解説します。
2-1.腸内環境が整う
ファスティングには、腸内環境を整える効果があります。ファスティングをすると消化吸収活動が停止し、内臓が休まります。
さらに酵素を取り入れることで消化能力が高まり、排泄機能が活発になると考えられています。
それによって、体内に滞っていた便を排出し、腸の汚れを改善することが可能です。
腸内環境が整うと、血液がサラサラになり、血液の質の向上にもつながります。また、消化管を休ませることで内臓の修復を促す効果が期待できます[1]。
腸内環境を整える、食べ物や生活習慣改善のポイントについてはこちらの記事をご覧ください。
腸内環境を整えるには?おすすめの食べ物や生活習慣改善のポイント
2-2.免疫力が向上する
ファスティングには、体の免疫力を高める効果もあります。
腸内環境の改善により血液の質が良くなると、白血球やリンパ球が活性化し免疫力が向上するとされています[2]。
また、健康的な腸内環境は善玉菌が優勢な状態です。善玉菌を構成する物質は、免疫力を高め、血清コレステロールを低下させる効果が報告されています。
免疫についての詳しい情報はこちらの記事をご覧ください。
免疫とはどんなもの?ウイルスから体を守る仕組みを分かりやすく解説
免疫力を上げる方法とは?健康な体づくりのために始めたい生活習慣
2-3.ファスティングはこんな方におすすめ
- 腸内環境を改善したい方
- 内臓を休ませたい方
- 血液をサラサラにしたい方
- 免疫力を向上させたい方
ファスティングは、食生活を見直し、健康的な食生活を送るきっかけとなり、結果としてダイエット効果につながることもあります。
ただし、ダイエットには健康的な食生活の他、規則正しい生活や適度な運動習慣が必要です。
痩せることだけを目的としてファスティングをするのではなく、健康的な体づくりを目指した結果、ダイエットにつながるというイメージを持つのが良いでしょう。
3.ファスティングの基本的なやり方
一般的に、ファスティング期間中は固形の食べ物を断ち、水や酵素ドリンクなど飲み物のみ摂取します。
ファスティング期間は、半日から数週間にわたるものまでさまざまです。無理をせずに自分の体に合った適切な時間や日数で行いましょう。
また、ファスティングは、いきなり食事量を減らすのではなく、準備期間、ファスティング期間、回復期間の3段階に分けて行います。
それぞれ詳しく解説します。
3-1.準備期間
準備期間は、ファスティング前に体を慣れさせるための期間です。ファスティング期間と同じ日数分の準備期間を設けて、徐々に食事量を減らしていきます。
準備期間は、アルコールやカフェイン、脂質が高いもの、動物性たんぱく質は避け、おかゆや玄米、野菜などを中心にした胃に優しい食事を摂りましょう。
3-2.ファスティング期間
ファスティング期間に入ったら食事を断ち内臓を休めますが、脱水症状にならないようにこまめに水分を摂ります。
1日2リットルを目安に水分補給しましょう。水以外にノンカフェインのハーブティーや酵素ドリンクを飲んでもOKですが、お茶やコーヒーなどはNGです。
その他、スムージーやみそ汁もおすすめです。ただし、みそ汁を摂る場合は具なしにしてください。
3-3.回復期間
ファスティングが終わると回復期間を設けます。
ファスティングを成功させるためには、回復期間に食べるものが非常に重要です。
ファスティングの直後は、体が摂取したものを吸収しやすい状態になっています。
一気に普通の食事を摂るのではなく、内臓に負担がかからない流動食から始め、徐々に普通の食事に戻していきましょう。
回復期1日目の食事は、重湯(おかゆの上澄み)やおかゆ、具なしのみそ汁などがおすすめです。
4.ファスティングのスケジュール例
ファスティングのスケジュール例を見ていきましょう。
16時間ファスティング、1日ファスティング、2日ファスティング、3日ファスティング、5日ファスティングに分けてそれぞれ解説します。
4-1.16時間ファスティング
- 準備期間:0日
- ファスティング期間:16時間
- 回復期間:0日
16時間ファスティングは、食事を摂る時間を1日のうち約8時間以内にするファスティング方法です。
残りの16時間は食事を摂りませんが、約8時間以内であればある程度自由に食事を摂れます。
16時間ファスティングのスケジュールを大きく分けると「朝ごはんを食べない」、「夜ごはんを食べない」の2パターンが一般的です。
16時間ファスティングは、精神的にも身体的にも比較的負担が少ないので、初心者におすすめです。
4-2.1日ファスティング
- 準備期間:1日間
- ファスティング期間:1日間
- 回復期間:1日間
1日ファスティングは、1日(24時間)食事を断つファスティング方法です。
1日ファスティングからは、準備期間と回復期間をそれぞれ1日ずつ設けます。ファスティング期間と合わせた計3日間で行うのが一般的です。
1日ファスティングも初心者におすすめです。
2日や3日以上のファスティングに不安がある方は、まずは1日ファスティングから始めて体を慣らしていきましょう。
4-3.2日ファスティング
- 準備期間:1~2日間
- ファスティング期間:2日間
- 回復期間:2日間
2日ファスティングは、2日間食事を断つファスティング方法です。準備期間と回復期間を1日ファスティングよりも多く設けます。
準備期間にしっかり食事内容を調整してしっかり体を慣らしてください。
ファスティング期間中は十分に水分摂取し、回復期間も気を抜かず徐々に元の食事に戻していきましょう。
2日ファスティングは、週末や仕事のストレスが少ない時期に行うのがおすすめです。
4-4.3日ファスティング
- 準備期間:2~3日間
- ファスティング期間:3日間
- 回復期間:3日間
3日ファスティングは、3日間食事を断つファスティング方法です。
準備期間は、ファスティング期間と同じく3日間に設定するのが理想ですが、少なくとも2日間はとりましょう。回復期間も同様に3日間とります。
3日ファスティングは、16時間、1日、2日のスケジュールに慣れた中上級者におすすめです。
3日間ファスティングの回復食は、次のメニューを参考にしてみてください。
回復期1日目 | 回復期2日目 | 回復期3日目 | |
---|---|---|---|
朝 | 水、酵素ドリンク | 水、酵素ドリンク | 水、酵素ドリンク |
昼 | 重湯 | おかゆ | 野菜スープ、おかゆ |
夜 | 具なしみそ汁 | 野菜スープ、おかゆ | 湯豆腐、おかゆ |
4-5.5日ファスティング
- 準備期間:2~3日間
- ファスティング期間:5日間
- 回復期間:5日間
5日ファスティングは、5日間食事を断つファスティング方法です。
ファスティング期間は5日間ですが、トータルで12〜13日間のスケジュールです。
準備期間は2〜3日を目安に行い、回復期間は5日間しっかりとります。
ファスティング期間中の食事管理や体調管理が十分にでき、より効果を得たいという上級者向けのスケジュールです。
5日間ファスティングの回復食は、次のメニューを参考にしてみてください。
なお、3日目までは3日間ファスティングの回復食と同様のメニューで良いでしょう。
回復期4日目 | 回復期5日目 | |
---|---|---|
朝 | スムージー | ミネストローネ |
昼 | 雑炊、わかめのみそ汁 | おかゆ、卯の花、もずく |
夜 | うどん、豆腐サラダ | 柔らかいご飯、野菜のみそ汁、納豆 |
5.ファスティングをするときの5つのポイント
- 自分がファスティングをやっても良いか確認する
- 準備期間や回復期間の食事内容に気を付ける
- ファスティング期間中は激しい運動をしない
- 体調が悪くなったら我慢せず中断する
- 医師や専門家の指導を受けることも検討する
ファスティングはさまざまな効果を得られる一方で、体調不良のリスクにも十分注意が必要です。
正しくファスティングをするための五つのポイントを解説します。
5-1.自分がファスティングをやっても良いか確認する
さまざまな効果が期待できるファスティングですが、やってはいけない場合もあります。
自分はどうなのか必ず事前に確認しましょう。ファスティングをやってはいけない方は次のとおりです。
- 妊娠中、授乳中の方
- 成長期の子ども
- 高齢者
- BMIが17.5未満の方
- 医師に食事制限を禁止されている方
- 持病がある方
上記に該当する方は、基本的にファスティングをやってはいけません。
妊娠中や授乳中の方、成長期(13歳以下)の子ども、65歳以上の高齢者、BMIが17.5未満の方は、栄養不足を引き起こす可能性があります。
また、医師に食事制限を禁止されている方や、持病がある方は健康に悪影響を及ぼす恐れがあるので控えてください。
その他、気になることが少しでもある方は必ず医師に相談しましょう。
BMIの定義や計算方法についてはこちらの記事をご覧ください。
BMIとは?定義や計算方法、基準値について分かりやすく解説!
5-2.準備期間や回復期間の食事内容に気を付ける
ファスティングは、ファスティング期間の前後がとても大切です。
準備期間や回復期間に適切な食事を摂らないなど間違った方法でファスティングすると、効果がなくなったり、体調が悪くなったりすることにつながります。
準備期間や回復期間の食事内容に十分気を付けて、体への負担を減らしましょう。
5-3.ファスティング期間中は激しい運動をしない
ファスティング期間中、激しい運動は控えましょう。
激しい運動をすると、体内の糖質を消費します。ファスティングによって食事から摂る糖質の量が減っている状態なので、低血糖の症状を引き起こす恐れがあります。
ファスティング期間中は、軽いウォーキングやストレッチ程度の適度な運動をするのがおすすめです。
ウォーキングのダイエット効果や正しいやり方についてはこちらの記事をご覧ください。
5-4.体調が悪くなったら我慢せず中断する
ファスティング期間中は、空腹による頭痛やだるさなど、さまざまな症状があらわれることがあります。
なんとなく調子が悪いと感じたら、まずは水分補給がしっかりできているか確認しましょう。
体調が悪くなったときは、塩分やミネラルを摂取すると症状が治まることがあるので、塩や梅干し、黒糖を舐めて様子を見ます。
それでも体調が回復しない場合は、我慢せず中断しましょう。
5-5.医師や専門家の指導を受けることも検討する
ファスティングは、正しく行わないと健康被害が起こる可能性があります。
知識やスケジュール管理に不安がある場合は、医師や専門家の指導を受けることも選択肢の一つです。
万一、体調を崩してしまっても適切に対処してもらえます。
特に長期間のファスティングをするときは、無理をせず医師や専門家の指導のもと行いましょう。
6.ファスティングに関するよくあるQ&A
- ファスティングをするとどんな効果がありますか?
- ファスティングをすると肌に変化はありますか?
- ファスティング期間中に食べて良いものはなんですか?
- 生理中にファスティングをしても良いですか?
ファスティングに関するよくある質問をQ&A形式でまとめました。
Q. ファスティングをするとどんな効果がありますか?
A. 腸内環境の改善、免疫力の向上、ダイエットのサポート効果などがあります。
ファスティングをすると、排泄機能が活発になり、老廃物を体の外に出し切ります。
そのため、腸内環境の改善効果が期待できます。腸内環境が整うと免疫力の向上にもつながります。
また、ファスティングは、食生活を見直すきっかけとなり、ダイエット効果につながる可能性があります。
Q. ファスティングをすると肌に変化はありますか?
A.肌荒れが改善する可能性があります。
肌荒れの症状にはさまざまな原因がありますが、日頃の食生活が影響を与えている場合もあります。
特に高脂質の食事は皮脂の分泌を高めて、肌荒れが起こることがあります。
ファスティングで高脂質の食事を断つと肌荒れの改善効果が期待できるでしょう。
Q. ファスティング期間中に食べて良いものはなんですか?
A.基本的に水分のみ摂取できます。
ファスティング期間中は、基本的に固形物を一切食べません。しかし、脱水症状になってしまうのを防ぐために水分はしっかり摂る必要があります。
1日2リットルを目安にこまめに水分補給しましょう。水以外の酵素ドリンクやスムージーなどでも問題ありません。
Q. 生理中にファスティングをしても良いですか?
A.体調を崩す可能性が高いので生理中は控えましょう。
生理中は、体内の鉄分が不足しやすくなります。その状態でファスティングをすると、さらに必要な栄養素が不足し、貧血を起こしてしまう恐れがあります[3]。
また、生理中は腹痛や眠気、気分の落ち込みなどさまざまな症状があらわれやすい期間です。
生理期間が終わってからファスティングをした方が良いでしょう。
[3]厚生労働省「貧血」
7.ファスティングについてのまとめ
ファスティングは、腸内環境の改善や免疫力の向上など、体に良い影響をもたらすことが期待できます。
また、一定期間食事を管理すると偏った食事を見直すことができ、健康的な食生活規則を送ることにもつながるでしょう。
ファスティングは結果としてダイエット効果を得られることもありますが、体重を落とすことだけを目的にした過度な断食は体調を崩してしまう原因になりかねません。
記事で紹介した注意点を踏まえ、無理なく自分に合ったペースで行うことが大事です。