「女性の体脂肪率の目安はどのくらいかな?」
「体脂肪率はどうやったら下がるのだろう……」
と疑問に感じている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
体脂肪率の測定は体内に蓄えられている体脂肪の量を把握することに役立ちます。
体脂肪が多すぎる場合は健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、食事を工夫したり運動したりする必要がありますが、少な過ぎるのもよくありません。
この記事では、女性の体脂肪率の目安や体脂肪率が高過ぎたり低過ぎたりする場合の健康に及ぼす影響などについて解説します。
また、体脂肪の減らし方もご紹介しますので参考にしてみてくださいね。
1.体脂肪率とは
体脂肪率とは、体重に占める体脂肪の割合をパーセントで表したものです。
最近は体脂肪率を測定できる体重計も多く販売されていますよね。
体脂肪率の測定方法にはさまざまなものがありますが、一般的には「体組成計」などの機器を用いて体脂肪率を測定します。
体脂肪にはエネルギーを貯蔵したりホルモンの構成成分となったりするなど、体の機能を維持する上で重要な役割があります。
しかし、多過ぎると二の腕やおなかなど目に見える部分に脂肪がついてしまったり健康に悪影響を及ぼしたりします。
もちろん少な過ぎるのも良くありません。
体重を測定するだけでは体脂肪の量を把握することはできないため、体脂肪率を測定することは健康づくりの一環として重要な役割を持つといえるでしょう。
2.女性の体脂肪率の目安
成人女性では体脂肪率が30%を超えると体脂肪量が過剰であるとされています*1。
そのため、女性が目安とすべき体脂肪率は「30%以下」であるといえるでしょう。
そうはいっても、理想の体型や健康のためには具体的に体脂肪率を何%にしたら良いのかというのが気になるところですよね。
しかし、体重が多いだけではなく体脂肪が過剰に蓄積した状態が「肥満」であるとしながらも、体脂肪率は肥満の指標として用いられておらず、学会などで策定された統一基準もないのが現状です。
これは、使用する体組成計によっても体脂肪率の推定方法が異なることや、健康への影響が異なる2種類の体脂肪「内臓脂肪」と「皮下脂肪」を区別なく測定しているためであると考えられます。
現在、肥満度を表す指標として国際的に用いられているのは「BMI(Body Mass Index)」です。
ただしBMIでは体脂肪と筋肉の割合が考慮に入れられていないため、筋肉量が多い方も数値が高くなってしまいます。
ご自分の体型や筋肉量を鑑みて判断するのが良いといえるかもしれませんね。
体脂肪率の年齢ごとの適正値などは、測定機器メーカーで情報を提供しています。
ご使用中の体組成計の取扱説明書やメーカー公式サイトなどで確認し、参考にしてみてくださいね。
*1 厚生労働省e-ヘルスネット「BMI」
*2 厚生労働省e-ヘルスネット「体脂肪計」
3.体脂肪率が高過ぎたり低過ぎたりする場合の影響
体脂肪率が高過ぎると体型や健康に良くない影響があることは想像できますが、低過ぎるのも良くないようです。
どちらの場合も、具体的にどのような影響があるのか気になりますよね。
ここでは、体脂肪率が高過ぎたり低過ぎたりする場合の健康への影響について解説します。
3-1.体脂肪率が高過ぎる場合の影響
体脂肪の蓄積は肥満を招き、生活習慣病を引き起こします。
特に内臓脂肪の蓄積は生活習慣病のリスクを高めるため「メタボリックシンドローム」の診断基準の一つとなっています。
女性の場合、ウエスト周囲径(おへその高さの腹囲)が90cm以上で、かつ血圧、血糖、脂質の三つのうちいずれか二つ以上が基準値から外れるとメタボリックシンドロームであると診断されます*3。
メタボリックシンドロームの診断基準については、詳しくは厚生労働省 e-ヘルスネット「メタボリックシンドロームの診断基準」をご覧ください。
内臓脂肪が生活習慣病のリスクを高めるのは、脂肪細胞から分泌される「アディポサイトカイン」という物質のはたらきによるものです。
アディポサイトカインには、血圧や血糖値を上昇させ動脈硬化を促進させるいわゆる「悪玉」に相当するものと、血糖値を下げたり肥満を予防したりする効果を示す「善玉」に当たるものがあります。
肥満、特に内臓脂肪が蓄積し過ぎた状態ではアディポサイトカインの分泌異常が起こり、悪玉物質のはたらきが強まるといわれています。
動脈硬化は心臓から血液を全身に運ぶ動脈の血管が硬くなって弾力性が失われた状態のことで、血管が詰まりやすくなり心臓に負担がかかるため心筋梗塞や脳梗塞などの原因となります。
内臓脂肪が蓄積した状態を放置していると健康に大きなリスクが生じるのですね。
また皮下脂肪だけが多い場合、生活習慣病との関連性は低いといわれていますが、睡眠時無呼吸症候群や関節痛、月経異常が生じやすくなります。
このように体脂肪率が高過ぎるとさまざまなリスクが高まりますが、肥満の指標であるBMIでは体脂肪の蓄積具合までは判断できません。
近年BMIが低い、つまり体重は少なくても体脂肪率は標準もしくは高い「隠れ肥満」が若い女性に多いといわれています。
隠れ肥満は肥満同様生活習慣病のリスクが生じる可能性があるため、注意が必要です。
*3 厚生労働省 e-ヘルスネット「メタボリックシンドロームの診断基準」
3-2.体脂肪率が低過ぎる場合の影響
健康を維持するためには体脂肪が必要です。
体脂肪はエネルギーの貯蔵や体温の保持、ホルモンを構成する成分などの役割を担っています。
そのため、体脂肪率が低過ぎると寒さを感じやすかったり皮膚や髪のつやが失われたりすることがあります。
また、月経異常や体調不良の原因となるホルモンバランスの乱れが生じる可能性もあるでしょう。
体脂肪率は、低ければ低いほどいいというわけでないのですね。
4.体脂肪を減らす方法
「体脂肪を減らすには何をしたらいいのかな?」
体脂肪率が高めなのが気になっていても、何をどのようにすれば良いのか悩んでいるという方も多いでしょう。
体脂肪を減らすためには、食べ過ぎに気をつけたり運動不足を解消したりといった生活習慣の見直しや改善が必要です。
ここでは、体脂肪を減らす方法をご紹介します。
4-1.カロリー制限
体脂肪を減らすには摂取カロリーを抑えることが重要です。
私たちは食べ物を摂取することで、生きていくために必要なエネルギー(カロリー)を得ています。
主にエネルギー源となるのは炭水化物(糖質)と脂質です。
糖質や脂質から得られるエネルギー(カロリー)を制限すると、体内に蓄えられている体脂肪が使われるようになり、体脂肪が減らせるのです。
炭水化物や脂質を多く含むものとして、まずは甘いお菓子やジュース、揚げ物などの脂っこいものを控えることから始めてみるのも良いですね。
果物やアルコールなどの摂り過ぎもカロリーオーバーにつながりやすいため注意しましょう。
また、体脂肪をため込まないためには食事時間などの工夫も大切です。
夜遅い時間帯の食事を避けたり欠食しないようにしたりすることも意識してみてくださいね。
4-2.有酸素運動
蓄えられた体脂肪を減らすためには、カロリー制限と同時に消費カロリーを増やすことも大切です。
消費カロリーを増やすために、まずは筋肉への負荷が比較的軽い「有酸素運動」から始めてみましょう。
酸素と一緒に体内の糖質や脂肪をエネルギーとして使う有酸素運動は、体脂肪を減らすのに適した運動です。
通勤通学や買い物の際に歩く距離を増やしたり、いつもより早足で歩くようにしたりすることでも消費カロリーをアップできますよ。
4-3.筋トレ
有酸素運動と同じように消費カロリーを増やし、体脂肪を減らすのに有効なのが筋トレです。
ダンベル体操やスクワットなど、筋肉に負荷をかける運動は筋肉量の増加に役立ちます。
筋肉量の増加は「基礎代謝」を上昇させ、その結果消費カロリーのアップにつながるのです。
筋トレは2、3日に1回程度の実施が推奨 *4されていますので、無理なく続けられるペースで行ってみてくださいね。
*4 厚生労働省e-ヘルスネット「レジスタンス運動」
5.女性の体脂肪率 まとめ
体脂肪率は体重に占める体脂肪の割合をパーセントで表したものです。
肥満や健康の程度を表す指標として利用されているものではありませんが、女性では30%以下を目安にすると良いでしょう。
年齢ごとの体脂肪率の目安や適正値などが知りたい場合は、ご使用中の体組成計メーカーの情報を参照してみてくださいね。
体脂肪率が高過ぎると体に悪影響を及ぼしますが、食生活や運動習慣などを見直し改善することで減らすことができます。
そうはいっても体脂肪率が低過ぎるのも体調不良を招く可能性があるため、減らし過ぎには注意が必要です。
体重と一緒に体脂肪率を測定して、健康維持に役立ててみてはいかがでしょうか。