「筋トレを毎日すると、かえって良くないって聞いたけど本当かな?」
「毎日できる筋トレメニューを知りたいな」
筋トレとは筋力を上げるために筋肉に負荷をかける運動のことです。
一般的に筋トレは筋肉を疲労から回復させるために、一定の間隔を空けて行う必要があるといわれています。
いざ筋トレをしようと思い調べてみると、毎日行うのはかえって良くないという情報が目にとまり、困惑している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、筋トレを毎日することは避けた方が良い理由や、毎日するための工夫やメニューの組み方をご紹介しています。
ぜひ参考にしていただき、理想の体を手に入れましょう。
1.筋トレを毎日するのはNG?
「筋トレを毎日するのは良くないって聞いたけど本当かな?」
このように気になっている方も多くいらっしゃるでしょう。
一般的に毎日同じ部位を筋トレすることは避けた方が良いといわれています。
筋トレを行って筋肉に負荷をかけると、筋肉を構成する筋線維の一部が損傷されます。
損傷された筋線維が回復する際には、元よりも少し太い状態になる「超回復」が起こります。
筋トレは筋線維に負荷をかけてダメージを与え、超回復の仕組みを利用することで筋肉を太くし、筋力を向上させる運動といえるでしょう。
この超回復には2~3日かかるといわれています[1]。
毎日筋トレを行って負荷を重ねてしまうと、筋線維が損傷を繰り返すばかりで超回復が起こらず、筋肉が成長しなくなってしまう恐れがあります。
また筋肉に疲労がたまりけがをしてしまうリスクも高まります。
筋トレを毎日する場合は部位を変えて行うといった工夫が必要だといえるでしょう。
[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「筋力・筋持久力」
2.筋トレを毎日する場合のポイント
「効率的に筋肉を鍛えるために、毎日筋トレをすることはできないのかな?」
より効率良く筋肉を鍛えるために、毎日筋トレをしたいと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
いくつかのポイントを守れば、筋トレは毎日続けて行えます。
鍛える部位を日ごとに変えることや負荷の小さいトレーニングを行うこと、たんぱく質を十分に摂ることがポイントです。
これらに留意すれば筋トレを毎日の習慣にできるため、モチベーションを維持し、トレーニングの時間を増やせます。
ポイント1 日によって鍛える部位を変える
毎日筋トレをする場合、日によって鍛える部位を変えましょう。
トレーニングによって筋肉に負荷をかけると、筋線維の一部が損傷されます。
傷ついた筋線維は修復されるときに少し太くなり、これを繰り返すことで筋肉が太くなり筋力が上がります。
筋肉が超回復する2~3日の間、筋肉をしっかりと休ませないままトレーニングすると、超回復が妨げられ筋肉の損傷だけが繰り返されてしまいます[2]。
筋トレを毎日行うのであれば、日によってトレーニングする部位を変えましょう。
超回復を妨げることなく、効率良く筋肉が鍛えられますよ。
[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「筋力・筋持久力」
ポイント2 負荷の小さいトレーニングを行う
毎日筋トレをするためには負荷の小さいトレーニングをしましょう。
筋トレは通常、負荷をかけることで意図的に筋線維を傷つけ、超回復によって筋肉の増強を狙うトレーニングです。
しかし筋線維をあまり痛めつけない軽度のトレーニングであれば、毎日続けても問題ないと考えられます。
例えば体幹の筋肉やインナーマッスルは他の筋肉よりも小さく、回復が速いため毎日トレーニングしても良いといわれています。
体幹とは頭部と手足を除いた胴体部分のことです。
インナーマッスルは体の深いところにある筋肉で、「深層筋」とも呼ばれます。
体幹やインナーマッスルのトレーニングは体を安定させ、姿勢を維持することにつながるといわれています。
体幹やインナーマッスルのトレーニングを毎日の習慣にするのも良いかもしれませんね。
体幹トレーニングについては以下の記事で解説しています。
体幹とは?体幹を鍛えるメリットと効果的なトレーニング方法を解説!
ポイント3 たんぱく質を十分に摂取する
毎日筋トレをするのであれば、たんぱく質を十分に摂取することが重要です。
たんぱく質はエネルギー源となる栄養素の一つで、筋肉や臓器、肌、髪の毛といった体の組織をつくる材料でもあります。
筋肉をしっかり育てるためにも、積極的にたんぱく質を摂取しましょう。
「たんぱく質は1日にどれくらい摂るべきなんだろう?」
激しい運動を行えば、その分必要となるたんぱく質の量は増えるといわれています。
身体活動レベル別のたんぱく質の目標量をご紹介しましょう。
身体活動レベルとは、日ごろのどれだけ体を動かしているか、その程度を3段階に分けて表すものです。
Ⅰ(低い) | 生活の大部分を座って過ごし、あまり動くことがない場合 |
---|---|
Ⅱ(ふつう) | 座って過ごすことが多いが、職場内などで歩いたり立ったりして作業や接客を行う、通勤や買い物で歩く、家事や軽いスポーツを行うといった場合 |
Ⅲ(高い) | 歩いたり立ったりすることが多い仕事に就いている場合、あるいは余暇に活発に運動する習慣がある場合 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
毎日筋トレをする場合は、身体活動レベルは「Ⅲ(高い)」に該当すると考えて良いでしょう。
年齢・性別・身体活動レベルごとのたんぱく質の目標量は以下のとおりです。
性別 | 男性 | 女性 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
身体活動レベル | Ⅰ(低い) | Ⅱ(ふつう) | Ⅲ(高い) | Ⅰ(低い) | Ⅱ(ふつう) | Ⅲ(高い) |
18~29(歳) | ||||||
30~49(歳) | ||||||
50~64(歳) | ||||||
65~74(歳) | ||||||
75以上(歳) |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
身体活動レベルⅢ(高い)の列の中の、ご自身が当てはまる年齢と性別のたんぱく質の目標量を目安にして摂取しましょう。
ただし、たんぱく質が豊富な肉類や乳製品などのなかにはエネルギー量(カロリー)が高いものもあるため注意が必要です。
たんぱく質については以下の記事で解説しています。
たんぱく質とは?体内でのはたらきや食事摂取基準、豊富な食品を紹介
3.目的別・適切な筋トレメニューの組み方
「体脂肪を減らしてスリムな体形になりたい」
「適度に筋肉のついた体になりたい」
「筋肉が目立つマッチョな体になりたい」
筋トレと一言でいっても、理想とする体形によってメニューは異なるため、目的に合ったトレーニングをする必要があります。
目的別に適切な筋トレメニューの組み方をご紹介しましょう。
3-1.体脂肪を減らしたい場合
体脂肪を減らして痩せたい場合、筋トレと並行して「有酸素運動」を行いましょう。
有酸素運動は脂肪をエネルギーとするため、体脂肪の減少効果が期待できるとされています。
有酸素運動の代表例はウォーキングやジョギング、サイクリング、エアロビクスダンス、水泳などです。
有酸素運動については以下の記事で解説しています。
有酸素運動とは?効果や無酸素運動との違い、おすすめの運動を紹介
有酸素運動で脂肪燃焼するとともに、筋トレで「基礎代謝」を上げることでより脂肪を燃焼しやすい体を目指せると考えられます。
基礎代謝は筋肉量が増えるほど大きくなります。
筋トレで基礎代謝が向上すると、普段の生活で消費するカロリーが増えて脂肪が燃えやすくなるのです。
なお、成長ホルモンには脂肪細胞を分解する作用があり、筋トレで筋肉に負荷をかけることで分泌されます。
筋トレと有酸素運動を一緒に行う場合、筋トレを先に行い成長ホルモンが分泌された状態で有酸素運動をすると、脂肪燃焼の効果が大きくなるといわれています。
特に大きな筋肉を鍛えることで、基礎代謝の向上が見込めます。
大きな筋肉には肩の三角筋、胸の大胸筋、太ももの大腿四頭筋とハムストリング、お尻の大臀(だいでん)筋などがあります。
これらの筋肉を中心に日ごとに異なる部位を鍛え、その後に有酸素運動を行うことで効率的に体脂肪を減らせますよ。
三角筋のトレーニング、ハムストリングのトレーニング、大腿四頭筋と大臀筋のトレーニングについては以下の記事で解説しています。
三角筋を鍛えられる筋トレ!自重や器具を使ったトレーニングを紹介
ハムストリングとは?効果のあるトレーニングやストレッチを解説
スクワットの効果とは?鍛えられる部位や効果的な実践方法を解説
3-2.適度に筋肉のついた体を目指したい場合
適度に筋肉のついた、いわゆる細マッチョのような体形を目指したい方は、筋トレで筋肉を鍛えるとともに、有酸素運動によって体脂肪を減らすと良いでしょう。
細マッチョなスタイルになるには大胸筋や上腕二頭筋、腹直筋などを鍛えましょう。
大胸筋は胸の前面についている筋肉で、男性の場合は筋トレすることでたくましい胸板がつくれます。
バストの土台にもなる筋肉であるため、女性の場合は鍛えることでバストアップや胸の下垂予防の効果が期待できます。
大胸筋を鍛えるトレーニングについては以下の記事で解説しています。
大胸筋を効率良く鍛える筋トレを紹介!コツや食事のポイントも解説
上腕二頭筋は腕を曲げたときに盛り上がる筋肉で、力こぶに当たる筋肉です。
腕の筋肉は他の部位と比較して隆起が分かりやすいので、適度に筋肉がついた体を実現しやすいといえるでしょう。
上腕二頭筋を鍛えるトレーニングについては以下の記事で解説しています。
上腕二頭筋を鍛える筋トレ!自重やダンベルを使うトレーニングを紹介
腹部の筋肉は「腹直筋」「腹横筋」「腹斜筋」「腸腰筋」の四つに大きく分かれています。
適度に筋肉のついた体というと、きれいに割れているおなかをイメージする方もいらっしゃるのではないでしょうか。
おなかが割れている線は、腹部の四つの筋肉のうち腹直筋の線です。
腹直筋は筋トレによって割れるのではなくもともと割れているため、割れたおなかをつくり上げたい場合は脂肪を少なくする必要があります。
割れたおなかを目指す場合、脂肪を落とすとともに腹直筋を鍛えましょう。
腹筋を鍛えるトレーニングについては以下の記事で解説しています。
腹筋を割るには?筋トレと食事、有酸素運動のポイントを徹底解説
3-3.筋肉を大きく育てたい場合
筋肉の大きく育った体を目指すなら、全身を胸・背中・腕・肩・脚の5パーツに分け、それぞれのパーツごとに毎日トレーニングを行いましょう。
胸は大胸筋、肩は三角筋、背中は広背筋や僧帽筋、腕は上腕二頭筋や上腕三頭筋、脚は大腿四頭筋や大臀筋などをしっかりと鍛えましょう。
有酸素運動は筋肉を減らしてしまうことがあるため、体脂肪がつき過ぎている場合を除けば実施する必要はありません。
また負荷の強い筋トレを中心に行うことも重要です。
日ごとに鍛える部位をローテーションすることで筋肉を休ませながら毎日トレーニングを行うことができます。
またダンベルやバーベルといった器具を使用したり、ジムに通ってマシンを用いたりすることでより大きな負荷をかけられますよ。
ダンベルを使ったトレーニングについては以下の記事で解説しています。
ダンベルを使った筋トレの方法とは?ポイントや注意点も詳しく解説
4.筋トレを毎日することについてのまとめ
筋トレとは筋力を上げるために筋肉に負荷をかける運動のことです。
筋トレを行うと筋線維の一部が損傷され、修復の際に元よりも太くなる超回復が起こります。
筋トレはこの作用を利用して筋肉を大きくし、筋力を上げる運動です。
ただし超回復には2〜3日を要するため、この期間は筋肉を休める必要があるといわれています[3]。
無理に毎日筋トレをしても筋肉の損傷が蓄積し、けがのリスクも高まります。
毎日筋トレをする際のポイントは、鍛える部位を日ごとに変えて筋肉を休息させることです。
また負荷の小さいトレーニングや、体幹の筋肉やインナーマッスルのトレーニングは毎日行っても構わないとされています。
なお、筋肉の材料であるたんぱく質を十分に摂取しないと筋肉が大きくならないため注意が必要です。
また筋トレの方法や鍛えるべき筋肉は体脂肪を減らしたい場合、適度に筋肉をつけたい場合、筋肉を大きく育てたい場合などによって変わります。
ご自身の理想とする体形に応じて筋トレのメニューを組んでくださいね。
[3] 厚生労働省 e-ヘルスネット「筋力・筋持久力」